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デカい猫(タチ)を拾った日
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■キャラクター
攻め:黒峰琢磨(くろみねたくま)
身長186㎝、見栄えのある引き締まった身体で普段は猫背気味。かなり整った顔立ちではあるが、前髪は目にかかるぐらいまであり(前下がりツーブロック/スパイラルパーマ)その顔が隠されてしまっている。
服にはそこまで頓着せず「楽だから」という理由で意図せず黒コーデ、逆にそれが洗練されてしまっている。
受け:透山斗真(とうやまとうま)
176㎝少し瘦せ型。ナチュラルなショートヘアー+ハイトーンカラー。食べても鍛えても身体に肉があまり付かないことと、名前の語感が微妙なところを少し気にしている。
何故か顔面レベルの高い友人知人に囲まれており、その中では霞んでしまい自身は地味で目立たないと思っているが、単体で見れば実は平均かそれ以上の顔立ち。
そこそこ面倒見がよく男女問わず変わり者やヤバい人を引きがち。メンヘラ地雷系にも好かれやすい。
[newpage]
某月某日、透山斗真の心は荒れに荒れ狂っていた。
順風満帆に見えた大学生活に陰りが見え始めたのは、俗にいうサークルクラッシャーちゃんが自身の入っているサークルに突如現れた頃で、そこからは居心地のよかったサークル内が二つ三つ四つ五つの派閥に分断され、誰もが皆クラッシャーに翻弄され骨抜きにされ、破滅への序曲へと向かっていくようだった。
「斗真君♡」
ついに来た。斗真は内心勘弁してくれよと反吐が出そうになりながら、形ばかりは何でもない風を装って「何」と返す。
「あのね、斗真君とはあまり話したことなくって、よかったら仲良くなりたいな? なんて」
ぱっと見は小柄で可愛らしい小動物のような守ってあげたくなる女の子。コテンと小首を傾げれば、わざとらしいツーサイドアップも萌え袖ニットもミニ丈のワンピースも全てが彼女の魅力を底上げするアイテムでしかない。
しかし騙されてはいけない、目の前のクラッシャーは「ドキッ男だらけのサークル」状態だった、ある意味無菌室のようなサークル内に突如として現れた厄災である。
「何故、男を食うのですか」
「そこに男があるからさ」
登山家気取りなのか、片っ端からサークル内の男に飽き足らず、大学内の男を食い荒らし、遂にはT大かK大にも進出かとまで噂されているほどの人物であった。
「あー……ごめん、俺かなりの人見知りで」
斗真だって女性が嫌いなわけではない。だが、目の前のクラッシャーのような特定の属性を持った人間が苦手で、これまで散々嫌な目に遭ってきたが故の塩対応であった。
聡明な読み手であれば
「向こうも本気ではなく斗真の事も攻略対象の一つでしかないのだから、一発ヤってしまえばあと腐れなく円満に別れることもできるだろう」
と思われるかもしれないが。
この男には変な魅力があり、遊びのつもりでやって来たビッチなお方ほど本気にさせてしまうという厄介な能力があった。無論本人としては早急に捨て去りたい力ではあるが。
「ええと、女の子、苦手なんだ」
言葉のチョイスを誤ったと気づいたのは言葉を吐き捨てた直後で。気まずさから斗真は全力でその場を後にした。
「終わった」
主語というものはとても大事で「お前のような」女の子は苦手だという一言を抜かしてしまったが故に、明日から自分はゲイとしてあのサークルないしは大学で生きて行かなくてはならないかもしれない。
クラッシャーの口が固いことを斗真は心より願ったが、上はともかく確実に下の口は緩いであろうマン(男)イーター兼サークルクラッシャーのことを考えると、全くもって絶望的であった。
ズタズタに心が荒れた彼はある場所へと向かう。カランコロン。ドアベルの付いた重い木のドアを開けると、そこは楽園だった。
「みぃちゃん久しぶり、マー君も可愛いね、ミケちんも起きてたんだ」
彼がやってきたのは保護ネコカフェ「ブローニャ」
ここで思いっきり愛くるしい猫たちを愛で、時に触れあい戯れるのが最近の専らのストレス解消方法だった。
「(あれ?)」
19時も過ぎると猫カフェも空いて人が疎らになり、また夕ご飯前のため起きている猫達も多いので実は穴場な時間帯であるが、斗真から少し離れた場所に一人の男性客がいた。
彼はパタパタと物憂げな様子でネコの玩具をはためかせて、それにじゃれついている白の猫(みぃちゃん)と心ここにあらずといった様子で遊んでやっている。全身黒コーデで少しだけ気だるげに猫と戯れているその姿は、どちらかと言えば猫カフェよりもクラブのほうが似合っている。
傷心なうえ、推し(みぃちゃん)を取られた気持ちになって勝手にイラついてみると、男は斗真に気が付いたのか少しだけ小首をかしげて、それから「ほら、あっち」と白猫を斗真の元へ誘導させた。
ゴロゴロ珍しく甘えたなみぃちゃんにすっかり機嫌を良くした斗真は、改めて男の方を見やる。
「ん!?」
「……うん?」
斗真の想定より男は近距離、いや目の前にいた。どうも猫に構っているうちに足音もなく斗真の近くまでやってきたらしい。みぃちゃんのあごの下をわしゃわしゃやっているのにすっかり夢中で、男に気づくのが遅れてしまったようだ。
「ねえ」
目の前に立たれると男の身長が高いことがわかる。黒い服に隠れてはいるが、男の身体は引き締まっており均整の取れた「いい身体」をしているであろうということもわかる。スッと通った形の良い鼻梁と、前髪から時折のぞかせる目は控えめに言ってもイケメンであり、声もぞくぞくするような耳に心地の良い低音だった。
「それ、気持ちいい?」
男は斗真ではなく、みぃちゃんに話しかけているようだった。みぃちゃんは「まあまあだな」とでも言いたげに、ゴロゴロ喉を鳴らして大人しく斗真にあごの下を撫でさせてやっている。
「ふーん」
こいつは猫と会話ができるのかよ。目の前の距離感がバグっている謎のイケメンにようやく違和感を覚えた斗真は、さりげなく距離を取ろうとするがみぃちゃんのあごの下を撫でていた手をそっと取られてしまった。
「え、何」
「して?」
「は?」
男は、斗真の手を自身のあごの下あたりに持ってくる。まさか猫みたいにあごを撫でてくれとでもいうのか、こいつは正気か。一瞬のうちに驚愕、ドン引き、冷静さという感情を流しそうめんのように心の中で通過させた斗真は、最後に諦めという感情を抱きつつ、ぎこちなくわしわしと男のあごを撫でてやった。
「……んー」
