82 / 98
イヴ視点22
しおりを挟む
ユーリが隣で可愛い顔をして眠っている。
前髪に触れて、そのまま目蓋を片手で覆った。
深く深く眠るように…ユーリが俺の居ない間に目を覚まさないように…
手を離すと、ユーリは死んだように眠っていて起きる気配がない。
そのままベッドから降りて、ユーリに肩まで布団を掛けた。
ユーリの隣にいる黒猫は俺の方を一瞬だけ見たと思ったら興味なさそうに再び眠っていた。
ユーリに名前をもらったから俺に勝った気でいるのか。
俺の分身でユーリを守るためだけで生かされているというのに…
気に入らないが、今はそれよりユーリに害するものを排除しなくてはいけない。
部屋から出て、俺はそのまま玄関に向かった。
ユーリはドアが壊れていると言っていたが、俺がこの家に結界を張っている事を知らない。
ユーリを守るための結界、俺の許可がなければ誰も出入りは出来ない。
そのおかげでユーリに何もなかったから良かった。
俺はマティアスとは違う、ユーリを守るためにこの安全な場所に避難させている…それだけだ。
ユーリは何も知らなくていい、そのまま俺の傍で笑ってくれたら他に何も望まない。
家のドアを開けて、灯りも付けずにそれを見つめる。
正方形に切られた木に文字が書いてあり、赤黒いシミが木を変色させ腐らせている。
そして、木を黒く細長い紐でぐるぐる巻きにしてあった。
俺の家に入れない魔物はその木に群がっている。
…同じ気配がするからコイツらの好物なのだろう。
昔、いろいろな本を読まされた時に見た事がある…人間が唯一使える魔法が存在していた。
人間の国ではそれを「魔法」と呼ばずに「呪い」と呼ぶらしい。
いろいろな方法があるが、体の一部を切り取り…呪いたい相手の近くに持っていく方法が効果的。
俺自身人間が考えた呪いになんて興味はないが、人間の国とこの国は長きに渡り戦争を繰り返してきた。
あらゆる方法で人間の国を制圧するために、知っておいて損はないと覚えていた。
まさか、俺達の前にこんなものを用意するとは…
俺が見た事があるんだ、他の奴らも見た事があっても不思議ではない。
それに人間の呪いの効果は分からないが、それを力がある魔導士がやるとなると確実に悪い影響を与えるものとなる。
ユーリを狙ってやったのだとすぐに分かった。
この呪いの道具が置いてある場所は、玄関前に立っている柱の後ろだ。
帰ってきた俺には見えない位置にあるから、家からドアを開けるまで気付かなかった。
家の中にいるユーリが開けたらどうなっていたか…
手をかざすと、黒い炎が木を包み込んで燃えていた。
わざわざユーリを家から出すためにしていたんだろうが、俺がいる限りユーリには指一本触れさせない。
赤黒い血が染み付いた木にぐるぐる巻きにされていた髪の毛は灰になって、風と共に去っていった。
家に入って来ようとする魔物を踏み潰してユーリが待っている部屋に向かった。
小さな寝息に頬が緩み、そのまま軽く頬に口付けてベッドの中に潜り込んだ。
後ろからユーリを抱きしめて、眠りについた。
ユーリになにかしようとした奴……ユーリが幸せに過ごせるように、俺が排除する。
*****
「んっ…」
眩しい太陽の光に眉を寄せて、ゆっくりと目を開けた。
上半身を起こして起きていたユーリは、俺に気付いて可愛い顔で微笑んでいた。
「おはよう」と言われて、俺はとびきりの笑顔で「おはよう、愛してる」とユーリの手の甲の指に口付けた。
ユーリは顔を赤くして慌てているのがとても愛しくて朝から襲いたくなる。
朝でも昼でも夜でもユーリに触れていたいが、今はユーリの朝食が食べたいから我慢する。
起き上がると、寝間着のボタンが三つ外れていた。
寝相は悪くないけど、暑くて外したのか?
