少女漫画の当て馬に転生したら聖騎士がヤンデレ化しました

猫むぎ

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イヴ視点15

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家に帰ったら、いる筈の人物がいなかった。

俺が帰ってくると、疲れを吹き飛ばすような明るい笑顔で迎えてくれるのに…
また何処かで寝ているのかもしれない、そう思ってあちこち探してみた。

前に眠っていたランドリーの部屋を開けたが、洗濯物を干したままいない。
もう遅いのにユーリは忘れているのか?ユーリの代わりに乾いた洗濯物をカゴに入れる。
部屋にいるのかもしれない、そうじゃないなら夕飯を作っているのかも…

俺の中にはユーリが家にいないという考えはなかった。
あらゆる可能性を考えて部屋を開けて、最後にここにいるのはあり得ないと思いながらドアを開けた。
昨日ユーリは怖がっていた、黒い部屋の中を見つめて扉を閉めた。

ユーリがいない、その現実が受け入れられなくて血の気が引いた。

ユーリは帰ってくると言った、なのにユーリはいない…俺のユーリは何処に行ったんだ?
手紙を書いていたから郵便屋に行ったんだという事は分かる。
ならその時になにかあったに違いない、そう思ったらすぐに行動するために家を出た。

こんなに遅くに郵便屋は開いていない、それすらも考えていなかった。
舌打ちをして、明日郵便屋が開くまで待てず平民街に向かった。
ユーリの実家は知っている、ユーリに教えられたわけではないがずっとユーリを見守っていたんだ、そのくらい知っていて当然だ。

平民街を歩く人は少なくともいるが、俺の姿は暗闇が隠してくれて騒ぎになる事もない。
足元でなにかがもぞもぞと動いている、またまた魔物かと眉を寄せて踏みつける。
ユーリの家に到着したが、電気も付いていない…まるで誰も住んでいないかのように死んでいる家のようだ。

もう寝ているという事か、ユーリに会いたい…触れたいのにユーリがいない。

俺の感情に合わせて、魔物達も俺に腕を伸ばしていた。
魔物達の腕が俺の中に溶けて、吸収されて俺の体は黒く染まる。

俺のユーリを何処に隠したんだ……ユーリを俺から奪えると思っているのか?
必ず見つけてやる、そしてユーリを隠した奴を…この手で…

「ユーリ、ユーリ、ユーリ…」

視界が歪み、目の前に映っていたユーリの実家は消えた。
それだけではなく、平民街もまるごと消えていた。
周りを見渡すと、何処までも闇が続く森の中に立っていた。
平民街が消えたというより、俺が森の中に転送されたという事か。

魔物の気配が今まで感じたものより強い、近いのは街中が魔物で溢れたあの時の感じだ。

そうなると、ここは魔物の巣という事だろう?

とても居心地がいい、居心地がよくて…イライラする。
原因は分かっている、ユーリがいないからだ。
森の中を歩いていると、俺の目の前にいたのは幼少期に見た事がある魔騎士のなり損ないだった。

魔物の巣だからいろんな奴がいるのは当然だ。
あの時ユーリを傷付けられた怒りで俺はこの魔騎士の力を手に入れた。
もう何も恐れる事は、俺の前を遮る事は誰にも出来ない。
俺を唯一動かせる相手は今ここにはいないからな。

「邪魔だ、退け」

剣を引き抜き、一振りすると魔騎士のなり損ないは砂になって血が飛び散った。
目の前に城のようなものが見えて、足をとめた。
魔物の拠点という事か、俺には興味がないなと振り上げた。

俺がほしいのはユーリ、ただ一人だ…肩書きも城もいらない。
目が赤くなり、剣を振り下ろすと城は崩れていく。

そして視界はまた平民街に戻っていた、雨が降り…俺の体を濡らす。
その雨は俺の心の涙のように体の体温を奪う。
ユーリを一人にするんじゃなかった…見つけたら、攫われないように閉じ込めないと…

ユーリにあげた指輪は俺の薬指にも付いている。
チュッと軽くキスをすると、ユーリと繋がっているような満たされた気分になる。
ユーリを守れ、誰にも触れさせない…ユーリは俺のものだ。
フッと息を吹き掛けると、その息吹は呪いに変わる。

ユーリはいないが、俺が帰るのはユーリと共に過ごしたあの家だけだ。
もしかしたら帰ってきているかもしれない、帰ってきていなくてもずっと待ち続け…探し続ける。

ユーリにとっての家は俺と過ごすあの家だけなんだから…

家に帰ると、真っ暗な冷たい世界が俺を出迎えていた。
指を鳴らすと灯りが家を照らし、冷えた体を洗おうと風呂場に向かう。
服を全て脱いで、風呂場で熱いお湯を頭から被った。

俺はまた、一人になってしまった…もうユーリのいない生活は耐えられない。






*?視点︎*

暗い暗い地下の部屋に響く靴音を聞いて、体を震わせていた。
だんだん近付くその人物を見て恐怖で顔を強張らせる。

「ハニーちゃん、たっだいま!」

明るい声がするが、その瞳は全く笑っていなかった。

何度も何度も逃げ出しても地獄が待っている。
地下の部屋から一歩も出る事が許されず、体は布で拭くくらいしか出来ず…髪も肩まで長かったのに今では腰まで長くなってしまった。

冷たい手が頬に触れて、その男は口元に笑みを浮かべていた。

この男から解放されるには、男を殺すか自分が死ぬかしかない。
男の服はところどころ赤く染まっていて、何をしてきたのか何となく想像出来る。

「またご飯食べなかったんだね、食べないと死ぬよ?」

そう言って、顎を掴んで無理矢理口を開かされた。
置いてある皿の中にある食事をスプーンで掬い口の中に押し込まれた。

この男の愛情は、愛玩動物と同じだ……人と暮らしているのではなく人を飼っている気持ちなのだろうと吐き気を感じながら飲み込んだ。
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