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第九話 夏休みが始まる 後編
しおりを挟む晴れていた空は機嫌を悪くし雨を降らせ始めた、会長の別荘に走って行く羽目になった。
激しくなり始め土砂降りだ、こりゃ完全にずぶ濡れだ。
「お前達、見えて来たぞ、あれがわたくしの別荘だ!」
木材で建築された二階建ての建物、大きな円い窓が特長で緑色の屋根が目立つ。
急いで別荘の中へと避難した。
「ふに~、ずぶ濡れだよ~。かなめちゃん、お姉ちゃんを抱いて温めて!」
「さて、着替えないとな」
「無視しないで~!」
たく、まいるよ姉貴には。それにしてもよく降るよな、周りの風景が雨で見づらくなっている。みんなも持参していたタオルやハンカチで濡れた体を拭いていた、俺も荷物からバスタオルを取り出して拭う。
あれ?
気のせいかな、人数が足りない様な気がする。えっと、ここには会長と副会長、皆川先輩と先輩の彼氏と弟、姉貴とめいが居て……。
「姫……ちゃんは?」
居ない? まさか、世話しなく視界は捜索に打ち込むが姫ちゃんが見当たらない。
外はどうだと出てみるがやはり居ない。
「か、会長! 姫ちゃんがいません!」
「何! まさか迷ったのか? やばいぞ、ここら辺は野犬が出るし、民家からだいぶ離れた場所に建っているから暗くなったら道が分からなくなる!」
姫ちゃんが危ないって言うのか、俺は無我夢中で雨の中を走った。
姉貴の呼び止める声を聞かずに。
「かなめちゃん行っちゃダメだよ!」
「馬鹿! 戻って来い後藤! ……くそ、この辺りを知らないくせに。政史、お前は連れて来た事があるからここら辺は知ってるな、わたくしと探しに行くぞ!」
「分かりました」
「後のみんなはここで待っていろ、下手に動いて迷ったら大変だからな」
降り続ける雨、その粒が大きく痛い。
姫ちゃん、無事でいてくれ!
何度も心でそう繰り返しながら疾走する。もう全身ずぶ濡れだったがそんなのは関係ない、姫ちゃんがいないと分かった時、自然に身体が動いた。
彼女のために。
「何処にいるんだよ、無事でいてくれ!」
何処を探そう、この辺りはよく知らない。取りあえず最初の分かれ道まではなんとか覚えている、そこに向かうことに。
天候は相変わらずの不機嫌、雨に濡れて震えていなけりゃ良いけど。
そんな心配をしていると最初の分かれ道までやって来れた。
「はぁ、はぁ、んん……こっちの道行ってみるか?」
分かれ道のもう一つの方へ進もうとした時、道に何かが落ちているのを発見。
「これはハンカチだ。これって姫ちゃんのか?」
それは灰色のハンカチ、見た目から女の子が使う様なものじゃないなと、思ってしまった。
でも、もしこれが姫ちゃんのだったら、こっちの道に行ったって事になる。
意を決し、俺はそっちの道へと走り出す。そこは木々が生い茂る道、奥に行くにしたがって道らしい道が無くなり始め、もう足元は草そのものだった。
「本当にこっちにいるのか?」
いくらなんでもここまで着たら普通は引き返すだろう。
でも、もしもって事も有り得る。
だから進もう。
ある程度進んだ時だ、道の下が斜面になっている事に気付く、まさかとの直感が視線を下へ。
そこに、見慣れた人物がいた。
「姫ちゃん!」
「……ふぇ! かなめ……さん? かなめさんだ! かなめさんです!」
斜面の途中、ちょうど真ん中辺りにいた。見つかった安堵で力が抜けそうだったが、彼女の身体中泥だらけで地面をはいずりながら登って来ている姿を見て足に力が入る。
この雨だ草に足を取られて滑り落ちたのだろう、全身泥だらけで、せっかくの綺麗な黒髪が汚れてしまっていた。
すぐに駆け付け、手を差し延べ上に引っ張りあげた。
「姫ちゃん大丈夫!? どこか怪我して無い?」
