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第一部 スプリングシリーズ
第8話 Exh.1 Phase.Ⅱ part.2
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「君たち、うちのことそんなに嫌いかい?」
現れたのは、スタンプラリー同好会のユイと調だった。
結果としては天文部を救う形になったが、生徒会が過半数以上のダメージを与える前に介入することで、生徒会側の討伐ポイントが確定するのを未然に防ぐことが目的ではあった。
現時点で粕久の核は残り7層、景の核は残り8層。まだ討伐までは遠い。しかし、ここで二人分の討伐ポイントをみすみす生徒会に与えては、フェーズⅠでせっかく手にした勢いを失いかねないと判断したのだ。
「うちの会長はイケメンに弱くってねぇ」
「うちの会長だって充分イケメンでしょうが」
気怠そうな調の冗談に、美妃が少しムキになって返す。
「それはそれは、失礼しました~。じゃあここからは、両方ともわたしたちの敵ってことで」
調のその一言を皮切りに、フェーズⅠに引き続き三つ巴の様相を呈す。
美妃もユイも、天文部の攻撃によって既にダメージが入っている。どちらかと言えば粕久が行動不能なうちに、天文部が与えたよりも多くのダメージを相手に与えておきたいのが互いの本音だった。
そして同じく真琴も天文部からのダメージを既に受けている。ここで景がさらなるダメージを真琴に与える前に、調がそれを上回るダメージを与えておきたい。
スタンプラリー同好会からすれば、天文部が行動不能のこの状況は、三つ巴に見えて実質的に一対一なのだ。
「調ちゃん、リラちゃんに似てきたねぇ」
「それは褒め言葉として受け取っておきますよ」
軽口を叩きながらも、真琴は内心ではそれほど余裕はなかった。
フェーズⅡまでのメンバーで言えば、調はスタンプラリー同好会でもナンバー2の戦力。新人とはいえユイも前衛としての能力は申し分ない。しかし真琴と美妃はどちらかと言えば防衛戦に向いたステータス、アビリティ構成で、彼女らに本格的に攻められると防戦一方に追い込まれる可能性が高い。
じりじりと削られた挙句に撤退を迫られるとなれば、そもそもここで無理に戦闘するメリットがない。だがここで退いてしまえば、無防備になった天文部の二人をむざむざスタンプラリー同好会に差し出すだけだ。
こちらに利のない戦闘だとわかっていても、相手に利を与えないためにはこのまま抵抗を続けるしかなかった。
雪葵と美瑚の全力の索敵の甲斐あり、誰よりも先にドラゴンの出現地点に到達できたアイは、取得しているアビリティの中から最も効果的な武器を選び出す。
アイは武器アビリティから派生する技術的なアビリティをほとんど取得しておらず、代わりに何種類もの武器アビリティを取得している。武器そのものが持つ特性と自身の身体能力だけで相手と渡り合えるという自信と、実際にそれで渡り合ってきた経験が、そのスタイルを確立させていた。
今回アイが選んだのは薙刀。美瑚の情報では恐らく黄竜ということだったので、超接近戦を強いられる武器を避けた。
実際、アスファルトを突き破って地中から現れた巨大なドラゴンの鱗の色は黄色。夜の闇の中で、体表面付近で弾ける火花や稲妻に照らされ、幻想的に輝いて見える。システムログにも、[黄竜 攻撃ランク14 防御ランク16 核耐久値200層]の表示が出た。
「って、核200!? こいつはまた、大物だな――」
アイは思わず笑いが出てしまう。
出現するドラゴンの能力はランダムで決まるが、核の耐久値200はその上限値だった。この200ある耐久値を、四チームの中で最も多く削るか、トドメの一撃を刺すか、もしくはその両方か。ドラゴンの討伐においてポイントを得られる条件はそれしかない。
だが、大物であればあるほど彼にとってはやりがいはあり、気分が高揚してくるものだった。