男はされるがまま大人しく斗真にあごをこちょこちょやられており、そのくせ撫で方に不満でもあるのか「んー」だとか「むー」だとか唸り声を上げている。
「あのぉ」
お加減は? と聞くわけにもいかない。男二人が猫カフェで猫に構いもせず、男が男に戯れている姿は正直異常だろう。今は他のお客さんもいないからいいけど、誰か来たらどうするんだよと斗真が焦りを見せ始めた頃に
「くすぐったい」
柔らかく男は笑った。
「……何でついてくるの」
「ん?」
猫カフェを後にした斗真は重い足取りで家に帰ろうとしたが、後ろからデカい黒い塊が付いてくるのが気になって、足を止めて振り返った。
「斗真君と仲良くなりたいから」
「何で俺の名前知ってんの」
「同じ大学」
「……あっそうだったんだ」
「同じサークル」
「え」
俺お前見たことないけど。斗真が疑問を投げかける前に「最近、あんま顔出さないから」と少しだけ寂しそうに続ける。
「名前は?」
「黒峰琢磨」
覚えてね、と琢磨は存外人懐こい笑みを浮かべる。
「じゃあ、黒峰君は……」
「琢磨」
名前で呼んで。少し拗ねた風に頬を膨らませると、斗真の右腕に自身の両手を絡ませてくる。顔を崩してもイケメンだなという気持ちと、こいつ距離感バグってるなという思いが斗真の心を交差し、やがてどうでもよくなった。
「琢磨、お前あの子知ってる? 同じサークルの」
斗真はサークルクラッシャーのことを、それとなく聞いてみる。
「うん、怖い」
「怖い?」
「怖くてサークル行けてない」
「……あー」
琢磨もサークルクラッシャーのターゲットなのだろう。こんなにイケメンならそうだろうなぁと斗真は納得した。距離感がバグってるついでに、自分も奴に無遠慮なことを聞いてしまおうと斗真は思った。
「お前もクラッシャーに喰われた?」
「まさか。無理」
そうならないように逃げ回ってるんだけど。琢磨は「はあ」とため息を吐く。斗真はその言葉に目をぱあと輝かせる。まだ自分以外でマンイーターに喰われていない生存者がいたとは! といったところだ。
ヤりたい盛りの大学生達の中で、サークルメンバーも口先だけでは「喰われた」「ひどい目にあった」「お前も被害者か」などと言い合っているが、クラッシャーも外見は可愛らしい女子には違いないので実際には内心、束の間の交際を楽しんでいた者も多かった。
「あ」
「うん?」
斗真はまた自分の失言に気が付いた。お前「も」クラッシャーに喰われた? これでは自分はもうクラッシャーに喰われましたと取られても仕方がない発言だ。
「いやいや、違う俺は」
「喰われてないでしょ」
知ってる、と即座に否定しながら琢磨はギュウとより力を込めて斗真の右腕にしがみついた。嫉妬深い女のような行動にこいつは何なんだと困惑するが、不思議と拒絶反応は出なかった。
「まあ、今のところは」
「嫌だ」
これからあるかも、みたいなのもやめて。今度は束縛がきつい彼女のように琢磨はジトっとした視線を斗真に向ける。
「わかったよ」
何故お前と約束しなければならないんだと思いながら、サークルクラッシャーとどうにかなるつもりなどさらさらなかった斗真は、素直に返事をする。
「うん」
気だるげな雰囲気だと思っていた目の前のイケメンは「にへっ」と緩んだ笑みを浮かべて、心底嬉しそうに斗真の肩に頭を数秒乗せた。
「ところでお前、どうするの」
俺もう家に帰るんだけど。目の前には斗真が住んでいる学生マンションがある。
夜も遅くなってきた。勝手について来たのはこいつだが、あまりに家が遠いならタクシー代も馬鹿らしいし、今から帰れるだろうかと心配をしてやったのだ。
「んー……」
時折笑いはするが基本表情が乏しい黒い男は、ニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「今日は帰りたくない♡ って言ったらどうすんの?」
「殴りたいな、お前を」
思ったことを瞬時に口に出した斗真はその後に
「うち、本当に何もないよ」
それでもよければと、あっさり得体のしれない黒い男を家に招き入れた。
「ただいま」
「ただいま」
「そこはお邪魔しますじゃないのかよ」
初めてのお宅訪問のはずなのだが、琢磨は斗真よりも先に部屋に上がり、斗真がお気に入りである大きめの黄色いビーズクッションを見つけると、ごろんとそこに横たわった。
クッションに身が収まるように身体を丸めてスマホを弄っている姿は、大きな黒猫のようだった。
「おい、家主を差し置いてお前」
「おかえり」
飼い猫が飼い主を出迎えるように、琢磨はゴロンとお腹を見せてスマホから目を離す。
一人暮らしが長いので、誰かに出迎えてもらえるのはいいものだな……とは微塵も思わず、謎の客人が自分よりも自宅でくつろいでいる姿を目の当たりにし、斗真の口からはチッと鋭い舌打ちが漏れた。
「お風呂先にいただきます」
「清々しいぐらい図々しいなおい」
それでも持ち前の面倒見の良さが出てしまった斗真は、黒い図々しい男の背中にタオルを投げつけてやる。
「……一緒に入る?」
追加で、豪速球で適当な部屋着も投げつけてやる。琢磨は「痛っ」と形だけは声を発するものの、少しも痛くなさそうな様子で浴室に消えていった。
……しかし、風呂に入っても男は斗真に自由な時間を与えてくれなかった。
「ねえ、ボディソープ使っていい?」
「使えよ勝手に」
「シャンプーは?」
「遠慮するぐらいなら最初から風呂を要求するな」
「コンディショナー」
「好きにしろよ」
「……そういえばトリートメントとコンディショナーの違いって何?」
「知らん、今聞くことかよ!」
ウザがりながらも律儀に淡々と返してくれる斗真が気に入ったようで、表情はいまひとつ掴めないながらも、黒い男は絶えず上機嫌のようだった。その後暫くはシャワーの流れる音とともに安息がやってきたが、キュッというバルブの閉める音とともに、控えめにドアが開く音が響く。
「髪、乾かしたい」
「ああ、ドライヤーか。今出すから待ってて」
朝方に髪をセットするために使用したドライヤーは、鏡の前に転がっていた。コードを抜いてくるくるドライヤーに巻き付けると、斗真は浴室と繋がっている洗面台のドアを開けた。
「あ、悪い」
「……エッチ」
目の前の長身の男は全裸だった。口先だけでは恥じらいの言葉を吐くが、身体を隠すつもりは毛頭ないようで、わしわしとタオルで頭を拭いている。琢磨は一言で言えば均整の取れた身体をしており、オマケに下半身に付いているブツも立派であった。
時代が違えばミケランジェロあたりに、彫刻のモデルにでもされていたんじゃないかと思う程度には非の打ち所がない。
「はー……イケメン死ね」
疲労と傷心と妬みで、思わず賛美と罵倒が同時に口を突いて出る。斗真の言葉に気を悪くした様子もなく琢磨はぱちくりと二回、瞬きをした。
