22 / 39
【21】兄の性癖
しおりを挟む
翌日、藤原さん以外のご家族がいないこと、亡くなられた理由などからも考慮して、通夜は行わずに導師様を呼んでの簡単な告別式だけを執り行い、そのまま火葬場へと向かっていた。
本日は匠君が運転手だが、ご遺族が一人ということもあり、遺影以外のものを運ぶ為私も霊柩車へと同乗することにした。
クラクションは鳴らさないでくれとのことだったので、それも無しである。
『本日運転を務めます、輪廻會舘支配人の岩崎でございます。お気づきかもしれませんが副支配人は私の妻でございます。…話は逸れましたが藤原様、火葬場へ向かう前にどこか寄って行きたいところなどありますか?近場でしたらどこでも行けますので遠慮なくお申し付けください。』
『…こんなバカ兄貴のことなんて、本当どうでもいいんですけど…、兄が亡くなった現場を通ってもらうことはできますか?』
『…かしこまりました。
では安全運転で出発いたしますね。』
到着した駅はホームから線路へと簡単に飛び降りることができ、すぐ近くには踏切が設置されていた。確かにこれなら女の私でも飛び降りることができるなと考えていると、匠君が藤原さんに向かって語りかけ始めた。
『藤原さん?昨日妻から、お兄様のことを伺ったのですが…その、事件に進展はありましたか?』
『…警察からは、今日の火葬後にまた来て下さいとのことを言われたので、詳しい話はまだわかりません…。』
『そうでしたか…、あの、みんなで考えたのですが、お兄様は冤罪という可能性も残されているのではないでしょうか?電車に跳ねられてしまったという事実を変えることは難しいですが、痴漢のほうの冤罪を証明できたら電車の損害賠償をその方に請求することもできるかと思います。その…少しだけ、お兄様を信じてみませんか?』
匠君が寿郎君の推理をみんなという形で話し出すと、"考えもしなかった"という表情を浮かべて匠君をみた後、私と目があった藤原さんに無言で"うん"と頷いてみせた。
何か考えていたのか、少し間が開き藤原さんも口を開き始める。
『…兄が冤罪?…考えもしなかったです。確かに…よく考えてみたら、それはあり得ないかもしれません!痴漢されたと言っていたのは女子高生らしいのですが、実は私見たことがあるんです…。私がまだ中学生くらいの時の話ですが、その…兄の部屋にあった卑猥なDVDを!それって、兄の好みですよね?』
「…匠君、答えてあげてくれる?」
『…えっ俺ですか?…寿郎もいないし仕方がないな。藤原さん、どんなやつだったの?』
『…はい、確か熟女とか未亡人とかばかりで若い女の子が出てくるタイトルじゃなかったんですよね。それって若い子より、ある程度
年齢を重ねた人のほうが好きってことじゃないんですか?』
『うむ、それは一理あるかも…。わざわざ
好みじゃないやつ俺なら見ないな。もしかしたら、今の自宅にもあるかもしれないし証拠として探してみるのもいいかもね!』
こんなところで、実の妹に性癖を見知らぬ
男女に晒されてしまったお兄さん。
後で出てくるのかなー?何か少し気まずい…
『…私、兄の冤罪晴らせるように頑張ります!そうですよね、今でこそ滅多に会うこともありませんでしたが、兄は小さい時は私をよく守ってくれていました!痴漢なんて、
そんな卑怯なことするはずありません!』
先ほどまでの絶望の表情から、解決の光が
見えてきたかのごとく少し明るい表情を取り戻した藤原さん。今までは肩を落とし、暗い顔しか見ていなかったが笑っていると凄く
健康的で可愛らしい顔をしている。
私達は車を降りて、駅周辺の写真をスマホで撮り現場を後にすると火葬場へと向かった。
さて、出てくるのか…?霧!!
そして、最後の坂道を登っている途中…
段々と視界が悪くなってきた。運転席の後ろから、匠君にむかって小声で囁く私。
「匠君、やっぱりきたわね!今回は
本気で解決に行きましょうね!」
『もちろんだよ!』
駐車場に停止し、暫くすると匠君のものではない男性の声が聞こえてきた。
"もしもーし、あのー?聴こえてます?"
二人で目を合わせると、
すかさず返事をする匠君。
『はい!お兄さんですね?お待ちしておりましたよ!輪廻會舘支配人の岩崎です。あ、後ろに乗っているのは副支配人で私の妻の翼です。よろしくお願いします!』
聴こえているか聞かれただけなのに自己紹介まで、さらりと済ませてしまった彼に、慣れって怖いな?と思いつつも話が早くて助かると思った。
『あ、すみません、ご丁寧にどうも。僕は
藤原弥生の兄の藤原飛鳥と言います。あの…お二人は僕の死因ご存知なんですよね?』
『はい、痴漢して逃げるために線路に飛び降りて電車に跳ねられたと伺っています!
