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デカい猫(タチ)をお試しで飼った日
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「……うーん」
カーテンの隙間から射しこむ光と、チュンチュンと騒がしい鳥達の鳴き声が朝を告げる。時刻は朝の7時前。今日は土曜で大学の講義もない日だというのに、透山斗真(とうやまとうま)は習慣でいつもどおりに目が覚めてしまった。
(もっと寝ていられたのに……いやこういう時に損した気分になるか、そのまま二度寝が楽しめるかで人生の幸福度が変わる気がする。)
斗真はぼんやりそんなことを考えながら身を捩じらせると、ようやくいつもとは違う朝の訪れに気が付いた。
「っん……?」
背中にピッタリとくっついている、温かくもデカくて黒い影。腰に手を回して斗真を抱き枕のように扱っている男は、無意識なのかすりすりとその身を寄せてくる。
意図せず早起きした男が恐る恐る後ろを振り向いてみると、くしゃくしゃに乱れた髪すらも美しい黒いルームウェアを着た男が、斗真にしがみついたままスースー寝息をたてていた。
彼の名は黒峰琢磨(くろみねたくま)。
斗真とは先日の夜、保護猫カフェで偶然出会う。そこで「ネコのようにあごの下を撫でてみてくれ」と琢磨がナデナデを要求し、その後は人懐こい猫のように斗真の家まで付いて来て、懐かれた延長なのかディープすぎるキスや互いの精が枯渇するまで兜合わせをした仲だ。
「何度時系列を遡っても、どうしてこうなったのかわからん」
爽やかな朝には相応しくないピンクがかった不健全な夜の出来事を思い出し、斗真は羞恥により両手で顔を覆い隠す。
「はぁーやだ、このイケメン最っ低」
琢磨に唇や乳首を吸われペニスを扱かれ、女子のようにあんあん喘がせられて、自分はキスに弱かったのだと新しい性癖の扉をこじ開けられてしまった。
衝動的に琢磨の頭を小突いてやろうとした己の手を止めたのは、黒い男が斗真の尻の処女に手を出さないでいてくれたことに対する、せめてもの温情だろうか。
「……いや」
スースー眠る男の顔があまりにも無防備だったから。寝顔だけは存外幼く、ごく軽く頭を撫でてやると心なしか口元がふにゃりと緩む。
「デカい猫」
琢磨が放してくれないから、どかそうにも重たいから。そんな言い訳めいた理由を一つ二つ見つけて、斗真は黒い男の胸にすっぽり収まるとそのまま二度寝を決めることにした。
「……起こしてくれていいのに」
おはよう、おやすみ。一緒に二度寝しよう。 斗真の寝息がスースー定期的になった頃、黒い男はこっそり目を開けて猫のように身を擦り寄せる。それから髪に、肩に、胸に、直接肌に触れない箇所に静かに唇を落とす。マーキングは丹念に行われて、琢磨は飽くことなく斗真の寝顔を愛おしそうに見つめていた。
『ピピピピ……』
次に目覚めたのは昼少し前。突如アラーム音で起こされた斗真は、アラームが鳴り響くスマートフォンの持ち主であり、しかも一向に起きる気配がない黒い男をリズミカルに揺さぶり起こす。
「おい、起きろ、起きろ、起きろ、起きろ……」
「ん-……」
琢磨はもぞりと起き出して、そのまま数秒日の光を浴びてからようやくアラームを停止させた。
「おはよ、爽やかな朝だね」
「おはよう、お前だけな」
「シャワー貸してください」
「朝から清々しいぐらい図々しいな」
口だけはやや乱暴にしながらも、斗真はすんなり「どうぞ」とバスルームの方向に手を向ける。まだ半分ぐらい寝ているのだろう、むにゃむにゃした姿すらも美しい黒い男が浴室に入ったところを見届けてから、斗真はおもむろに給湯器の電源を落とす。
……数分後「ちょっと!」という、いつもどこか飄々とした黒い男の小さな悲鳴が上がったのを確認してから、斗真は何食わぬ顔で給湯器の電源を入れてやった。
「ごめんね、これから用事があって。今日は帰る」
名残惜しそうに斗真の服の端を掴む黒いイケメンと「そう、早くお行き」とつれなく返す斗真が玄関先で対峙している。琢磨は斗真の連絡先を教えてもらえるまで部屋を出る気はないらしく、根負けした斗真はしぶしぶLINEを交換してやった。
「斗真おはよ、朝から元気ないね、顔真っ白」
「……おはよ、ちょっとバタバタしててね」
「おう斗真、朝飯ちゃんと食ってるか? 顔色わりぃな」
「おはよ斗真、あれ目の下ひでぇ」
斗真と琢磨が所属するフットサルサークルは、どちらかというとエンジョイよりもガチ勢寄りの活動が行われている。
そのハードな活動内容のせいか、毎年何故か顔面偏差値の高い男子ばかりが揃うというのに、女子があまり入ってこないという不思議なサークルでもあった。
そこを悪名高きサークルクラッシャーちゃんに目を付けられて、男漁りの新たな生け簀にされた痛ましい事件も過去にあったが、それはまた別の話である。
(クラッシャーはひとしきりサークル内の男を食い荒らすと、その後は新たな地を求めてT大K大の男を食いに行くため旅立って行った)
今の斗真としては、顔面偏差値の高い男たちに自身の顔(色)を心配され、少々複雑な思いを抱いているといったところである。
「なあヤマシタ、琢……黒峰ってやつ知ってる?」
「そりゃもちろん! 同じサークルメンバーだろ?」
ヤマシタは「お前大丈夫か?」といった表情を隠そうともせず斗真を無遠慮に見つめている。聞けば琢磨がサークルに顔を出す機会はそう多くはないが、プレーさせればかなり強く、本人がその気なら簡単にエースを狙えるほどだという。
「何やらせても上手いのもそうなんだけど、アイツ頭が回るしいつもどこか余裕そうで、周囲も一番見てるんだよな」
「……へえ、そうなんだ」
自分から聞いておきながら、琢磨は面白くなさそうに相槌を打つ。そんなにすごい奴であれば自分も知らないはずはないのだが。ぼんやり記憶をたどるが、サークル内での彼を斗真は思い出すことができなかった。
「いや、ヤマシタ。斗真は知らなくても仕方がないよ」
横から別のサークル仲間が口をはさむ。何でも琢磨がサークルに入部したのはちょうど斗真が私用によりしばらくサークルに顔を出さなくなった頃なのだという。
その後、ひと悶着ありつつも何とかサークルに顔を出せるようになったと思ったら、今度はサークルクラッシャーが現れて琢磨のほうが休むようになった。
「そっか、入れ違いだったのか」