「えっと……足が……」
痛がってさすっている足を見てみる事にした、真っ赤に腫れ上がり膨らんでいる。これは痛そうだ、歩けないだろう。
真剣な眼差しで痛んだ足を見詰めていると俺は気がついた。
姫ちゃんが泣いている。
「姫ちゃん?」
「ぐす……うう……ボッ、ボク、動けなくて、このまま……ぐす、こんなところで死んじゃうんじゃ無いかって思って……うう……あ、ありがとうです。ボクを見つけてくれて、うう……」
あふれる涙、よほど寂しくて心細かったんだな。
いつも明るくて優しい姫ちゃん。そんな彼女しか知らない俺は、違う一面を初めて見ているんだな。
泣かないでくれ、笑った顔が一番似合ってるのに。
いとおしくて無意識に姫ちゃんを抱き締めていた。
「もう大丈夫、……大丈夫だから」
「かなめ……さん……うう、うえええええん!」
子供の様に泣いていた、俺の服をしっかりと掴んで。しばらくそのまま時間が経過して行った。
少しの時間だったがなんとか落ち着いて来たらしい。泣く声が聞こえなくなる。
「……ありがとうです、かなめさん」
「お礼なんかいいよ。無事でよかった……あ」
冷静になる思考、目の前、吐息がかかる距離、そこに姫ちゃんがいる現実。
瞬時に姫ちゃんから距離を取る。
「わ、わあ! ごごごめん! 馴れ馴れしいことして!」
「いえ、そんな事ないで……」
『にゃ~ん』
あれ、猫の鳴き声? 何処から聞こえるんだ?
声を手繰ると姫ちゃんの服の中から漏れていた。
「忘れてました! ニャンコさん、出て来て良いですよ」
上着の端を持ち躊躇なく捲った。そこから猫が飛び出したのだが、中が丸見えに!
「うわぁ! み、見えてるよ!」
「ふぇ? ……きゃ! み、見ちゃ駄目ですかなめさん!」
姫ちゃんは真っ赤にしながら急いで服を元に戻していた。
「ご、ごめん! ……あの聞いても良い? どうしてそんなところに猫がいるの?」
「えっと、迷う前に仲良しさんになって、雨が強くなり始めたらニャンコさんが寒そうにしていました。だから少しでも寒さを和らげようとして服の中に。そうしないと可哀相だと思……くちゅん!」
不謹慎だけど可愛らしいくしゃみだと思ってしまう。
俺の馬鹿、早く戻らないと姫ちゃんが風邪引いてしまうじゃないか!
「別荘に早く行こう! 姫ちゃん、俺の背中に」
「え! でも……ご迷惑ですよ」
「そんな事ないさ! 早く! 風邪引いてしまうよ?」
躊躇していたがなんとか承諾させて俺の背中に持たれかかる。おんぶする事になるなんて想像した事なかったな。
立ち上がると姫ちゃんって軽いなと失礼な事を思ってしまう。またか、俺の馬鹿野郎!
「かなめさん、重くありませんか?」
ここからじゃ表情は見えないが少し声が震えている、多分、顔を赤くして恥ずかしがっているのかな?
「重くないよ。よし、行くよ」
足元に気を付けて進む、雨はさっきから強さを増して行ってる、ヤバイな俺も風邪を引いちゃうかも。
雨音をBGMに道なき道を歩いていると不意に姫ちゃんが話しかけて来た。
「やっぱり男の子なんですね、かなめさんは。ボクをおんぶして歩けるなんてカッコいいです!」
「はは、ありがとう。姫ちゃんに言われると余計に嬉しいよ」
「ほぇ? ボクが言うと余計に嬉しいですか? なんででしょうか?」
変な事言っちゃったかな? なんでってそりゃあ姫ちゃんが好きだからと堂々と発言できたならな、臆病な俺は言えなかった。俺のふぬけ。
「……内緒」
「あ、ひどいです! かなめさんの意地悪です!」
『にゃん、にゃん!』
猫がそうだ、そうだって言ってるみたいだな、猫は姫ちゃんの頭の上にいるし。ここら辺の猫かな? まぁいいか。
ようやく最初の分かれ道まで来る事が出来た。反対側へと歩きだすが心配事が一つ。
行き道、覚えてるかな?
