異世界転移したんだけど周りが全員過保護なホモだった件

メル

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足腰ガクブル★死神の吐息編

極悪人とは思えない

鑑定なんかするんじゃなかったぁぁぁぁ!! いや、鑑定してるから警戒出来るか!!
いやでも世界共通認識の凶悪盗賊団ってなに!?つまりヤバイ集団ね、そこまでは分かる。でもその頭!? 1番偉い人!? ひっ! るっ、ルークさぁぁん!! ああ駄目だ!! この人ルークさんよりレベル高いっ!!

いきなり挙動不審になった俺を見て、ガレは何かを察したように頷いた。

「ああ…、俺の事、鑑定したのか」

バレた★俺死んだ★
さよならリイサスさんルークさんジャックさんワーナーさん!! 俺は創造主の所へ参ります!!

「ご、ごごごごっ、ごめんなさいぃぃ……」

土下座をしようとして、ガレに止められる。

「構わん。俺もお前の事を鑑定したからな、コージローくん?」

にやぁと笑うガレさんに俺は失神寸前です…。
多分…色々バレたよな……。凶悪盗賊団の頭に…。うへぇ…。

「そんなに怯えるな。むしろ、本来なら俺の方が怯える立場なんだぞ。神の愛し子なんてヤベェ称号持ってる奴に攻撃して、おまけに助けて貰ったんだ。どうせお互いに素性はバレてんだから、自己紹介といこうじゃねぇか」

「は、はい…」

意外と…普通…? 凶悪、なんて言うもんだから滅茶苦茶ビビってたけど…。
ああでも、自己紹介……。いや、ここ限りの関係だし…もう会わないだろうから別に良いかな…?

「俺はガレ・プリストファー。知ってるだろうが、『死神の吐息』っつぅ盗賊団の頭をやってる。瀕死だったのは、騎士団に仮拠点まで追い詰められて、そこの団長と一騎討ちになったからだ。俺も致命傷を負ったが、相手もかなりの深手の筈…。まぁ、コージローには助けられたから、恩を仇で返すような真似はしねぇよ。だからビクビクすんな。困ってる事があれば協力するぜ。さぁ、次はお前だ」

濃いなぁ…。感謝はされてるみたいだけど…レベルがえぐいから怯えるなって言われても無理ぃ…。

「えっと、阿山康治郎です。異世界からやって来ました。他の人はコージって呼んでくれています。こっちの世界歴はまだ11日で、知り合った冒険者の人の家にギルドマスターと同居してます…。クエスト中に、ま、惑わしの霧? が発生してここに来ました。今頃ギルドマスター達が血眼になって探していると思います…」

ふぅん…と俺を見て何かを考えるガレ。
蛇っすね。大蛇っすね。で、俺は哀れなアマガエル…。

「……まぁ良いぜ。俺も騎士団から逃げる時にこの霧の中に飛び込んでここに来たんだ。こっちに来て11日ならまだ知らないか? …惑わしの霧って言うのはな、世界中で定期的に発生する転移霧なんだよ。ランダムな場所に現れてランダムな場所に飛ばされるんだ。幸い、この森は国内で俺の知ってる森だったから良かったが……コージが無事に帰れるかは分からねぇな。そのギルドマスターってのは、どこのギルドのだ?」

転移霧…? それに当たったのか?
…どんだけ不運なんだよ俺…! 立派な伝記が書けちゃいそうだよ…!

でも…ガレが思った以上に優しいんだよね。今も俺の帰りの心配をしてくれてるし…。

「オーディアンギルドってギルドです」

「…ああ、あの獣人か。なら王都に行けば関係者に預けられるな。王都がここから1番近い都だから…3日もありゃ行ける」

「み、みっか!?」

え、とおっ!! それでも1番近いの!? 俺に取っては日本が通常だから3日とか飛行機乗り継ぎの海外しか思い付かないよ!