なお、斗真の私用とは付き合っていた彼女の束縛が厳しくなっていた時期で、サークルメンバーから総出で「別れろ」と後押しされ、必死に戦っていた期間の事である。
……人間関係において、このところの自分の人生は波乱万丈だ。厄落としでも行ったほうがよいだろうかと斗真はあらためて落ち込んだ。
「そういや黒峰、モデルもやってるんだぜ」
他のメンバーがそこらへんに転がっていたファッション雑誌をぺらりとめくると、デカい黒猫もとい、引くほどにスタイルの良いイケメンがさらに自身を引き立てるコーデに身を包み、カメラ目線でこちらを見つめていた。
「ますますわからん」
出会いは偶然かもしれないが、どうしてあの黒い男が自分に懐いているのか。自分が愛らしい女子でもあれば、まだ一目惚れといったこともあるかもしれないがと考える。
斗真は男であり仮に琢磨の性的嗜好が男性だとしても、斗真は己の容姿が特段優れているとは思っていなかった。
「黒峰、彼女できても長続きしなかったみたいで」
それとなく探りを入れると、黒い男と高校時代からの同級生であったサークルメンバーの一人がそう証言する。色んな女と遊んでる男と思われていたみたいだが、実際には彼なりに誠実な付き合いはしていたものの、恐らくは付き合っているスパンが短すぎてそのように見られていたようだ。
「全くもってわからん」
琢磨は高身長でイケメンがゆえに少し怖く見えるところもあるかもしれないが、懐いた相手にはわかりやすく甘え、好意を全身で伝えてくるような男だ。ちょっと執着が強めなところも女子にはたまらないんじゃないだろうか。
もはや何度目になるかわからない「わからん」が口を突いて出た瞬間。
「何が」
「!?」
背後から突然声を掛けられて斗真は身を竦める。ふらりと微かに香るムスクの香りと、黒デカい気配は、先日玄関先で別れたばかりの男であった。
「昨日ぶり、会いたかったよ」
課題? わからないところあるなら俺も一緒に見てあげる。人前に現れた黒い男は穏やかな笑みを浮かべ斗真の親しい友人といった風でそつなく接してくる。友として自然に肩に手を回してくる仕草さえどこか爽やかで演技がかっていて、斗真は先日とのギャップに胃の辺りがぞわりとした。(恐らくストレスか何かだろう)
「お前、今日も家に来るの」
「うん」
駄目? と黒い男は捨てられた仔犬のようなまなざしを向ける。猫のくせにそんな犬みたいな顔するなと斗真はズンズン先を急ぐ。ついてくるなと言わないのは、やはり彼の優しさだろうか。
家主にはあまり歓迎されていないはずなのに、琢磨は嬉しそうな様子で後ろをついてくる。
「手ぶらじゃ悪いと思って」
黒い男は食料の入った袋を持ち上げた。
「いらっしゃい坊や、よく来たな。 お入り」
袋の中身が高級デパ地下の総菜であることを瞬時に悟った斗真は、すぐさま手のひらを反すように客人を家へ招き入れた。「ちょろいな」という琢磨の声は、どうやら彼には聞こえなかったらしい。
「俺達男子大学生は質より量だからな」
「うん」
米を山盛りに炊いた斗真は、申し訳程度の自炊としてワカメと顆粒の出汁と味噌をぶち込んだ味噌汁を作り、後は黒い客人からいただいたデパ地下の総菜を食卓に並べて夕食とした。幸せそうに山盛りのローストビーフを米で掻っ込んでいる斗真を、琢磨は同じく幸せそうな表情を浮かべながら見つめている。
「熱かった?」
「うん? ……いや、大丈夫」
味噌汁で舌でも焼いたのかと少しだけ心配の表情を浮かべた斗真は、「そうか」とそのまま食事に戻る。図らずも斗真の手料理(味噌汁)を食べることができた黒い男は、嬉しさからかそれとも気恥ずかしさからなのか、顔から耳まで真っ赤になっていた。
「斗真君」
「おう」
風呂だろ。すっかり琢磨の行動パターンを把握した斗真は、どうぞとタオルと着替えを放り投げる。
「一緒に入ろ」
「は?」
「風呂の最中にお湯止められたの、俺忘れてないから」
「監視目的かよ」
先日の朝。斗真にシャワーを借りた際に意図的に給湯器の電源を落とされ、水シャワーを浴びるはめになったことを、どうやら彼は覚えていたらしい。
二人で浴室に行ってもシャワーが使えない間は一人が手持無沙汰になるだろうと考え、それから毛の先ほどのお詫びの意味も込めて、斗真はバスタブに湯を張ることにした。
「……いや、マジで狭いってこれ」
「あったかい」
片方はやや不機嫌そうな顔で、片方は非常に上機嫌で男二人バスタブに入っている。不機嫌そうな男の「男二人、向かい合って入るのはなんか嫌だ」という言葉に、それならと上機嫌な黒い方の男が、不機嫌な男を後ろから抱え込むようにして入浴している状態だ。
背もたれの箇所に琢磨がいるので、斗真は一応は気を遣い寄りかかることもできない。
「遠慮しなくていいよ、おいで」
「遠慮するわよぉ!」
思わずオネエのような声を上げるが、どうぞどうぞと腰に両手を巻き付けられて、そのまま琢磨の鎖骨辺りに斗真の頭が寄りかかることになった。
「……琢磨」
「んー?」
黒い男は甘えるように、斗真の髪に鼻先を摺り寄せている。
「お前、フットサル上手いんだってな」
「……まあ、上手いか下手かはおいといて、楽しいから好きだよ」
「あと、ファッション雑誌にお前が載ってるの見た。イケメン様はやっぱり違うな」
「……見たんだ、何か恥ずかしいな」
人がいる時の余所行きの顔と違って、照れくさそうにもじもじしている黒い男の反応に、斗真は少しだけ気を良くした。庇護欲とでもいうのだろうか、自分よりデカいネコ科のような男に「可愛い」という感情を覚えた自分も大概だなと思いながら言葉を続ける。
「モデルとか興味あったの? 芸能界デビュー狙いとか」
認めてやるのも癪だが、この男ならモデルでも十分すぎるぐらいやっていけるだろうと斗真は思う。
「……遊ぶ金欲しさで」
「犯行動機かよ」
「たまに声がかかるんだけど、拘束時間の割に給料がいいからやってるだけ」
「へえ、でも結構呼ばれそうだよなお前なら」
「うん……あとはデッサンモデルに呼ばれることもあるかな」
「わざわざ呼ばれるなんて、やっぱりすごいなぁお前」
「遊ぶ金欲しさで」
「遊ぶ金欲しすぎだろお前」
「モデルやったら綺麗な服沢山着られて、美味しいごはんが食べられるって」
「昔の人身売買?」
変なとこで働かされてるんじゃないだろな? 大丈夫かと後ろのデカい猫が心配になった斗真が振り向くと、鼻と鼻がくっつくぐらいの距離にいた琢磨が、ふふっと笑みを浮かべていた。どうやら最後は揶揄われたようだ。