クラウン・スフィアにおいて、各チームメンバーには役割を明確化するための“ポジション”というものが設けられている。各ポジションには特殊な効果が設定されており、アイが任されている“竜殺し”のポジションは、ドラゴンの討伐時にボーナスポイントが付与され、さらに討伐したドラゴンの能力の一部を引き継げるという効果がある。ただでさえ強力なメンバーがさらなる力を手にすることになり、その後の戦局は大きく変わる。だからこそ、各チームはこぞってドラゴンの討伐に力を入れるのだ。
黄竜は、外骨格が変形してできた大きな大砲のようなものが背中についているのが大きな特徴で、そこから高出力のレールガンを射出する。体表面からは常に電磁波を出し、直接触れるとダメージを受ける。近距離も遠距離も攻撃手段を持つ厄介な相手だった。
他のチームの“竜殺し”はまだ到着していない。今のうちにと、アイは薙刀を構えて大きく跳び上がる。
ドラゴンには急所や弱点のようなものは基本的にないが、死角から攻撃することで反撃を受けにくくなる。アイは薙刀を振るってドラゴンの背後、尻の辺りを斬りつけるが、ダメージとしては大したことはない。だが、手数の多さこそ、アイの本領。
薙刀の攻撃のクールタイム中に武器を切り替え、片手斧を取り出す。それを投擲し、命中した瞬間に再び武器を持ち換えて、今度は大きな両手斧を取り出して振り下ろした。
通常は攻撃時に武器固有のクールタイムが存在する。このクールタイムはステータスによっていくらか短縮することが可能だが、ほぼゼロになるほど縮めることはできない。ただし、この武器の持ち換えによって武器のクールタイムがリセットされる仕様になっており、武器を切り替え続けることによってクールタイムをほとんど無視した連続攻撃が可能になってしまっているのだ。
今のところこれはクラウン・スフィア運営より修正されていないが、実質的にアイしかその仕様の穴を突くことができていないので、修正が必要と判断されていないのだろうと言われていた。
両手斧の一撃が決まると今度は一旦距離を取り、アサルトライフルに切り替えて、移動しながらの射撃で核を削る。
今の数秒の間の連続攻撃に、ドラゴンもアイをターゲットと認識して、のそのそとその巨体の向きを変えた。たったそれだけの行動でも、周囲の施設には大きな被害が出た。電柱は折れ、住宅は損壊し、アスファルトもひび割れて歪んでいる。ドラゴンが動いた跡は、ほとんど瓦礫の山のような状態になってしまっていた。
そしてようやく、ここで他チームの“竜殺し”が到着した。姿を見せたのは図書委員会のウェル・アンヴーニュ、スタンプラリー同好会の天乃星流の二名だった。
「遅かったなぁ、お前ら。先に始めさせてもらってるぜ。あれ、副会長様はまだか?」
生徒会副会長の点花だけはまだ現着していなかったが、ウェルも星流もそんなことには興味ないと互いに武器を取り出し、黙々とドラゴンにダメージを与えていく。
「つれないなぁ、お前ら。協力しようぜ?」
「どの口が言う、このノン協調性野郎が。くれぐれも、僕の邪魔をするな。邪魔するなら向こうにしろ」
ウェルに冷たくあしらわれ、彼がちらと視線を向けた先の星流にも、べーっと舌を出されてしまった。ここに来ても孤立無援状態のアイをフォローするように、個別通信が入る。
『副会長は少し離れたところに待機してるよ。たぶん遠距離から射撃で応戦するつもりじゃないかな。流れ弾にだけ気を付けて』
雪葵が狙撃ポイントに到着し、周囲の索敵を再開していたらしい。彼のその推測通り、北西方向からの狙撃でドラゴンにダメージが入った。恐らく今のは点花による攻撃だろう。
今回のドラゴンは、自身の体表面付近での電磁波攻撃と、超遠距離射程のレールガンによる超火力砲撃の二つがメインの攻撃になっている。そのため遠距離からの射撃で応戦する点花はレールガンで狙われ、超近距離での重火力攻撃を主体とする星流は電磁波攻撃の反撃ダメージを受け、なかなか攻撃を通しにくくなっている。
その分、リーチのある戟を主力武器にするウェルと、自在に武器を使い分けるアイの二人がドラゴンへのダメージを分け合う形になっていた。
するとその時、突如ドラゴンに大きなダメージが入る。