「じゃあ一緒に死ぬ?」
「何で!?」
突然の心中を提案されツッコミすらままならなくなった斗真を、大学生とは思えないぐらい幼い表情でニコニコしながら琢磨は見つめている。
「イケメン」
琢磨は斗真の鼻の先にごく軽く人差し指を置いて、名残惜しそうに放す。
斗真の顔、俺結構好き。そう呟くように話すと、ドライヤーありがとうとお礼を言ってそのまま髪を乾かし始めた。
「あー……イケメンやだホント、無理」
琢磨と入れ替わりにシャワーを浴びながら、斗真は部屋でくつろいでいるであろう男に向かって陰口を吐く。
これまでの人生、その外見の良さで何をしても許されて来たのであろう、傍若無人に猫のような気まぐれな態度をとっても「そこが素敵」と周囲からちやほやされて、自身も愛されていることを疑うこともなくぬるま湯のような人生を生きて来たのだろう! と斗真はすっかり卑屈な気分になっている。
「(いや、でも)」
サークルクラッシャーを恐れてサークルに行くのを控えたり、イケメンはイケメンなりに大変なこともあるのかもしれないと思い直す。
斗真自身、自分の容姿は中の下程度と認識しているが(第三者目線からすれば、これよりももっと高いだろう)彼は彼で妙な人間に好かれて懐かれることが多く、やはり苦労はしていた。
付きまといや変な人間の遭遇率の高さで苦労する気持ちはわかる。奴の距離感がバグり気味なのも、これまでヤバいのに絡まれ過ぎてまともな人間関係が構築できてないせいかもしれない。斗真はそう思い直し、改めて黒い客人に少しだけ優しくしてやろうと思うことにした。
「おかえり」
風呂から上がると、琢磨は家主を差し置いて斗真のベッドに寝ころんでいた。先ほど豪速球で背中に叩きつけたルームウェアをきっちり着ている。図らずも琢磨の私服のような真っ黒な部屋着は斗真には少し大きめで、着ることもなくクローゼットの端に追いやられかけていたものだった。
「これ、ちょうどいい。着やすくていいね」
「……そりゃよかった」
「彼女に貰ったの?」
「…………」
「あれ、当たっちゃった?」
「…………元」
数カ月前に別れた元カノからプレゼントされた服であった。付き合い始めは良好だったのに、どんどん彼女のメンタルが大変なことになり、付きまとい束縛リスカオーバードーズ、やれることはすべてやったあの子は、そのまま遠くの病院へと旅立って行った。
付き合ったのも数カ月程度であった斗真にとってそこには感傷はなく、あるのはただただ開放感のみであった。
「それ、お前にやるよ! すごく似合ってる! お近づきのしるしに!」
斗真としても本当は即刻処分したい代物だったが、ゴミを出す手間と部屋着がちょっとお高いブランドものだったのが、その手を止めさせていた。
「貰うのは遠慮しとこうかな。何となく呪われそうだし」
「チッ」
なんて勘の良い男だろう。斗真は目の前の黒い男に思わず中指を突き立てたくなるところを懸命に堪える。
「その代わりこの部屋に置いといて。次お泊りする時の部屋着にするから」
なんて図々しい男だろう。新しい呪いを付与するんじゃない。次があると思っているのかこの野郎と、口からまろびでそうになる暴言を斗真は飲み込んだ。
「琢磨君」
「うん?」
「僕はどこで寝ればよいのでしょう」
普通であれば客人が問いかけるであろう質問を、斗真は嫌味たっぷりに客人に投げかける。
「私の中でお眠りなさい」
「ジュディオングかお前は」
琢磨は冗談を言っている様子もなく、ベッドの上で両手を広げて斗真を迎え入れようとしている。すっかり脳みそがバグを起こした斗真は、琢磨を無視してできるだけ距離を取るようにベッドの端に寝ころび、黒い客人に背を向けて眠りの姿勢に入った。
「ねえ」
「何」
「好きな子いる?」
「いねえよ、何勝手に人ん家で修学旅行気分出してんだ」
「じゃあ枕投げでもする?」
「しねぇよ」
さっさと寝ろと吐き捨てて、黒い客人からブランケットを奪い取る。温情でタオルケットと布団は残してやったのだからいいだろうと瞼を閉じると、客人にツンツン背中を指で突かれている。さらに無視を決め込むと今度はツーッと背中に指をなぞらせて、ビクリと身を震わせる斗真の身体が面白いのか、色だけは白い大人の男の手は服の中を弄り始める。
「っやめろよ」
耐えきれなくなって琢磨の方へ向き直ると、鼻先がくっつきそうなぐらい近い距離に男はいた。
「やっとこっち見た」
やっほーと女子のように自身の顔の前で小さく両手を振って見せると、そのまま斗真の腰と背中に手を回して、逃げられないように緩く拘束する。じいっと見つめる黒の瞳から感情を読み取ることはできず、けれども妙な熱がこもっているのを斗真は感じた。
「だめだよ斗真君」
「駄目なのはお前だろ」
目の前の黒い男が良からぬことを考えているのは肌で感じているはずなのに、斗真は恐れるどころか軽口で返す。
ダメでしょ。俺が言うのもなんだけどこんなよくわからない男部屋に連れ込んで。耳元で囁かれる度にぞくぞくとした熱が伝う。そう思うならやめてくれと返すが、やぁだとつれなく断られてしまう。
「斗真君、女の子苦手なんでしょ?」
「! お前、聞いてたのか……」
うん、チャンスだと思って。どうやら琢磨はサークルクラッシャーに言い寄られているところをたまたま目撃していたようだ。そして、己の台詞が「僕は女性に興味はないですよ」という風に捉えられていたことに、斗真は内心静かに落ち込む。
「安心して」
俺は斗真がゲイだとは思っていない。それから、あの子も周りに言い触らすことはないよ。……一応口止めしておいたから。その瞬間だけ琢磨の眼光は鋭く光った。
「うそだろ、お前何したの」
あのクラッシャーに口止めってお前と、斗真は上目遣いで黒い男を見つめる。
「んー」
斗真君は知らなくていいよ。鋭い目線を瞬時に潜ませて、それから場にそぐわないぐらいゆったり穏やかに笑うイケメンは、どこか恐ろしい。
最初はでかい猫のようだと思っていた男は、今はネコ科の猛獣のようで「近づいてはいけない」と本能ではわかっているはずなのに、何故か斗真は拒絶することができなかった。
「なんかほっとけないんだよなお前」
がっちりホールドされて身動きが取れないので、暇つぶしに斗真が軽く髪の毛を引っ張ったり乱暴に頭を撫でても、琢磨はされるがままに身を任せている。初めて会った時のようにあごの下を指でくすぐってやると、琢磨は「ん」とくすぐったさとは違った声を出した。
「ははっ何今の声、なんか」
エロいなお前。ちょっとしたからかいの言葉に琢磨は反応してしまい、そのまま斗真の唇に吸い付いた。ビクリと身を固くした斗真を解きほぐしてゆくように、つんと舌で斗真の唇にノックをして、そのまま舌を絡ませる。