「斗真君、俺は君の方が心配です」
「何でよ」
「何でも」
これ、友達の距離感じゃないんだよな。小学生ならまだしも大の男二人の距離じゃないよ。黒い男は心の中でだけそう思いながら斗真を後ろから抱きすくめると、首筋にちゅうと派手な音を響かせて、赤い痕が付くまで吸い付いた。
少しだけ敏感なところを吸われて、斗真はビクリと身を震わせる。
「……すんの?」
「うん? ……何を?」
耳まで赤らめた不機嫌な男と、悪戯っぽく「何のこと?」といった様子で余裕たっぷりに問いかける黒い男。ここまでは大人同士の艶っぽくも悪い遊びの誘い方のようではあったが。
「あ、俺の勘違いか、すまん。よかったよかった」
「いや待て待て待てっ、待ってごめん行かないで」
数秒前の「大人の男の余裕」は一体どこへ。琢磨は勢いよくザブンと立ち上がり湯船から出ようとする斗真の手を引いて、見苦しいぐらいに必死で止めた。せっかく風呂でいやらしいことに持ち込めるチャンスを作ったのに、そうやすやすと手離してなるものか。
琢磨はフットサルの重要な試合よりも真剣な面持ちで、その目の奥はギラギラと燃えていた。
「え、やだ、俺これ、あんまよくわかんないっ」
後ろから胸の突起を弄られて、ごく軽く引っ掻かれたと思ったら指の先で押しつぶすように弄られ、ピンっとごく軽く弾かれる。くすぐったさに身を捩じらせて逃れようとするが、黒い男は放してはくれず、どこか楽し気に斗真の乳首を玩具にしている。
「んっふぅっ……やっだぁ」
親指と中指で摘ままれながら、人差し指でぐりぐり弄られた瞬間、くすぐったさとは違うジンジンした感覚がゆっくり先端から伝ってゆき、それから次第に腹の奥からもジンジンした熱がじんわり広がっていく。
敏感になりつつあるそこを、引っ掻かれて弄られて、くにくにされる度に頭の中に甘い刺激がじんわり滲み出てどこもかしこももどかしい。
「っ、ぅうんっ♡」
斗真は意図せず出てしまった声を慌てて口を押えて堪えようとするが「駄目」と琢磨にその手を取られてしまう。羞恥と快楽で耳や首筋まで真っ赤に染めて、背中越しからでもわかる斗真の情欲を煽り立てる姿に、黒い男もゾクリと身を震わせる。
「うん、気持ちいいね♡」
胸の刺激と連動して緩やかに勃ちあがる斗真のペニスにはわざと気付いてやらず、琢磨は焦らすように斗真の乳首を弄る。可哀想なぐらい震えるそこはそのままにして、生理的に流れ出た涙を、慈しむようにぺろりと舌で舐め取ってやる。
「やだ、そこばっかっ♡ あぅ、やぁあ♡」
耳に舌を這わせ、びくりびくりと震える身体が可哀想で可愛くてたまらないといった様子で、黒い男は斗真の乳首へ微量の刺激を与え続ける。
そこを弄られたことなどなかった斗真は、未知の感覚に肌を粟立たせる。嫌悪や不快感とは違う全身の粟立ちは微量に、けれども確実に斗真の身体を甘くて良くないものへと作り替えてゆくようだった。
「やだっぁ、やだ♡ やだぁっ!」
赤子のようにいやいやとぐずりだし、本気で泣いてしまいそうな様子の斗真を見て、琢磨はようやく手を止めて「ごめんね、怖かった?」と優しく鼻先に唇を落とす。
子供扱いするなとでも言うようにキッと睨み付ける顔すらも琢磨には可愛らしくて、宥めるように唇を塞ぐ。
「ぅんっ♡」
「!?」
驚いたことに、斗真の方から琢磨の首筋に両腕を絡めてキスを求める。拗ねるようなそれは性急で、唇を食むように重ね合わせながら舌のノックも待ちきれない様子で、互いの舌を突き出して唾液を交換する。くちゅくちゅ絡め合う音はいやらしくて、息継ぎのたびに甘い吐息が漏れる。
「はむっ、あっふぁ♡ ふぅ♡ ふぅんっ♡」
両腕を琢磨の首に絡めて、斗真はすりすり甘えるようにその身を預けている。膝の上に腰を落として身体を密着させるものだから、そそり勃った斗真の滾りが黒い男の腹にあたり、琢磨は理性が吹き飛びそうになるのを懸命に堪えている。
「どうしたの? すごくエッチになっちゃったね♡」
もう声が耳に届いていないのか、斗真は無意識に腰を揺らし琢磨の引き締まった腹に自身の肉棒を擦りつけている。余裕もなくはしたない痴態を見せて、あっあっとか細い声を上げならペニスに与えられる刺激を感じては恍惚とした表情を浮かべた。
斗真の少し細身の体や白い肌はどこか少年のようで、ただ肌を重ね合わせているだけでもどこか背徳的だと琢磨は思う。
「そこやぁ! やだぁ♡ あぁあっ♡」
黒い男は赤く色づいた胸の突起に舌を絡ませ、それから同時に斗真の肉棒もちゅこちゅこ扱いてやる。ピンと勃ちあがったそこは熟した果実のようで、吸い付いて舌で転がして、時折軽く歯を立てると、斗真はその身を撓らせた。
「両方やだ……っひっあっあっあぁ♡」
鈴口に指を置いて擦りつけるように先端を触ると、ぬるぬるした先走りが涎のようにあふれる。けれども二人の身を包む湯がそれを拭い去ってしまうので、滑りが取れていいところへの刺激が少し外れてしまい、なかなか達することができなかった。
「あーもう無理♡ 俺も我慢できない」
琢磨は斗真を横抱きにして、バスタブから出るとひんやりした壁を背にして斗真をそっと降ろす。ぜーぜー荒い呼吸を上げて壁にもたれかかる斗真に覆いかぶさると、そのまま舌を絡ませながら、互いのペニスも重ね合わせて扱く。
「ぁんっ♡ んっ♡ んっ♡ ぅんんっ♡」
「っあは♡ 本当にキスされながらチンポ扱かれるの、好きだね♡」
片手でペニスをちゅこちゅこ扱きながら、もう片方の手で斗真の乳首を抓ると「ひぁあ♡」と雌の声が上がる。少し前までは胸を苛められる度に子供のようにいやいやと身を捩じらせていたのに、今は目をとろんと蕩けさせて、されるがままに身を任せている。
「乳首好き?」
「っん、あっ♡ あっ♡」
「答えて?」
「ぁっ、うあ♡ や、ぁすき、すきぃ……っ♡」
強めに指で胸の突起を弾かれて、ビクリと身を痙攣させてしまう。散々苛められたそこは可哀想なぐらい赤く色づいて、熟した果実のようだ。美味しそうと囁くと、琢磨はまだ乳首に吸い付いて、傷を癒すように舌でよしよしと撫でてやる。
「うぁっ♡ あっあぁあ♡ やぁん♡」
「うん、気持ちいいね♡ ほら、気持ちいいって言って?」
「やぁ、うー……っ♡ き、きもちいっきもちいい♡」
「いい子」
