少女漫画の当て馬に転生したら聖騎士がヤンデレ化しました

猫むぎ

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イヴ視点13

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「聖騎士様!」と国民達が手を振ると、俺の後ろにいる他の騎士は睨み付けていた。
子供にもだ、大人気ない……俺は愛想笑いを浮かべた。
国民に好かれる騎士をユーリも好きだと思うから…

騎士のほとんどが貴族街出身で、昔から平民を下に見る事がある。
平民も貧民も変わらないという考えなのだろう。
だから平民絡みの事件は適当に終わらす事が多い。
ユーリの住んでいた場所が燃えた時も、平民の野次馬を追い払っていたが燃えた建物を消す事はしなかった。

俺はユーリの住んでいた場所だから、火を消したが俺がいなかったら被害が拡大していただろう。
放火した犯人は目撃証言で貧民である事は分かっているが、騎士達はまるでやる気がない。

俺はユーリの住む場所を奪った奴を絶対に許さない。

殺したい気持ちを押し込んで、捕まえようと裏で調べている。
しかし、貧困街の情報はほとんどない…騎士達が貧困街に関わりたくないという事が嫌でも分かる。

俺が捕まえた貧困街出身の奴からも、何の手がかりもない。

そこまで貧困街の奴らはこの国から異質だと隔離された存在なのだろう。

自分の存在を知ってもらうために犯罪を犯す…か。
犯罪者の気持ちは理解したくないが、ユーリに気付いてもらうためだと変換したら分からなくもない。
でも、ユーリは犯罪者なんて嫌いだろうから俺は犯罪は犯さない。
ユーリになにかしたら、俺はなにかするのか分からないけどね。

平民が貧民に怯えるのと同じように、貴族が平民を差別している。
俺はユーリが平民出身だから平民には何とも思わない……むしろユーリ以外全て同じに見える。
気味が悪く俺に媚びへつらう騎士も俺にとっては反吐が出る。

俺を見てくれるのはユーリだけでいい、俺が見せるのはユーリだけ…

歩いていると、誰かの影が視界に映り後ろに一歩引いてぶつかるのを避けた。
フラフラと歩く男は俺達を素通りにして歩いていった。

ボロボロの布切れのような服からして貧困街の住民だろう。

「聖騎士様、こんなみすぼらしい男を視界に入れてはいけません!!」

「………」

俺の前に騎士が立ち、俺は暑苦しい男も視界に入れたくはないと眉を寄せた。
目線であの男を目で追っている、何故か分からないが気になる。

普通の人間なら気にならないが、なんだ…あの異様な雰囲気の男は…

男はなにかを見つけたのか、うなだれていた顔を見つけて走っていた。
その先にあるものを見て、顔が真っ青になっていくのが自分でも分かった。

頭で冷静に考えるより、体が先に前に出ていた。

男の目の前にいたのは、何故か外に出ていたユーリだった。
ユーリは男が手に仕込んでいたナイフが自分に振り上げている事に気付いて、驚いて手に持っていたカバンを落として尻餅を付いていた。

目が赤く染まり、口からなにかがごぼごぼと溢れてくる。
それがなんなのか気にせず、手に力を込めると真っ黒な剣が現れた。

俺のユーリを傷付ける者は誰だろうと許さない、消してやる…存在全てを!!

後ろから男を斬りつけると、男は一瞬だけ俺を見ていた。
口元に笑みを浮かべて、その男は俺の前で砂になった。

魔物?…でも、あれは確かに人の姿だった…形だけではなく…

ユーリを見ると、ユーリはなにが起きたのか分からず怯えていた。
可哀想に、怖かったよな……でも大丈夫…俺がユーリを守ってあげるから…

「ユー……ぐっ…ぅ」

ユーリの名を呼ぼうとしたが、俺の喉はそれを拒絶した。
地面にうずくまり、口元に手を当てると口からなにかが出てきた。

それは真っ黒な色に混じった真っ赤な血だった。

誰かが俺を呼ぶ…でも、それはいつもの呼び名ではなかった。

『魔騎士様だ、魔騎士様が誕生した……我らの』……黒い魔物の塊が集まり、俺をそう呼んでいた。
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