少しだけ体温の低いそれで上顎をなぞられ、下唇を甘噛みされてその度に斗真はびくりびくりと無意識に身を震わせる。ひとしきり口の中を犯されたあとにようやく解放されると、つうと銀糸が互いの唇に伝った。
「キス、初めて?」
「……いや」
ふつうに、それなりにしてたはずなんだけどな、息も絶え絶えに身を捩じらせながら呼吸を整える斗真を見て、琢磨は捕食者のような笑みを浮かべた。
「じゃあ最後のキスにする? 今日限りで俺以外とするのが最後って意味で」
「重い重い重い重い、激重彼氏かお前」
「じゃあそれで」
「じゃあってなんだそれ」
飲食店で「じゃあ僕もそれで」って注文する感じで言いやがってとムードぶち壊しでキャンキャン吠える斗真を見て、目の前の黒いイケメンは薄く笑みを浮かべる。瞬時に空気が変わったことを悟った斗真は、またビクリと身を固くする。
「今日は最後までしないから」
安心してよと斗真の頭を撫でてやりながら、琢磨はちゅいちゅい耳元や首筋にリップ音を響かせてゆく。何に安心すればいいんだと困惑しながらも、半ばあきらめ状態だった斗真は、不本意ながら黒いイケメンにその身を預けた。
「うん、ふぅっ……」
「ここ、弱いんだ」
「やぁっ舐めながらしゃべるな……」
ベッドに押し倒して上着を胸の上まで捲り、黒い男は斗真の胸の突起に舌を這わせている。時折歯を立てて、舌の先でつんと刺激を与えてその度に小さく震える身体を愛おしく思っていた。
「可愛い」
こっちも寂しいよね? と琢磨は反対側の突起を指で転がすように弄り、指先で摘まんだりし潰したりする。
「ぅっあぁっや!」
両方の胸の尖りを玩具にされて生理的な涙を目尻に浮かべると、琢磨はぺろりと猫のように斗真の涙を舐め取った。
いいようにされているはずなのに、ちゅっちゅと音を響かせながら乳首に吸い付いてくる琢磨が母猫の乳を求める子猫のようで、時折上目遣いでこちらを見つめる黒い瞳に斗真は胸がキュウと締め付けられるようだった。
「……可愛い」
「ん……俺が?」
「うん」
身体つきも表情も、今している行為すら雄のそれなのに、コテンと小首を傾げる姿は斗真の目には愛らしく映った。
「そんなこと言われたの初めてだな。カッコいいはよく言われるけど」
「……やっぱり腹立つなお前」
前言撤回と言いかけたところで、再び琢磨に唇を奪われる。ちゅっちゅと可愛い音を響かせるバードキスから、今度は舌をフェラのように唇で吸われ上下するキスをされて、水気を含んだはしたなく下品な音が斗真の頭の中に響いた。
「んっんっ♡ んっ♡ うんぅっ♡ 」
「舌フェラ気持ちい?」
「やぁっうぅん♡」
「キス好きなんだ」
今までずっとキスで満足したことなかったんだ、可哀想。口先だけで同情して見せながらも、琢磨は斗真の「初めて」を一つ奪えて満足した表情を見せていた。
「こっち、苦しそう」
すっかり勃ち上がってテントが張ったそこを焦らすように撫でてから、琢磨は斗真の下着の中に手を差し入れて、涎のようにはしたなく先走った液を流している肉棒を外気に触れさせた。
「あっやだ♡ やめ」
「一緒にしよ?」
琢磨も自身の勃起したそれを出して、斗真のペニスと重ね合わせる。じれったい愛撫から直接的な快楽を与えられて、斗真の身体は跳ね上がるように動いた。
「あっ♡ だめこんなの、やっ! やぁ、あっあぁ♡ やぁあ♡」
「先、クリクリされるの好き? 涎みたいに我慢汁ダラダラでてるもんね♡」
「や♡ あぅ♡ や、あん♡ そこやだぁ♡」
「なあに? 自分でする時もこんな声上げてるの? やーらし♡」
「ちっちがうぅっ! お前がぁ♡」
「俺が?」
何が違うの? 教えて? いたぶるような言葉責めも、ビリビリおかしくなるような刺激を与えるための道具でしかない。斗真の女のような喘ぎ声も情けなく腰をへこへこ動かす姿も、一人遊びや女の前ではやらなかっただろうと思うと、それだけで琢磨の下半身に熱を与える。
「斗真のこれから、全部俺に頂戴」
興奮した荒い感情を抑えるように、琢磨はまた斗真にキスをしながら、ちゅこちゅこと強めに斗真と自身の肉棒を握りしめて扱いた。
「ぅんんっ! んっ♡ はぁ、んん♡」
「キスされながら抜かれるの、気持ちいーね♡」
互いの先走りでぬるぬる扱きやすくなったそれを上下させながら、もう片方の手で斗真の乳首を弄ってやると、「ん♡」と可愛らしい声が上がる。琢磨の事を「デカい猫」と呼んでいた斗真は、今は子猫のように身を捩じらせて健気に快楽に耐えている。
処女のように未知の快楽に怯えながらも、無意識に揺れ動く腰はみっともなくも淫猥で、琢磨の情欲を煽り立てるのに十分だった。
「あっ! あぁっ♡」
「っ……ん、俺ももう出そう♡ ね、斗真のお腹の上に出していい?」
「え、やだっやぁ♡」
先端を弄ってじっとり焦らしながら、竿の部分も上下させて射精を促してやると、程なくしてびゅるると白濁した液が吐き出された。
「っ! や、もうイッた、無理、無理ぃ♡」
「まだ、もう少し付き合って? 一緒に気持ちいいことで頭いっぱいにしよ♡」
敏感になったそこをさらに弄ると、悲鳴のような声を上げながら斗真は身を捩じらせる。やだやだと力なく首を横に振る斗真が可哀想で可愛くて、ごめんね、もう少しとあやしてあげながらそれでも琢磨は手を止めなかった。
「っ!! やだぁ♡ あぁあっ!!」
勢いをなくした白濁を完全に出し切ってしまうまで、琢磨は重ね合わせたペニスを手から離すことはしなかった。
「ぁ、たくま」
「なあに、斗真君」
斗真の腹の上には先ほど吐き出された二人分の精子がどろりとかかっている。ぬらぬら光に照らされたそれは酷く生々しくて、いやらしい。
「まるで最後までヤッちゃったみたいだ、エロいね」
「さいごって?」
強制的に何度も射精させられた斗真は、もう腰に力が入らないのだろう寝そべったまま琢磨のなすがままにされている。
斗真をこのようにした張本人ではあるが、それでも琢磨は甲斐甲斐しく斗真の世話を焼き今は後処理をしてやっている。
「知りたい?」
まあ、でもそれは追い追いかな。琢磨が斗真の尻にねっとりした熱い視線を向けていることなどつゆ知らず、斗真は「そうか」と興味がなさそうに返事をした。
「身体、べとべとなんだけど」
「うん、ちょっと待ってて」
熱いタオルで一通り身を清めてやると、琢磨はそのまま斗真の下腹部に唇を落とした。わざと派手なリップ音を数回響かせてやると、心の何かに触れたのか、斗真は力の入らない手でわしわし琢磨の頭を撫でてやる。
「……デカい猫」
「ん」