目尻に伝う涙を舌で舐め取りながら、あやすように気持ちいい気持ちいいと声をかけて互いのペニスを強めに扱く。散々焦らされた黒い男と、散々苛められてとろとろになった男はもう限界寸前で、くちゅくちゅちゅくちゅく湿った音とともにせわしなく手を上下させて。程なくして同時にびゅるると白濁を吐き出した。
「斗真君、えろい」
両足を開いたまま壁にもたれかかって荒い呼吸を上げている斗真の腹には、二人分の精子がかかっている。それからまだ勃ち上がったままの自身のペニスからつうと伝う白濁は涎のように下へ下へと垂れて、まるで斗真の後孔から白濁が流れ出ているように見えた。
黒い男は思わず息を飲むと、堪えきれずに斗真の唇に吸い付く。「?」とよくわかっていない表情を一瞬見せながらも、斗真は琢磨の舌を受け入れた。
「んっんふぅ♡ はぁっあ、あふ♡」
「斗真君、こっちも少しだけやってみたい」
何がと問いかける前に、琢磨はどこから持ってきたのか個梱包のローションを取り出すと、自身の手にそれを垂らした。ぬらぬらした指先で尻の穴を触れられた瞬間、斗真も流石に何をされるのか気づき「やだぁ」と力なく琢磨の胸に手を置いて、引きはがそうとする。
「いや? 駄目?」
黒い男はしおらしく首を傾けて、ご主人様の機嫌を窺うように目を潤ませる。今日は最後までしないから、痛いことも絶対しないから、ねえ、駄目? と、ちゅいちゅい全身にキスを降らせておねだりしている。
「……お前」
デカい猫の癖に、犬みたいな顔すんなって言ったろ。憎まれ口をひとつふたつ叩いてから、斗真は身体は開いたままで、恥ずかしさを隠すように琢磨から目だけを反らした。
「ありがと」
感謝の言葉を猫語にして「にゃー」と鳴いて見せてから、琢磨は弧を描くようにゆっくりアナルの縁をなぞって解していく。緊張でびくびく固まってしまう斗真に「力抜いて」と優しく囁いて、ズプりとまずは小指が挿入された。
「うっんっんっん……」
圧迫感からだろうか、斗真の喉からくぐもった苦しそうな声が漏れる。萎えてしまわないように時折舌を絡ませて、先ほど感じるようになったばかりの乳首を弄ってやると、苦しそうな声に少しだけ甘い音が混じる。
「あっ……うぁっ!」
小指から人差し指が入るようになってしばらく斗真の中を弄っていると、先ほどとは明らかに違う反応を見せる箇所があった。
「……みつけた♡」
ここ、斗真が女の子になっちゃうところ♡ 指でくにくに押すように扱くと、斗真は未知の感覚に身を震わせる。
「あぁあっや、やぁあ♡ やだ、そこや、あっ! あっ♡」
前を触ってもいないのに、排尿のように何かを出したくなる刺激が腹の奥で与えられてしまう。苦しいぐらいに感じやすいそこをぐりぐり苛められて、斗真はすがりつくように黒い男に両手を伸ばす。
「雌スイッチ押されて気持ちいい? 斗真君のここ、おまんこになっちゃったね♡」
黒い男は斗真を引き寄せて、すがりつく両手を自分の首に絡めて愛おしそうに顔中に唇を落とすが、それでも前立腺への刺激をやめなかった。
「あっ♡ あっ♡ あぁあっ♡ あんっ♡ あぁあっ!」
「可愛い♡ まんこだけで気持ちよくなろーね♡」
「ぁあっ! だめそこっ! やぁあっ♡」
トントンと優しく、けれどもそこだけを押されて斗真ははしたない声を上げ続ける。斗真の中は熱くて狭く、キュウキュウと琢磨の指を締め付ける。蠢く中はまるで誘っているようであり酷く淫猥だ。
はあっと熱い息を吐きここに自身の肉棒を捻じ込みたい気持ちを堪えて、黒い男は自身の滾りを手で扱く。
「手マン気持ちいいね、ほら、気持ちいい気持ちいい♡」
「あぁあっ、きもちい♡ きもちぃいっ♡」
呂律も怪しくなってきたころ、ゴリリと後孔のいいところを抉るように擦られて、斗真は思わず腰を跳ね上げさせる。
それからすぐに「ぁああっ♡」と悲鳴のような嬌声を上げながら、全身ガクガク震わせて斗真は精子を吐き出した。
震える内腿にも白濁が垂れて、ヒクヒク痙攣している穴がとても扇情的だ。琢磨はすぐにでも自身の滾りを斗真の穴に捻じ込みたい気持ちを抑えて、優しく斗真の額にキスを落とした。
「痒い所はないですかー?」
「……おう」
散々喘がせられて腰が抜けてしまった斗真は、不本意ながら琢磨に後処理を任せていた。ついでに身体や頭も洗ってもらい、今は二人仲良くまたバスタブの中にいる。
「いや、本当にバスタブの中でやらなくてよかったね」
いくら自分と好きな男のものとはいえ、精子まみれの風呂に入りなおす気はない、と琢磨は思った。それから好きな男は、黒い男の手の中で物憂げな表情で何かを考えているようだった。
「琢磨」
「なあに」
「デカい猫」
「にゃー」
斗真はじいと黒い男を見つめると、今度はわしわし頭を撫でたり頬を触ったり、顎の下を指で撫でたりとせわしなくしている。
琢磨もそんな風に斗真に扱われるのは嫌いではなく、むしろご褒美とさえ感じているため、されるがままに身を任せている。
「保護猫カフェって里親探しが目的の場所でさ」
「うん」
「とはいってもいきなり譲渡するわけじゃなくて、トライアルってのがあるんだ」
「そうなんだ」
いまいち話は見えてこないが、斗真の口調や表情が穏やかなのと、斗真の顔も声も大好物である琢磨は、そのままうんうんと聞き役に徹している。それどころか斗真が俺もお迎えしてくれないかなぁと、内心すっかり保護猫の気持ちになっているようだ。
「お前、試しにうちの猫になってみるか?」
「謹んでお受けいたします」
「とりあえず今はトライアル(お試し)期間ってことで……いや返事早いな!?」
俺じゃなきゃ見逃すところだったと、斗真はどこかの殺し屋のような台詞を吐く。
「お前のことは何というかほっとけないんだよ。なんか友達とも……もう違ってきてるし、でもさよならってなかったことにするのも寂しいし。お前に対する気持ちが何なのかよくわからないんだけどお前のこと自体よく知らないし、知りたいとも思うし。だからもう少し」
一緒にいたい。
斗真の言葉に黒い男はぱあっと表情を輝かせて、それから壊れ物を扱うように優しく、包み込むように抱きしめた。
「はは、はしゃぐなはしゃぐな」
「……にゃー」
普段は飄々としてどこかつかめない風の琢磨だが、今は笑っているようでもあり、どこか泣いているようでもあった。
「それとも、琢磨は普通の友達のほうがよかったか?」
「……それはやだ」
猫でもヒモでも今は何でもいいけど、友達じゃこんなふうに斗真に触れられないから。
「……うん」
なんだか恥ずいな。
デカい猫は思いの外情熱的で真っ直ぐな思いをぶつけてくるので、斗真にもその熱が少しだけ移ってしまったようだった。
カーテンの隙間から射しこむ光と、チュンチュンと騒がしい鳥達の鳴き声が朝を告げる。時刻は朝の7時前。今日は土曜で大学の講義もない日だというのに、透山斗真(とうやまとうま)は習慣でいつもどおりに目が覚めてしまった。
(もっと寝ていられたのに……いやこういう時に損した気分になるか、そのまま二度寝が楽しめるかで人生の幸福度が変わる気がする。)
斗真はぼんやりそんなことを考えながら身を捩じらせると、ようやくいつもとは違う朝の訪れに気が付いた。
「っん……?」
背中にピッタリとくっついている、温かくもデカくて黒い影。腰に手を回して斗真を抱き枕のように扱っている男は、無意識なのかすりすりとその身を寄せてくる。
意図せず早起きした男が恐る恐る後ろを振り向いてみると、くしゃくしゃに乱れた髪すらも美しい黒いルームウェアを着た男が、斗真にしがみついたままスースー寝息をたてていた。
彼の名は黒峰琢磨(くろみねたくま)。
斗真とは先日の夜、保護猫カフェで偶然出会う。そこで「ネコのようにあごの下を撫でてみてくれ」と琢磨がナデナデを要求し、その後は人懐こい猫のように斗真の家まで付いて来て、懐かれた延長なのかディープすぎるキスや互いの精が枯渇するまで兜合わせをした仲だ。
「何度時系列を遡っても、どうしてこうなったのかわからん」
爽やかな朝には相応しくないピンクがかった不健全な夜の出来事を思い出し、斗真は羞恥により両手で顔を覆い隠す。
「はぁーやだ、このイケメン最っ低」
琢磨に唇や乳首を吸われペニスを扱かれ、女子のようにあんあん喘がせられて、自分はキスに弱かったのだと新しい性癖の扉をこじ開けられてしまった。
衝動的に琢磨の頭を小突いてやろうとした己の手を止めたのは、黒い男が斗真の尻の処女に手を出さないでいてくれたことに対する、せめてもの温情だろうか。
「……いや」
スースー眠る男の顔があまりにも無防備だったから。寝顔だけは存外幼く、ごく軽く頭を撫でてやると心なしか口元がふにゃりと緩む。
「デカい猫」
琢磨が放してくれないから、どかそうにも重たいから。そんな言い訳めいた理由を一つ二つ見つけて、斗真は黒い男の胸にすっぽり収まるとそのまま二度寝を決めることにした。
「……起こしてくれていいのに」
おはよう、おやすみ。一緒に二度寝しよう。 斗真の寝息がスースー定期的になった頃、黒い男はこっそり目を開けて猫のように身を擦り寄せる。それから髪に、肩に、胸に、直接肌に触れない箇所に静かに唇を落とす。マーキングは丹念に行われて、琢磨は飽くことなく斗真の寝顔を愛おしそうに見つめていた。
『ピピピピ……』
次に目覚めたのは昼少し前。突如アラーム音で起こされた斗真は、アラームが鳴り響くスマートフォンの持ち主であり、しかも一向に起きる気配がない黒い男をリズミカルに揺さぶり起こす。
「おい、起きろ、起きろ、起きろ、起きろ……」
「ん-……」
琢磨はもぞりと起き出して、そのまま数秒日の光を浴びてからようやくアラームを停止させた。
「おはよ、爽やかな朝だね」
「おはよう、お前だけな」
「シャワー貸してください」
「朝から清々しいぐらい図々しいな」
口だけはやや乱暴にしながらも、斗真はすんなり「どうぞ」とバスルームの方向に手を向ける。まだ半分ぐらい寝ているのだろう、むにゃむにゃした姿すらも美しい黒い男が浴室に入ったところを見届けてから、斗真はおもむろに給湯器の電源を落とす。
……数分後「ちょっと!」という、いつもどこか飄々とした黒い男の小さな悲鳴が上がったのを確認してから、斗真は何食わぬ顔で給湯器の電源を入れてやった。
「ごめんね、これから用事があって。今日は帰る」
名残惜しそうに斗真の服の端を掴む黒いイケメンと「そう、早くお行き」とつれなく返す斗真が玄関先で対峙している。琢磨は斗真の連絡先を教えてもらえるまで部屋を出る気はないらしく、根負けした斗真はしぶしぶLINEを交換してやった。
「斗真おはよ、朝から元気ないね、顔真っ白」
「……おはよ、ちょっとバタバタしててね」
「おう斗真、朝飯ちゃんと食ってるか? 顔色わりぃな」
「おはよ斗真、あれ目の下ひでぇ」
斗真と琢磨が所属するフットサルサークルは、どちらかというとエンジョイよりもガチ勢寄りの活動が行われている。
そのハードな活動内容のせいか、毎年何故か顔面偏差値の高い男子ばかりが揃うというのに、女子があまり入ってこないという不思議なサークルでもあった。
そこを悪名高きサークルクラッシャーちゃんに目を付けられて、男漁りの新たな生け簀にされた痛ましい事件も過去にあったが、それはまた別の話である。
(クラッシャーはひとしきりサークル内の男を食い荒らすと、その後は新たな地を求めてT大K大の男を食いに行くため旅立って行った)
今の斗真としては、顔面偏差値の高い男たちに自身の顔(色)を心配され、少々複雑な思いを抱いているといったところである。
「なあヤマシタ、琢……黒峰ってやつ知ってる?」
「そりゃもちろん! 同じサークルメンバーだろ?」
ヤマシタは「お前大丈夫か?」といった表情を隠そうともせず斗真を無遠慮に見つめている。聞けば琢磨がサークルに顔を出す機会はそう多くはないが、プレーさせればかなり強く、本人がその気なら簡単にエースを狙えるほどだという。
「何やらせても上手いのもそうなんだけど、アイツ頭が回るしいつもどこか余裕そうで、周囲も一番見てるんだよな」
「……へえ、そうなんだ」
自分から聞いておきながら、琢磨は面白くなさそうに相槌を打つ。そんなにすごい奴であれば自分も知らないはずはないのだが。ぼんやり記憶をたどるが、サークル内での彼を斗真は思い出すことができなかった。
「いや、ヤマシタ。斗真は知らなくても仕方がないよ」
横から別のサークル仲間が口をはさむ。何でも琢磨がサークルに入部したのはちょうど斗真が私用によりしばらくサークルに顔を出さなくなった頃なのだという。
その後、ひと悶着ありつつも何とかサークルに顔を出せるようになったと思ったら、今度はサークルクラッシャーが現れて琢磨のほうが休むようになった。
「そっか、入れ違いだったのか」
なお、斗真の私用とは付き合っていた彼女の束縛が厳しくなっていた時期で、サークルメンバーから総出で「別れろ」と後押しされ、必死に戦っていた期間の事である。
