ダメ神最強論  〜ダメ神に巻き込まれ最強となる〜

k

文字の大きさ
1 / 3

ヤツとの出会い①

しおりを挟む
「異世界転生」という言葉を知っているだろうか。
そう、神様から伝説の武器をもらって魔王を倒しに行ったり、スライムになって街を作ったり、神様を連れて行ってトラブルに巻き込まれまくったりするあの異世界だ。誰もが一度は考えたことがあるだろう。
「自分が転生して最強のカッコいい勇者になれたらな~」って。
うんうん、よくわかるよその気持ち。
・・・でもじゃあさ。
「もし伝説の剣って言って渡された剣がただの剣だったら?」
「もし頑張って強くなって、いざ出陣!ってなったときにもう敵はいなかったら?」
「もしただの手違いで、ごくごく平和な世界に転生させられたとしたら?」
・・・そりゃもうさ、
怒るよね、激おこだよね、そりゃもうブチギレるよね。
・・・と
「そうゆうわけです神様。」
「あ、あはは。とりあえず僕が悪かったのは認めるから、魔法詠唱しながら剣構えるのやめてくれないかな~って」
「いえ、やめないです神様、さすがに限界です。」
「いや、まぁ神様も間違いをして成長するものなのだよ、だから僕は・・・」
俺は無言で剣を振り下ろす。
「わっ、ちょっ、ほ、ほんとに危ないって。」
・・・そう、今の会話からちょっと分かる通り俺、五十嵐夏輝は四年前、この「神様」に召喚された。
四年前・・・
召喚された俺に神様はこう言った。
「君には、これから異世界に行って、悪の皇帝ウィリンを倒してもらいたい。」
「はい、行きます。」
即答したね。だって異世界だよ?行くっきゃないだろ。
「ふむ、ではまずこの剣を君に授けよう。伝説の聖剣グングニルだ。」
あれ?グングニルって槍だったような・・・まぁいっか。神様が言うんだもんな。
「それでは、えー夏輝くん、準備は出来たかい?」
「はい!五十嵐夏輝、14歳、いつでも出陣できます!」
「そ、そうか、では始めようか。いざ、門よ開け、剣の世界“ゼスタ”へ。」
フッと意識が遠のいていく。
次に目を覚ました場所は、だった。周りを重そうな白い鎧をつけた人たちが剣を持って走っていく。遠くからは、黒い鎧をつけた人たちの集団がこちらに向かってくる。
「すげぇ、ほんとの異世界だ!よし、俺の任務は悪の皇帝ウィリンを倒すこと。まずウィリンを探さないとな。」
俺はまず、近くの白の鎧の兵士さんに聞いて見ることにした。
「あのー、すいません、ウィリンって人はどこにいますかね。」
「あー?ウィリン?そんなやつ知るか。兵士じゃねぇやつは早く避難しろ。」
あれ、ウィリンって一様、帝王のはずだよな、なんで敵の大将の名前知らないんだろ。まあたまたまかな。
次に俺は、黒の鎧の兵士さんに聞いてみることにした。
「あのー、戦争中すみません、ウィリンって方を知りませんか?」
「ウィリン?そんな名前のやつ知らないざますな、我が名はウィリアン・ジョゼ、誇り高き剣士ざます。」
「あ、そうですか、ありがとうございます。」
それから俺は、白の鎧の兵士さんと黒の鎧の兵士さん合計八人に聞いたけど、そのうち誰一人としてウィリンって人を知らなかったんだ。
「困ったなぁ、ウィリン誰も知らないや。どーしよ。」
そう思ってたとき、頭の中に声が響いたんだ。
(おや、お困りかな、夏輝くん)
「神様!?いったいどこに?」
(念話だよ、念話。なんせ神様だからねぇ、これくらい出来るのさ。)
「すごい神様!!」
(ははは、まあね、ところでどうしたんだい?困っていたようだが、)
「あ、実は、どの兵士さんに聞いてもウィリンを知らないって言うんですよ。」
(ふむふむなるほど。それで?そのウィリンって誰だい?)
「え?悪の帝王ですよね、俺が倒す目標の。そう、神様が教えてくれたじゃないですか。」
(なーにを言ってるんだい、君が倒すのは悪の帝王ウィリアンだよ。)
「え、でもさっきたしかにウィリンって言ってたような・・、聴き間違えたのかな。」
(聴き間違えたのかい、全く、しっかりしたまえよ。)
「すみません、それでそのウィリアンの特徴を教えてもらえますか?」
(えーと・・、名前はウィリアン。ウィリアン・ジョゼ。口癖がざます、だそうだ。)
「さっきのやつじゃん!まじか、あれが悪の帝王だったのか、あんな定年前のお爺さんみたいな人が。」
(人は見かけによらないよ、事実私もこんなにジャ◯ーズにいそうな風貌で超有能な神様だからねぇ。)
「と、とりあえずありがとうございました。」
早くウィリアンを探さないと。でもこんな沢山の兵士さんの中でそう簡単に見つかるわけ・・・
「我が名はウィリアン・ジョゼ。誇り高き剣士ざます。」
いた!さっき会った時からずいぶん経ってるのに。一様、悪の帝王なんだよなぁ・・・。まぁちょうどいいぞ!
「悪の帝王、ウィリアン・ジョゼ!覚悟!!」
神様からもらった伝説の聖剣グングニルでウィリアンに斬りかかる。
「な、なんじゃと!?」
カキーーーーーーン
俺のグングニルとウィリアンの盾が激しくぶつかり合う。でも俺の剣は聖剣だ。負けるもんか。
「とりゃあぁぁぁぁぁぁ」
「ぐぬうぅぅぅぅぅぅぅ」
よし、行ける!そう思った次の瞬間、
ビシビシバリバリパリーン
俺の相棒グングニルが粉々に砕け散った。
もう一回言おう。
神様からもらった聖剣のグングニルが粉々のバラッバラに砕け散った。
「え?」
その時、頭の中に声が響く。
(あ、やっべ。その剣、僕の趣味で作ったただの装飾がすごい鉄の剣だったわ。ごめ~ん。」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?」
俺はその場から必死に逃げ出した。森の中に入り込んでやっと一息つく。
「ちょっと。ただの剣ってどうゆうことですか、神様!」
(・・・・・・・・・・・)
まさかの黙秘ー。さて、今更になって、この神様がどうゆう人なのかわかってきたな。
「あんた、けっっっっっっっっこう無能ですね。」
(ヒュヒューヒューヒュヒュー)
「口笛すらろくに吹けてないし。」
さて、こっからどうしようか。森をさまよっていると遠くに小さな木の小屋が見えた。
「お腹も減ったしなぁ、なんか暗くなってきたし。あそこに行って一晩泊めてもらおう。」
小屋の前までやってきてドアを叩く。
「すみませーん、誰かいませんかー、すみませーん。」
ガチャ
「なんのようだ。」
そこにいたのはクマのような大男。
「あ、あの、いえ、なんでもないです。それでは~。」
「待て。」
「は、はい。な、何か?」
「お前、なにか悪いものに取り憑かれてるなぁ、顔に死相が出てやがる。心あたりはないか?」
ふと、自称ジャ◯ーズにいそうな顔、ってやつが頭に浮かぶ。まさかね。
「い、いえ、特には。」
「ふん、そうか。用がないならさっさと帰れ。俺はこれから稽古なんでね。」
「稽古?なんのですか?」
「そんなのここは剣の世界なんだから剣に決まっているだろう。」
・・・ここで修行を積んでもう一回ウィリアンに挑む・・・、うん、これで行こう。
「あ、あの、よかったら俺を弟子にしてください。」
「なんだ、突然。坊主、名前は?」
「夏輝です。」
「ナツキか。珍しい名前だな。まあいい。いいだろう、みっちり鍛えてやる。俺の名は、李・千花だ。」