「あれ? かなめさん、浮かない顔してます。どう……くちゅん! うう、どうかしたんですか?」
「え!? いや、何でもないよ、それより早く行かないとね」
「はい。……あの、このニャンコさんのお名前を決めてなかったんですけど、考えたので、聞いてもらえますか?」
猫の名前か、どうやら自信満々らしい、姫ちゃんは猫の名前を発表した。
「ニャンコさんのお名前は『ポチ』さんです!」
「え! タマじゃないの!」
犬に付ける超有名な名前だ。
「姫ちゃん……普通は犬に付ける名前なんじゃい?」
「かなめさんは分かってないですね~、常識に囚われていたら周りが見えません! と、お母様が言ってました。絶対ポチさんが良いと思うんです! どうですか、かなめさん!」
「……ま、まぁ、個性的な名前だし……良いんじゃないでしょうか?」
同意すると嬉しかったのかネコあなたは今日からポチさんですよと話しかけていた。
そんな訳で猫の名前はポチで決定みたいだ、別にいいよな猫にポチって付けても。
そんな余談を話しながら進むが雨は止まないし、夜まで降るかも知れない。
「くちゅん! うう、寒いです」
『にゃん』
「もう少しだから、待って……」
言葉が喉に引っ掛かる。目の前にいる物体が原因だ、呻き声をあげながら俺達を睨む。
そいつは野犬、目の前に犬が二匹いた。
「嘘、い、犬だ……うめいてるし、まさか俺達を襲う気なのか?」
「あぅ、ボクが足を怪我してなかったら、なんとか追い払えるのに……」
『ぐるううう!』
低く呻く、いつ飛び掛かって来てもおかしくない状況だ。刺激しない様にじっとしているしか出来なかった。
もし逃げようとしたら飛び掛かって来る可能性も否定できない。姫ちゃんをおんぶしているんだ逃げ切れる自信は悔しいが俺には無い。
「どうしましょう、全部ボクのせいです。ボクが道を間違えなきゃ……」
「違うよ、姫ちゃんは悪くない! 絶対だ! そんな訳ない! だから自分を責めないで」
『にゃ~ん』
どうするこの状況、ただ止まっていても何も解決しない。最悪襲われたら彼女に被害が出ないように体を張るしかない。
思考を回転させていると一匹の犬が突然襲いかかって来る。
もうダメだ!
むき出す歯、真っ直ぐこちらを狙い飛ぶ。噛まれる覚悟を決め歯を食い縛る。
だがこちらには来ず犬が吹き飛ぶ。
『きゃいん!』
吹き飛んだ犬は地面に倒れ込み身体をピクピクさせて気絶していた。
一体何が起きたんだ? その原因は目の前にいた、金色の長い髪のあの人。
「か……会長!」
「会長さんです!」
「無事か二人とも!」
我らが防衛生徒会の会長である宝条院聖羅が犬に蹴りを食らわせ飛ばしたのだ。
すごい、犬を一撃で倒すなんて。
そうだ、会長は空手が得意なんだったな。
「この馬鹿者共め! 柳刃! あれほどちゃんと後を付いて来いと言っただろうが! 後藤! わたくしが行くなと言ったのに言う事を聞かなかったな!」
「「ご、ごめんなさい!」」
俺たちはガタガタと震えながら同時に謝った。怖い、今までで一番会長が怖い!
「まったく! ……だが、そのおかげで見つかったんだな、よくやったな後藤、無事でよかったぞ柳刃」
「会長……」
ニコリと柔らかな笑顔を俺達に向けてくれた。いつもわがままで自己中な会長がこれほど逞しく思えるなんて。
でもまだ終わっていない、もう一匹の犬がうめいて会長を睨んでいる。
「会長! まだ一匹……」
「分かっている! さて、よくもわたくしの生徒会のメンバーを危険にしてくれたな! このワンコ、かかって来い!」
『ぎゃわん!』
犬は眼前の敵に飛び掛かる、会長は素早い動きでくるりと後ろを向く、いや違うこれは遠心力を利用した技、回転蹴りだ!