……人間関係において、このところの自分の人生は波乱万丈だ。厄落としでも行ったほうがよいだろうかと斗真はあらためて落ち込んだ。
「そういや黒峰、モデルもやってるんだぜ」
他のメンバーがそこらへんに転がっていたファッション雑誌をぺらりとめくると、デカい黒猫もとい、引くほどにスタイルの良いイケメンがさらに自身を引き立てるコーデに身を包み、カメラ目線でこちらを見つめていた。
「ますますわからん」
出会いは偶然かもしれないが、どうしてあの黒い男が自分に懐いているのか。自分が愛らしい女子でもあれば、まだ一目惚れといったこともあるかもしれないがと考える。
斗真は男であり仮に琢磨の性的嗜好が男性だとしても、斗真は己の容姿が特段優れているとは思っていなかった。
「黒峰、彼女できても長続きしなかったみたいで」
それとなく探りを入れると、黒い男と高校時代からの同級生であったサークルメンバーの一人がそう証言する。色んな女と遊んでる男と思われていたみたいだが、実際には彼なりに誠実な付き合いはしていたものの、恐らくは付き合っているスパンが短すぎてそのように見られていたようだ。
「全くもってわからん」
琢磨は高身長でイケメンがゆえに少し怖く見えるところもあるかもしれないが、懐いた相手にはわかりやすく甘え、好意を全身で伝えてくるような男だ。ちょっと執着が強めなところも女子にはたまらないんじゃないだろうか。
もはや何度目になるかわからない「わからん」が口を突いて出た瞬間。
「何が」
「!?」
背後から突然声を掛けられて斗真は身を竦める。ふらりと微かに香るムスクの香りと、黒デカい気配は、先日玄関先で別れたばかりの男であった。
「昨日ぶり、会いたかったよ」
課題? わからないところあるなら俺も一緒に見てあげる。人前に現れた黒い男は穏やかな笑みを浮かべ斗真の親しい友人といった風でそつなく接してくる。友として自然に肩に手を回してくる仕草さえどこか爽やかで演技がかっていて、斗真は先日とのギャップに胃の辺りがぞわりとした。(恐らくストレスか何かだろう)
「お前、今日も家に来るの」
「うん」
駄目? と黒い男は捨てられた仔犬のようなまなざしを向ける。猫のくせにそんな犬みたいな顔するなと斗真はズンズン先を急ぐ。ついてくるなと言わないのは、やはり彼の優しさだろうか。
家主にはあまり歓迎されていないはずなのに、琢磨は嬉しそうな様子で後ろをついてくる。
「手ぶらじゃ悪いと思って」
黒い男は食料の入った袋を持ち上げた。
「いらっしゃい坊や、よく来たな。 お入り」
袋の中身が高級デパ地下の総菜であることを瞬時に悟った斗真は、すぐさま手のひらを反すように客人を家へ招き入れた。「ちょろいな」という琢磨の声は、どうやら彼には聞こえなかったらしい。
「俺達男子大学生は質より量だからな」
「うん」
米を山盛りに炊いた斗真は、申し訳程度の自炊としてワカメと顆粒の出汁と味噌をぶち込んだ味噌汁を作り、後は黒い客人からいただいたデパ地下の総菜を食卓に並べて夕食とした。幸せそうに山盛りのローストビーフを米で掻っ込んでいる斗真を、琢磨は同じく幸せそうな表情を浮かべながら見つめている。
「熱かった?」
「うん? ……いや、大丈夫」
味噌汁で舌でも焼いたのかと少しだけ心配の表情を浮かべた斗真は、「そうか」とそのまま食事に戻る。図らずも斗真の手料理(味噌汁)を食べることができた黒い男は、嬉しさからかそれとも気恥ずかしさからなのか、顔から耳まで真っ赤になっていた。
「斗真君」
「おう」
風呂だろ。すっかり琢磨の行動パターンを把握した斗真は、どうぞとタオルと着替えを放り投げる。
「一緒に入ろ」
「は?」
「風呂の最中にお湯止められたの、俺忘れてないから」
「監視目的かよ」
先日の朝。斗真にシャワーを借りた際に意図的に給湯器の電源を落とされ、水シャワーを浴びるはめになったことを、どうやら彼は覚えていたらしい。
二人で浴室に行ってもシャワーが使えない間は一人が手持無沙汰になるだろうと考え、それから毛の先ほどのお詫びの意味も込めて、斗真はバスタブに湯を張ることにした。
「……いや、マジで狭いってこれ」
「あったかい」
片方はやや不機嫌そうな顔で、片方は非常に上機嫌で男二人バスタブに入っている。不機嫌そうな男の「男二人、向かい合って入るのはなんか嫌だ」という言葉に、それならと上機嫌な黒い方の男が、不機嫌な男を後ろから抱え込むようにして入浴している状態だ。
背もたれの箇所に琢磨がいるので、斗真は一応は気を遣い寄りかかることもできない。
「遠慮しなくていいよ、おいで」
「遠慮するわよぉ!」
思わずオネエのような声を上げるが、どうぞどうぞと腰に両手を巻き付けられて、そのまま琢磨の鎖骨辺りに斗真の頭が寄りかかることになった。
「……琢磨」
「んー?」
黒い男は甘えるように、斗真の髪に鼻先を摺り寄せている。
「お前、フットサル上手いんだってな」
「……まあ、上手いか下手かはおいといて、楽しいから好きだよ」
「あと、ファッション雑誌にお前が載ってるの見た。イケメン様はやっぱり違うな」
「……見たんだ、何か恥ずかしいな」
人がいる時の余所行きの顔と違って、照れくさそうにもじもじしている黒い男の反応に、斗真は少しだけ気を良くした。庇護欲とでもいうのだろうか、自分よりデカいネコ科のような男に「可愛い」という感情を覚えた自分も大概だなと思いながら言葉を続ける。
「モデルとか興味あったの? 芸能界デビュー狙いとか」
認めてやるのも癪だが、この男ならモデルでも十分すぎるぐらいやっていけるだろうと斗真は思う。
「……遊ぶ金欲しさで」
「犯行動機かよ」
「たまに声がかかるんだけど、拘束時間の割に給料がいいからやってるだけ」
「へえ、でも結構呼ばれそうだよなお前なら」
「うん……あとはデッサンモデルに呼ばれることもあるかな」
「わざわざ呼ばれるなんて、やっぱりすごいなぁお前」
「遊ぶ金欲しさで」
「遊ぶ金欲しすぎだろお前」
「モデルやったら綺麗な服沢山着られて、美味しいごはんが食べられるって」
「昔の人身売買?」
変なとこで働かされてるんじゃないだろな? 大丈夫かと後ろのデカい猫が心配になった斗真が振り向くと、鼻と鼻がくっつくぐらいの距離にいた琢磨が、ふふっと笑みを浮かべていた。どうやら最後は揶揄われたようだ。
「斗真君、俺は君の方が心配です」
「何でよ」
「何でも」