今はそれでいいよ。琢磨は猫が頬ずりでもするように、斗真の身体に擦り寄りながらその身をくっつけた。
攻め:黒峰琢磨(くろみねたくま)
身長186㎝、見栄えのある引き締まった身体で普段は猫背気味。かなり整った顔立ちではあるが、前髪は目にかかるぐらいまであり(前下がりツーブロック/スパイラルパーマ)その顔が隠されてしまっている。
服にはそこまで頓着せず「楽だから」という理由で意図せず黒コーデ、逆にそれが洗練されてしまっている。
受け:透山斗真(とうやまとうま)
176㎝少し瘦せ型。ナチュラルなショートヘアー+ハイトーンカラー。食べても鍛えても身体に肉があまり付かないことと、名前の語感が微妙なところを少し気にしている。
何故か顔面レベルの高い友人知人に囲まれており、その中では霞んでしまい自身は地味で目立たないと思っているが、単体で見れば実は平均かそれ以上の顔立ち。
そこそこ面倒見がよく男女問わず変わり者やヤバい人を引きがち。メンヘラ地雷系にも好かれやすい。
[newpage]
某月某日、透山斗真の心は荒れに荒れ狂っていた。
順風満帆に見えた大学生活に陰りが見え始めたのは、俗にいうサークルクラッシャーちゃんが自身の入っているサークルに突如現れた頃で、そこからは居心地のよかったサークル内が二つ三つ四つ五つの派閥に分断され、誰もが皆クラッシャーに翻弄され骨抜きにされ、破滅への序曲へと向かっていくようだった。
「斗真君♡」
ついに来た。斗真は内心勘弁してくれよと反吐が出そうになりながら、形ばかりは何でもない風を装って「何」と返す。
「あのね、斗真君とはあまり話したことなくって、よかったら仲良くなりたいな? なんて」
ぱっと見は小柄で可愛らしい小動物のような守ってあげたくなる女の子。コテンと小首を傾げれば、わざとらしいツーサイドアップも萌え袖ニットもミニ丈のワンピースも全てが彼女の魅力を底上げするアイテムでしかない。
しかし騙されてはいけない、目の前のクラッシャーは「ドキッ男だらけのサークル」状態だった、ある意味無菌室のようなサークル内に突如として現れた厄災である。
「何故、男を食うのですか」
「そこに男があるからさ」
登山家気取りなのか、片っ端からサークル内の男に飽き足らず、大学内の男を食い荒らし、遂にはT大かK大にも進出かとまで噂されているほどの人物であった。
「あー……ごめん、俺かなりの人見知りで」
斗真だって女性が嫌いなわけではない。だが、目の前のクラッシャーのような特定の属性を持った人間が苦手で、これまで散々嫌な目に遭ってきたが故の塩対応であった。
聡明な読み手であれば
「向こうも本気ではなく斗真の事も攻略対象の一つでしかないのだから、一発ヤってしまえばあと腐れなく円満に別れることもできるだろう」
と思われるかもしれないが。
この男には変な魅力があり、遊びのつもりでやって来たビッチなお方ほど本気にさせてしまうという厄介な能力があった。無論本人としては早急に捨て去りたい力ではあるが。
「ええと、女の子、苦手なんだ」
言葉のチョイスを誤ったと気づいたのは言葉を吐き捨てた直後で。気まずさから斗真は全力でその場を後にした。
「終わった」
主語というものはとても大事で「お前のような」女の子は苦手だという一言を抜かしてしまったが故に、明日から自分はゲイとしてあのサークルないしは大学で生きて行かなくてはならないかもしれない。
クラッシャーの口が固いことを斗真は心より願ったが、上はともかく確実に下の口は緩いであろうマン(男)イーター兼サークルクラッシャーのことを考えると、全くもって絶望的であった。
ズタズタに心が荒れた彼はある場所へと向かう。カランコロン。ドアベルの付いた重い木のドアを開けると、そこは楽園だった。
「みぃちゃん久しぶり、マー君も可愛いね、ミケちんも起きてたんだ」
彼がやってきたのは保護ネコカフェ「ブローニャ」
ここで思いっきり愛くるしい猫たちを愛で、時に触れあい戯れるのが最近の専らのストレス解消方法だった。
「(あれ?)」
19時も過ぎると猫カフェも空いて人が疎らになり、また夕ご飯前のため起きている猫達も多いので実は穴場な時間帯であるが、斗真から少し離れた場所に一人の男性客がいた。
彼はパタパタと物憂げな様子でネコの玩具をはためかせて、それにじゃれついている白の猫(みぃちゃん)と心ここにあらずといった様子で遊んでやっている。全身黒コーデで少しだけ気だるげに猫と戯れているその姿は、どちらかと言えば猫カフェよりもクラブのほうが似合っている。
傷心なうえ、推し(みぃちゃん)を取られた気持ちになって勝手にイラついてみると、男は斗真に気が付いたのか少しだけ小首をかしげて、それから「ほら、あっち」と白猫を斗真の元へ誘導させた。
ゴロゴロ珍しく甘えたなみぃちゃんにすっかり機嫌を良くした斗真は、改めて男の方を見やる。
「ん!?」
「……うん?」
斗真の想定より男は近距離、いや目の前にいた。どうも猫に構っているうちに足音もなく斗真の近くまでやってきたらしい。みぃちゃんのあごの下をわしゃわしゃやっているのにすっかり夢中で、男に気づくのが遅れてしまったようだ。
「ねえ」
目の前に立たれると男の身長が高いことがわかる。黒い服に隠れてはいるが、男の身体は引き締まっており均整の取れた「いい身体」をしているであろうということもわかる。スッと通った形の良い鼻梁と、前髪から時折のぞかせる目は控えめに言ってもイケメンであり、声もぞくぞくするような耳に心地の良い低音だった。
「それ、気持ちいい?」
男は斗真ではなく、みぃちゃんに話しかけているようだった。みぃちゃんは「まあまあだな」とでも言いたげに、ゴロゴロ喉を鳴らして大人しく斗真にあごの下を撫でさせてやっている。
「ふーん」
こいつは猫と会話ができるのかよ。目の前の距離感がバグっている謎のイケメンにようやく違和感を覚えた斗真は、さりげなく距離を取ろうとするがみぃちゃんのあごの下を撫でていた手をそっと取られてしまった。
「え、何」
「して?」
「は?」
男は、斗真の手を自身のあごの下あたりに持ってくる。まさか猫みたいにあごを撫でてくれとでもいうのか、こいつは正気か。一瞬のうちに驚愕、ドン引き、冷静さという感情を流しそうめんのように心の中で通過させた斗真は、最後に諦めという感情を抱きつつ、ぎこちなくわしわしと男のあごを撫でてやった。
「……んー」
男はされるがまま大人しく斗真にあごをこちょこちょやられており、そのくせ撫で方に不満でもあるのか「んー」だとか「むー」だとか唸り声を上げている。
「あのぉ」
