少女漫画の当て馬に転生したら聖騎士がヤンデレ化しました

猫むぎ

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強制の力

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『エラー、エラー、強制修復中…当テ馬ユーリの物語ヲ修正致シマス』

最近は寝心地がいいベッドで寝ていたからか、硬いペラペラの布団が体を痛めつけていて目を覚ます。
眠れない、両親と布団を並べるのはどのくらいぶりか懐かしく感じる。

父さんが帰ってきた時、俺がいる事にとても驚いていたがすぐに納得していた。
貧民堕ちの末路はとても有名で、貧民にならないためには悪い事はするなと幼少期の頃に言われるほどだ。

一人暮らしの間何をしていたのか話した、イヴの名前は伏せて貴族の家の使用人をやっていたと話した。
雇い主はとてもいい人だと話すと両親は優しい顔をしていた。
そして、俺の人生を壊したと申し訳なさそうな顔をしていた。

自家製だという野菜炒めを食べて、眠りについたのが昨日だ。
そして今日はまた変な夢を見た……というか聞いた。

エラーとかは前に聞いていた、でも俺の名前を名指しで呼んでいたのは初めてだった。
強制修復って、俺の物語を?なんでそんな事をする必要があるんだ?

それにあの機械のような声はいったいなんなんだ?

当て馬という事は漫画のユーリの話だと思う。
俺は今まで漫画の通りに生きてきてはいない。
この世界的に、それはいけない事なのかもしれない。

俺一人だけなら別に構わないだろうが、イヴはメインヒーローだ。
そんなイヴと流れるままに付き合う事になってしまったからこの世界を動かす神様…がいるのかは分からないが、怒ってしまったのかもしれない。

メインヒーローと当て馬が付き合うなんて、物語がめちゃくちゃになるのは当然だ。
だから強制修復と夢で言っていたのか、俺達が別れれば物語の修復が終わる。
俺が貧民堕ちした理由もそれが絡んでいるとなると、納得出来る事がある。

父さんはお人好しだけど、借金を背負わされる危険もある事が分からないわけがない。
もし借金まみれになったら家族もまとめて貧民堕ちする、家族を大切にしている父さんが思いつかないなんて事は考えられない。
強制的ななにかが働いて俺は貧民堕ちをしたのかもしれない。

だとしたら、謝るのは俺の方だ…俺のせいで両親を巻き込んだ。
漫画の話をしても、この世界に漫画はないし両親は分からないだろうから言えないけど心の中で両親に謝った。

俺がずっとここにいるときっとイヴは俺を忘れて他に好きな人が出来る。
俺とイヴは釣り合わない、元々住む世界が違うって分かっていただろ。

イヴが俺を好きでいてくれて嬉しかったし、指輪を貰った時は心臓がうるさいほど高鳴った。
でも、俺はイヴに何も返せていない…貰ってばかりだ。

指輪を見つめると、金色の指輪が少し黒くなった気がした。
指輪に反射した俺の髪かなと対して気にする事はなかった。

朝になって、朝食を食べてから俺も仕事をしようと外に出た。
最初は困っている人を探して、顧客を増やせばそれなりに稼げるかもしれない。
力仕事は得意だ、非力の人の役に立てたらいいな。

「いって!!」

「え、リラ?」

後ろから叫ぶ声が聞こえて、慌てて後ろを振り返るとリラが手を押さえながら立っていた。
どうしたのか聞こうと、リラの肩に触れた瞬間指輪が光った。
すると電流が流れてリラがさらに声を上げるから慌てて手を離した。
静電気でも出たのかな、自分の手を握りしめてリラに触らないようにして「大丈夫?医者を呼んでくる!」と言ったがリラは「へい…き」と全く平気そうに見えない顔色で言っていた。

周りの人達は喧嘩だと思っているのか、小さな人だかりが出来ていた。
リラは笑って大丈夫だと周りの人達を解散させていた。

「いてて…」

「ごめんね」

「いいって、俺も驚かせたみたいで背後から肩を軽く叩くとびっくりするよな」

リラは肩を叩こうとしていたのか、知らなかった。
驚いたわけではない、背後に人がいる事に気付いたのはリラの叫び声でだ。

リラに怪我がなくて良かったが、まだ手が痺れるのか手を何度も振っていた。

やっぱり医者のところに行った方がいいと思ったが「貧困街に医者はいねぇよ、変な風邪薬を売ってる爺さんはいるけど」と苦笑いしていた。
この街の人達は自分で薬草を薬にしているらしい。
医者という便利な存在がいないのはこの街にとって当たり前か。

「そんな事よりも、凄いなユーリ!この雷の魔術レベル4くらいあるかも…いだだだ!!!」

「俺にも分からないから俺に触らないで!リラ大丈夫!?」

「…う、ん」

リラに両手を握られたと思ったら、またリラの全身に電流が駆け巡り苦しそうだから少しリラから離れる。
雷の魔術なんて普段使わないからレベルが上がる事もなく、昔のままレベル1だ。

でももし本当にレベル4以上の力があるとしたら、それは俺の力ではない。
手を見つめて、金色に輝く指輪に触れた…外そうと思ったが何故か指にピッタリくっついて離れなかった。
思いっきり引っ張ると自分の指が痛くてやめた。

俺とイヴの繋がりを切らせないという意思を指輪に感じた。
それは俺の意思なのかイヴの意思か分からない…もしかしたら両方の意思なのかもしれない。

「すげぇなイヴ、元々騎士団に入ってたとか?」

「違うよ、俺は便利屋をしていただけだよ」

漫画ではユーリは騎士だったけど、俺はただのなんでも屋のユーリだ。

困った人がいないか街を見て探そうと思ったが人に触れられないんじゃ不便だな。
……いや、触る必要はないか…物を直したり荷物を運んだりするのは触られなくても出来る。

俺は仕事に行くとリラに言って行こうとしたが、隣でリラも付いてくる。
俺を触らないようにしながら、リラは「俺も手伝う、こう見えても顔が広いから言ってやるよ!いきなり知らない奴から声を掛けられるよりいいだろ!」と言ってくれた。
確かにそれはあるな、なんでも屋だって最初は客に信頼されている先輩と一緒にいて安心してもらうんだ。

ありがたくリラのお言葉に甘えさせてもらい、早速家の前でホウキを持って掃除している男の人がいた。
足元には枯葉が大量にあったが、全然作業が進んでいなかった。

「あの、大丈夫ですか?」

「ん?おうリラじゃねぇか!」

「よっ、大変そうだな…今なら初回価格を格安にしてやるから彼に掃除を頼んでみねぇか?」

「マジ?今日デートなんだよ!これ頼むわ、ありがとうな!!」

そう言って男の人は俺にホウキを押し付けて、慌てたように走っていった。
これって、依頼を受けたって事でいいんだよね。

全然掃除が捗っていなかったのは、デートの事で頭いっぱいだったんだな。

俺はどんな依頼でもやるつもりだが、リラは「初仕事はこれにして悪かった…俺も手伝う」と言ってくれたが断った。
これは俺がお願いされた仕事だ、最後まで俺一人で頑張るよ。

リラは俺が心配なのか、少し離れたところから助けられるように見守っていた。
面倒見がいいからきっと周りの人達に信頼されているのだろう。

袋の中に枯葉を集めて、ずっと広い屋敷を掃除していたからかすぐに終わった。
イヴの家に比べたらこのくらい広くない、イヴは汚さないからあまり掃除の意味はなかったけど…

袋を結んでいたいると、リラがやって来て「お疲れ様!」と俺の肩に触れた。
そして、また電流が流れてリラの叫び声が響き渡った。

学習しないのか、リラはとても痛そうにしていた。

依頼人が帰ってくるまでその場でリラと一緒に待っていた。
リラは地面を木の枝で突っついて遊んでいた。

「リラ、お金を貯めればここから出れる?」

「………あ、あぁ…そうだな」

「そっか、平民街に住めるくらい貯めて借金を返したらいいんだよね」

「………」

お金がないから貧民堕ちをする、だからお金があればいいと思っていたがリラは言葉を途切れさせた。
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