88 / 98
掃除
しおりを挟む
「いてて…」
窓を開けたら、目にゴミが入って窓から離れた。
擦ると悪化するから水魔法で顔を洗ってから窓に戻った。
黒いシミは臭いも腐った果物みたいな何とも言えない悪臭で鼻を摘んだ。
部屋の全部の窓を開けたい気分だけど、脳内に焼き付いたあの目玉が怖くて開けられない。
でも空気の入れ替えをしないといけないから一つだけ窓を開けた。
大丈夫、そう自分に言い聞かせて掃除を再開した。
イヴが帰ってくる前に綺麗にしとかないと、あのままじゃ仕事の疲れが取れない。
俺の部屋は俺が寝るから後回しにして、エントランスと廊下の汚れを拭く。
いつも掃除をする時、こんなに汚れていた事はなかった。
腕や足が疲れて、頬に流れる汗を拭って壁を拭いた。
天井はどうしよう、風の魔術で飛べばいいんだけど俺の力で天井まで行くだろうか。
そもそも人を浮かすほどの力があるのかすら分からない。
グッと布を握り、地面に向かって風を思いっきり吹かせた。
イメージはロケットみたいな感じだ、そのまま上に持ち運んでほしい。
顔を赤くするほど力を込めたが、俺の服が揺れているだけだ。
天井も汚れているし、どうしようかな…帰ったらイヴにお願いしてみよう。
イヴの力なら簡単に浮くし、そこで俺が急いで拭けばイヴも負担にはならないと思う。
手の届く床や壁は拭いて、小さいカーペットはランドリー室に運んだ。
そして、やっぱり天井が気になってしまい上を見上げる。
モップを伸ばせば届くかもしれない、このモップ結構長いし…
俺は試してみようと、二階の廊下までやってきた。
柵に手を付いて、手を伸ばすとまだ届かない。
人を浮かす事は出来ないけど、モップくらいなら浮かせられる。
息を吸って、吐いて…集中して風を送るとモップはゆっくりと浮いた。
もう少し高さが必要だな、柵に膝を乗っけて腕を伸ばす。
するとモップの先が触れて、あと少しだと身を乗り出す。
柵にも黒いシミが付いていたのに気付かず、ズルッと滑った。
二階からエントランスへと落ちる時、風を失ったモップも上から落ちてくる。
落ちるだけなら、打撲くらいで済むだろうがモップも上から落ちてきたらどうなるか分からない。
痛みに耐えるように目を瞑ると、いくら待っていても衝撃は訪れなかった。
ゆっくり目を開けると、俺の前にイヴが立っていた。
「イ…ヴ」
「ユーリ、怪我は?」
「おかえり…」
話が噛み合っていないが、俺はイヴが帰ってきたら言おうと思っていた言葉を口にした。
イヴは一瞬キョトンとした顔をしていたが、フッと微笑んでいた。
「ただいま」と言っている、イヴの手にはモップが握られていた。
お姫様みたいに抱き上げられていて、イヴが両方キャッチしてくれたみたいだ。
ずっと持ってたらイヴの手が疲れてしまうから離してほしかったけど、そのまま運ばれた。
俺の部屋ではなくイヴの部屋に連れて行かれて、ベッドに座らされた。
モップを壁に掛けているイヴを眺めていた。
「イヴ、助けてくれてありがとう」
「ユーリ、何してたの?」
「えっと、掃除を…」
そこで自分のエプロンが黒く汚れているのに気付いて慌てて脱ぐ。
イヴの部屋まで汚すところだった、エプロンを持っていたらイヴにエプロンを掴まれた。
「汚いよ」と言っても引っ張るから、エプロンを渡した。
すると、イヴの手は真っ赤に燃えていて俺が止める前にエプロンが火に包まれていた。
びっくりしてイヴに駆け寄ると、軽く腕を振って火は消えた。
エプロンは燃えカスになって、跡形もなくなっていった。
「イヴ、なんで…」
「やっぱり間違いだったんだ、ユーリが使用人の真似事なんて」
「……え?」
「俺がいたから今日は良かったけど、いなかったらどうするつもりだったの」
イヴは目を細めて静かに怒っていて、手を握った。
確かに今日危ない事をした、もう柵に登ったりしない。
それじゃあ、イヴはきっと納得しないよな。
確かにイヴがいなかったら怪我は回避出来なかった、でも怪我といっても死ぬほどじゃないと思っている。
エントランスは柔らかいじゅうたんが敷き詰められているからだ。
それを素直に言って、イヴの様子を伺っていた。
イヴは片手で目元を覆って、表情がよく分からない。
でも、空気が重くのしかかっているのは痛いほど分かる。
「そう、ユーリは骨が折れても平気なんだ」
「そんな事、ないよ…でもエントランスのじゅうたんの柔らかさなら大丈夫だと思って」
指の隙間からイヴの鋭い真っ赤な瞳が覗いた。
その瞳に見つめられると、金縛りのように自由を奪われる。