北東の方角からキラキラと輝く高火力のエネルギー砲が放射され、その勢いでよろけたドラゴンの足元が多段式に何度も爆発したのだ。
「どうも面倒なのがこっちに来てるみてぇだな……よりにもよって、琴音リラか」
現れたのは、スタンプラリー同好会のユイと調だった。
結果としては天文部を救う形になったが、生徒会が過半数以上のダメージを与える前に介入することで、生徒会側の討伐ポイントが確定するのを未然に防ぐことが目的ではあった。
現時点で粕久の核は残り7層、景の核は残り8層。まだ討伐までは遠い。しかし、ここで二人分の討伐ポイントをみすみす生徒会に与えては、フェーズⅠでせっかく手にした勢いを失いかねないと判断したのだ。
「うちの会長はイケメンに弱くってねぇ」
「うちの会長だって充分イケメンでしょうが」
気怠そうな調の冗談に、美妃が少しムキになって返す。
「それはそれは、失礼しました~。じゃあここからは、両方ともわたしたちの敵ってことで」
調のその一言を皮切りに、フェーズⅠに引き続き三つ巴の様相を呈す。
美妃もユイも、天文部の攻撃によって既にダメージが入っている。どちらかと言えば粕久が行動不能なうちに、天文部が与えたよりも多くのダメージを相手に与えておきたいのが互いの本音だった。
そして同じく真琴も天文部からのダメージを既に受けている。ここで景がさらなるダメージを真琴に与える前に、調がそれを上回るダメージを与えておきたい。
スタンプラリー同好会からすれば、天文部が行動不能のこの状況は、三つ巴に見えて実質的に一対一なのだ。
「調ちゃん、リラちゃんに似てきたねぇ」
「それは褒め言葉として受け取っておきますよ」
軽口を叩きながらも、真琴は内心ではそれほど余裕はなかった。
フェーズⅡまでのメンバーで言えば、調はスタンプラリー同好会でもナンバー2の戦力。新人とはいえユイも前衛としての能力は申し分ない。しかし真琴と美妃はどちらかと言えば防衛戦に向いたステータス、アビリティ構成で、彼女らに本格的に攻められると防戦一方に追い込まれる可能性が高い。
じりじりと削られた挙句に撤退を迫られるとなれば、そもそもここで無理に戦闘するメリットがない。だがここで退いてしまえば、無防備になった天文部の二人をむざむざスタンプラリー同好会に差し出すだけだ。
こちらに利のない戦闘だとわかっていても、相手に利を与えないためにはこのまま抵抗を続けるしかなかった。
雪葵と美瑚の全力の索敵の甲斐あり、誰よりも先にドラゴンの出現地点に到達できたアイは、取得しているアビリティの中から最も効果的な武器を選び出す。
アイは武器アビリティから派生する技術的なアビリティをほとんど取得しておらず、代わりに何種類もの武器アビリティを取得している。武器そのものが持つ特性と自身の身体能力だけで相手と渡り合えるという自信と、実際にそれで渡り合ってきた経験が、そのスタイルを確立させていた。
今回アイが選んだのは薙刀。美瑚の情報では恐らく黄竜ということだったので、超接近戦を強いられる武器を避けた。
実際、アスファルトを突き破って地中から現れた巨大なドラゴンの鱗の色は黄色。夜の闇の中で、体表面付近で弾ける火花や稲妻に照らされ、幻想的に輝いて見える。システムログにも、[黄竜 攻撃ランク14 防御ランク16 核耐久値200層]の表示が出た。
「って、核200!? こいつはまた、大物だな――」
アイは思わず笑いが出てしまう。
出現するドラゴンの能力はランダムで決まるが、核の耐久値200はその上限値だった。この200ある耐久値を、四チームの中で最も多く削るか、トドメの一撃を刺すか、もしくはその両方か。ドラゴンの討伐においてポイントを得られる条件はそれしかない。
だが、大物であればあるほど彼にとってはやりがいはあり、気分が高揚してくるものだった。
クラウン・スフィアにおいて、各チームメンバーには役割を明確化するための“ポジション”というものが設けられている。各ポジションには特殊な効果が設定されており、アイが任されている“竜殺し”のポジションは、ドラゴンの討伐時にボーナスポイントが付与され、さらに討伐したドラゴンの能力の一部を引き継げるという効果がある。ただでさえ強力なメンバーがさらなる力を手にすることになり、その後の戦局は大きく変わる。だからこそ、各チームはこぞってドラゴンの討伐に力を入れるのだ。