これ、友達の距離感じゃないんだよな。小学生ならまだしも大の男二人の距離じゃないよ。黒い男は心の中でだけそう思いながら斗真を後ろから抱きすくめると、首筋にちゅうと派手な音を響かせて、赤い痕が付くまで吸い付いた。
少しだけ敏感なところを吸われて、斗真はビクリと身を震わせる。
「……すんの?」
「うん? ……何を?」
耳まで赤らめた不機嫌な男と、悪戯っぽく「何のこと?」といった様子で余裕たっぷりに問いかける黒い男。ここまでは大人同士の艶っぽくも悪い遊びの誘い方のようではあったが。
「あ、俺の勘違いか、すまん。よかったよかった」
「いや待て待て待てっ、待ってごめん行かないで」
数秒前の「大人の男の余裕」は一体どこへ。琢磨は勢いよくザブンと立ち上がり湯船から出ようとする斗真の手を引いて、見苦しいぐらいに必死で止めた。せっかく風呂でいやらしいことに持ち込めるチャンスを作ったのに、そうやすやすと手離してなるものか。
琢磨はフットサルの重要な試合よりも真剣な面持ちで、その目の奥はギラギラと燃えていた。
「え、やだ、俺これ、あんまよくわかんないっ」
後ろから胸の突起を弄られて、ごく軽く引っ掻かれたと思ったら指の先で押しつぶすように弄られ、ピンっとごく軽く弾かれる。くすぐったさに身を捩じらせて逃れようとするが、黒い男は放してはくれず、どこか楽し気に斗真の乳首を玩具にしている。
「んっふぅっ……やっだぁ」
親指と中指で摘ままれながら、人差し指でぐりぐり弄られた瞬間、くすぐったさとは違うジンジンした感覚がゆっくり先端から伝ってゆき、それから次第に腹の奥からもジンジンした熱がじんわり広がっていく。
敏感になりつつあるそこを、引っ掻かれて弄られて、くにくにされる度に頭の中に甘い刺激がじんわり滲み出てどこもかしこももどかしい。
「っ、ぅうんっ♡」
斗真は意図せず出てしまった声を慌てて口を押えて堪えようとするが「駄目」と琢磨にその手を取られてしまう。羞恥と快楽で耳や首筋まで真っ赤に染めて、背中越しからでもわかる斗真の情欲を煽り立てる姿に、黒い男もゾクリと身を震わせる。
「うん、気持ちいいね♡」
胸の刺激と連動して緩やかに勃ちあがる斗真のペニスにはわざと気付いてやらず、琢磨は焦らすように斗真の乳首を弄る。可哀想なぐらい震えるそこはそのままにして、生理的に流れ出た涙を、慈しむようにぺろりと舌で舐め取ってやる。
「やだ、そこばっかっ♡ あぅ、やぁあ♡」
耳に舌を這わせ、びくりびくりと震える身体が可哀想で可愛くてたまらないといった様子で、黒い男は斗真の乳首へ微量の刺激を与え続ける。
そこを弄られたことなどなかった斗真は、未知の感覚に肌を粟立たせる。嫌悪や不快感とは違う全身の粟立ちは微量に、けれども確実に斗真の身体を甘くて良くないものへと作り替えてゆくようだった。
「やだっぁ、やだ♡ やだぁっ!」
赤子のようにいやいやとぐずりだし、本気で泣いてしまいそうな様子の斗真を見て、琢磨はようやく手を止めて「ごめんね、怖かった?」と優しく鼻先に唇を落とす。
子供扱いするなとでも言うようにキッと睨み付ける顔すらも琢磨には可愛らしくて、宥めるように唇を塞ぐ。
「ぅんっ♡」
「!?」
驚いたことに、斗真の方から琢磨の首筋に両腕を絡めてキスを求める。拗ねるようなそれは性急で、唇を食むように重ね合わせながら舌のノックも待ちきれない様子で、互いの舌を突き出して唾液を交換する。くちゅくちゅ絡め合う音はいやらしくて、息継ぎのたびに甘い吐息が漏れる。
「はむっ、あっふぁ♡ ふぅ♡ ふぅんっ♡」
両腕を琢磨の首に絡めて、斗真はすりすり甘えるようにその身を預けている。膝の上に腰を落として身体を密着させるものだから、そそり勃った斗真の滾りが黒い男の腹にあたり、琢磨は理性が吹き飛びそうになるのを懸命に堪えている。
「どうしたの? すごくエッチになっちゃったね♡」
もう声が耳に届いていないのか、斗真は無意識に腰を揺らし琢磨の引き締まった腹に自身の肉棒を擦りつけている。余裕もなくはしたない痴態を見せて、あっあっとか細い声を上げならペニスに与えられる刺激を感じては恍惚とした表情を浮かべた。
斗真の少し細身の体や白い肌はどこか少年のようで、ただ肌を重ね合わせているだけでもどこか背徳的だと琢磨は思う。
「そこやぁ! やだぁ♡ あぁあっ♡」
黒い男は赤く色づいた胸の突起に舌を絡ませ、それから同時に斗真の肉棒もちゅこちゅこ扱いてやる。ピンと勃ちあがったそこは熟した果実のようで、吸い付いて舌で転がして、時折軽く歯を立てると、斗真はその身を撓らせた。
「両方やだ……っひっあっあっあぁ♡」
鈴口に指を置いて擦りつけるように先端を触ると、ぬるぬるした先走りが涎のようにあふれる。けれども二人の身を包む湯がそれを拭い去ってしまうので、滑りが取れていいところへの刺激が少し外れてしまい、なかなか達することができなかった。
「あーもう無理♡ 俺も我慢できない」
琢磨は斗真を横抱きにして、バスタブから出るとひんやりした壁を背にして斗真をそっと降ろす。ぜーぜー荒い呼吸を上げて壁にもたれかかる斗真に覆いかぶさると、そのまま舌を絡ませながら、互いのペニスも重ね合わせて扱く。
「ぁんっ♡ んっ♡ んっ♡ ぅんんっ♡」
「っあは♡ 本当にキスされながらチンポ扱かれるの、好きだね♡」
片手でペニスをちゅこちゅこ扱きながら、もう片方の手で斗真の乳首を抓ると「ひぁあ♡」と雌の声が上がる。少し前までは胸を苛められる度に子供のようにいやいやと身を捩じらせていたのに、今は目をとろんと蕩けさせて、されるがままに身を任せている。
「乳首好き?」
「っん、あっ♡ あっ♡」
「答えて?」
「ぁっ、うあ♡ や、ぁすき、すきぃ……っ♡」
強めに指で胸の突起を弾かれて、ビクリと身を痙攣させてしまう。散々苛められたそこは可哀想なぐらい赤く色づいて、熟した果実のようだ。美味しそうと囁くと、琢磨はまだ乳首に吸い付いて、傷を癒すように舌でよしよしと撫でてやる。
「うぁっ♡ あっあぁあ♡ やぁん♡」
「うん、気持ちいいね♡ ほら、気持ちいいって言って?」
「やぁ、うー……っ♡ き、きもちいっきもちいい♡」
「いい子」
目尻に伝う涙を舌で舐め取りながら、あやすように気持ちいい気持ちいいと声をかけて互いのペニスを強めに扱く。散々焦らされた黒い男と、散々苛められてとろとろになった男はもう限界寸前で、くちゅくちゅちゅくちゅく湿った音とともにせわしなく手を上下させて。程なくして同時にびゅるると白濁を吐き出した。