お加減は? と聞くわけにもいかない。男二人が猫カフェで猫に構いもせず、男が男に戯れている姿は正直異常だろう。今は他のお客さんもいないからいいけど、誰か来たらどうするんだよと斗真が焦りを見せ始めた頃に
「くすぐったい」
柔らかく男は笑った。
「……何でついてくるの」
「ん?」
猫カフェを後にした斗真は重い足取りで家に帰ろうとしたが、後ろからデカい黒い塊が付いてくるのが気になって、足を止めて振り返った。
「斗真君と仲良くなりたいから」
「何で俺の名前知ってんの」
「同じ大学」
「……あっそうだったんだ」
「同じサークル」
「え」
俺お前見たことないけど。斗真が疑問を投げかける前に「最近、あんま顔出さないから」と少しだけ寂しそうに続ける。
「名前は?」
「黒峰琢磨」
覚えてね、と琢磨は存外人懐こい笑みを浮かべる。
「じゃあ、黒峰君は……」
「琢磨」
名前で呼んで。少し拗ねた風に頬を膨らませると、斗真の右腕に自身の両手を絡ませてくる。顔を崩してもイケメンだなという気持ちと、こいつ距離感バグってるなという思いが斗真の心を交差し、やがてどうでもよくなった。
「琢磨、お前あの子知ってる? 同じサークルの」
斗真はサークルクラッシャーのことを、それとなく聞いてみる。
「うん、怖い」
「怖い?」
「怖くてサークル行けてない」
「……あー」
琢磨もサークルクラッシャーのターゲットなのだろう。こんなにイケメンならそうだろうなぁと斗真は納得した。距離感がバグってるついでに、自分も奴に無遠慮なことを聞いてしまおうと斗真は思った。
「お前もクラッシャーに喰われた?」
「まさか。無理」
そうならないように逃げ回ってるんだけど。琢磨は「はあ」とため息を吐く。斗真はその言葉に目をぱあと輝かせる。まだ自分以外でマンイーターに喰われていない生存者がいたとは! といったところだ。
ヤりたい盛りの大学生達の中で、サークルメンバーも口先だけでは「喰われた」「ひどい目にあった」「お前も被害者か」などと言い合っているが、クラッシャーも外見は可愛らしい女子には違いないので実際には内心、束の間の交際を楽しんでいた者も多かった。
「あ」
「うん?」
斗真はまた自分の失言に気が付いた。お前「も」クラッシャーに喰われた? これでは自分はもうクラッシャーに喰われましたと取られても仕方がない発言だ。
「いやいや、違う俺は」
「喰われてないでしょ」
知ってる、と即座に否定しながら琢磨はギュウとより力を込めて斗真の右腕にしがみついた。嫉妬深い女のような行動にこいつは何なんだと困惑するが、不思議と拒絶反応は出なかった。
「まあ、今のところは」
「嫌だ」
これからあるかも、みたいなのもやめて。今度は束縛がきつい彼女のように琢磨はジトっとした視線を斗真に向ける。
「わかったよ」
何故お前と約束しなければならないんだと思いながら、サークルクラッシャーとどうにかなるつもりなどさらさらなかった斗真は、素直に返事をする。
「うん」
気だるげな雰囲気だと思っていた目の前のイケメンは「にへっ」と緩んだ笑みを浮かべて、心底嬉しそうに斗真の肩に頭を数秒乗せた。
「ところでお前、どうするの」
俺もう家に帰るんだけど。目の前には斗真が住んでいる学生マンションがある。
夜も遅くなってきた。勝手について来たのはこいつだが、あまりに家が遠いならタクシー代も馬鹿らしいし、今から帰れるだろうかと心配をしてやったのだ。
「んー……」
時折笑いはするが基本表情が乏しい黒い男は、ニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「今日は帰りたくない♡ って言ったらどうすんの?」
「殴りたいな、お前を」
思ったことを瞬時に口に出した斗真はその後に
「うち、本当に何もないよ」
それでもよければと、あっさり得体のしれない黒い男を家に招き入れた。
「ただいま」
「ただいま」
「そこはお邪魔しますじゃないのかよ」
初めてのお宅訪問のはずなのだが、琢磨は斗真よりも先に部屋に上がり、斗真がお気に入りである大きめの黄色いビーズクッションを見つけると、ごろんとそこに横たわった。
クッションに身が収まるように身体を丸めてスマホを弄っている姿は、大きな黒猫のようだった。
「おい、家主を差し置いてお前」
「おかえり」
飼い猫が飼い主を出迎えるように、琢磨はゴロンとお腹を見せてスマホから目を離す。
一人暮らしが長いので、誰かに出迎えてもらえるのはいいものだな……とは微塵も思わず、謎の客人が自分よりも自宅でくつろいでいる姿を目の当たりにし、斗真の口からはチッと鋭い舌打ちが漏れた。
「お風呂先にいただきます」
「清々しいぐらい図々しいなおい」
それでも持ち前の面倒見の良さが出てしまった斗真は、黒い図々しい男の背中にタオルを投げつけてやる。
「……一緒に入る?」
追加で、豪速球で適当な部屋着も投げつけてやる。琢磨は「痛っ」と形だけは声を発するものの、少しも痛くなさそうな様子で浴室に消えていった。
……しかし、風呂に入っても男は斗真に自由な時間を与えてくれなかった。
「ねえ、ボディソープ使っていい?」
「使えよ勝手に」
「シャンプーは?」
「遠慮するぐらいなら最初から風呂を要求するな」
「コンディショナー」
「好きにしろよ」
「……そういえばトリートメントとコンディショナーの違いって何?」
「知らん、今聞くことかよ!」
ウザがりながらも律儀に淡々と返してくれる斗真が気に入ったようで、表情はいまひとつ掴めないながらも、黒い男は絶えず上機嫌のようだった。その後暫くはシャワーの流れる音とともに安息がやってきたが、キュッというバルブの閉める音とともに、控えめにドアが開く音が響く。
「髪、乾かしたい」
「ああ、ドライヤーか。今出すから待ってて」
朝方に髪をセットするために使用したドライヤーは、鏡の前に転がっていた。コードを抜いてくるくるドライヤーに巻き付けると、斗真は浴室と繋がっている洗面台のドアを開けた。
「あ、悪い」
「……エッチ」
目の前の長身の男は全裸だった。口先だけでは恥じらいの言葉を吐くが、身体を隠すつもりは毛頭ないようで、わしわしとタオルで頭を拭いている。琢磨は一言で言えば均整の取れた身体をしており、オマケに下半身に付いているブツも立派であった。
時代が違えばミケランジェロあたりに、彫刻のモデルにでもされていたんじゃないかと思う程度には非の打ち所がない。
「はー……イケメン死ね」
疲労と傷心と妬みで、思わず賛美と罵倒が同時に口を突いて出る。斗真の言葉に気を悪くした様子もなく琢磨はぱちくりと二回、瞬きをした。
「じゃあ一緒に死ぬ?」
「何で!?」
突然の心中を提案されツッコミすらままならなくなった斗真を、大学生とは思えないぐらい幼い表情でニコニコしながら琢磨は見つめている。