遠心力を味方に付け威力を増した蹴りが見事に犬にヒット、犬は吹き飛び気絶した。
金色の髪が雨にもかかわらず、靡いた。
「わたくしに挑むなど、十年と半年足りなかったな」
はて、その半年は一体どんな意味があるんだ?
そんな疑惑が頭に浮上していたが危険から脱したらしい。
「わぁあ! 会長さんはやっぱりすごいです! ボク、また尊敬し……くちゅん!」
「くしゃみか、柳刃は可愛らしいくしゃみをするんだな、取りあえず早く来い、風邪を引くぞ」
こうしてようやく姫ちゃんと俺は別荘に辿り着く事が出来た。その少し後、副会長が戻って来る、ようやく緊張の糸が切れるな。
「ふに~! お姉ちゃんは心配だったんだよ~! こんなに濡れちゃって、お姉ちゃんのラブなハグをしてあげちゃう!」
姉貴が真横で騒ぎ出す、またか、などと思いながら無視してやった。
「めい、荷物にタオルあったろ、取ってくれ」
「ふに~! また無視ですかぁ~! お姉ちゃん、泣いちゃうぞ~!」
「もう兄さん、姉さんを泣かせないの! ウブだね」
「誰がウブだ!」
タオルで濡れた身体を拭き、着替える事にした。会長に着替えられる場所を聞くと隣りを使っていいらしい。
「早く着替えないと風邪だな」
「ふに~! それは大変! お姉ちゃんが着替えを手伝って……」
「めい、今度何か買ってやるから、姉貴が入ってこない様にしろ」
「本当兄さん! 姉さん、ちょっと良い? 話があるの」
「ええ、むーー仕方ないなあ」
めいを味方につけると頼もしい限りだ、残念そうな顔の姉貴を引き離していく。現金なんだよなめいの奴、ああでも言わないと言う事きかないんだよな。
はぁ、兄としての威厳がないなとは、溜め息ばかり出る。
「会長、言われた通りお風呂沸かしましたよ」
「すまないな皆川、柳刃やわたくしが風邪を引きかけてしまったからな温まらないと……さて、ついでだこのまま女子全員風呂に入るぞ! 風呂も女子全員が入るくらい広いから大丈夫だ!」
「……あ、あの会長、どうして全員なんです?」
皆川先輩に言われて会長は裸の付き合いだ! と叫び、ここにいる女子を全員を無理矢理風呂場へと連れて行った。
「みんな連れて行っちゃったよ会長、さっきまで格好よかったんだがな」
そんな事を言っていると、皆川先輩の彼氏である佐波先輩が俺に話し掛けてきた。
「えっと、後藤君だっけ? ろくな挨拶して無かったからな」
「かなめで良いですよ、よろしくっす佐波先輩」
「俺も峻でいいぞ、なんなら峻ちゃんでもいい」
ちゃんはちょっとな、取りあえず峻先輩でいいかな。峻先輩と俺と副会長、そして皆川先輩の弟は男同士、いろいろとたわいも無い話しで盛り上がった。
そんな最中、峻先輩がとんでもない事を口走る。
「なぁ、風呂覗きに行かない?」
「なっ、なな何言ってるんですか!」
「佐波くん、君は非常識な人間ですね!」
副会長と俺は意見が一致、同時に峻先輩を非難する。
「分かってないな、こう言うのはなお約束なんだよ……まぁ、心はまだ分からないよな?」
「峻~、なんの話し~?」
皆川先輩の弟の心くんは訳が分からないようだ。そりゃあ当たり前だよ、まだ子供だから。
「まぁいいか、じゃあかなめ、二人で友情を確かめ合おう」
無理矢理俺の肩を掴み連れ出された。
「やっ、やめてくれ~!」
外へと出て裏へと回り込み、風呂場の窓が確認できる。
「峻先輩、やっぱりまずいですって!」
「し~! 声がでかい! ……いいか、もうお前とは共犯だ、今見つかればその先に待つのは死、だからあきらめろ」
呆れてきた。皆川先輩、よくこんな人と付き合ってるよな、絶対いつも皆川先輩に無理な事ばかり言ってる様な気がする。
ゆっくりと窓へと近付き、とうとう窓の真下までやって来てしまった。
「先輩、皆川先輩にバレたらどうするんですか? 嫌われますよ」
「ふふ、かなめはまこちゃんの事を知らないんだな、こんな事では嫌われないさ、ただ……殺されるだろうけどね」
殺されると言った瞬間、峻先輩の顔が曇った。殺されるならやめたらいいのにと言ってやると、妙な回答が。
「馬鹿野郎! お前はそれでも男か! 男のロマンを知らず、男だとは名乗れないぞ!」
何を言ってんだこの人は。
ああ、俺は何をしているんだろうな、こんな土砂降りの中エロい先輩と女湯を覗こうなんて。情けない、自分が情けないぞ。
後悔していると中の女子達の声が漏れ出してきた。
「や、柳刃! お前、意外に胸でかいな!」
「きゃいん! か、会長さん! 揉まないでください~! エ、エロっちいのは二十歳からです~! ひゃう!」
俺の精神に大ダメージが炸裂、か、会長! なんてうらやま……じゃない、なんて事をしているんだ!
「会長、柳刃さん怪我人なんですから、あんまり激しくしない方が……」
「なんだ皆川、お前も揉まれたいのか?」
「どうしてそうなるんで……きゃあ! ちょっと会長! あう!」
ヤバイよ、やっぱり引き返さないと。こっそりと帰ろうとしたが、峻先輩に止められてしまう。
「馬鹿野郎! 今、いい所じゃないか! 逃げるな!」
誰かこの人を止めてくれ!
「聖羅会長、あたしの姉さんは爆乳ですよ!」
「ふに~! めいちゃん変な事言わないの! お姉ちゃんの胸はねかなめちゃんの物なの! それにかなめちゃんを誘惑する女狐の一派に絶対触らせないんだから!」
何を馬鹿な事を言ってるんだ姉貴の奴、本当にどうしてこんな姉貴になってしまったんだろうな?
昔からそうだったんだよな、小さい頃からすごく俺を可愛がってくれた。優しい姉貴、小さい頃は本当に大好きだったな。今でも好きだよ、家族として。
「……なぁ、後藤の姉さん、一つ聞きたいのだが、何故あんなに弟が好きなんだ?」
会長が俺の疑問に触れる質問を姉貴に渡す。
さて、姉貴はなんて答えるのだろうな?
「そうだね、あたしも知りたいよ、姉さん! あんな女男のどこが良いの?」
「もう、めいちゃん! 仮にもかなめちゃんはめいちゃんのお兄ちゃんなんだよ! そんな事言ったら、めっ! だよ! ……まりあがどうして、かなめちゃんを好きでいるのか、ちょっとだけ話しちゃおっかな?」
なんでこんな姉貴になったのか謎が解けるのか? 耳を澄まし、姉貴の言葉に耳を傾ける。
「あれはまだ、かなめちゃんが生まれた頃の話し。まりあがまだ小さな頃、まりあは甘えん坊でパパとママにべったりだった。そんな時かなめちゃんが生まれて二人はかなめちゃんばっかり可愛がっていたの……羨ましかった、小さかったまりあはかなめちゃんが嫌いだったんだ、パパとママを独り占めにする邪魔者って思ってたんだよ」
そんな事を思っていたのか。確かに親が自分より弟ばかりを可愛がるなんて、寂しいし、羨ましいだろうな。
めいが生まれた時、そんな事を思った時期があったな俺も。
「そんなある日ね、かなめちゃんがハイハイからやっと立って歩ける様になった頃、かなめちゃんが羨ましくて腹立たしくなって……突き飛ばした。どうしてまりあのパパとママを取るのって思いながら。それが原因である事故が起こるの」
「事故? 姉さん、一体どんな事故が起きたの?」
「……突き飛ばした勢いで、かなめちゃんは尻餅を付いたの、その衝撃で近くにあったテーブルの上からガラスのコップが落ちて来て地面で粉々になったの。そしてね……かなめちゃんはそのまま後頭部からガラスの破片の中に倒れた。床に血が広がっていったの……」
そうか、だから俺の頭の裏に傷跡があったんだ。いつも不思議だった、頭の裏を手で触ると傷跡の感触が指に伝わった。
そんな事があったなんて。
「幸い、浅い怪我ですんだんだけどね……あの時怖かった、まりあが突き飛ばしたせいでかなめちゃんが死んじゃうんじゃないかって思った、あんなに血が出ていたから、怖くて、怖くて……身体の震えが止まらなかった。本当は弟を守るのがお姉ちゃんの役目、それなのにまりあはかなめちゃんを傷つけた。
きっと、かなめちゃんはまりあの事を嫌いになったって思ったんだ、意地悪して傷つけて、きっともうまりあを嫌いになる、そう思ってたんだけどね……包帯を頭に巻いたかなめちゃんはね、病院の治療が終わって帰って来たときゆっくりと立って、まりあまで歩いて来るの! そして、まりあの前で笑ってくれた。
あんなに悪い事をしたのに、かなめちゃんは笑ってくれた……嬉しかった、同時に申し訳なさがあふれて泣きながら謝ったんだ、それでも笑ってた」
姉貴が少し涙ぐんでいるみたいだ。少し声が震えている。
「それから、かなめちゃんが大好きになったんだ、自分も、ちゃんとしたお姉ちゃんにならないといけない、そう思って良いお姉ちゃんになろうって決めたんだ……あんな馬鹿な事を二度としないよ、まりあは……あっ、めいちゃんだって、同じくらい好きだからね!」
「姉さん……」
いつも何かと俺を心配し、可愛がってくれた姉貴、二度と過ちを起こさないと小さな姉貴はその時に成長したんだな。
意外な一面を知って驚きを覚える俺がいたが、少し嬉しい。普段は心配な姉貴だが、ちゃんとした姉だと分かって嬉しかった。
「……あれ? 姉さん、今の話で姉弟として兄さんを好きなのは分かったよ、でも異性としてなんで兄さんを好きなの?」
そうか、今の話はあくまで家族としての好きだ。今までの姉貴の行動は危ない物ばかりだ。異性として俺を意識しているのか?
「んっふふふ~、お姉ちゃんは最初に言ったはずだよ? かなめちゃんを何で好きなのか、ちょっとだけ話すって。だから、ちょっとだけ話したの! かなめちゃんの良さは、一日じゃあ語り尽くせないの!」
「……あっそう」
めいの奴は呆れている様だった。
「かなめ、お互い姉の事で悩まされるな、分かるぞその気持ち」
「峻先輩、姉がいるんですか?」
「ああ、いるよ。それがまた大酒飲みの姉でな、いつも大変なんだよ」
先輩も苦労しているんだな、分かりますよ、姉貴やめいの事でどれだけ嫌なめに合ったか。
ああ、考えただけで憂鬱になる。でも、楽しくて退屈しない家族だ、あいつらと居ると毎日大変だが一緒で良かったと思える。
「さてと、帰りましょうか先輩」
「逃げるな!」
「ちっ、やっぱりダメだったか……本気で覗くんですか?」
一応訊いてみるが、返って来る返答は多分決まっているな。
「当たり前だ!」
ほらね。
「大体かなめ、お前は女の身体に興味が無いのか?」
「わたくし達の裸を目に焼き付けたいらしいな?」
「そうさ! 桃源郷といっても過言ではないあの未知の世界をこの眼に…………わたくし? 今、誰が言った?」
冷や汗がドッと発生する。まさか、いや、現実なんだ。
上へと視線をやると宝条院聖羅が窓を開けて俺達二人を睨み付けている。
ああ、血の気が引いていく。
「か、かかか、会長!」
「二人に質問だ、こんな場所で何をしているんだ?」
会長の顔が無表情だ、怖い。
怒った顔より何を考えているか分からない顔の方がもっと怖い!