黄竜は、外骨格が変形してできた大きな大砲のようなものが背中についているのが大きな特徴で、そこから高出力のレールガンを射出する。体表面からは常に電磁波を出し、直接触れるとダメージを受ける。近距離も遠距離も攻撃手段を持つ厄介な相手だった。
他のチームの“竜殺し”はまだ到着していない。今のうちにと、アイは薙刀を構えて大きく跳び上がる。
ドラゴンには急所や弱点のようなものは基本的にないが、死角から攻撃することで反撃を受けにくくなる。アイは薙刀を振るってドラゴンの背後、尻の辺りを斬りつけるが、ダメージとしては大したことはない。だが、手数の多さこそ、アイの本領。
薙刀の攻撃のクールタイム中に武器を切り替え、片手斧を取り出す。それを投擲し、命中した瞬間に再び武器を持ち換えて、今度は大きな両手斧を取り出して振り下ろした。
通常は攻撃時に武器固有のクールタイムが存在する。このクールタイムはステータスによっていくらか短縮することが可能だが、ほぼゼロになるほど縮めることはできない。ただし、この武器の持ち換えによって武器のクールタイムがリセットされる仕様になっており、武器を切り替え続けることによってクールタイムをほとんど無視した連続攻撃が可能になってしまっているのだ。
今のところこれはクラウン・スフィア運営より修正されていないが、実質的にアイしかその仕様の穴を突くことができていないので、修正が必要と判断されていないのだろうと言われていた。
両手斧の一撃が決まると今度は一旦距離を取り、アサルトライフルに切り替えて、移動しながらの射撃で核を削る。
今の数秒の間の連続攻撃に、ドラゴンもアイをターゲットと認識して、のそのそとその巨体の向きを変えた。たったそれだけの行動でも、周囲の施設には大きな被害が出た。電柱は折れ、住宅は損壊し、アスファルトもひび割れて歪んでいる。ドラゴンが動いた跡は、ほとんど瓦礫の山のような状態になってしまっていた。
そしてようやく、ここで他チームの“竜殺し”が到着した。姿を見せたのは図書委員会のウェル・アンヴーニュ、スタンプラリー同好会の天乃星流の二名だった。
「遅かったなぁ、お前ら。先に始めさせてもらってるぜ。あれ、副会長様はまだか?」
生徒会副会長の点花だけはまだ現着していなかったが、ウェルも星流もそんなことには興味ないと互いに武器を取り出し、黙々とドラゴンにダメージを与えていく。
「つれないなぁ、お前ら。協力しようぜ?」
「どの口が言う、このノン協調性野郎が。くれぐれも、僕の邪魔をするな。邪魔するなら向こうにしろ」
ウェルに冷たくあしらわれ、彼がちらと視線を向けた先の星流にも、べーっと舌を出されてしまった。ここに来ても孤立無援状態のアイをフォローするように、個別通信が入る。
『副会長は少し離れたところに待機してるよ。たぶん遠距離から射撃で応戦するつもりじゃないかな。流れ弾にだけ気を付けて』
雪葵が狙撃ポイントに到着し、周囲の索敵を再開していたらしい。彼のその推測通り、北西方向からの狙撃でドラゴンにダメージが入った。恐らく今のは点花による攻撃だろう。
今回のドラゴンは、自身の体表面付近での電磁波攻撃と、超遠距離射程のレールガンによる超火力砲撃の二つがメインの攻撃になっている。そのため遠距離からの射撃で応戦する点花はレールガンで狙われ、超近距離での重火力攻撃を主体とする星流は電磁波攻撃の反撃ダメージを受け、なかなか攻撃を通しにくくなっている。
その分、リーチのある戟を主力武器にするウェルと、自在に武器を使い分けるアイの二人がドラゴンへのダメージを分け合う形になっていた。
するとその時、突如ドラゴンに大きなダメージが入る。
北東の方角からキラキラと輝く高火力のエネルギー砲が放射され、その勢いでよろけたドラゴンの足元が多段式に何度も爆発したのだ。
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