…しかし!俺達は冤罪ではないかと疑っています。…違いますか?』
突然現れた自分の理解者に、目を輝かせて
今にも泣き出しそうな顔をしている飛鳥さん。やはり、冤罪だったのか…。
「あの、妹さんがとても落ち込まれています、落ち込んでいるというか昨日までは怒りに震えておられました。どんな事情があったのかお聞かせ頂けますか?」
そして、飛鳥さんは事の顛末を
静かに話し始めた。
本日は匠君が運転手だが、ご遺族が一人ということもあり、遺影以外のものを運ぶ為私も霊柩車へと同乗することにした。
クラクションは鳴らさないでくれとのことだったので、それも無しである。
『本日運転を務めます、輪廻會舘支配人の岩崎でございます。お気づきかもしれませんが副支配人は私の妻でございます。…話は逸れましたが藤原様、火葬場へ向かう前にどこか寄って行きたいところなどありますか?近場でしたらどこでも行けますので遠慮なくお申し付けください。』
『…こんなバカ兄貴のことなんて、本当どうでもいいんですけど…、兄が亡くなった現場を通ってもらうことはできますか?』
『…かしこまりました。
では安全運転で出発いたしますね。』
到着した駅はホームから線路へと簡単に飛び降りることができ、すぐ近くには踏切が設置されていた。確かにこれなら女の私でも飛び降りることができるなと考えていると、匠君が藤原さんに向かって語りかけ始めた。
『藤原さん?昨日妻から、お兄様のことを伺ったのですが…その、事件に進展はありましたか?』
『…警察からは、今日の火葬後にまた来て下さいとのことを言われたので、詳しい話はまだわかりません…。』
『そうでしたか…、あの、みんなで考えたのですが、お兄様は冤罪という可能性も残されているのではないでしょうか?電車に跳ねられてしまったという事実を変えることは難しいですが、痴漢のほうの冤罪を証明できたら電車の損害賠償をその方に請求することもできるかと思います。その…少しだけ、お兄様を信じてみませんか?』
匠君が寿郎君の推理をみんなという形で話し出すと、"考えもしなかった"という表情を浮かべて匠君をみた後、私と目があった藤原さんに無言で"うん"と頷いてみせた。
何か考えていたのか、少し間が開き藤原さんも口を開き始める。
『…兄が冤罪?…考えもしなかったです。確かに…よく考えてみたら、それはあり得ないかもしれません!痴漢されたと言っていたのは女子高生らしいのですが、実は私見たことがあるんです…。私がまだ中学生くらいの時の話ですが、その…兄の部屋にあった卑猥なDVDを!それって、兄の好みですよね?』
「…匠君、答えてあげてくれる?」
『…えっ俺ですか?…寿郎もいないし仕方がないな。藤原さん、どんなやつだったの?』
『…はい、確か熟女とか未亡人とかばかりで若い女の子が出てくるタイトルじゃなかったんですよね。それって若い子より、ある程度
年齢を重ねた人のほうが好きってことじゃないんですか?』
『うむ、それは一理あるかも…。わざわざ
好みじゃないやつ俺なら見ないな。もしかしたら、今の自宅にもあるかもしれないし証拠として探してみるのもいいかもね!』
こんなところで、実の妹に性癖を見知らぬ
男女に晒されてしまったお兄さん。
後で出てくるのかなー?何か少し気まずい…
『…私、兄の冤罪晴らせるように頑張ります!そうですよね、今でこそ滅多に会うこともありませんでしたが、兄は小さい時は私をよく守ってくれていました!痴漢なんて、
そんな卑怯なことするはずありません!』
先ほどまでの絶望の表情から、解決の光が
見えてきたかのごとく少し明るい表情を取り戻した藤原さん。今までは肩を落とし、暗い顔しか見ていなかったが笑っていると凄く
健康的で可愛らしい顔をしている。
私達は車を降りて、駅周辺の写真をスマホで撮り現場を後にすると火葬場へと向かった。
さて、出てくるのか…?霧!!
そして、最後の坂道を登っている途中…
段々と視界が悪くなってきた。運転席の後ろから、匠君にむかって小声で囁く私。
「匠君、やっぱりきたわね!今回は
本気で解決に行きましょうね!」
『もちろんだよ!』
駐車場に停止し、暫くすると匠君のものではない男性の声が聞こえてきた。
"もしもーし、あのー?聴こえてます?"
二人で目を合わせると、
すかさず返事をする匠君。
『はい!お兄さんですね?お待ちしておりましたよ!輪廻會舘支配人の岩崎です。あ、後ろに乗っているのは副支配人で私の妻の翼です。よろしくお願いします!』
聴こえているか聞かれただけなのに自己紹介まで、さらりと済ませてしまった彼に、慣れって怖いな?と思いつつも話が早くて助かると思った。
『あ、すみません、ご丁寧にどうも。僕は
藤原弥生の兄の藤原飛鳥と言います。あの…お二人は僕の死因ご存知なんですよね?』
『はい、痴漢して逃げるために線路に飛び降りて電車に跳ねられたと伺っています!
