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エピローグ:大地と共に
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建国から、五年。
フロンティア国は、大陸で最も豊かで、最も平和な国として、その名を不動のものとしていた。
女王リナと、彼女の夫となったレオンの間には、レオン譲りの黒髪と、リナ譲りの好奇心旺盛な瞳を持つ、元気な王子が生まれていた。
ある晴れた日の午後。
リナは、幼い息子を腕に抱き、夫のレオンと共に、黄金色に輝く麦畑の中をゆっくりと歩いていた。
ざあっと風が吹き抜けると、麦の穂がさざ波のように揺れ、豊かな土の匂いと、街のパン屋から漂ってくる香ばしいパンの焼ける香りが、風に乗って運ばれてくる。
「……いい匂い」
リナが幸せそうに目を細めると、隣を歩くレオンが優しく微笑んだ。
「ああ。この国そのものの匂いだ」
腕の中の息子が、きゃっきゃと声を上げて、麦の穂に小さな手を伸ばす。
「この子が大きくなる頃には、この国はもっと豊かになっているかしら」
「お前がいれば、必ずそうなる」
レオンの言葉に、リナは「もう、買い被りすぎよ」と笑って見せたが、その心は温かい幸福感で満たされていた。
追放された悪役令嬢。
全てを失ったあの日から、私の本当の人生は始まった。
自らの手で土を耕し、種を蒔き、たくさんの仲間と出会い、そしてかけがえのない家族を得た。
失うことは、得ることの始まり。
あの日の絶望があったからこそ、今の私がいる。
リナは立ち止まり、どこまでも広がる黄金色の麦畑を見渡した。
「ここが、私の国。私の、家族」
風が、彼女の髪を優しく撫でる。
その満ち足りた笑顔は、大地に降り注ぐ太陽の光のように、明るく、そして力強く輝いていた。
悪役令嬢と呼ばれた少女は、こうして、世界で一番の幸福を手に入れたのだった。
フロンティア国は、大陸で最も豊かで、最も平和な国として、その名を不動のものとしていた。
女王リナと、彼女の夫となったレオンの間には、レオン譲りの黒髪と、リナ譲りの好奇心旺盛な瞳を持つ、元気な王子が生まれていた。
ある晴れた日の午後。
リナは、幼い息子を腕に抱き、夫のレオンと共に、黄金色に輝く麦畑の中をゆっくりと歩いていた。
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「……いい匂い」
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「ああ。この国そのものの匂いだ」
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「この子が大きくなる頃には、この国はもっと豊かになっているかしら」
「お前がいれば、必ずそうなる」
レオンの言葉に、リナは「もう、買い被りすぎよ」と笑って見せたが、その心は温かい幸福感で満たされていた。
追放された悪役令嬢。
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リナは立ち止まり、どこまでも広がる黄金色の麦畑を見渡した。
「ここが、私の国。私の、家族」
風が、彼女の髪を優しく撫でる。
その満ち足りた笑顔は、大地に降り注ぐ太陽の光のように、明るく、そして力強く輝いていた。
悪役令嬢と呼ばれた少女は、こうして、世界で一番の幸福を手に入れたのだった。
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