「イケメン」
琢磨は斗真の鼻の先にごく軽く人差し指を置いて、名残惜しそうに放す。
斗真の顔、俺結構好き。そう呟くように話すと、ドライヤーありがとうとお礼を言ってそのまま髪を乾かし始めた。
「あー……イケメンやだホント、無理」
琢磨と入れ替わりにシャワーを浴びながら、斗真は部屋でくつろいでいるであろう男に向かって陰口を吐く。
これまでの人生、その外見の良さで何をしても許されて来たのであろう、傍若無人に猫のような気まぐれな態度をとっても「そこが素敵」と周囲からちやほやされて、自身も愛されていることを疑うこともなくぬるま湯のような人生を生きて来たのだろう! と斗真はすっかり卑屈な気分になっている。
「(いや、でも)」
サークルクラッシャーを恐れてサークルに行くのを控えたり、イケメンはイケメンなりに大変なこともあるのかもしれないと思い直す。
斗真自身、自分の容姿は中の下程度と認識しているが(第三者目線からすれば、これよりももっと高いだろう)彼は彼で妙な人間に好かれて懐かれることが多く、やはり苦労はしていた。
付きまといや変な人間の遭遇率の高さで苦労する気持ちはわかる。奴の距離感がバグり気味なのも、これまでヤバいのに絡まれ過ぎてまともな人間関係が構築できてないせいかもしれない。斗真はそう思い直し、改めて黒い客人に少しだけ優しくしてやろうと思うことにした。
「おかえり」
風呂から上がると、琢磨は家主を差し置いて斗真のベッドに寝ころんでいた。先ほど豪速球で背中に叩きつけたルームウェアをきっちり着ている。図らずも琢磨の私服のような真っ黒な部屋着は斗真には少し大きめで、着ることもなくクローゼットの端に追いやられかけていたものだった。
「これ、ちょうどいい。着やすくていいね」
「……そりゃよかった」
「彼女に貰ったの?」
「…………」
「あれ、当たっちゃった?」
「…………元」
数カ月前に別れた元カノからプレゼントされた服であった。付き合い始めは良好だったのに、どんどん彼女のメンタルが大変なことになり、付きまとい束縛リスカオーバードーズ、やれることはすべてやったあの子は、そのまま遠くの病院へと旅立って行った。
付き合ったのも数カ月程度であった斗真にとってそこには感傷はなく、あるのはただただ開放感のみであった。
「それ、お前にやるよ! すごく似合ってる! お近づきのしるしに!」
斗真としても本当は即刻処分したい代物だったが、ゴミを出す手間と部屋着がちょっとお高いブランドものだったのが、その手を止めさせていた。
「貰うのは遠慮しとこうかな。何となく呪われそうだし」
「チッ」
なんて勘の良い男だろう。斗真は目の前の黒い男に思わず中指を突き立てたくなるところを懸命に堪える。
「その代わりこの部屋に置いといて。次お泊りする時の部屋着にするから」
なんて図々しい男だろう。新しい呪いを付与するんじゃない。次があると思っているのかこの野郎と、口からまろびでそうになる暴言を斗真は飲み込んだ。
「琢磨君」
「うん?」
「僕はどこで寝ればよいのでしょう」
普通であれば客人が問いかけるであろう質問を、斗真は嫌味たっぷりに客人に投げかける。
「私の中でお眠りなさい」
「ジュディオングかお前は」
琢磨は冗談を言っている様子もなく、ベッドの上で両手を広げて斗真を迎え入れようとしている。すっかり脳みそがバグを起こした斗真は、琢磨を無視してできるだけ距離を取るようにベッドの端に寝ころび、黒い客人に背を向けて眠りの姿勢に入った。
「ねえ」
「何」
「好きな子いる?」
「いねえよ、何勝手に人ん家で修学旅行気分出してんだ」
「じゃあ枕投げでもする?」
「しねぇよ」
さっさと寝ろと吐き捨てて、黒い客人からブランケットを奪い取る。温情でタオルケットと布団は残してやったのだからいいだろうと瞼を閉じると、客人にツンツン背中を指で突かれている。さらに無視を決め込むと今度はツーッと背中に指をなぞらせて、ビクリと身を震わせる斗真の身体が面白いのか、色だけは白い大人の男の手は服の中を弄り始める。
「っやめろよ」
耐えきれなくなって琢磨の方へ向き直ると、鼻先がくっつきそうなぐらい近い距離に男はいた。
「やっとこっち見た」
やっほーと女子のように自身の顔の前で小さく両手を振って見せると、そのまま斗真の腰と背中に手を回して、逃げられないように緩く拘束する。じいっと見つめる黒の瞳から感情を読み取ることはできず、けれども妙な熱がこもっているのを斗真は感じた。
「だめだよ斗真君」
「駄目なのはお前だろ」
目の前の黒い男が良からぬことを考えているのは肌で感じているはずなのに、斗真は恐れるどころか軽口で返す。
ダメでしょ。俺が言うのもなんだけどこんなよくわからない男部屋に連れ込んで。耳元で囁かれる度にぞくぞくとした熱が伝う。そう思うならやめてくれと返すが、やぁだとつれなく断られてしまう。
「斗真君、女の子苦手なんでしょ?」
「! お前、聞いてたのか……」
うん、チャンスだと思って。どうやら琢磨はサークルクラッシャーに言い寄られているところをたまたま目撃していたようだ。そして、己の台詞が「僕は女性に興味はないですよ」という風に捉えられていたことに、斗真は内心静かに落ち込む。
「安心して」
俺は斗真がゲイだとは思っていない。それから、あの子も周りに言い触らすことはないよ。……一応口止めしておいたから。その瞬間だけ琢磨の眼光は鋭く光った。
「うそだろ、お前何したの」
あのクラッシャーに口止めってお前と、斗真は上目遣いで黒い男を見つめる。
「んー」
斗真君は知らなくていいよ。鋭い目線を瞬時に潜ませて、それから場にそぐわないぐらいゆったり穏やかに笑うイケメンは、どこか恐ろしい。
最初はでかい猫のようだと思っていた男は、今はネコ科の猛獣のようで「近づいてはいけない」と本能ではわかっているはずなのに、何故か斗真は拒絶することができなかった。
「なんかほっとけないんだよなお前」
がっちりホールドされて身動きが取れないので、暇つぶしに斗真が軽く髪の毛を引っ張ったり乱暴に頭を撫でても、琢磨はされるがままに身を任せている。初めて会った時のようにあごの下を指でくすぐってやると、琢磨は「ん」とくすぐったさとは違った声を出した。
「ははっ何今の声、なんか」
エロいなお前。ちょっとしたからかいの言葉に琢磨は反応してしまい、そのまま斗真の唇に吸い付いた。ビクリと身を固くした斗真を解きほぐしてゆくように、つんと舌で斗真の唇にノックをして、そのまま舌を絡ませる。