…しかし!俺達は冤罪ではないかと疑っています。…違いますか?』
突然現れた自分の理解者に、目を輝かせて
今にも泣き出しそうな顔をしている飛鳥さん。やはり、冤罪だったのか…。
「あの、妹さんがとても落ち込まれています、落ち込んでいるというか昨日までは怒りに震えておられました。どんな事情があったのかお聞かせ頂けますか?」
そして、飛鳥さんは事の顛末を
静かに話し始めた。
0
あなたにおすすめの小説
大聖女様 世を謀る!
丁太郎。
恋愛
前世の私は大賢者だった。
転生した私は、今回は普通に生きることにした。
しかし、子供の危機を魔法で救った事がきっかけで聖女と勘違いされて、
あれよあれよという間に大聖女に祭り上げられたのだ。
私は大聖女として、今日も神の奇跡では無く、大魔術を使う。
これは、大聖女と勘違いされた大賢者の
ドタバタ奮闘記であり、彼女を巡る男達の恋愛争奪戦である。
1話2000〜3000字程度の予定です
不定期更新になります
【完結/番外追加】サリシャの光 〜憧れの先へ〜
ねるねわかば
恋愛
彼女は進む。過去に囚われた者たちを残して──
大商会の娘サーシャ。
子どもの頃から家業に関わる彼女は、従妹のメリンダと共に商会の看板娘として注目を集めていた。
華々しい活躍の裏で、着実に努力を重ねて夢へと向かうサーシャ。しかし時には心ないことを言う者もいた。
そんな彼女が初めて抱いた淡い恋。
けれどその想いは、メリンダの涙と少年の軽率な一言であっさり踏みにじられてしまう。
サーシャはメリンダたちとは距離をおき、商会の仕事からも離れる。
新たな場所で任される仕事、そして新たな出会い。どこにあっても、彼女が夢を諦めることはない。
一方、光に囚われた者たちは後悔と執着を募らせていき──
夢を諦めない少女が、もがきながら光を紡いでいく軌跡。
※前作「ルースの祈り」と同じ世界観で登場人物も一部かぶりますが、単体でお読みいただけます。
※作中の仕事や制作物、小物の知識などは全てフィクションです。史実や事実に基づいていないことをご理解ください。
婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します
けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」
婚約者として五年間尽くしたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。
他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。
だが、彼らは知らなかった――。
ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。
そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。
「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」
逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。
「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」
ブチギレるお兄様。
貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!?
「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!?
果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか?
「私の未来は、私が決めます!」
皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!
炎華繚乱 ~偽妃は後宮に咲く~
悠井すみれ
キャラ文芸
昊耀国は、天より賜った《力》を持つ者たちが統べる国。後宮である天遊林では名家から選りすぐった姫たちが競い合い、皇子に選ばれるのを待っている。
強い《遠見》の力を持つ朱華は、とある家の姫の身代わりとして天遊林に入る。そしてめでたく第四皇子・炎俊の妃に選ばれるが、皇子は彼女が偽物だと見抜いていた。しかし炎俊は咎めることなく、自身の秘密を打ち明けてきた。「皇子」を名乗って帝位を狙う「彼」は、実は「女」なのだと。
お互いに秘密を握り合う仮初の「夫婦」は、次第に信頼を深めながら陰謀渦巻く後宮を生き抜いていく。
表紙は同人誌表紙メーカーで作成しました。
第6回キャラ文芸大賞応募作品です。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
魔法使いとして頑張りますわ!
まるねこ
恋愛
母が亡くなってすぐに伯爵家へと来た愛人とその娘。
そこからは家族ごっこの毎日。
私が継ぐはずだった伯爵家。
花畑の住人の義妹が私の婚約者と仲良くなってしまったし、もういいよね?
これからは母方の方で養女となり、魔法使いとなるよう頑張っていきますわ。
2025年に改編しました。
いつも通り、ふんわり設定です。
ブックマークに入れて頂けると私のテンションが成層圏を超えて月まで行ける気がします。m(._.)m
Copyright©︎2020-まるねこ
崖からポイ捨てされた不運令嬢ですが、銀髪イケメン竜王に『最愛の伴侶』としてスカウトされました!
有賀冬馬
恋愛
不作も天災も、全部わたしのせい!?
「不運な女」と虐げられ、生贄として崖から捨てられたわたし、ミラ。
でも、落ちた先で待っていたのは、まぶしいほど綺麗な銀髪の竜王・アルベルト様でした!
「君がいたから、この国は守られていたんだよ」
えっ、わたしって実はすごい聖女だったの!?
竜宮城で贅沢三昧&溺愛生活スタート!
そんな中、わたしを捨てて大ピンチになった元婚約者が「ミラ、戻ってきて!」と泣きついてきて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる