異世界転移したんだけど周りが全員過保護なホモだった件

メル

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権力系ホモ★グリス王国編

ちちんぷいぷい正気に戻れ

 
 
 
「あわっ、あわわ、わわわわ…」
「…読めたようですね。はい、これで能力の確認を終わります。お疲れ様でした。では良い時間なので昼食に致しましょう。食堂で摂られますか?」
「は、はひ」
「では料理長に伝えておきます。……そんなに怯えないでください。何もしませんから」
「…な、な、なななななななんで」
「……後でお話しましょうか。二人きりで」
「ふ、ふたりきり!?」
「嫌ですか?」
「え、え~っとぉ…、その、あと一人くらいいても良いんじゃないかなぁって…」
「ガランを呼びましょうか。部屋の担当執事補佐なのでしょう?」
「あ、それなら安心…」
「待ってよ。何の話? 俺らから離れちゃいけないってリイサスさんに言われてたよね、コージ」

ブルーノ宰相が有無を言わせないようなニッコリ笑顔で迫ってきたが、ロイが口を挟んで止めてくれた。
ありがたい…。俺だけだったら流されちゃってたかも。

「惚れられるのには慣れているでしょう? 受け入れてはくれませんか」
「知り合ってまだ1日なんですが…」

俺の周囲は既にホモホモだから、もっとホモホモになっても別にもういいやって感じ。諦めの境地と言っても良いかも知れない。
…ただ、俺の周囲のホモホモワールドに加えるのには、ブルーノ宰相はちょっと交流が少な過ぎる。
つーかちょっと待て。どこで好きになられたんだ。つかなんで宰相さんが俺みたいなの好きになってんだ。しっかりしろ総理大臣。まずは貧富の差の改善に努めろ。

「なんで色々すっ飛ばして結婚になるんすか…! まずは友達からでしょ…!?」
「トモ…ダチ…?」
「気の許せる関係になる所からって事です! 第一王子様もあの愛妻欲しがりインテリメガネもブルーノ宰相も…、なんでこのお城には強引で即物的な奴ばっかりなんですか!?」
「…では、恋人から」
「人の話聞いてました? 恋仲になる前に親睦を深めましょうって言ったんですよ!!」
「親睦が深まれば結婚して頂けると」
「要検討させて頂きます!!!」

俺はNOが言える男…! ではない。首を斜めに振ったも同然の回答だ。
だけどこれで良いのだ。ここで拒絶しては、王国側との関係に傷が入ってしまうかも知れない。かと言って受け入れれば、ホモホモワールドのヤンデレ達が怖い。
だから俺は受け止める。相手の想いを受け止めて、ちゃんと考えて、答えを出す。それでも諦めない奴らがホモホモワールドのヤンデレと化すんだ。
……決してあやふやにしている訳じゃないんだぞ?

うん、これで良いのだ。
西から昇ったお日様が東に沈むけどこれで良いのだ!




********************



昼食を求めて移動中のコージくんでーす! ぽてぽて歩く廊下の後ろの方で、ブルーノ宰相と王国騎士団長が何やら揉めていますが無視していきます。聞こえないし。

「宰相。…何故、あのような事を」
「惚れたんですよ。いけませんか?」
「……やはり、洗脳か…」
「アルバート。貴方だってもう分かっているんでしょう。アヤマ様の魅力は天性の才能です。認めて貴方も実の弟と穴兄弟になってみては?」
「………宰相」
「そう怒らないでください。やはり弟の想い人を奪うような真似は出来ませんか?」
「…いえ……。ただ、アヤマ様を取り巻く連中を見ていれば…、どこか、宗教染みた感覚がして」
「創造主ゼロアの愛し子ですから、充分に宗教染みていますよ。1つの事に盲信するのは怖いですか」
「……戦場で信じられるのは己の腕のみです…。盲信するものがなくなってしまった際、自分は二度と立ち直れないでしょう…」
「ははぁ、失う事を恐れては恋など出来ませんよ。お見合い話が多く来ているのでしょう? アヤマ様の傘下に入れば、断りやすくなりますよ」
「…………宰相は、アヤマ様に惚れているのに…。ライバルになり得る存在は蹴落としておくべきでは…?」
「貴方は愛すべき戦友です。…それに、最後にあの子の隣で笑うのは私ですから」


…あーあー、何も聞こえなぁーい。
腹減ったから俺は激ウマ王城料理食べちゃうもんね! いっぱいもぐもぐしちゃうもんね!!
今日のメニューはなんだろな~!

