54 / 98
外に出る意味
しおりを挟む
「ユリ兄ー!次はこの話聞かせて!」
「よし、次は聖騎士様の話だな」
翌日、俺は街に子供達を集めて勉強会を開いていた。
朝早くに、父さんの仕事の畑仕事を手伝った。
いろんな野菜を育てているらしく、昨日収穫したから実になるのはもう少し先らしい。
水の魔術で野菜に水を与えて、畑仕事は終わり父さんは立派に出来た野菜を売りに行った。
俺は皆が起きる時間まで家にいて、昼くらいになって仕事を探しに行った。
俺の仕事は人がいないと出来ないから、人が多い時間帯にしか出来ない。
なにか困っている人がいないか見て回ると、子供が意外と多い事に驚いた。
小さな子供から学校に行っていても可笑しくない年齢の子までいた。
貧困街には当然学校はないし、この街から出られないなら学校に通えない。
じゃあ誰か教えてくれる人がいるのかな、近くにいるのはお母さん達だろうか。
「あの、ちょっといいですか?」
「はい?」
子供達が何処で学んでいるのか気になって聞くと普通に答えてくれた。
これが普通の街だったら不審人物を見るような目を向けられるだろう。
それほど同じ貧民同士で信頼関係があるって事なのかな。
俺が初めてここにきた時にリラに助けられたところを見ていたらしく、それも信頼される要素だったのかもしれない。
俺は学校に通っていたから勉強を教えてあげたいなと思った。
これは仕事ではなく、俺のボランティアでやりたいんだ。
お母さん達はここにいる人達は貧困街で育った人が多いから、学校に通っている人が少ない。
勉強を教えてくれる人がいないらしくて、是非と喜んでいた。
そして、俺が学んだ事を子供達を集めて教えてあげた。
聖騎士の話はさすがに貧困街にも本があるらしく知っている。
でもイヴの容姿もイヴがパレードで起こした英雄の話も知らない。
だから、教えた…イヴは美しくかっこよくて強くて優しいのだと…
子供達がキラキラと目を輝かせて聞いていて、カンカンと陶器を叩く音が聞こえた。
この音が、朝と夕方と夜を知らせる貧困街に必要な音なんだ。
空が見えないこの街ならではのやり方で、本当のところはどうなのか分からないがズレていても夕方の音が鳴ったら夕方だ。
「じゃあ今日はここまで」
「ありがとう!ユリ兄!」
「ありがとう!」
子供達がキャッキャとお母さん達のところに走っていく。
俺の名前は長いらしく真ん中がなくなりユリ兄と言われている。
初めてそんな呼び方をされて、驚いたが嬉しかった。
お母さん達はお礼の気持ちだと俺にお金を見せた。
今日はそんなつもりではなかったから返そうと思ったが、お母さん達は「気持ちだからいいのよ」と言われた。
気持ちがこもっていたら、返すのは失礼だと思い触れたら電流が発動するから、慎重に触れないギリギリのラインでありがたくお金を受け取った。
5人くらいの子供が集まっていたから、ワンコインでもかなりの値段になった。
これでまた借金返済に近付けたかな、早く家に帰ろう。
「よっ、ユー……いだだだ!!!」
「うわっ、リラ!?」
またリラが俺に触れて、電流で地面に倒れてしまった。
「大丈夫?」と声を掛けると、親指を立てて起き上った。
なんか、電流を浴びるのを楽しんでいるみたいに感じるんだけど気のせい。
リラはニッと笑って今日の仕事の事を聞いてきた。
昨日はリラのおかげで仕事が出来たが、今日は俺一人で頑張れた事を話した。
ボランティアのつもりだったけど、お金を貰ったら仕事だよな。
それを話したらリラは呆れたようなため息を吐いていた。
「あのなぁユーリ、この街の人達が怖いのはタダなんだよ…タダほど怖いものはないんだから貰わないとダメだ!…昨日の奴はちょっと図々しかったけどな」
リラはそう言って、俺の肩に触れようとしたからその前に避けた。
笑いながら立ち上がり、俺に手を振って歩き出そうとした。
その瞬間、誰かが街中に聞こえるほどの大きな声で「騎士様がお見えになりました!」と叫んでいた。
この貧困街に騎士?隔離されているから騎士に見放されていると思っていた。
リラを見ると、何故かリラは顔を引き攣らせていた。
賑やかだった街は静まり、街の人達は左右に体を寄せて道を開けていた。
俺もリラに電流に耐えながら腕を引かれて、端に寄せられた。
小さな声でリラに謝ると、しばらく痺れて腕の感触がないと言っていた。
「元気にしてた?皆」
明るい声が聞こえて、数人の足音が響いていて騎士の姿が見えた。
あれは騎士副団長のマティアスだ、漫画にも出てきたから覚えている。
マティアスとイヴは仲は良くはないがお互いの背中を預けるほどには信頼している。
マティアスに恋人がいて、イヴのライバルではなくエマの良き恋愛相談相手だった。
明るくて兄貴肌な仲間ポジションで、好感を持てるキャラだった。
貧困街に出入りしているのか、それは知らなかったな。
貧民には偏見がないキャラだったから、大丈夫だと思うけど…なんで周りの人達はこんなに顔色が悪いんだろう。
隣にいるリラも肩を震わせて怯えていた、もしかして双子がいるとか?
「…あれって」
「騎士副団長のマティアス様だ」
「やっぱり、でもなんで皆怯えて…」
「目を合わせるな、ターゲットにされる」
「よし、次は聖騎士様の話だな」
翌日、俺は街に子供達を集めて勉強会を開いていた。
朝早くに、父さんの仕事の畑仕事を手伝った。
いろんな野菜を育てているらしく、昨日収穫したから実になるのはもう少し先らしい。
水の魔術で野菜に水を与えて、畑仕事は終わり父さんは立派に出来た野菜を売りに行った。
俺は皆が起きる時間まで家にいて、昼くらいになって仕事を探しに行った。
俺の仕事は人がいないと出来ないから、人が多い時間帯にしか出来ない。
なにか困っている人がいないか見て回ると、子供が意外と多い事に驚いた。
小さな子供から学校に行っていても可笑しくない年齢の子までいた。
貧困街には当然学校はないし、この街から出られないなら学校に通えない。
じゃあ誰か教えてくれる人がいるのかな、近くにいるのはお母さん達だろうか。
「あの、ちょっといいですか?」
「はい?」
子供達が何処で学んでいるのか気になって聞くと普通に答えてくれた。
これが普通の街だったら不審人物を見るような目を向けられるだろう。
それほど同じ貧民同士で信頼関係があるって事なのかな。
俺が初めてここにきた時にリラに助けられたところを見ていたらしく、それも信頼される要素だったのかもしれない。
俺は学校に通っていたから勉強を教えてあげたいなと思った。
これは仕事ではなく、俺のボランティアでやりたいんだ。
お母さん達はここにいる人達は貧困街で育った人が多いから、学校に通っている人が少ない。
勉強を教えてくれる人がいないらしくて、是非と喜んでいた。
そして、俺が学んだ事を子供達を集めて教えてあげた。
聖騎士の話はさすがに貧困街にも本があるらしく知っている。
でもイヴの容姿もイヴがパレードで起こした英雄の話も知らない。
だから、教えた…イヴは美しくかっこよくて強くて優しいのだと…
子供達がキラキラと目を輝かせて聞いていて、カンカンと陶器を叩く音が聞こえた。
この音が、朝と夕方と夜を知らせる貧困街に必要な音なんだ。
空が見えないこの街ならではのやり方で、本当のところはどうなのか分からないがズレていても夕方の音が鳴ったら夕方だ。
「じゃあ今日はここまで」
「ありがとう!ユリ兄!」
「ありがとう!」
子供達がキャッキャとお母さん達のところに走っていく。
俺の名前は長いらしく真ん中がなくなりユリ兄と言われている。
初めてそんな呼び方をされて、驚いたが嬉しかった。
お母さん達はお礼の気持ちだと俺にお金を見せた。
今日はそんなつもりではなかったから返そうと思ったが、お母さん達は「気持ちだからいいのよ」と言われた。
気持ちがこもっていたら、返すのは失礼だと思い触れたら電流が発動するから、慎重に触れないギリギリのラインでありがたくお金を受け取った。
5人くらいの子供が集まっていたから、ワンコインでもかなりの値段になった。
これでまた借金返済に近付けたかな、早く家に帰ろう。
「よっ、ユー……いだだだ!!!」
「うわっ、リラ!?」
またリラが俺に触れて、電流で地面に倒れてしまった。
「大丈夫?」と声を掛けると、親指を立てて起き上った。
なんか、電流を浴びるのを楽しんでいるみたいに感じるんだけど気のせい。
リラはニッと笑って今日の仕事の事を聞いてきた。
昨日はリラのおかげで仕事が出来たが、今日は俺一人で頑張れた事を話した。
ボランティアのつもりだったけど、お金を貰ったら仕事だよな。
それを話したらリラは呆れたようなため息を吐いていた。
「あのなぁユーリ、この街の人達が怖いのはタダなんだよ…タダほど怖いものはないんだから貰わないとダメだ!…昨日の奴はちょっと図々しかったけどな」
リラはそう言って、俺の肩に触れようとしたからその前に避けた。
笑いながら立ち上がり、俺に手を振って歩き出そうとした。
その瞬間、誰かが街中に聞こえるほどの大きな声で「騎士様がお見えになりました!」と叫んでいた。
この貧困街に騎士?隔離されているから騎士に見放されていると思っていた。
リラを見ると、何故かリラは顔を引き攣らせていた。
賑やかだった街は静まり、街の人達は左右に体を寄せて道を開けていた。
俺もリラに電流に耐えながら腕を引かれて、端に寄せられた。
小さな声でリラに謝ると、しばらく痺れて腕の感触がないと言っていた。
「元気にしてた?皆」
明るい声が聞こえて、数人の足音が響いていて騎士の姿が見えた。
あれは騎士副団長のマティアスだ、漫画にも出てきたから覚えている。
マティアスとイヴは仲は良くはないがお互いの背中を預けるほどには信頼している。
マティアスに恋人がいて、イヴのライバルではなくエマの良き恋愛相談相手だった。
明るくて兄貴肌な仲間ポジションで、好感を持てるキャラだった。
貧困街に出入りしているのか、それは知らなかったな。
貧民には偏見がないキャラだったから、大丈夫だと思うけど…なんで周りの人達はこんなに顔色が悪いんだろう。
隣にいるリラも肩を震わせて怯えていた、もしかして双子がいるとか?
「…あれって」
「騎士副団長のマティアス様だ」
「やっぱり、でもなんで皆怯えて…」
「目を合わせるな、ターゲットにされる」
48
あなたにおすすめの小説
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ヤリチン伯爵令息は年下わんこに囚われ首輪をつけられる
桃瀬さら
BL
「僕のモノになってください」
首輪を持った少年はレオンに首輪をつけた。
レオンは人に誇れるような人生を送ってはこなかった。だからといって、誰かに狙われるようないわれもない。
ストーカーに悩まされていたレある日、ローブを着た不審な人物に出会う。
逃げるローブの人物を追いかけていると、レオンは気絶させられ誘拐されてしまう。
マルセルと名乗った少年はレオンを閉じ込め、痛めつけるでもなくただ日々を過ごすだけ。
そんな毎日にいつしかレオンは安らぎを覚え、純粋なマルセルに毒されていく。
近づいては離れる猫のようなマルセル×囚われるレオン
転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています
柚吉猫
BL
生前の記憶は彼にとって悪夢のようだった。
酷い別れ方を引きずったまま転生した先は悪役令嬢がヒロインの乙女ゲームの世界だった。
性悪聖ヒロインの弟に生まれ変わって、過去の呪縛から逃れようと必死に生きてきた。
そんな彼の前に現れた竜王の化身である騎士団長。
離れたいのに、皆に愛されている騎士様は離してくれない。
姿形が違っても、魂でお互いは繋がっている。
冷然竜王騎士団長×過去の呪縛を背負う悪役弟
今度こそ、本当の恋をしよう。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
メインキャラ達の様子がおかしい件について
白鳩 唯斗
BL
前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。
サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。
どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。
ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。
世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。
どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!
主人公が老若男女問わず好かれる話です。
登場キャラは全員闇を抱えています。
精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。
BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。
恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる