最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン

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第43話 世界の終わり

【ローランドside】

「あれ、まだ竜たち巣にいるけど?」

 ローランドに抱かれた赤ん坊のうち、一人の赤ん坊が疑問の声を上げる。

「どうやら、勇者アルフレッドは失敗したようですね」
「えー、暗黒強化したアビスグリフォンを使わせたのにー?」
「何か不確定要素があったのかもしれません」

 ローランドは二人の赤ん坊に説明するが、二人は納得していない様子だった。
 
「魔族に変身する特別な体液もあげたよー」
「でも、あれで変身できるのは弱い魔族だったじゃん」
「だからやられたのかなー」
「きっとそうだよ」

 ローランドは先程郷を襲撃したのよりも更に巨大なアビスグリフォンに乗って、竜たちの巣に訪れていた。
 何匹かの竜がローランドたちに気づき、飛来する。

「また来たのか? 凝りぬ者たちよ」
「ここの制空権を支配しているのは誰か、まだ教える必要があるようだな」

 ローランドたちはすぐに見渡す限りの竜たちに囲まれる。

「情けないよね、この程度の竜にやられるんだもん」
「ほんとそうだね。実は勇者って無能なんじゃない? いい遊び道具になるかと思ったけど、破棄は早いかもね」

 赤ん坊たちは竜に囲まれていることなど、まるで意にかえさずに好き勝手話す。
 一方のローランドは額に冷や汗をかいていた。
 流石に彼でも一度にこの数の竜を相手取るのは厳しかったからだ。

「なぜ赤ん坊がこんな所にいる?」
「食らうのは魔族とグリフォンだけにしてやろう」
「なぜこんな矮小な存在に気を使う必要があるのだ? 歳をとって焼きが回ったなお前も」
「なあにぃ!」

 竜たちが言い争いをはじめた中で、赤ん坊の一人が柏手かしわでを打つ。

「そうだ! 物足りないなら僕たちも新たに作ればいいんだよ。マザーが僕たちを作ってくれたように、僕たちにもその権能は授けられているんだからさ」
「それはいい考えだね!」
「じゃあ、どんな魔族を新たに作る?」
「それとも作り変える? 魔王みたいに……ここに丁度ローランドもいるしさ」
「お戯れを……私はできれば今のままがようございます」

 ローランドは真っ青になりながら答える。

「何、口答えするの?」

 ローランドの脳裏に改造された魔王の姿が頭に浮かぶ。
 元の面影も人格も何もなく、かつて魔王だったものとは全く別のものにされていた。
 あんな魔改造をされるくらいなら死んだ方がマシだった。

「不満という訳ではございませんが、私如きに始祖様の権能を使うべきではないかと」
「ふーん…………まあいいや。それでなんかいい考え浮かんだ?」
「ちょっと考え浮かんだから聞いてよ」

 そういうと赤ん坊二人はローランドの手を離れて、二人コソコソ話しをはじめる。

「へーいいんじゃない? 創造してみなよ」
「じゃあ、創造するね!」

 赤ん坊の一人が手をかざす――――そこが光に包まれたかと思ったら、巨大で不気味な肉塊が現れた。
 肉塊は脈打ちながら不規則に蠢いている。

「やったできた!」
「名前はどうするの?」
「そうだな…………ヌートヌーンとかどうかな?」
「うん、いいんじゃない」

 肉塊から手足が細長く伸び、奇妙に曲がりくねっている。
 関節の角度が異常で、人間の骨格とはかけ離れている。
 手の先には鋭い爪があり、その脚部もまた異様に細い。

 その肉塊の中央で巨大な一つ目が見開かれ、ヌートヌーンが完全に覚醒した瞬間、周囲の空間が凍りつくような重圧が広がる。

「なんだこの異形の怪物は?」
「……こいつは危険だ! すぐに攻撃しろ!!」

 竜たちは長年生きた勘より、ヌートヌーンが自分たちの脅威になる生物であると瞬時に認識した。

「さあ存分に遊びな!」
「遊び相手はほら一杯いるよ!」

 竜の攻撃が到達する前にヌートヌーンはその細長い手を無造作に振る。
 すると――――ヌートヌーンが振るったその先の山々と竜たちは一瞬で消し飛んだ。
 そのあまりの威力に竜たちですら絶句して動きが止まる。

 次にヌートヌーンは上下に細長い手を振るった。
 その方向にいる竜はまた消し飛び、地面には深い亀裂が走った。
 その亀裂は地の底が見えない程深かった。

「なんだこの化け物は?」
神代かみよの時代の霊獣か?」
「信じられんような攻撃力だぞ!」
「竜王様を今すぐ呼べ!」

 竜たちはパニックに陥り、一匹二匹とその場から逃げ去っていく。

「恐れながら申し上げます」

 そこでアビスグリフォンの背に乗ったローランドが、片膝を付きながら宙に浮いた赤ん坊たちに青い顔をして進言する。

「なに?」
「ヌートヌーンはあまりに危険でございます。お二人が改造された魔王様のように、このまま好きにさせるとこの世界を滅ぼしかねません」
「なんだよ、また力調整ミスったの? 俺」
「もう、この程度で滅亡って世界がやわすぎるんだよなー。そんならいっそのこと一度全部破壊して、頑丈に作り直したほうがいいんじゃない?」
「お、お戯れを……」

 ローランドは絞り出すようにそれだけの言葉を紡ぐことしかできなかった。
 この二人が世界を滅亡させると言ったのは冗談ではなく、本当にやりかねないからだった。

「でも介入者はマザーだし、マザーはまだこの世界の行方を観察したいみたいだから、止めとこっか」
「そうだね。マザーの御心のままに」
「マザーの御心のままに」

 そこまで話すと二人はローランドの手に戻ってきた。

「で、どう?」
「どう、と申しますと?」
「だから僕たちがほんとに世界を破壊すると思った?」
「びびった?」
「ひゃひゃひゃひゃひゃ!」
「うひゃひゃひゃひゃ!」

 赤ん坊二人は狂ったような笑い声を上げはじめた。

 その場に残った竜たちも呆気にとられ、旺盛だった戦意も喪失していた。
 彼らほどの存在であっても、目の前の存在には決して介入できないと悟ったからだった。

 その日、竜の巣の谷にはじめて人間の赤ん坊の大きな笑い声が響き渡ることになった。
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