「…? そう言えば、オーディアンギルドのギルドマスターって……冷血漢で有名だった気がするんだが…、今コージはどういう立場なんだ?」

……冷血漢? ルークさんが…?
……………そんなわけないって一瞬思ったけど……そう言えばリイサスさんはルークさんが恨みを買ってるって言ってた……。
…………………俺の知ってるルークさんは、嫉妬深くて2人きりになると甘えん坊。俺に耳としっぽをもふられるのが好き。可愛いものに目がなくて、近所の野良猫や野良兎をよく可愛がっている…。
けど、本当は? 周囲から見たルークさんって、一体どんな人なんだ?
…でもまぁ、1つだけ言える事があるとすれば…。

「……親しい知り合い全員に求婚されてる立場です」

あいつら全員ホモまたはバイって事だよな。うん、それは変わらぬ事実。

「……それは…その…、……大変だな」

…………………ぐすん。






********************


さて、気を取り直して俺とガレは、王都を目指す事にした!
万能属性を説明したので、水や食糧は俺が祈願魔法で出す。
魔物の退治やその解体、調理はガレが行う。
俺が『絶対防御』が使えるって言ったら、「そりゃあシャドウごときで勝てる訳ねェわ…」と苦笑していた。
さぁ目指すぞ王都! 早く帰らなきゃマジ監禁されるっ!

「なぁコージ、道中暇だから、異世界の事とかここに来るまでの事とか聞かせて貰ってもいいか? あと! …敬語は無しな」

歩きながら話し掛けて来るガレ。俺らの周りには『絶対防御』が身体のラインに沿うようにして張ってあるので、ちょっとなら気を抜いても大丈夫なのだ。

「分かりm…、分かった。…えっと、最初は……」

王都に着いたらどうせ別れるし…、と、俺はここまでの出来事を全て話してしまった。
死んだ時の事とか、家族の事とか、ルークさんやリイサスさん達のヤンデレっぷりとか全部を。





全てを話し終わる頃には日も傾き、ガレも興味深々! みたいな顔から、うわぁ…って顔に変わっていった。

「…………………苦労して来たんだな……。同性愛に慣れないうちに犯されて……」

「まったくだよ! くまさんだからって油断してたらぱくっといかれちゃったよ!! スライムから助けてくれたイケメンにも同居人のギルドマスターにもその2人から助けてくれたおじさま(笑)にも天才料理人にも迫られたよ!! 天使なんて言われて羞恥で叫びたかったよ!! この世界にはホモしかいないのかぁぁぁぁぁ!!」

「男女比が同じ世界ならそういう反応が普通なんだろうな…。コージの容姿はこっちではかなり可愛い方なんだぜ。コージのいた世界と違って、力仕事が多いから必然的に厳つい男も多くなるんだ」

「冷静に分析しないで! 俺だって男だし可愛いとか言われても落ち込むわ! しかもそれって見た目で好かれてるって事だろ!? 少女漫画気取るつもりはないけど中身重視しろよホモォ共!!」

魂の叫びが響いた。

「……いや、多分中身もちゃんと見てるぞ、そいつら。攻撃してきた奴を助けるくらいのお人好しなんてこの世界には中々いねェ。純粋っつーか…無邪気っつーか……、裏表のないコージの人柄に惹かれたんだろうよ」

「…………それはそれで恥ずかしい…」

俺の全部を知っているにも関わらず好きになってくれているんなら……え、待って超ムズいじゃん。誰を選べば良いんだ? いや、逆に誰も選ばないとか?

「…ルーク・アラウザとは、そんな人物なのか…? 前に見た時は……いや、コージにだけ甘いのかもな」

ガレがボソッと呟いたが、いきなり横切った風の音に遮られて、内容は聞こえなかった。

「だが……戻って大丈夫なのか? 俺がそいつらの立場なら、転移霧に拐われるようなドジッ子は誰にも見つからない所に監禁するぞ」

そうなんだよね~。帰っても普通に外に出してくれるのかどうかが不安…。
嫌いって訳じゃないし、むしろみんな好きだけど…正直帰りたくない。




「……………いっそ、このまま俺と旅するか?」

……ガレと?
深紫色の瞳で俺を見詰めながらガレが言う。

あまりにも真剣なガレの表情に、俺は即座に断る事が出来なかった。









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