「あ、あのですね、これには海より更に深い訳がありまして……」
「ほぉお、その海より更に深い訳という奴を聞こうじゃないか」
「し、峻先輩がお風呂を覗こうと言ってですね、俺は無理矢理、連れてこられました」
「な! かなめ、覗くの楽しみだと叫んでたじゃないか!」
「叫んでない!」
「後藤、それは深い理由とは言わない……ただ、断り切れなかっただけだろう? まぁいいか、どうせ死ぬんだからな」
今さらりと死ぬって言ったぞ? どうやら俺の人生はここまでみたいだ、ああ、短い人生だったな。
「かなめちゃんがそこにいるの? 一緒にお風呂入ろ~!」
「姉さん駄ぁ目ぇ~! 今、窓から顔出したら、姉さんの事だから胸丸出しで出るに違いないんだから!」
「はぅ! 胸丸出しですかぁ! ダメですよ! エロっちいのは二十歳から……あ! かなめさんのお姉さんは二十歳過ぎてました! ……じゃあ良いですね!」
風呂場の全員が良くないと叫んでいた。その声に驚き、姫ちゃんは困った様に猫のポチに助けを求めていた。
ちなみにポチはニャンと鳴くだけ。
「しゅーの馬鹿! バレない様にするのが覗きでしょ!」
「皆川、怒るところがずれてるぞ? さて、そこで待っていろ地獄に送ってやる!」
「ひぃいいい! ごめんなさい、会長!」
「会長さんよ、話し合おうじゃないか、俺は地獄の門は見たけど中まで見たくないって!」
動揺して峻先輩は訳の分からない事を言ってるな、そして着替えて来た会長が、俺達の目の前に!
さらば、俺の人生!
昨日は死んだな。いろんな技をやりだされ、そして会長の回し蹴りで意識が無くなった。でも、なんとか命がある、今日を迎えられた幸運だ!
「何をニヤニヤしているんだ後藤? まだしごき足りなかったのか?」
「いいえ! あれで反省しました!」
「あはは、兄さんいい気味!」
めいの声は無視して、今、俺達は別荘の近くの川に来ている。会長が川遊びをしてから、ここでバーベキューをすると言い出した。
まぁ、楽しそうだと素直に思う。たまにはいい案を出すんだな会長も。
姫ちゃんはまだ足が治って無いから、キャンプで使う折り畳み式のイスに座っていた。
「姫ちゃん、足まだ痛む?」
「昨日よりは痛くありません、あ~あ、ボクも川遊びしたかったです」
「それは仕方が無いだろう、自業自得だ柳刃、その代わり後藤を話し相手にしていろ。後藤、バーベキューの仕込み任せるからな」
「……俺、遊びは無しですか?」
「何か文句でもあるのか? それとも、実行犯の佐波みたいに別荘中の掃除が良かったか?」
「頑張って、仕込みやります!」
会長に詳しい事情を話した時、佐波が一番悪いと断言し別荘の掃除をさせられている。皆川先輩は私意外の女の裸を見ようとした罰! と掃除を承認。
「さて、材料を串に刺すか」
「あ、ボク手伝います、やる事がなくて、暇なんです」
「……じゃあお願いしようかな」
姫ちゃんは頭にポチを乗せながらイスに座り肉や野菜を串に刺す。俺はその隣りで一緒にやる。幸い、姉貴はめいと川遊びに夢中、姫ちゃんと二人っきりの場所を見たら大変だろうな。
「かなめさん、こんな感じで良いですか?」
「うん、俺より上手だよ」
「えへへ、褒められちゃいました」
可愛らしく笑う、その笑顔を見ているだけで温かな気持ちになる。姫ちゃんとの貴重な二人きりの時間、とても穏やかに流れていた。
さて、焼き始めるかな。バーベキュー用の網に炭を入れて、火を起こそうとするがなかなか付かない。
「かなめさん、ボクがやりましょうか?」
姫ちゃんが火を付けうちわで風を送ると火が炭に付いた。
「上手いね姫ちゃん!」
「あはは、ありがとうです、かなめさんに褒められると嬉しいです」
俺に褒められると嬉しいって、なんかそんな事を聞くと、姫ちゃんを意識しちゃうな。
深い意味はないのだろうけど時々ドキッとする様な事を言うんだよな、本人は気付いているのかな?