「お疲れ様です、アヤマ様。ご昼食は食堂で摂られると伺っております。セキ様方は先に食堂でお待ちです」
「あっセバスさん! メニューは何ですか!?」
「それは見てからのお楽しみで御座います。先ほど、オーディアンギルドの料理人にアヤマ様の好みの料理や味付けを聞いて参りましたので、ご期待ください」
「え! ワーナーさんに!? …この短時間でどうやって…?」

でも、この1ヶ月ちょいの期間でワーナーさん、俺の好み完璧に把握してくれたからな! スッゲー楽しみ!!
るんるんスキップしちゃいそうな気分で食堂に足を踏み入れると、既にルークさん達がいて、席に着き何かお話をしていた。熊さんお耳がピクピク動いて、ルークさんが振り返る。
顔がぱぁぁぁって輝いて…。
うへへ、可愛い。熊なのにワンコみてー。でっけぇワンコ! もふもふは何でもカモンです!!
…宰相と王国騎士団長まで付いてきたのは謎だ。

「コージくん! お疲れ様。おいで!」

ドスドスと床が悲鳴を上げるのもお構い無しにルークさんが駆け寄ってくる。
半日ぶりの再会だ! もふもふを摂取させろー!!

「もふーっ!! ルークさん、お耳もふもふ…。尻尾ももふもふ……!!」
「はぅっ! ぐぅぅ…!!」

はわ…もふもふだ。圧倒的もふもふ。魅惑の熊さん。俺がもふもふしやすいように屈んでくれている…。優しい…。もふ…。
と、ここでカイルがルークさんの後ろからぬぅっとご登場。もふもふしている俺の頭をわしゃわしゃして、頬をもちもちして、撫で回している。
スキンシップが激しい。きっと寂しかったんだな、おーよしよし。カイルもワンコだもんな。もふもふは無いけど、ハグはしてやれる! でももうちょっとだけルークさんをもふ…。

「魔法やスキルの確認をしたんだろう? 何もされなかったか?」
「………………されてはない!」
「おいなんだその間は。何があった」
「べっ、別にぃ!? カイルには関係ねーし?」
「……宰相か」
「ぎくっ」

何故バレたし…。
勘が良すぎるぜカイル。そうだ、正解だよ宰相さんだよ。間接プロポーズされちゃったんだ。でも別に害は無いと思うし、過激な事はダメだからな。
そこで額に青筋立ててるルークさんも、眉を潜めるセキもセイも手ぇ出しちゃダメだからな!
ごめんちゃい宰相。俺が嘘が下手なばっかりに…。どうかこのヤンデレ達から逃げ延びて。

「宰相。お前、コージに何をした」
「何もしておりませんよ。ただ、心を読んで頂いただけです」
「は? …どういう事だコージ」
「えーっと、魔法の確認してた時に『人心掌握』でどーのこーの…。あ、許可は取ったぞ!」
「…コージに近付くな」
「それは出来ませんね。宰相なので」
「必要以上の接触は許さん。コージに不埒な感情を抱き近付くようであれば、こちらにも考えがある」
「近付いて良いかを決めるのはアヤマ様では?」
「決めさせるものか。考える暇など与えさせはしない」
「おやおや…、過保護にも程があるでしょうに」

本人を目の前に言っちゃうんだな、カイル。でも宰相さん、やっぱりおかしくなってると思うから、ちょっと距離開けて正気に戻ってもらおう。
これ以上のホモホモワールド拡大は俺もちょっと勘弁だし。