「斗真君、えろい」
両足を開いたまま壁にもたれかかって荒い呼吸を上げている斗真の腹には、二人分の精子がかかっている。それからまだ勃ち上がったままの自身のペニスからつうと伝う白濁は涎のように下へ下へと垂れて、まるで斗真の後孔から白濁が流れ出ているように見えた。
黒い男は思わず息を飲むと、堪えきれずに斗真の唇に吸い付く。「?」とよくわかっていない表情を一瞬見せながらも、斗真は琢磨の舌を受け入れた。
「んっんふぅ♡ はぁっあ、あふ♡」
「斗真君、こっちも少しだけやってみたい」
何がと問いかける前に、琢磨はどこから持ってきたのか個梱包のローションを取り出すと、自身の手にそれを垂らした。ぬらぬらした指先で尻の穴を触れられた瞬間、斗真も流石に何をされるのか気づき「やだぁ」と力なく琢磨の胸に手を置いて、引きはがそうとする。
「いや? 駄目?」
黒い男はしおらしく首を傾けて、ご主人様の機嫌を窺うように目を潤ませる。今日は最後までしないから、痛いことも絶対しないから、ねえ、駄目? と、ちゅいちゅい全身にキスを降らせておねだりしている。
「……お前」
デカい猫の癖に、犬みたいな顔すんなって言ったろ。憎まれ口をひとつふたつ叩いてから、斗真は身体は開いたままで、恥ずかしさを隠すように琢磨から目だけを反らした。
「ありがと」
感謝の言葉を猫語にして「にゃー」と鳴いて見せてから、琢磨は弧を描くようにゆっくりアナルの縁をなぞって解していく。緊張でびくびく固まってしまう斗真に「力抜いて」と優しく囁いて、ズプりとまずは小指が挿入された。
「うっんっんっん……」
圧迫感からだろうか、斗真の喉からくぐもった苦しそうな声が漏れる。萎えてしまわないように時折舌を絡ませて、先ほど感じるようになったばかりの乳首を弄ってやると、苦しそうな声に少しだけ甘い音が混じる。
「あっ……うぁっ!」
小指から人差し指が入るようになってしばらく斗真の中を弄っていると、先ほどとは明らかに違う反応を見せる箇所があった。
「……みつけた♡」
ここ、斗真が女の子になっちゃうところ♡ 指でくにくに押すように扱くと、斗真は未知の感覚に身を震わせる。
「あぁあっや、やぁあ♡ やだ、そこや、あっ! あっ♡」
前を触ってもいないのに、排尿のように何かを出したくなる刺激が腹の奥で与えられてしまう。苦しいぐらいに感じやすいそこをぐりぐり苛められて、斗真はすがりつくように黒い男に両手を伸ばす。
「雌スイッチ押されて気持ちいい? 斗真君のここ、おまんこになっちゃったね♡」
黒い男は斗真を引き寄せて、すがりつく両手を自分の首に絡めて愛おしそうに顔中に唇を落とすが、それでも前立腺への刺激をやめなかった。
「あっ♡ あっ♡ あぁあっ♡ あんっ♡ あぁあっ!」
「可愛い♡ まんこだけで気持ちよくなろーね♡」
「ぁあっ! だめそこっ! やぁあっ♡」
トントンと優しく、けれどもそこだけを押されて斗真ははしたない声を上げ続ける。斗真の中は熱くて狭く、キュウキュウと琢磨の指を締め付ける。蠢く中はまるで誘っているようであり酷く淫猥だ。
はあっと熱い息を吐きここに自身の肉棒を捻じ込みたい気持ちを堪えて、黒い男は自身の滾りを手で扱く。
「手マン気持ちいいね、ほら、気持ちいい気持ちいい♡」
「あぁあっ、きもちい♡ きもちぃいっ♡」
呂律も怪しくなってきたころ、ゴリリと後孔のいいところを抉るように擦られて、斗真は思わず腰を跳ね上げさせる。
それからすぐに「ぁああっ♡」と悲鳴のような嬌声を上げながら、全身ガクガク震わせて斗真は精子を吐き出した。
震える内腿にも白濁が垂れて、ヒクヒク痙攣している穴がとても扇情的だ。琢磨はすぐにでも自身の滾りを斗真の穴に捻じ込みたい気持ちを抑えて、優しく斗真の額にキスを落とした。
「痒い所はないですかー?」
「……おう」
散々喘がせられて腰が抜けてしまった斗真は、不本意ながら琢磨に後処理を任せていた。ついでに身体や頭も洗ってもらい、今は二人仲良くまたバスタブの中にいる。
「いや、本当にバスタブの中でやらなくてよかったね」
いくら自分と好きな男のものとはいえ、精子まみれの風呂に入りなおす気はない、と琢磨は思った。それから好きな男は、黒い男の手の中で物憂げな表情で何かを考えているようだった。
「琢磨」
「なあに」
「デカい猫」
「にゃー」
斗真はじいと黒い男を見つめると、今度はわしわし頭を撫でたり頬を触ったり、顎の下を指で撫でたりとせわしなくしている。
琢磨もそんな風に斗真に扱われるのは嫌いではなく、むしろご褒美とさえ感じているため、されるがままに身を任せている。
「保護猫カフェって里親探しが目的の場所でさ」
「うん」
「とはいってもいきなり譲渡するわけじゃなくて、トライアルってのがあるんだ」
「そうなんだ」
いまいち話は見えてこないが、斗真の口調や表情が穏やかなのと、斗真の顔も声も大好物である琢磨は、そのままうんうんと聞き役に徹している。それどころか斗真が俺もお迎えしてくれないかなぁと、内心すっかり保護猫の気持ちになっているようだ。
「お前、試しにうちの猫になってみるか?」
「謹んでお受けいたします」
「とりあえず今はトライアル(お試し)期間ってことで……いや返事早いな!?」
俺じゃなきゃ見逃すところだったと、斗真はどこかの殺し屋のような台詞を吐く。
「お前のことは何というかほっとけないんだよ。なんか友達とも……もう違ってきてるし、でもさよならってなかったことにするのも寂しいし。お前に対する気持ちが何なのかよくわからないんだけどお前のこと自体よく知らないし、知りたいとも思うし。だからもう少し」
一緒にいたい。
斗真の言葉に黒い男はぱあっと表情を輝かせて、それから壊れ物を扱うように優しく、包み込むように抱きしめた。
「はは、はしゃぐなはしゃぐな」
「……にゃー」
普段は飄々としてどこかつかめない風の琢磨だが、今は笑っているようでもあり、どこか泣いているようでもあった。
「それとも、琢磨は普通の友達のほうがよかったか?」
「……それはやだ」
猫でもヒモでも今は何でもいいけど、友達じゃこんなふうに斗真に触れられないから。
「……うん」
なんだか恥ずいな。
デカい猫は思いの外情熱的で真っ直ぐな思いをぶつけてくるので、斗真にもその熱が少しだけ移ってしまったようだった。
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