「……かなめさん? ボクの顔に何か付いてますか? ずっと見つめてますけど」
「へ? あ、えっと……なんでもないよ!」
どうやら自覚はないらしい。
「さ、さて、焼き始めようか」
「はい、頑張ります!」
温まった網の上に、さっき肉や野菜を刺した串を並べて行く、火力も充分、直ぐに焼けるだろうな。
「姫ちゃんって肉とか好き?」
「う~ん、どちらかと言うと、ボクはお肉より、お魚が好きですね。あっ、でも、お肉も食べますよ」
「後藤、焼けたか?」
会長が川遊びから戻りバーベキューの様子を見に来た。もうすぐ焼けると伝えると他のみんなを呼び、集まって来る。
「兄さん、上手に出来た? 食中毒にはならないよね?」
「めい、嫌なら食べなくて良いんだぞ?」
「あたしを餓死させるきなの? それでも実の兄なの? 信じられない」
ああ言えばこう言う、めいの奴め、憎たらしい事を言うのに関しては天才だな。
もう呆れを超えて関心してしまうよ。
「良いな~、めいちゃんばっかり、かなめちゃんにかまってもらっちゃって、お姉ちゃんうらやましいぞ~!」
「姉さん、あたしがかまってあげてるのよ、兄さんがどうしてもって言うからしょうがなくあたしが……」
「へぇ、かまってもらっちゃってありがとうございますだな、めい……覚悟は出来ているか?」
「この程度で怒ったの? 兄さん、器が小っちゃいね、もうミクロンサイズ!」
この野郎め、教えてやるぞ、お前だけが姉貴を操れると思うなよ?
「姉貴、めいが俺をいじめる……」
シュンとした声で姉貴に訴える。ちょっと情けないが、これで鬼神を呼び覚ます。
「ふに~! 可哀相! 大丈夫だよ! お姉ちゃんがめいちゃんを、めっ! ってするからね? コラめいちゃん! こっちに来なさい! お説教だよ!」
「や、やめて! くそ! 女男め! 必ず復讐……」
何かを言いかけためいのほっぺたを引っ張り、姉貴は妹をどこかへと連れて行く。
姉貴ってある意味怒ると怖い、その怖さはもうすぐ分かるだろう。森の茂みから姉貴とめいの声が聞こえて来る。姉貴の説教、どんな物かと言うと、次の通りだ。
「だから、あたしは何も悪い事してないの! 兄さんが嘘を言って……」
「めいちゃん! かなめちゃんはお姉ちゃんに嘘は言わないの! 絶対そうなの! 必ずそうなの! 反省の色無し、お姉ちゃんのお仕置の時間が参りましたよ!」
「ひゃあ! ご、ごめんなさい!」
怯えるめい、だが無情にも姉貴のお仕置が開始される。
「お仕置、行っきま~す!」
「や、やめ……うぎゃああああ!」
何が起きているのかと言うと姉貴は健康マニアだ、いつもいろんな健康器を買っては使っている。その姉貴は足つぼマッサージが得意、その痛さは尋常を超えている。
昔、小さい頃に珍しく俺が怒られた事があった。理由は道路でサッカーで遊んでたからだ。危険でしょ! と、叫びながら足つぼを受けた。あれは地獄だったな。
「ごめんなさいは?」
「ひゃあ! うぎゃああああ! ごめんなひゃい! あうう!」
あのめいもこれだけには勝てない。
「かなめちゃん~! お姉ちゃんがいっぱい、いっぱいお仕置しておいたからね! もう大丈夫! だから……ご褒美のチューちょうだい!」
「それは無しだ」
「ふに~……残念」
めいはまだ痛みで立てないみたいだ、うずくまって震えていた。ありゃあしばらくは動けないな。
「かなめさん、焼けたみたいですよ」
「本当? よし食べるか、腹減ったな」
「に、兄さん……ふ、不本意だけど、謝るから……動けない、助けて」
不本意って言うのが気になるが、まぁいいか、めいも散々な目に合わせてやったからな、それで充分だ。
めいを抱き抱えてみんなの元へと戻る。めいをうらやましそうに見つめる姉貴はほっといて、みんなでバーベキューを楽しんだ。
後から佐波先輩と一緒に付き合っていた皆川先輩も合流、いろいろあったが、来て良かったと思った。
こうして夏休みが始まって行く。
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