「コージはこれから食事だ。出ていけ」
「言われずとも、私とて仕事がありますので。ではアヤマ様、また後程」
「は、はい」

宰相さん、妖しい笑みを浮かべて、王国騎士団長と一緒に食堂を後にした。緑のコートを翻してカツカツと優雅に歩く後ろ姿、ビックリするぐらいカッコいい。アニメから飛び出してきたキャラみたいだ。
まぁあの人、心の中ヤベーんですけどね。
……はぁ~…。…疲れた。

「…クソッ、やはり惚れられたか」
「オウ、ロイ。何故止めなかった」

王国騎士団長とブルーノ宰相が見えなくなって、カイルが悪態を吐いた。セイが目を細めてオウとロイに文句を言う。

「だってねぇ、セイ。目の前で俺の見た事ない魔法が使われようとしてるんだよ~? 止められる訳ないじゃん?」
「うむ! 好奇心に負けたんだな!! ロイは何故だ!?」
「兄を説得していました。気付いたらコージがブルーノさんの心を読んでて…」
「つぅかセキだって多分止めないでしょ~? だって『人心掌握』だよ?」
「むぅ…! 確かに気になるな! コージ、俺の心を今読めるか!!」
「またあんな恐怖体験したくないからヤダ」
「コージ、どれだけの男を虜にすれば気が済むんだ? もう何人目か分かってるのか? お前の知らない所で俺がどれだけの男を追い払ったと?」
「コージくん、そろそろ1人に決めたらどうかね。私を選べば24時間365日もふもふ放題だよ」
「監禁されるっていう手もあるよ。だいじょうぶ。俺の家の地下は広いんだ。本もいっぱい用意してあげる。美味しいものも、楽しいものも、気持ち良いものも」
「ヤンデレ三銃士はお黙り!」

目が怪しいカイル、ルークさん、ロイの言葉に耳を塞いで、俺はさっさと椅子に座った。ふかふか素材がお尻に優しい。
まだギャーギャー言い続けるみんなは無視。両手で耳をピタッと押さえ付け、現実逃避なう。
俺は今、お地蔵様です。

「あっこらコージくん! ちゃんと聞ききたまえ!」
「俺悪くないもん。勝手に惚れられてるだけだもん」
「駄々っ子モードだ。可愛いが拗ねて目を合わせてくれなくなる」
「ほっほっほっ」

あっこらカイル! セバスさんに変な事教えちゃダメ!!

「コージくん、小さな車輪の音が聞こえる。料理が運ばれて来るようだ。石像のままでは食べられないよ?」
「ご飯…」

両手を耳から外してぎゅっと閉じた目をパッチリ開く。
十数秒経ってルークさんの言った通り、いっぱいの料理がサービスワゴンに乗って運ばれてきた。
あ、既に良い匂い。俺の好きな匂いだ。
香ばしいチーズにお肉…、焼きたてのブレッドと、味噌汁…。








味噌汁!!?






え? みそし…、え? まさかの和食? いや…、チーズと焼きたてほかほかブレッドの匂いがする…。でも味噌汁の匂いもする…。

味噌汁、本当にあるなら飲みたいな! 故郷の味だし。
あさりかなぁ…。豆腐かなぁ…。油揚げかなぁ…!

「…この香りは……」
「妙な匂いだ。香ばしいが…、……食い物とは思えん」

セキが高い鼻をサービスワゴンに向けて、同じく匂いを嗅いだカイルが嫌な事を言う。全日本人と味噌汁ファンの方々に謝ってほしい。
執事さんが俺達の前のテーブルに、銀食器に乗ったお皿を次々と置いていく。相変わらず芸術的なまでの美しい料理が目立つが、異彩を放つ料理がひとつ。
黒いお椀に見えるけど、内側は鮮やかな朱色。中を満たす液体は茶色で、白菜みたいな野菜と人参みたいな野菜がたっぷり入っている。
まるで冷蔵庫に余った野菜をぶち込んだような、日本でも俺の家でもよく見られたもの。


そう、やっぱり味噌汁だ。




********************


はぁい(* ̄∇ ̄)ノ
メルです。


お気に入り5000突破、ほんっっっっっとうにありがとうございます!!!!!!!
5000ですよ5000…。ヤバいですよ。すごいですよ!!



5000記念の番外編、書こうと思います。


感想 963

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