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第11章:陰謀を暴け
リリアナとの協力体制が整い、私たちは早速、凶作の原因究明と対策に乗り出した。私が各地の土を分析し、リリアナがその情報をもとに土地の浄化を行う。その効果は絶大だった。浄化された土地では、枯れていた作物が少しずつ元気を取り戻し始めたのだ。
だが、事を進めるうちに、私はある不自然な点に気づいた。土壌から特定の栄養素が失われる速度が、あまりに人為的なのだ。まるで、誰かが意図的に土地を汚染しているかのように。
その疑念は、クロードがもたらした情報によって確信に変わった。
「セレスティーナ、どうやらこの凶作、ただの天災じゃなさそうだ。マルクス辺境伯が、隣国のガルニア帝国から、正体不明の『魔法の粉』を大量に密輸入しているらしい」
間違いない。その『魔法の粉』こそが、土地から栄養を奪い、病害菌を活性化させる元凶だ。マルクス辺境伯は、隣国と通じ、自国の農業を壊滅させることで王家の権威を失墜させ、その混乱に乗じて実権を握ろうと企んでいたのだ。なんという売国奴!
「レオナルド殿下、証拠は揃いましたわ」
私は王城に駆け込み、レオナルドに全ての事実を報告した。彼は静かに私の話を聞き終えると、冷たく、しかし強い怒りを宿した瞳で言った。
「……奴らを、決して許すな」
計画はすぐに立てられた。黒幕であるマルクス辺境伯を捕らえるための、壮大なお芝居だ。
数日後、私は王都の『陽だまりの食堂』で、豊作祝いと称した大規模なパーティーを開いた。もちろん、マルクス辺境伯をはじめとする、敵対派閥の貴族たちも招待して。
彼らは、私が何かを掴んでいるとは露知らず、のこのことパーティーにやってきた。
「これはこれは、セレスティーナ嬢。大層なご活躍ですな。しかし、その成功も長くは続きますまい」
マルクス辺境伯が、嫌味たっぷりに話しかけてくる。
私は優雅に微笑んで返した。
「あら、辺境伯様。ご心配には及びませんわ。だって、凶作の原因はもう突き止めましたもの。原因は、ガルニア帝国から持ち込まれた、この『魔法の粉』ですわよね?」
私が懐から取り出した小袋を見て、辺境伯の顔色が変わる。
パーティー会場の雰囲気が一変し、緊張が走る。
「な、何を言うか! 証拠でもあるのか!」
動揺する辺境伯に、私は最後の切り札を切った。
「証拠なら、ここに。あなたの腹心の方が、全てお話ししてくださいましたわ」
会場の扉が開き、現れたのは辺境伯の側近と、商業ギルドの服を着たクロードだった。クロードが、買収という得意技で側近を寝返らせていたのだ。
「ま、まさか、裏切ったのか!」
狼狽する辺境伯。その時、店の外がにわかに騒がしくなった。
「マルクス辺境伯! 国家反逆の容疑で逮捕する!」
突入してきたのは、武装した王国騎士たち。その先頭に立っていたのは、いつもの農作業着ではなく、かつての騎士の鎧に身を包んだ、アッシュの姿だった。彼は、私を守るように前に立つと、鋭い眼光で辺境伯を睨みつけた。
観念した辺境伯とその一派は、次々と捕縛されていく。その様子を、物陰からこっそりと見ていたレオナルドが、満足げに頷いていた。
見事な連携プレイ。私がおとりになり、クロードが内情を探り、アッシュが力で制圧し、レオナルドが全体を指揮する。
こうして、王国を揺るがした食糧危機の裏に隠された巨大な陰謀は、私たちの手によって、完全に白日の下に晒されたのだった。
だが、事を進めるうちに、私はある不自然な点に気づいた。土壌から特定の栄養素が失われる速度が、あまりに人為的なのだ。まるで、誰かが意図的に土地を汚染しているかのように。
その疑念は、クロードがもたらした情報によって確信に変わった。
「セレスティーナ、どうやらこの凶作、ただの天災じゃなさそうだ。マルクス辺境伯が、隣国のガルニア帝国から、正体不明の『魔法の粉』を大量に密輸入しているらしい」
間違いない。その『魔法の粉』こそが、土地から栄養を奪い、病害菌を活性化させる元凶だ。マルクス辺境伯は、隣国と通じ、自国の農業を壊滅させることで王家の権威を失墜させ、その混乱に乗じて実権を握ろうと企んでいたのだ。なんという売国奴!
「レオナルド殿下、証拠は揃いましたわ」
私は王城に駆け込み、レオナルドに全ての事実を報告した。彼は静かに私の話を聞き終えると、冷たく、しかし強い怒りを宿した瞳で言った。
「……奴らを、決して許すな」
計画はすぐに立てられた。黒幕であるマルクス辺境伯を捕らえるための、壮大なお芝居だ。
数日後、私は王都の『陽だまりの食堂』で、豊作祝いと称した大規模なパーティーを開いた。もちろん、マルクス辺境伯をはじめとする、敵対派閥の貴族たちも招待して。
彼らは、私が何かを掴んでいるとは露知らず、のこのことパーティーにやってきた。
「これはこれは、セレスティーナ嬢。大層なご活躍ですな。しかし、その成功も長くは続きますまい」
マルクス辺境伯が、嫌味たっぷりに話しかけてくる。
私は優雅に微笑んで返した。
「あら、辺境伯様。ご心配には及びませんわ。だって、凶作の原因はもう突き止めましたもの。原因は、ガルニア帝国から持ち込まれた、この『魔法の粉』ですわよね?」
私が懐から取り出した小袋を見て、辺境伯の顔色が変わる。
パーティー会場の雰囲気が一変し、緊張が走る。
「な、何を言うか! 証拠でもあるのか!」
動揺する辺境伯に、私は最後の切り札を切った。
「証拠なら、ここに。あなたの腹心の方が、全てお話ししてくださいましたわ」
会場の扉が開き、現れたのは辺境伯の側近と、商業ギルドの服を着たクロードだった。クロードが、買収という得意技で側近を寝返らせていたのだ。
「ま、まさか、裏切ったのか!」
狼狽する辺境伯。その時、店の外がにわかに騒がしくなった。
「マルクス辺境伯! 国家反逆の容疑で逮捕する!」
突入してきたのは、武装した王国騎士たち。その先頭に立っていたのは、いつもの農作業着ではなく、かつての騎士の鎧に身を包んだ、アッシュの姿だった。彼は、私を守るように前に立つと、鋭い眼光で辺境伯を睨みつけた。
観念した辺境伯とその一派は、次々と捕縛されていく。その様子を、物陰からこっそりと見ていたレオナルドが、満足げに頷いていた。
見事な連携プレイ。私がおとりになり、クロードが内情を探り、アッシュが力で制圧し、レオナルドが全体を指揮する。
こうして、王国を揺るがした食糧危機の裏に隠された巨大な陰謀は、私たちの手によって、完全に白日の下に晒されたのだった。
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