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第4章
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「……んっ、あっ……、あぁ……っ!」
「はぁ……っ、あ……っ、はぁ……」
ふたりの甘い声が響く。
もうずっとベッドの中にいる。
お互い、繋がっていたいと言うように抱き合う。
「柚子……」
何度も名前を呼ぶ零士は大切にしているのが分かる。
「れ……いじ…っ」
零士の手は優しく柚子の身体に触れていく。
離れたくないと想いから零士にしがみつく。零士もまた離れたくないと柚子をきつく抱きしめる。
「挿入れるよ」と、柚子の中に入っていく。
零士の背中をきつく抱きしめる柚子は、心の奥にある不安や苦しみを消し去ろうとしていた。それに気付いているのか、零士は何度も何度も柚子の名前を呼ぶ。
甘くせつない声で柚子の名前を呼ぶ。
「柚子…っ。柚子……」
首筋に自分のものだと印をつけた零士は、柚子の不安や苦しみを全部飲み込むように柚子の唇に吸い付いた。
「全部……、寄越せよ」
「……っ、な、なに」
「お前の不安、苦しみ……。全部受けてやる」
(どうしよう……。零士さんが好き。こんなこと言われて、好きが止まらない)
零士の背中に回した腕の力が一層強くなる。
「……れい…じさ……、あっ……、んっ!」
零士の腕が柚子の背中に回り、支えるようにしっかりと抱く。そしてそのまま反転した。
「自分の好きなように…、動け」
恥ずかしくて顔を赤くした柚子は零士の胸に唇を押し当てる。
「ほら、動けよ。俺は…、お前のだから」
零士の手は、柚子のお尻へと回る。柚子はゆっくりと身体を起こして零士を見下ろした。
「大丈夫。好きにして……いい」
ゆっくりゆっくりと、柚子は腰を動かしていく。その度に零士は気持ち良さそうに柚子を見上げた。
「……んっ」
「はぁ……っ」
その日は一晩中、ふたりの甘い声が部屋に響いていた──……。
◇◇◇◇◇
何度も抱き合って疲れ果てたふたり。零士が起きたのは10時頃だった。
「ん……」
2泊する予定でここを予約していた零士だけど、いくらなんでも寝すぎたと起き上がった。
隣では柚子がまだ眠っていた。
「ちょっと、ヤりすぎた……かな」
何度も何度も柚子の中に入っては出たりを繰り返していたから、身体がダルく起き上がれないのかもしれない。
「柚子」
優しく声をかけると、ゆっくり瞼が開く。
「おはよう」
まだ頭が覚醒してないのか、頭まで布団を被る。そんな柚子を見てふっと笑みを溢す。
「柚子」
そっと布団と剥ぐと眩しそうな顔をした柚子の手が延びてくる。
「うおっ」
そのままベッドに倒れ込んだ零士は柚子を抱きしめる。
「柚子」
抱きしめては名前を呼び、おでこにキスをする。
「そろそろ起きない?」
「……ん」
「柚子。柚子ちゃん?」
抱き合ってるこの時間もいいけど、せっかく海に来たから遊びたいと零士は柚子を誘う。
「ほら、起きて」
「……やだ」
「起きて。ハラも減ったし」
「だって……」
「ん?」
「動けない……」
一晩中抱かれていたから、柚子は動けなくなっていた。
「零士さんがいけないんだから…っ」
「でも、シて欲しかっただろ」
顔を真っ赤にした柚子はプイッとそっぽを向いた。
(そんなこと言えない……)
分かっていながらもそんなことを言う零士は意地悪だ。柚子はそんなことを言えるようなタイプではないって知っているのに言わせようとする。
「あんなに感じてただろ。それともまだ足りない?」
耳元で囁いて意地悪を言う。そしてそのまま耳を舐めた。
「……んっ、……やっ」
「柚子はここも弱いよね」
「もうっ!だめっ」
「ゴメンゴメン。さ、本当に起きよう」
柚子から離れた零士はベッドから抜け出した。
「ゆっくり着替えておいで」
そう言うと部屋を出ていく。柚子はまだベッドの中にいたい気分だったが、時計を見るとさすがに起きなきゃとゆっくりと起き上がった。
(ダルい……)
そう感じるのはやはり昨夜のことが原因。それは分かっている。
だけど昨夜のことは自分でも求めた結果だった。こんなことを思うなんて自分でも信じられないくらいだった。
あの件の後、零士は柚子に触れて来なかった。抱きしめることはあってもキスもセックスもしない。
本当に柚子を大切に大切に思っていた。
だけど、このリゾート地で解放されたのかお互いがお互いを強く求めてしまった。
「恥ずかしい……」
そう思うのだが、零士と一緒にいられる時間は何よりも幸福感を味わえる。抱かれている時は何も考えることはない。
ただ相手を求めるだけだった。
「はぁ……っ、あ……っ、はぁ……」
ふたりの甘い声が響く。
もうずっとベッドの中にいる。
お互い、繋がっていたいと言うように抱き合う。
「柚子……」
何度も名前を呼ぶ零士は大切にしているのが分かる。
「れ……いじ…っ」
零士の手は優しく柚子の身体に触れていく。
離れたくないと想いから零士にしがみつく。零士もまた離れたくないと柚子をきつく抱きしめる。
「挿入れるよ」と、柚子の中に入っていく。
零士の背中をきつく抱きしめる柚子は、心の奥にある不安や苦しみを消し去ろうとしていた。それに気付いているのか、零士は何度も何度も柚子の名前を呼ぶ。
甘くせつない声で柚子の名前を呼ぶ。
「柚子…っ。柚子……」
首筋に自分のものだと印をつけた零士は、柚子の不安や苦しみを全部飲み込むように柚子の唇に吸い付いた。
「全部……、寄越せよ」
「……っ、な、なに」
「お前の不安、苦しみ……。全部受けてやる」
(どうしよう……。零士さんが好き。こんなこと言われて、好きが止まらない)
零士の背中に回した腕の力が一層強くなる。
「……れい…じさ……、あっ……、んっ!」
零士の腕が柚子の背中に回り、支えるようにしっかりと抱く。そしてそのまま反転した。
「自分の好きなように…、動け」
恥ずかしくて顔を赤くした柚子は零士の胸に唇を押し当てる。
「ほら、動けよ。俺は…、お前のだから」
零士の手は、柚子のお尻へと回る。柚子はゆっくりと身体を起こして零士を見下ろした。
「大丈夫。好きにして……いい」
ゆっくりゆっくりと、柚子は腰を動かしていく。その度に零士は気持ち良さそうに柚子を見上げた。
「……んっ」
「はぁ……っ」
その日は一晩中、ふたりの甘い声が部屋に響いていた──……。
◇◇◇◇◇
何度も抱き合って疲れ果てたふたり。零士が起きたのは10時頃だった。
「ん……」
2泊する予定でここを予約していた零士だけど、いくらなんでも寝すぎたと起き上がった。
隣では柚子がまだ眠っていた。
「ちょっと、ヤりすぎた……かな」
何度も何度も柚子の中に入っては出たりを繰り返していたから、身体がダルく起き上がれないのかもしれない。
「柚子」
優しく声をかけると、ゆっくり瞼が開く。
「おはよう」
まだ頭が覚醒してないのか、頭まで布団を被る。そんな柚子を見てふっと笑みを溢す。
「柚子」
そっと布団と剥ぐと眩しそうな顔をした柚子の手が延びてくる。
「うおっ」
そのままベッドに倒れ込んだ零士は柚子を抱きしめる。
「柚子」
抱きしめては名前を呼び、おでこにキスをする。
「そろそろ起きない?」
「……ん」
「柚子。柚子ちゃん?」
抱き合ってるこの時間もいいけど、せっかく海に来たから遊びたいと零士は柚子を誘う。
「ほら、起きて」
「……やだ」
「起きて。ハラも減ったし」
「だって……」
「ん?」
「動けない……」
一晩中抱かれていたから、柚子は動けなくなっていた。
「零士さんがいけないんだから…っ」
「でも、シて欲しかっただろ」
顔を真っ赤にした柚子はプイッとそっぽを向いた。
(そんなこと言えない……)
分かっていながらもそんなことを言う零士は意地悪だ。柚子はそんなことを言えるようなタイプではないって知っているのに言わせようとする。
「あんなに感じてただろ。それともまだ足りない?」
耳元で囁いて意地悪を言う。そしてそのまま耳を舐めた。
「……んっ、……やっ」
「柚子はここも弱いよね」
「もうっ!だめっ」
「ゴメンゴメン。さ、本当に起きよう」
柚子から離れた零士はベッドから抜け出した。
「ゆっくり着替えておいで」
そう言うと部屋を出ていく。柚子はまだベッドの中にいたい気分だったが、時計を見るとさすがに起きなきゃとゆっくりと起き上がった。
(ダルい……)
そう感じるのはやはり昨夜のことが原因。それは分かっている。
だけど昨夜のことは自分でも求めた結果だった。こんなことを思うなんて自分でも信じられないくらいだった。
あの件の後、零士は柚子に触れて来なかった。抱きしめることはあってもキスもセックスもしない。
本当に柚子を大切に大切に思っていた。
だけど、このリゾート地で解放されたのかお互いがお互いを強く求めてしまった。
「恥ずかしい……」
そう思うのだが、零士と一緒にいられる時間は何よりも幸福感を味わえる。抱かれている時は何も考えることはない。
ただ相手を求めるだけだった。
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