最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン

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第45話 乙女の大切な秘密

「グレイス様、ラグナ郷に来ていただいて本当にありがとうございました! 新たな英雄の誕生を私の孫にまで語り継いでいきます!」
「どうも、お力になれてよかったです」

 俺が座る酒宴に席には、ひっきりなしにラグナ郷の人が感謝の言葉を述べに来訪していた。
 感謝を述べられて悪い気はしないが、こうも多いと流石に面倒くささを感じてしまう。
 列を作っていた最後の来訪者が去り、ようやくもてなされたご馳走に手をつける。

 そんな中で、今度はシオンが来訪してきた。
 彼女はジョッキを片手に赤ら顔になっていて千鳥足で、明らかに酔っていた。
 改めて感謝の言葉を言われるのか。それとも別の話しがあるのか。
 彼女の最初の一言を待っている時だった。

 シオンはジョッキに入ってる酒を俺にぶちまけた。

「おい! 英雄に何をするんだ!」
「宴の大切な賓客だぞ!」

 辺りは騒然とする。
 しかし、それでシオンが怯むことはなかった。

「ふん、なーにが英雄よ! 私の大切な機会を奪いやがってさ!」
「おい、シオン謝れ! グレイス様に!」
「酒の席の冗談では済まさんぞ!」

 俺の席の近くにいる高僧たちから叱責が飛ぶ。
 大僧正のギョクレイは酒が飲めないとのことで、同席はしていたが早々に宴の席からは退散していた。

 俺は片手を上げて、周りでいきり立っている者たちを諌める。

「シオン、俺が君の大切な機会を奪ったって一体どういうことかな?」
「ふん、じゃあこの際だから私の大切な秘密を教えてあげるわよ!」
「大切な秘密?」
「そう、乙女の大切な秘密よ!」

 シオンはそういうとギョクレイが座っていた俺の隣の席にどすんと腰をおろした。

「なんであの日、リュウゲンとの戦闘で途中で割って入ってきたの!」

 シオンがリュウゲンにやられてピンチになった時のことを言ってるのだろうか?
 それに乙女の秘密とやらは?
 何を怒っているのかよく分からないが俺は答える。

「あのままだとシオンはリュウゲンにもっとやられていただろ?」

 最初は押してはいたものの、それはリュウゲンが手加減をしていただけで、本来の力を発揮したリュウゲンには手も足も出なかったはずだ。

「私はもっとやれたのよ!」
「いや無理だろ……」

 そうは言ったものの、俺はシオンがまだ力を温存していたという可能性について考慮できていなかったことに思い至る。
 確かに竜ドーピングの真価を俺は知らない。
 もし、そうだとしたらシオンの怒りは理解できた。
 
「…………そうか、そういうことだったのか。俺が悪かった! 勝手にシオンの実力はあれが限界だなんて思ってしまって」

 俺はシオンに深々と頭を下げる。
 本来自分の手で撃破できた敵を横取りされた時ほど腹の立つことはないだろう。
 シオンの怒りは正当なものだし、もしそうなら非は俺にある。

「流石、英雄グレイス様。度量が違うな……」
「シオンまさか、そこまで力を隠していただなんて……」

 外野からはそのような声が上がり、急激にシオンに対するヘイトは下がっていく。

 それで一件落着のはずだった。
 しかし、シオンは予想を覆す返答をする。

「…………いや、私の実力ではあれが限界だけど?」

 彼女のあっさりとした告白によって、俺の頭の中ではてながいくつも浮かぶ。

「……じゃあ、なんて怒りを?」
「だから、私はもっとやれたって言ってるでしょ! 私はリュウゲンの攻撃をもっと受けれたのよ!」
「もっと時間稼ぎができたと?」
「……まあ、そうとも言えるわね」

 ということは、彼女は健気にも自分の身を呈して戦況を有利に運ぼうとしていたのか。
 ズレてるし、余計な負傷なのだが、その気持ちだけは間違ってない。

「そういうことだったのか……だったら納得だ。お前の思いを踏みにじるような真似をして悪かった!」
「…………また勘違いしてない?」
「なんだよ勘違いって。シオンは自分の身を呈して戦況を有利に進めようと頑張ろうとしてくれてたんだろ?」
「違う」
「違う?」

 シオンは近くにおいてあったジョッキに入っている酒をぐいっとあおる。

「だから何度も言うけど、私はリュウゲンの攻撃をもっと受けれたのよ!」
「あ、ああ。そうなんだな……」

 ここで俺はシオンが完全に酔っ払って、まともに話しができない状態だということに気づく。
 今まで彼女が言っていたのは、酔っぱらいの戯言なんだろう。
 ならば、後は適当に話しを合わせて、相槌を打つだけにしておくか。

「そう、私ならもっとリュウゲンを攻撃を受けれた。いや、この郷では私しか受けれなかったわ!」
「うんうん、そうだな」

 俺は近くの料理をつまみながら適当に相槌を打つ。

「リュウゲンしかいなかったんだ、女の私にグーパンチして鼻血ブーさせられるのは!」
「うんうん?」

 理解できないが相槌をうちながらジョッキから酒を流し込む。

「折角リュウゲンの攻撃を受け続けて快感の絶頂に至れそうだったのに、なんてことしてくれたのよ!!」
「ぶーーーーーっ!!」

 俺は口に含んでいた酒を吹き出した。
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