少しだけ体温の低いそれで上顎をなぞられ、下唇を甘噛みされてその度に斗真はびくりびくりと無意識に身を震わせる。ひとしきり口の中を犯されたあとにようやく解放されると、つうと銀糸が互いの唇に伝った。
「キス、初めて?」
「……いや」
ふつうに、それなりにしてたはずなんだけどな、息も絶え絶えに身を捩じらせながら呼吸を整える斗真を見て、琢磨は捕食者のような笑みを浮かべた。
「じゃあ最後のキスにする? 今日限りで俺以外とするのが最後って意味で」
「重い重い重い重い、激重彼氏かお前」
「じゃあそれで」
「じゃあってなんだそれ」
飲食店で「じゃあ僕もそれで」って注文する感じで言いやがってとムードぶち壊しでキャンキャン吠える斗真を見て、目の前の黒いイケメンは薄く笑みを浮かべる。瞬時に空気が変わったことを悟った斗真は、またビクリと身を固くする。
「今日は最後までしないから」
安心してよと斗真の頭を撫でてやりながら、琢磨はちゅいちゅい耳元や首筋にリップ音を響かせてゆく。何に安心すればいいんだと困惑しながらも、半ばあきらめ状態だった斗真は、不本意ながら黒いイケメンにその身を預けた。
「うん、ふぅっ……」
「ここ、弱いんだ」
「やぁっ舐めながらしゃべるな……」
ベッドに押し倒して上着を胸の上まで捲り、黒い男は斗真の胸の突起に舌を這わせている。時折歯を立てて、舌の先でつんと刺激を与えてその度に小さく震える身体を愛おしく思っていた。
「可愛い」
こっちも寂しいよね? と琢磨は反対側の突起を指で転がすように弄り、指先で摘まんだりし潰したりする。
「ぅっあぁっや!」
両方の胸の尖りを玩具にされて生理的な涙を目尻に浮かべると、琢磨はぺろりと猫のように斗真の涙を舐め取った。
いいようにされているはずなのに、ちゅっちゅと音を響かせながら乳首に吸い付いてくる琢磨が母猫の乳を求める子猫のようで、時折上目遣いでこちらを見つめる黒い瞳に斗真は胸がキュウと締め付けられるようだった。
「……可愛い」
「ん……俺が?」
「うん」
身体つきも表情も、今している行為すら雄のそれなのに、コテンと小首を傾げる姿は斗真の目には愛らしく映った。
「そんなこと言われたの初めてだな。カッコいいはよく言われるけど」
「……やっぱり腹立つなお前」
前言撤回と言いかけたところで、再び琢磨に唇を奪われる。ちゅっちゅと可愛い音を響かせるバードキスから、今度は舌をフェラのように唇で吸われ上下するキスをされて、水気を含んだはしたなく下品な音が斗真の頭の中に響いた。
「んっんっ♡ んっ♡ うんぅっ♡ 」
「舌フェラ気持ちい?」
「やぁっうぅん♡」
「キス好きなんだ」
今までずっとキスで満足したことなかったんだ、可哀想。口先だけで同情して見せながらも、琢磨は斗真の「初めて」を一つ奪えて満足した表情を見せていた。
「こっち、苦しそう」
すっかり勃ち上がってテントが張ったそこを焦らすように撫でてから、琢磨は斗真の下着の中に手を差し入れて、涎のようにはしたなく先走った液を流している肉棒を外気に触れさせた。
「あっやだ♡ やめ」
「一緒にしよ?」
琢磨も自身の勃起したそれを出して、斗真のペニスと重ね合わせる。じれったい愛撫から直接的な快楽を与えられて、斗真の身体は跳ね上がるように動いた。
「あっ♡ だめこんなの、やっ! やぁ、あっあぁ♡ やぁあ♡」
「先、クリクリされるの好き? 涎みたいに我慢汁ダラダラでてるもんね♡」
「や♡ あぅ♡ や、あん♡ そこやだぁ♡」
「なあに? 自分でする時もこんな声上げてるの? やーらし♡」
「ちっちがうぅっ! お前がぁ♡」
「俺が?」
何が違うの? 教えて? いたぶるような言葉責めも、ビリビリおかしくなるような刺激を与えるための道具でしかない。斗真の女のような喘ぎ声も情けなく腰をへこへこ動かす姿も、一人遊びや女の前ではやらなかっただろうと思うと、それだけで琢磨の下半身に熱を与える。
「斗真のこれから、全部俺に頂戴」
興奮した荒い感情を抑えるように、琢磨はまた斗真にキスをしながら、ちゅこちゅこと強めに斗真と自身の肉棒を握りしめて扱いた。
「ぅんんっ! んっ♡ はぁ、んん♡」
「キスされながら抜かれるの、気持ちいーね♡」
互いの先走りでぬるぬる扱きやすくなったそれを上下させながら、もう片方の手で斗真の乳首を弄ってやると、「ん♡」と可愛らしい声が上がる。琢磨の事を「デカい猫」と呼んでいた斗真は、今は子猫のように身を捩じらせて健気に快楽に耐えている。
処女のように未知の快楽に怯えながらも、無意識に揺れ動く腰はみっともなくも淫猥で、琢磨の情欲を煽り立てるのに十分だった。
「あっ! あぁっ♡」
「っ……ん、俺ももう出そう♡ ね、斗真のお腹の上に出していい?」
「え、やだっやぁ♡」
先端を弄ってじっとり焦らしながら、竿の部分も上下させて射精を促してやると、程なくしてびゅるると白濁した液が吐き出された。
「っ! や、もうイッた、無理、無理ぃ♡」
「まだ、もう少し付き合って? 一緒に気持ちいいことで頭いっぱいにしよ♡」
敏感になったそこをさらに弄ると、悲鳴のような声を上げながら斗真は身を捩じらせる。やだやだと力なく首を横に振る斗真が可哀想で可愛くて、ごめんね、もう少しとあやしてあげながらそれでも琢磨は手を止めなかった。
「っ!! やだぁ♡ あぁあっ!!」
勢いをなくした白濁を完全に出し切ってしまうまで、琢磨は重ね合わせたペニスを手から離すことはしなかった。
「ぁ、たくま」
「なあに、斗真君」
斗真の腹の上には先ほど吐き出された二人分の精子がどろりとかかっている。ぬらぬら光に照らされたそれは酷く生々しくて、いやらしい。
「まるで最後までヤッちゃったみたいだ、エロいね」
「さいごって?」
強制的に何度も射精させられた斗真は、もう腰に力が入らないのだろう寝そべったまま琢磨のなすがままにされている。
斗真をこのようにした張本人ではあるが、それでも琢磨は甲斐甲斐しく斗真の世話を焼き今は後処理をしてやっている。
「知りたい?」
まあ、でもそれは追い追いかな。琢磨が斗真の尻にねっとりした熱い視線を向けていることなどつゆ知らず、斗真は「そうか」と興味がなさそうに返事をした。
「身体、べとべとなんだけど」
「うん、ちょっと待ってて」
熱いタオルで一通り身を清めてやると、琢磨はそのまま斗真の下腹部に唇を落とした。わざと派手なリップ音を数回響かせてやると、心の何かに触れたのか、斗真は力の入らない手でわしわし琢磨の頭を撫でてやる。
「……デカい猫」
「ん」
今はそれでいいよ。琢磨は猫が頬ずりでもするように、斗真の身体に擦り寄りながらその身をくっつけた。
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