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0章 叶えられなかった約束
0話 誰も知らないお伽噺
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むかしむかしのことです。
とあるところの大陸に、たった一つ。周りの国と比べ物にならないほど、それはもう大陸を覆いつくすほど、大きな大きな国がありました。その国は本当に大きく、沢山の人が住んでいました。
高い知能を持った人間はもちろん、獣の力を持った獣人、魔物の力を授かった魔人、海に住まい海で泳ぐことを得意とした魚人など、本当に様々でした。
彼らの世界にぴったりと、鏡の鏡面のように張り付いた裏側の世界には、彼らをじっと見つめる魔物の世界があり、天には天使や神などといった超越した存在がいました。
あぁ、そうそう。人間の中でも特に魔法の素質が高いものは特別に「魔女」と呼ばれていました。
彼らの大きな国は、千年もの長い長い間、それはそれは仲良く仲良く争いごともなく平和に暮らしていました。
ある時のことです。
それは本当に突然で、蟻の巣をうっかり踏んづけてしまったように本当に小さな小さなことでした。
人間は獣人と敵対し、魔人は獣人と敵対し、人間の中でも魔女は迫害され、魚人と人間は対立をしました。それはそれは長く醜く、大規模な戦争になりました。
何年、何百年。
人々は殺され、建物は燃やされ、書物は灰になり、逃げ惑う人にも火の粉は襲いました。多くの人を犠牲にして、多くの文明を消し去って。何年、何百年と続いた戦争は、ようやく終結を迎えます。そう、数えきれない犠牲の上に。
和解という形で、それぞれの種族が各々国を立てて同盟を組んだのです。人間は人間の国。獣人は獣人の国。魔人は魔人の国。魚人は魚人の国。それぞれが尊重し合い、ずっと昔、仲が良かった時のように、仲直りをしようと。仲間はずれや、危害を加えることもなく、ずっと昔のように仲良くしようと。
四国はそう決めたのです。
しかし、人間の中でも「魔女」だけは人間の国にいることを望まれませんでした。それどころか、「魔女」だけの国を作ることも、各々の国は認めませんでした。
哀れな魔女たちは、各地を転々として、今でも彷徨っていると言われています。人間に紛れ、自分の正体がバレることに怯えながら……。自分以外の種族に憎しみを抱きながら――。
この大きな大陸の名前を、世界樹と言います。今では四つの国に分かれてしまった、とてもとても大きな大陸の名前です。
「あぁ、見つけた」
「何にするの」
「決まってるだろう、この世界をいつか」
「……いつかって今じゃなきゃダメなの」
「じゃあ、今にしよう」
「案外、人に指図されるのが好きなのね」
「そんな事はないさ」
「本当に?」
「本当に」
「神様に誓っても?」
「……僕は神様を信じてないけど」
「だから誓えないと?」
「そんな事は言ってないだろう!」
「ふふっ、では誰に誓う?」
「……君に誓おう。僕は必ず、この世界を統一してみせる。ばらばらのこの世界を、僕のこの手で支配してみせよう」
「私はそれを見届ける」
「おいおい、それだけなのかよ」
「では私は、世界中の本を読み漁って、君の手助けをしよう。君の良き相棒として、決して離れたりはしない」
遠い世界のお伽話。
彼らが自らの使命を忘れてしまった――。
そんな遠い遠い時代の神話の話。
とあるところの大陸に、たった一つ。周りの国と比べ物にならないほど、それはもう大陸を覆いつくすほど、大きな大きな国がありました。その国は本当に大きく、沢山の人が住んでいました。
高い知能を持った人間はもちろん、獣の力を持った獣人、魔物の力を授かった魔人、海に住まい海で泳ぐことを得意とした魚人など、本当に様々でした。
彼らの世界にぴったりと、鏡の鏡面のように張り付いた裏側の世界には、彼らをじっと見つめる魔物の世界があり、天には天使や神などといった超越した存在がいました。
あぁ、そうそう。人間の中でも特に魔法の素質が高いものは特別に「魔女」と呼ばれていました。
彼らの大きな国は、千年もの長い長い間、それはそれは仲良く仲良く争いごともなく平和に暮らしていました。
ある時のことです。
それは本当に突然で、蟻の巣をうっかり踏んづけてしまったように本当に小さな小さなことでした。
人間は獣人と敵対し、魔人は獣人と敵対し、人間の中でも魔女は迫害され、魚人と人間は対立をしました。それはそれは長く醜く、大規模な戦争になりました。
何年、何百年。
人々は殺され、建物は燃やされ、書物は灰になり、逃げ惑う人にも火の粉は襲いました。多くの人を犠牲にして、多くの文明を消し去って。何年、何百年と続いた戦争は、ようやく終結を迎えます。そう、数えきれない犠牲の上に。
和解という形で、それぞれの種族が各々国を立てて同盟を組んだのです。人間は人間の国。獣人は獣人の国。魔人は魔人の国。魚人は魚人の国。それぞれが尊重し合い、ずっと昔、仲が良かった時のように、仲直りをしようと。仲間はずれや、危害を加えることもなく、ずっと昔のように仲良くしようと。
四国はそう決めたのです。
しかし、人間の中でも「魔女」だけは人間の国にいることを望まれませんでした。それどころか、「魔女」だけの国を作ることも、各々の国は認めませんでした。
哀れな魔女たちは、各地を転々として、今でも彷徨っていると言われています。人間に紛れ、自分の正体がバレることに怯えながら……。自分以外の種族に憎しみを抱きながら――。
この大きな大陸の名前を、世界樹と言います。今では四つの国に分かれてしまった、とてもとても大きな大陸の名前です。
「あぁ、見つけた」
「何にするの」
「決まってるだろう、この世界をいつか」
「……いつかって今じゃなきゃダメなの」
「じゃあ、今にしよう」
「案外、人に指図されるのが好きなのね」
「そんな事はないさ」
「本当に?」
「本当に」
「神様に誓っても?」
「……僕は神様を信じてないけど」
「だから誓えないと?」
「そんな事は言ってないだろう!」
「ふふっ、では誰に誓う?」
「……君に誓おう。僕は必ず、この世界を統一してみせる。ばらばらのこの世界を、僕のこの手で支配してみせよう」
「私はそれを見届ける」
「おいおい、それだけなのかよ」
「では私は、世界中の本を読み漁って、君の手助けをしよう。君の良き相棒として、決して離れたりはしない」
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彼らが自らの使命を忘れてしまった――。
そんな遠い遠い時代の神話の話。
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