寝ている姿の自分までは分からず、まぁいいかと思ったらはだけていたシャツを閉じられた。
「ユーリ、どうかした?」
「……朝には刺激が強すぎるので…」
「いつももっと凄い事してるのに?」
「あっ!!早く着替えないと遅刻するよ!!」
ユーリにキスをしようとしたら慌てたような声を出していた。
可愛いな、そんな慌てなくてもいいのに…そう思っていたらユーリがベッドから落ちた。
怪我はないが、ちょっと調子に乗りすぎたと反省した。
ユーリと一緒に風呂に入ろうと思ったのに、ユーリは服を着替えてエプロンを身に付けていた。
今日はダメなのか、昨日は激しくしてしまったから仕方ない。
裸でユーリに触れるとユーリも反応して、俺が我慢出来ない。
別々に入れば、確かにお互い理性が飛ぶ事はない。
ユーリの体を気遣うためには、それが一番いい。
「じゃあ風呂に入ってくるね」
「うん!美味しい朝食作って待ってる!」
ユーリはそう言って先に部屋を出ていき、笑顔で見送った。
ユーリが近くにいるのに触れない、でもそれは仕方ないんだ。
俺とユーリは違う、ユーリは弱くて脆い存在なんだ…俺が乱暴にしたら壊れてしまう。
だからこれはしょうがない、しょうがない…
自分にそう言い聞かせながら、震える手をもう片方の手で握りしめた。
爪が食い込み、薄い皮膚が破けて真っ赤な血がポタポタと流れる。
熱くて、鋭い痛みが走るが眉一つ動かさない。
自分で与えた傷なんて、そんなものないようなものだ。
俺が必要とする傷は、ユーリが快楽で溺れて俺の背中に立てた爪痕だけ…
ユーリと一緒にいるためには、我慢も大切だ…自分の腕や足を切り落としてでも欲望を抑え込まないと。
前髪に触れて、そのまま目蓋を片手で覆った。
深く深く眠るように…ユーリが俺の居ない間に目を覚まさないように…
手を離すと、ユーリは死んだように眠っていて起きる気配がない。
そのままベッドから降りて、ユーリに肩まで布団を掛けた。
ユーリの隣にいる黒猫は俺の方を一瞬だけ見たと思ったら興味なさそうに再び眠っていた。
ユーリに名前をもらったから俺に勝った気でいるのか。
俺の分身でユーリを守るためだけで生かされているというのに…
気に入らないが、今はそれよりユーリに害するものを排除しなくてはいけない。
部屋から出て、俺はそのまま玄関に向かった。
ユーリはドアが壊れていると言っていたが、俺がこの家に結界を張っている事を知らない。
ユーリを守るための結界、俺の許可がなければ誰も出入りは出来ない。
そのおかげでユーリに何もなかったから良かった。
俺はマティアスとは違う、ユーリを守るためにこの安全な場所に避難させている…それだけだ。
ユーリは何も知らなくていい、そのまま俺の傍で笑ってくれたら他に何も望まない。
家のドアを開けて、灯りも付けずにそれを見つめる。
正方形に切られた木に文字が書いてあり、赤黒いシミが木を変色させ腐らせている。
そして、木を黒く細長い紐でぐるぐる巻きにしてあった。
俺の家に入れない魔物はその木に群がっている。
…同じ気配がするからコイツらの好物なのだろう。
昔、いろいろな本を読まされた時に見た事がある…人間が唯一使える魔法が存在していた。
人間の国ではそれを「魔法」と呼ばずに「呪い」と呼ぶらしい。
いろいろな方法があるが、体の一部を切り取り…呪いたい相手の近くに持っていく方法が効果的。
俺自身人間が考えた呪いになんて興味はないが、人間の国とこの国は長きに渡り戦争を繰り返してきた。
あらゆる方法で人間の国を制圧するために、知っておいて損はないと覚えていた。
まさか、俺達の前にこんなものを用意するとは…
俺が見た事があるんだ、他の奴らも見た事があっても不思議ではない。
それに人間の呪いの効果は分からないが、それを力がある魔導士がやるとなると確実に悪い影響を与えるものとなる。
ユーリを狙ってやったのだとすぐに分かった。
この呪いの道具が置いてある場所は、玄関前に立っている柱の後ろだ。
帰ってきた俺には見えない位置にあるから、家からドアを開けるまで気付かなかった。
家の中にいるユーリが開けたらどうなっていたか…
手をかざすと、黒い炎が木を包み込んで燃えていた。
わざわざユーリを家から出すためにしていたんだろうが、俺がいる限りユーリには指一本触れさせない。
赤黒い血が染み付いた木にぐるぐる巻きにされていた髪の毛は灰になって、風と共に去っていった。
家に入って来ようとする魔物を踏み潰してユーリが待っている部屋に向かった。
小さな寝息に頬が緩み、そのまま軽く頬に口付けてベッドの中に潜り込んだ。
後ろからユーリを抱きしめて、眠りについた。
ユーリになにかしようとした奴……ユーリが幸せに過ごせるように、俺が排除する。
*****
「んっ…」
眩しい太陽の光に眉を寄せて、ゆっくりと目を開けた。
上半身を起こして起きていたユーリは、俺に気付いて可愛い顔で微笑んでいた。
「おはよう」と言われて、俺はとびきりの笑顔で「おはよう、愛してる」とユーリの手の甲の指に口付けた。
ユーリは顔を赤くして慌てているのがとても愛しくて朝から襲いたくなる。
朝でも昼でも夜でもユーリに触れていたいが、今はユーリの朝食が食べたいから我慢する。
起き上がると、寝間着のボタンが三つ外れていた。
寝相は悪くないけど、暑くて外したのか?
寝ている姿の自分までは分からず、まぁいいかと思ったらはだけていたシャツを閉じられた。
「ユーリ、どうかした?」
「……朝には刺激が強すぎるので…」
「いつももっと凄い事してるのに?」
「あっ!!早く着替えないと遅刻するよ!!」
ユーリにキスをしようとしたら慌てたような声を出していた。
可愛いな、そんな慌てなくてもいいのに…そう思っていたらユーリがベッドから落ちた。
怪我はないが、ちょっと調子に乗りすぎたと反省した。
ユーリと一緒に風呂に入ろうと思ったのに、ユーリは服を着替えてエプロンを身に付けていた。
今日はダメなのか、昨日は激しくしてしまったから仕方ない。
裸でユーリに触れるとユーリも反応して、俺が我慢出来ない。
別々に入れば、確かにお互い理性が飛ぶ事はない。
ユーリの体を気遣うためには、それが一番いい。
「じゃあ風呂に入ってくるね」
「うん!美味しい朝食作って待ってる!」
ユーリはそう言って先に部屋を出ていき、笑顔で見送った。
ユーリが近くにいるのに触れない、でもそれは仕方ないんだ。
俺とユーリは違う、ユーリは弱くて脆い存在なんだ…俺が乱暴にしたら壊れてしまう。
だからこれはしょうがない、しょうがない…
自分にそう言い聞かせながら、震える手をもう片方の手で握りしめた。
爪が食い込み、薄い皮膚が破けて真っ赤な血がポタポタと流れる。
熱くて、鋭い痛みが走るが眉一つ動かさない。
自分で与えた傷なんて、そんなものないようなものだ。
俺が必要とする傷は、ユーリが快楽で溺れて俺の背中に立てた爪痕だけ…
ユーリと一緒にいるためには、我慢も大切だ…自分の腕や足を切り落としてでも欲望を抑え込まないと。
30
あなたにおすすめの小説
ヤリチン伯爵令息は年下わんこに囚われ首輪をつけられる
桃瀬さら
BL
「僕のモノになってください」
首輪を持った少年はレオンに首輪をつけた。
レオンは人に誇れるような人生を送ってはこなかった。だからといって、誰かに狙われるようないわれもない。
ストーカーに悩まされていたレある日、ローブを着た不審な人物に出会う。
逃げるローブの人物を追いかけていると、レオンは気絶させられ誘拐されてしまう。
マルセルと名乗った少年はレオンを閉じ込め、痛めつけるでもなくただ日々を過ごすだけ。
そんな毎日にいつしかレオンは安らぎを覚え、純粋なマルセルに毒されていく。
近づいては離れる猫のようなマルセル×囚われるレオン
人気俳優に拾われてペットにされた件
米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。
そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。
「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。
「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。
これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
魔法使い、双子の悪魔を飼う
yondo
BL
「僕、魔法使いでよかった」
リュシーは宮廷専属の優秀な魔法使い。
人が寄りつけない程強い自身の力のせいで常に孤独なリュシーは、ある日何気なく街を歩いていた際に闇商人の話を聞いてしまう。貴重で価値ある''モノ''を高値で買い取る悪趣味な会が近くであるらしく気になったリュシーは其処で不思議な双子と出逢いを果たす。
本の見よう見まねで無償の愛を与え続けるリュシーに育てられた双子はいつしか胸の内に何とも言えない感情を抱く様になり...
独りぼっちだった魔法使いが出逢いを通して彼等と関係を紡いでいき幸せを知る微闇要素有りのBLファンタジー。
(※) 過激描写のある話に付けています。
*** 攻め視点
※不定期更新です。
※誤字脱字の報告助かるので嬉しいです。
※何でもOKな方のみ拝読お願いします。
扉絵
YOHJI@yohji_fanart様
(無断転載×)
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる