少女漫画の当て馬に転生したら聖騎士がヤンデレ化しました

猫むぎ

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暗闇の中

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イヴをいつものように見送って、掃除をしようとドアに背を向ける。

昨日イヴは何かを隠して、俺には何も見せてくれなかった。
イヴが見せないのにはなにか理由があるんじゃないかとは思うが、気になってしまう。

家の前になにかあったみたいだから、家から出なければ許してくれるかな。

そう思ってドアに近付いて、開けようとしたが全然開かなかった。
あれ?さっきイヴ、普通にドアを開けていたよな。

俺、ドアに嫌われているのかな。

開かないんじゃ仕方ない、諦めて仕事に戻ろうと足元にいるクロと一緒にドアから離れた。

掃除をしていると窓の外に立っている人がいて、今度はウロウロしていない。
ただ立っている、一つの場所をただ見つめているだけだった。

イヴは知らない人だと言っていたが、毎日なんで来るんだろう。
こんなに毎日来るならイヴが目当てなんだろうけど…

ふと見上げて、俺のいる窓の方に目線を向けていた。
口パクでなにか言っていて、俺には遠いし窓が開かないから聞く事すら出来ない。
いつもは睨んでいるだけだったのに、今日は口元に笑みを浮かべていた。

なんか楽しそうというより不穏な感じがして、背筋がぞくりとした。
クロは威嚇をしているのか、毛を逆立たせていだ。

視線を一瞬外して、また窓を見るともう誰もいなかった。

だんだん彼が怖い存在のようになっていっているような感じがする。
最初に見た時はあんな感じじゃなかった筈なのに、外見が同じだけの別人のようだった。

まだクロは窓の向こうを睨んでいて、クロの体の毛が伸びていた。
驚いてクロの名を呼ぶけど、クロには届いていないのか体も変化している。

大きな体の猫に変身したクロは雄叫びを上げていた。

「く、クロ…どうしたんだ?クロッ!!」

クロはずっと窓を見ていて、俺はイヴにどうしたらいいか聞こうと思った。
歩き出した時、家が薄暗くなって足を止めて窓の方を見る。
さっきは太陽の光で照らしていた室内は明かりを消していた。

窓が真っ暗だ、外が突然暗くなったのかと窓に近付く。

無数の目が俺を見つめていて、驚いて尻餅を付いた。
嫌だ、怖い……見るな…またあの暗闇のように視界が真っ暗になる。

ガタガタと窓を揺らしていて、外から入って来られないのだろう。
俺はクロの大きな体にしがみついて、目玉が居なくなるように心の中で何処かに行けと追い払おうとした。

クロは俺の方を見つめて、スリスリと体を擦らせていた。
だんだんクロの体は小さくなり、元のサイズに戻った。

俺は逃げるようにクロを抱き寄せて、部屋に逃げ込んだ。

部屋も暗くて、目玉が俺を見つめていてカーテンを思いっきり引っ張った。
イヴ、仕事中なのかな…水晶型の通信魔導機に触れる。

仕事中だとしてもこれは知らせなくてはいけない。

でも、通信魔導機はイヴに繋げてくれなくて何の反応もしなかった。

「なんで、どうして…まさかイヴにもなにかあったのか?」

「にゃー」

「クロ、イヴの事なにか知らない?」

イヴは俺を見上げているだけで、知っているわけないかとベッドに上がり頭から布団を被る。

この家にいれば何もされない筈だ、大丈夫だ…大丈夫。

そう思って、このまま寝てしまおうと思ったが急に腕が痛くなった。
刃物で切り裂かれるような、鋭い痛みに腕を掴んで爪を立てる。
痛い痛い痛い!!痛みで涙が流れて、腕が熱くなる。
布団から顔を出して、腕を見ると唖然として目を見開いた。

「なに、これ…」

俺の手は黒く汚れていて、見間違えかと思って小さな炎を出して手を確認する。
見間違えだと思った、見間違えであってほしかった。

でも俺の手はやっぱり黒くなっていて、さっきまで触っていた腕を見つめた。
袖に黒い染みのようなものがあり、慌てて服を脱いだ。

包帯を黒く染めていて、明らかに俺の血ではないなにかがそこにあった。
包帯を外そうとしたら、激しい痛みと痙攣でベッドに倒れた。
ベッドを黒く染めて、シーツを掴むとクロは俺の目の前で姿がドロドロに溶けてしまった。

クロ、そんな…まさか死んでしまったのか?俺を一人にしないで…

俺の味方がいないこの場所で、未知なる黒いものが体から流れて痛みで死んでしまうのかと恐怖した。
包帯がするすると解けていて、刺青が伸びて俺の首にまで伸ばされた。

締めるように苦しくなり、息もしづらくなってきた。

短い息を繰り返して、イヴが帰ってくるまで耐えようと思った。
大丈夫、俺なら出来る…こんな痛み…あの頃と比べたら全然痒くもない!

俺は一度死んだんだ、記憶もちゃんと残っている…病院で一人死んでいったあの時と比べたらこんなもの大した事じゃない。
今までいろんなピンチを回避してきたんだ、弱気になってどうするんだ俺!
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