少女漫画の当て馬に転生したら聖騎士がヤンデレ化しました

猫むぎ

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イヴ視点22

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ユーリが隣で可愛い顔をして眠っている。

前髪に触れて、そのまま目蓋を片手で覆った。
深く深く眠るように…ユーリが俺の居ない間に目を覚まさないように…

手を離すと、ユーリは死んだように眠っていて起きる気配がない。

そのままベッドから降りて、ユーリに肩まで布団を掛けた。
ユーリの隣にいる黒猫は俺の方を一瞬だけ見たと思ったら興味なさそうに再び眠っていた。
ユーリに名前をもらったから俺に勝った気でいるのか。
俺の分身でユーリを守るためだけで生かされているというのに…

気に入らないが、今はそれよりユーリに害するものを排除しなくてはいけない。

部屋から出て、俺はそのまま玄関に向かった。
ユーリはドアが壊れていると言っていたが、俺がこの家に結界を張っている事を知らない。
ユーリを守るための結界、俺の許可がなければ誰も出入りは出来ない。

そのおかげでユーリに何もなかったから良かった。
俺はマティアスとは違う、ユーリを守るためにこの安全な場所に避難させている…それだけだ。

ユーリは何も知らなくていい、そのまま俺の傍で笑ってくれたら他に何も望まない。

家のドアを開けて、灯りも付けずにそれを見つめる。

正方形に切られた木に文字が書いてあり、赤黒いシミが木を変色させ腐らせている。
そして、木を黒く細長い紐でぐるぐる巻きにしてあった。
俺の家に入れない魔物はその木に群がっている。
…同じ気配がするからコイツらの好物なのだろう。

昔、いろいろな本を読まされた時に見た事がある…人間が唯一使える魔法が存在していた。
人間の国ではそれを「魔法」と呼ばずに「呪い」と呼ぶらしい。

いろいろな方法があるが、体の一部を切り取り…呪いたい相手の近くに持っていく方法が効果的。
俺自身人間が考えた呪いになんて興味はないが、人間の国とこの国は長きに渡り戦争を繰り返してきた。
あらゆる方法で人間の国を制圧するために、知っておいて損はないと覚えていた。

まさか、俺達の前にこんなものを用意するとは…

俺が見た事があるんだ、他の奴らも見た事があっても不思議ではない。
それに人間の呪いの効果は分からないが、それを力がある魔導士がやるとなると確実に悪い影響を与えるものとなる。

ユーリを狙ってやったのだとすぐに分かった。

この呪いの道具が置いてある場所は、玄関前に立っている柱の後ろだ。
帰ってきた俺には見えない位置にあるから、家からドアを開けるまで気付かなかった。

家の中にいるユーリが開けたらどうなっていたか…

手をかざすと、黒い炎が木を包み込んで燃えていた。

わざわざユーリを家から出すためにしていたんだろうが、俺がいる限りユーリには指一本触れさせない。

赤黒い血が染み付いた木にぐるぐる巻きにされていた髪の毛は灰になって、風と共に去っていった。

家に入って来ようとする魔物を踏み潰してユーリが待っている部屋に向かった。
小さな寝息に頬が緩み、そのまま軽く頬に口付けてベッドの中に潜り込んだ。
後ろからユーリを抱きしめて、眠りについた。

ユーリになにかしようとした奴……ユーリが幸せに過ごせるように、俺が排除する。






*****

「んっ…」

眩しい太陽の光に眉を寄せて、ゆっくりと目を開けた。
上半身を起こして起きていたユーリは、俺に気付いて可愛い顔で微笑んでいた。
「おはよう」と言われて、俺はとびきりの笑顔で「おはよう、愛してる」とユーリの手の甲の指に口付けた。

ユーリは顔を赤くして慌てているのがとても愛しくて朝から襲いたくなる。
朝でも昼でも夜でもユーリに触れていたいが、今はユーリの朝食が食べたいから我慢する。

起き上がると、寝間着のボタンが三つ外れていた。
寝相は悪くないけど、暑くて外したのか?
寝ている姿の自分までは分からず、まぁいいかと思ったらはだけていたシャツを閉じられた。

「ユーリ、どうかした?」

「……朝には刺激が強すぎるので…」

「いつももっと凄い事してるのに?」

「あっ!!早く着替えないと遅刻するよ!!」

ユーリにキスをしようとしたら慌てたような声を出していた。
可愛いな、そんな慌てなくてもいいのに…そう思っていたらユーリがベッドから落ちた。

怪我はないが、ちょっと調子に乗りすぎたと反省した。

ユーリと一緒に風呂に入ろうと思ったのに、ユーリは服を着替えてエプロンを身に付けていた。
今日はダメなのか、昨日は激しくしてしまったから仕方ない。
裸でユーリに触れるとユーリも反応して、俺が我慢出来ない。

別々に入れば、確かにお互い理性が飛ぶ事はない。
ユーリの体を気遣うためには、それが一番いい。

「じゃあ風呂に入ってくるね」

「うん!美味しい朝食作って待ってる!」

ユーリはそう言って先に部屋を出ていき、笑顔で見送った。
ユーリが近くにいるのに触れない、でもそれは仕方ないんだ。
俺とユーリは違う、ユーリは弱くて脆い存在なんだ…俺が乱暴にしたら壊れてしまう。
だからこれはしょうがない、しょうがない…

自分にそう言い聞かせながら、震える手をもう片方の手で握りしめた。
爪が食い込み、薄い皮膚が破けて真っ赤な血がポタポタと流れる。
熱くて、鋭い痛みが走るが眉一つ動かさない。
自分で与えた傷なんて、そんなものないようなものだ。

俺が必要とする傷は、ユーリが快楽で溺れて俺の背中に立てた爪痕だけ…

ユーリと一緒にいるためには、我慢も大切だ…自分の腕や足を切り落としてでも欲望を抑え込まないと。
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