それからというもの、俺は李先生の厳しすぎる指導のもと二年間みっちりと剣の修行をした。
「千花流奥義 八重桜やえざくら
桜が舞い散るような鋭い八連の剣筋が木を切り刻む。
「いい剣筋だ。もう俺がお前に教えることはねぇ。一人立ちの頃あいだ。」
「二年間ありがとうございました。師匠。」
「おう、そのウィリアンってやつをいっちょ倒してこい。」
「うす。」
さてと。準備は整った。いざ勇者になる時!
そう意気込んで二年前の戦場に向かったところ、そこにはウィリアンどころか兵士一人いなかった。
「あれ、戦場変わったのかな。」
(やぁ、久しぶりだね、夏輝くん。)
「あ、クズ神さん、久しぶりです。」
(今、不本意な呼ばれ方をされた気がしたが・・、まあいいだろう。ところでどうしたんだね?)
「あぁ、それが。戦場が変わっちゃったみたいで。今、ウィリアンがどこにいるかわかりますか?」
(あぁ、ウィリアンかい。彼は一年前に認知症になって帝王を引退したよ。)
「先言えよ!!ふざけんな、このダメ神ぃぃぃぃぃぃ!」
こうしてあらぬ形で俺の任務は達成されたのだった。俺は、その後もとの日本に帰ってきた。
まぁ、初の異世界転生、不本意な終わり方ではあったけど面白い経験だったなぁ。
そう思って、これからは平穏に日本で暮らそう、と決心した三日後。俺は再びヤツに召喚されることとなる。

(続)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。

かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。 謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇! ※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

婚約破棄で追放された悪役令嬢ですが、隣国で『魔道具ネット通販』を始めたら金貨スパチャが止まりません〜私を追い出した王国は経済崩壊しました〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「婚約破棄だ。君は国を裏切った」 王太子の冷たい宣言で、公爵令嬢セシリア・アルフェンはすべてを失う。 罪状は“横領と国家反逆”。もちろん冤罪だ。 だが彼女は静かに笑っていた。 ――なぜなら、彼女には誰にも知られていない能力があったから。 それは「異世界にいながら、現代日本のECサイトを閲覧できる」という奇妙なスキル。 隣国へ追放されたセシリアは、その知識を使い始める。 鏡。石鹸。ガラス瓶。香水。保存食。 この世界ではまだ珍しい品を魔道具で再現し、数量限定で販売。 さらに彼女は「配信魔道具」を開発。 商品制作の様子をライブ配信しながら販売するという、前代未聞の商売を始める。 結果―― 貴族たちは熱狂。 金貨の投げ銭が空を舞う。 セシリアの店は世界最大の商会へと急成長。 一方で、彼女を追放した祖国では異変が起きていた。 セシリアが管理していた輸出ルートが止まり、 物資不足、価格暴騰、そして経済崩壊。 焦った王太子が通信魔道具で泣きついてくる。 「戻ってきてくれ……!」 しかしセシリアはワイングラスを揺らしながら笑う。 「あ、その声はブロック対象です」 これは―― 婚約破棄された悪役令嬢が、世界経済を握るまでの物語。 ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

本当に現実を生きていないのは?

朝樹 四季
恋愛
ある日、ヒロインと悪役令嬢が言い争っている場面を見た。ヒロインによる攻略はもう随分と進んでいるらしい。 だけど、その言い争いを見ている攻略対象者である王子の顔を見て、俺はヒロインの攻略をぶち壊す暗躍をすることを決意した。 だって、ここは現実だ。 ※番外編はリクエスト頂いたものです。もしかしたらまたひょっこり増えるかもしれません。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

処理中です...