イヴは心配してくれているのは分かってる、でも…何も言わず俺がここにいる理由まで奪わないで…
俺の事を追い出したいなら、辛いけどちゃんと言ってほしいよ。
「俺、イヴに迷惑掛けたよね…ごめんなさい…貧困街に戻っても今は街を出入り出来るし、何とかやっていけるから!」
「戻るの?」
「だってこんなに汚したの俺だし、イヴに迷惑掛けてたらここにいる意味が…」
「……」
窓を開けたら、目にゴミが入って窓から離れた。
擦ると悪化するから水魔法で顔を洗ってから窓に戻った。
黒いシミは臭いも腐った果物みたいな何とも言えない悪臭で鼻を摘んだ。
部屋の全部の窓を開けたい気分だけど、脳内に焼き付いたあの目玉が怖くて開けられない。
でも空気の入れ替えをしないといけないから一つだけ窓を開けた。
大丈夫、そう自分に言い聞かせて掃除を再開した。
イヴが帰ってくる前に綺麗にしとかないと、あのままじゃ仕事の疲れが取れない。
俺の部屋は俺が寝るから後回しにして、エントランスと廊下の汚れを拭く。
いつも掃除をする時、こんなに汚れていた事はなかった。
腕や足が疲れて、頬に流れる汗を拭って壁を拭いた。
天井はどうしよう、風の魔術で飛べばいいんだけど俺の力で天井まで行くだろうか。
そもそも人を浮かすほどの力があるのかすら分からない。
グッと布を握り、地面に向かって風を思いっきり吹かせた。
イメージはロケットみたいな感じだ、そのまま上に持ち運んでほしい。
顔を赤くするほど力を込めたが、俺の服が揺れているだけだ。
天井も汚れているし、どうしようかな…帰ったらイヴにお願いしてみよう。
イヴの力なら簡単に浮くし、そこで俺が急いで拭けばイヴも負担にはならないと思う。
手の届く床や壁は拭いて、小さいカーペットはランドリー室に運んだ。
そして、やっぱり天井が気になってしまい上を見上げる。
モップを伸ばせば届くかもしれない、このモップ結構長いし…
俺は試してみようと、二階の廊下までやってきた。
柵に手を付いて、手を伸ばすとまだ届かない。
人を浮かす事は出来ないけど、モップくらいなら浮かせられる。
息を吸って、吐いて…集中して風を送るとモップはゆっくりと浮いた。
もう少し高さが必要だな、柵に膝を乗っけて腕を伸ばす。
するとモップの先が触れて、あと少しだと身を乗り出す。
柵にも黒いシミが付いていたのに気付かず、ズルッと滑った。
二階からエントランスへと落ちる時、風を失ったモップも上から落ちてくる。
落ちるだけなら、打撲くらいで済むだろうがモップも上から落ちてきたらどうなるか分からない。
痛みに耐えるように目を瞑ると、いくら待っていても衝撃は訪れなかった。
ゆっくり目を開けると、俺の前にイヴが立っていた。
「イ…ヴ」
「ユーリ、怪我は?」
「おかえり…」
話が噛み合っていないが、俺はイヴが帰ってきたら言おうと思っていた言葉を口にした。
イヴは一瞬キョトンとした顔をしていたが、フッと微笑んでいた。
「ただいま」と言っている、イヴの手にはモップが握られていた。
お姫様みたいに抱き上げられていて、イヴが両方キャッチしてくれたみたいだ。
ずっと持ってたらイヴの手が疲れてしまうから離してほしかったけど、そのまま運ばれた。
俺の部屋ではなくイヴの部屋に連れて行かれて、ベッドに座らされた。
モップを壁に掛けているイヴを眺めていた。
「イヴ、助けてくれてありがとう」
「ユーリ、何してたの?」
「えっと、掃除を…」
そこで自分のエプロンが黒く汚れているのに気付いて慌てて脱ぐ。
イヴの部屋まで汚すところだった、エプロンを持っていたらイヴにエプロンを掴まれた。
「汚いよ」と言っても引っ張るから、エプロンを渡した。
すると、イヴの手は真っ赤に燃えていて俺が止める前にエプロンが火に包まれていた。
びっくりしてイヴに駆け寄ると、軽く腕を振って火は消えた。
エプロンは燃えカスになって、跡形もなくなっていった。
「イヴ、なんで…」
「やっぱり間違いだったんだ、ユーリが使用人の真似事なんて」
「……え?」
「俺がいたから今日は良かったけど、いなかったらどうするつもりだったの」
イヴは目を細めて静かに怒っていて、手を握った。
確かに今日危ない事をした、もう柵に登ったりしない。
それじゃあ、イヴはきっと納得しないよな。
確かにイヴがいなかったら怪我は回避出来なかった、でも怪我といっても死ぬほどじゃないと思っている。
エントランスは柔らかいじゅうたんが敷き詰められているからだ。
それを素直に言って、イヴの様子を伺っていた。
イヴは片手で目元を覆って、表情がよく分からない。
でも、空気が重くのしかかっているのは痛いほど分かる。
「そう、ユーリは骨が折れても平気なんだ」
「そんな事、ないよ…でもエントランスのじゅうたんの柔らかさなら大丈夫だと思って」
指の隙間からイヴの鋭い真っ赤な瞳が覗いた。
その瞳に見つめられると、金縛りのように自由を奪われる。
イヴは心配してくれているのは分かってる、でも…何も言わず俺がここにいる理由まで奪わないで…
俺の事を追い出したいなら、辛いけどちゃんと言ってほしいよ。
「俺、イヴに迷惑掛けたよね…ごめんなさい…貧困街に戻っても今は街を出入り出来るし、何とかやっていけるから!」
「戻るの?」
「だってこんなに汚したの俺だし、イヴに迷惑掛けてたらここにいる意味が…」
「……」
34
あなたにおすすめの小説
ヤリチン伯爵令息は年下わんこに囚われ首輪をつけられる
桃瀬さら
BL
「僕のモノになってください」
首輪を持った少年はレオンに首輪をつけた。
レオンは人に誇れるような人生を送ってはこなかった。だからといって、誰かに狙われるようないわれもない。
ストーカーに悩まされていたレある日、ローブを着た不審な人物に出会う。
逃げるローブの人物を追いかけていると、レオンは気絶させられ誘拐されてしまう。
マルセルと名乗った少年はレオンを閉じ込め、痛めつけるでもなくただ日々を過ごすだけ。
そんな毎日にいつしかレオンは安らぎを覚え、純粋なマルセルに毒されていく。
近づいては離れる猫のようなマルセル×囚われるレオン
人気俳優に拾われてペットにされた件
米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。
そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。
「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。
「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。
これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
転生したらBLゲームのホスト教師だったのでオネエ様になろうと思う
ラットピア
BL
毎日BLゲームだけが生き甲斐の社畜系腐男子凛時(りんじ)は会社(まっくろ♡)からの帰り、信号を渡る子供に突っ込んでいくトラックから子供を守るため飛び出し、トラックに衝突され、最近ハマっているBLゲームを全クリできていないことを悔やみながら目を閉じる。
次に目を覚ますとハマっていたBLゲームの攻略最低難易度のホスト教員籠目 暁(かごめ あかつき)になっていた。BLは見る派で自分がなる気はない凛時は何をとち狂ったのかオネエになることを決めた
オチ決定しました〜☺️
※印はR18です(際どいやつもつけてます)
毎日20時更新 三十話超えたら長編に移行します
メインストーリー開始時 暁→28歳 教員6年目
凛時転生時 暁→19歳 大学1年生(入学当日)
訂正箇所見つけ次第訂正してます。間違い探しみたいに探してみてね⭐︎
11/24 大変際どかったためR18に移行しました
12/3 書記くんのお名前変更しました。今は戌亥 修馬(いぬい しゅうま)くんです
魔法使い、双子の悪魔を飼う
yondo
BL
「僕、魔法使いでよかった」
リュシーは宮廷専属の優秀な魔法使い。
人が寄りつけない程強い自身の力のせいで常に孤独なリュシーは、ある日何気なく街を歩いていた際に闇商人の話を聞いてしまう。貴重で価値ある''モノ''を高値で買い取る悪趣味な会が近くであるらしく気になったリュシーは其処で不思議な双子と出逢いを果たす。
本の見よう見まねで無償の愛を与え続けるリュシーに育てられた双子はいつしか胸の内に何とも言えない感情を抱く様になり...
独りぼっちだった魔法使いが出逢いを通して彼等と関係を紡いでいき幸せを知る微闇要素有りのBLファンタジー。
(※) 過激描写のある話に付けています。
*** 攻め視点
※不定期更新です。
※誤字脱字の報告助かるので嬉しいです。
※何でもOKな方のみ拝読お願いします。
扉絵
YOHJI@yohji_fanart様
(無断転載×)
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる