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第5章
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大学の話を聞くのが、辛いと感じるようになったのは、沙樹から他の男の名前を聞くようになってからだった。
優のことは本当に嫌がってるのが分かる。それと同時に聞こえてきたのは、直純の名前だった。
「小坂くんが助けてくれたの」
その小坂くんが気になってしまっていた。学部が違うからあまり会うことはないと言っていたが、優の悪い噂を流し沙樹を助けたということが、気になってしまっていた。
(大人気ねぇな……)
隣で眠る沙樹の頬に触れ、抱きよせる。
「ん…」
と、沙樹の口から漏れる声にも愛しいと感じる。
(ここまで知らない誰かに嫉妬するなんて…)
自分は大人なのに、こんなにも子供じみた感情を持つことを、沙樹に知られたくなかった。
◇◇◇◇◇
沙樹が目を覚ますと、崇弘は既に起きていた。
(珍しい)
崇弘は寝坊の常習犯だ。毎回毎回、優樹菜からの鬼電がかかってくるくらいだった。
「タカちゃん。早いね」
リビングに行くと、甘い珈琲を飲んでいた。
「お砂糖、入れすぎじゃない?」
まだ砂糖を入れようとしている崇弘に、沙樹がそう言って止める。止めなきゃドンドン砂糖を入れてしまうのだ。
「お酒飲む癖に甘党なんだから…」
呆れた顔をして、キッチンへと向かう。
この頃の沙樹は、崇弘のマンションと零士から借りてるマンションを行ったり来たりしていた。その為崇弘のマンションには、沙樹の私物が増えていく。
「お仕事は?」
「ん。午後から」
「それなのな早いのね」
「なんか、な」
考え過ぎて眠れなかったことは、沙樹には言えない。嫉妬でおかしくなるくらいだと、情けなくて言えないのだ。
「沙樹。おいで」
呼び寄せると、自分の腕の中に納める。その行動に沙樹は驚いた。
「どうしたの?」
「いや。大丈夫」
崇弘の中にある思いを、沙樹が知ることはない。
「一緒に住もうか」
第5章 終
優のことは本当に嫌がってるのが分かる。それと同時に聞こえてきたのは、直純の名前だった。
「小坂くんが助けてくれたの」
その小坂くんが気になってしまっていた。学部が違うからあまり会うことはないと言っていたが、優の悪い噂を流し沙樹を助けたということが、気になってしまっていた。
(大人気ねぇな……)
隣で眠る沙樹の頬に触れ、抱きよせる。
「ん…」
と、沙樹の口から漏れる声にも愛しいと感じる。
(ここまで知らない誰かに嫉妬するなんて…)
自分は大人なのに、こんなにも子供じみた感情を持つことを、沙樹に知られたくなかった。
◇◇◇◇◇
沙樹が目を覚ますと、崇弘は既に起きていた。
(珍しい)
崇弘は寝坊の常習犯だ。毎回毎回、優樹菜からの鬼電がかかってくるくらいだった。
「タカちゃん。早いね」
リビングに行くと、甘い珈琲を飲んでいた。
「お砂糖、入れすぎじゃない?」
まだ砂糖を入れようとしている崇弘に、沙樹がそう言って止める。止めなきゃドンドン砂糖を入れてしまうのだ。
「お酒飲む癖に甘党なんだから…」
呆れた顔をして、キッチンへと向かう。
この頃の沙樹は、崇弘のマンションと零士から借りてるマンションを行ったり来たりしていた。その為崇弘のマンションには、沙樹の私物が増えていく。
「お仕事は?」
「ん。午後から」
「それなのな早いのね」
「なんか、な」
考え過ぎて眠れなかったことは、沙樹には言えない。嫉妬でおかしくなるくらいだと、情けなくて言えないのだ。
「沙樹。おいで」
呼び寄せると、自分の腕の中に納める。その行動に沙樹は驚いた。
「どうしたの?」
「いや。大丈夫」
崇弘の中にある思いを、沙樹が知ることはない。
「一緒に住もうか」
第5章 終
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