少女漫画の当て馬に転生したら聖騎士がヤンデレ化しました

猫むぎ

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魔騎士の紋様

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15歳を迎えた。

今のところ特に変わった事がない。

漫画の世界に来ても、俺は主人公ではないし主人公とよく一緒にいる友達ポジションでも何でもない。

言ってしまえば、ただのモブキャラと同じだ。
当て馬キャラであるが、俺は当て馬になるつもりはないからただのモブだ。

しかし、つい最近可笑しな異変が体に起きていてモブキャラとして危うくなっている。

それは、俺の腕にある。

さっきの変わった事はないという言葉を前言撤回したい。

俺の腕には見覚えがある紋様がある、彫った覚えはないが刺青だろう。
あの少年と出会った日から腕が痛くなる時があった。
ただの筋肉痛だと思って大して気にはしていなかった。

しかし、刺青が現れたんじゃ…ただの筋肉痛とは思えない。

この刺青、まるで魔騎士の腕のようだ。
まさか、俺…魔騎士になったのか?

生前、この世界の漫画を全て読んだが病院に全巻あったのか分からない。
もしかしたら最新巻を置いていなかったのかもしれない。

ユーリが魔騎士でした、ってオチは…ないと信じたい。

魔騎士は聖騎士と互角の強さがある筈だ。
俺みたいな未だにオールレベル1の魔力の持ち主が魔騎士になれるのか?魔物以下だと思うぞ。

俺自身がそう思っていても、魔騎士の腕の刺青は魔騎士の証そのもので俺を見たら魔騎士と勘違いするかもしれない。

家にある棚の上から救急箱を手にして、中から包帯を取り出した。
シャツを脱いで、上半身裸になる。
腕に包帯を当てて、刺青がある肩の下から手首の上まで巻いた。
これならシャツを着ても刺青が浮かび上がる事はないな。

シャツを着て、鏡の前で確認して後ろを振り返った。
家の玄関の前に母さんが立っていて、顔を青くして両手を口元に持っていっていた。

もしかして刺青を見られたのかもしれない、どう言い訳しようか。

「えっと、母さん…」

「ユーリ、何処か怪我したの!?どうしましょう!今すぐお医者さんのところに」

「……」

母さんはオロオロと戸惑っていて、医者に連絡するか仕事に出ている父さんに連絡するか迷っていた。
この世界に電話はなくて、片手サイズの水晶型魔道具に連絡したい相手の事を考えて触れると相手の水晶型魔道具に繋がる。
魔導士にしか出来ない連絡手段だが、レベル1でも使える…水晶型魔道具を持っている事が大前提だけど…

水晶型魔道具自体は高価なものではないから、俺の家にもある。
家に置いてあるものと、商人をやっている父さんの二つだ。
父さんは珍しいものを旅人から仕入れて売っている。
稼ぎはいいわけではないが、家族三人が食べて暮らせるほどには稼ぎがある。

母さんにはバレていないみたいだし、父さんにこの事で家に帰って来いとは言えない。
俺は、シャツを少し捲って包帯を見せた。

「母さん!かっこいい?」

「……えっ?」

「どう?」

「そ、そうね…似合ってるわ」

俺はファッションで包帯を巻いているとアピールした。
母さんに嘘を付くのは心苦しいが、刺青の話をしたら母さんが倒れてしまう。

母さんはホッと胸を撫で下ろしていた。
中二病だと思われても構わない、俺はこの幸せな日々を手放したくはないんだ。

救急箱を棚の上に戻すと、母さんは夕飯の準備をするらしく俺も手伝う事にした。
子供の時から今までずっと続けている日課だ。

幼少期にあったあの事件以来おつかいは許されていないが、もうすぐ魔術学校に通う年齢だからそろそろおつかいも解禁してほしいな。

野菜を洗いながら、隣にいる母さんに目線を向ける。

「母さん、もうすぐ魔術学校に行ける年齢になるんだ」

「そうね、寂しくなるわ」

「大丈夫だよ、学校が終わったらまっすぐ帰ってくるし…今まで通りお手伝いもするし」

「なに言ってるの、勉強出来る時にちゃんとしなさい…手伝いはもう充分なほどやったんだから」

母さんは「ありがとう」と微笑み、鍋に調味料を入れてかき混ぜていた。
なんか、そう言われたら俺の方が寂しくなってしまう。
今までずっとやってきたからいきなり勉強だけしろと言われてもなんか落ち着かない。

ジッとしているより体を動かしたいんだ。

俺は手に力を入れて、指先にライターサイズの小さな火を出した。
鍋の下に火を入れると、ぐつぐつと鍋の中の水を温める。

コンコンと外からドアを叩く音が聞こえた。

「あら、誰かしら」

「俺が出るからいいよ」

玄関に向かって、ドアを開けるとそこにいたのは嫌な顔だった。
わざわざ会いたくなかったのに、なんで自分から関わってくるのか。

後ろを振り返ると、母さんが心配したような顔をしていて…俺は「ちょっと出てくる」とだけ言って訪問者の肩を掴んで家から出た。

俺をニヤニヤと馬鹿にしたような悪い顔をしていた。
いつも俺を馬鹿にするから苦手だ。
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