41 / 51
第41話 借り
しおりを挟む
「モヒートいいですか?」
「あ、はい、少々おまちください…………モヒート?」
雄大は俺の注文にこちらに視線を向ける。
適当に頼んだ注文が気になったようだ。
「…………お前、小日向か?」
「久しぶりだな」
「生きてたのかよ……」
「なんだよ、死んだほうがよかったのか?」
「別にそういう……てか、無能が随分と偉そうな口を聞くなぁ?」
雄大は眉間にシワを寄せて凄む。
こいつこんなに沸点低かったっけ?
茶髪にピアス。勉学ではなくバイトに精を出していたチャラ男系の男だ。
「俺は客だぞ? いいのかそんな口聞いて」
「勘違いすんなよ。俺は好きで働いてんだ、別にいつでも止めてもいい。っていうか女を引っ掛けるのに良さそうでやってるだけなんだよ。ちょっとこっちこいてめぇ」
顎をくいっとして裏口へ促す。
裏口を出るとそこは、人気がなく薄暗い路地裏になっていた。
「んで、何しにきやがったんだ? その調子だと俺がこのバーで働いてんの知ってたな?」
「俺が奈落に追放されてどんな思いをしたか分かるか?」
話しながら奈落のダンジョンで感じた絶望を思い出す。
雄大はたばこに火をつけて、美味しそうにそれを吸う。
「質問に質問を返してんじゃねえよ。答えはな…………知ったことかだ」
そこで吸った煙を一気に吐き出す。
「無能のクズがどうなろうと俺が知るわけねえだろ? それとも何か? ご、ごめん小日向君、俺止められなくて……とかって答えて欲しかったか?」
そっちがそのつもりなら逆に好都合だ。
幸いにもここは人通りも人気もない場所だった。
「まあ、追放されたのは結果、感謝してもいいくらいだけどな。おかげで強くなれたよ」
「はあ? 無能が調子こいてると……うぎゃぁ!」
俺は雄大に力を極力制限してローキックを入れる。
「てめぇ! 後悔させてやるぞぉ!!」
雄大のスキルは軽業師だった。
両手に短剣を持ち、俺に斬りつけてくる。
いずれの攻撃もスローモーションのようだった。
安々と躱し、もう一発ローキックを入れる。
「ぐぁっ! くそぉ、またまぐれ当たりかよ!!」
無能というスキルで色眼鏡で見ている雄大には、これでもまだ実力差が分からないようだった。
「なんかお前らそろそろ戦争に投入されるらしいな? お前はいかなくていいのか、ヴァレンティン王国との国境付近に」
「…………なんで知ってやがる? まだクラスの誰かと繋がってるのか?」
「いや、情報屋から教えてもらった」
「…………まあいい、まぐれ当たりが調子に乗るんじゃねえぞ! 俺たちが前と同じと思うなよ?」
「知ってるよ。大迫と寄道にも聞いたからな」
「はあ!? なんであいつらとお前が…………もしかしてあいつらが戻ってこないのって……」
「俺が始末した」
「ぎゃああああああああああ!!」
もう少し力を入れてローキックを入れると骨が砕けた感触があった。
足が変な方向へ曲がって、雄大は倒れ込む。
「なんで無能のお前がそんなに強く……」
苦痛から目に涙を溜めながら雄大が問いかける。
「だから奈落のダンジョンで強くなれたって言っただろ。その調子だともしかして、お前も黒崎とも繋がってるのか?」
「ああ、黒崎の一派だから俺は王都に残ってる。一派って言っても大迫、寄道はもういねえから俺一人だけどな」
「なんで黒崎だけ残るんだ?」
「戦争には風間と美月が入れば十分勝てるっていう目算らしい。万が一の為に最高戦力の黒崎は手元に残しておくんだってよ」
「そうか、じゃあ黒崎に近々借りを返しにいくって伝えてくれよ」
「…………正気かお前? 俺も変わったが黒崎もこっちに来て随分変わった。お前殺されるぞ?」
「やられねえよ、俺の方が強い。首を洗って待ってろと伝えろ。あいつは俺が殺してやる!」
「…………そのまま伝えるからな。後で後悔すんなよ無能。うぐっ!」
雄大の顔面に拳を入れる。
「まだ立場が分かってないのか、お前」
「無能のまぐれ当たりだろ! 勝った気になってんじゃねぇよぉお!!」
雄大は鼻血を垂らして、泣きながら言う。
「ここではあんまり派手にやりたくないんだけどな……」
その日、王都では大きな地響きが発生し、その付近に大きなクレーターが発見されて騒ぎとなったのは後日のことであった。
「あ、はい、少々おまちください…………モヒート?」
雄大は俺の注文にこちらに視線を向ける。
適当に頼んだ注文が気になったようだ。
「…………お前、小日向か?」
「久しぶりだな」
「生きてたのかよ……」
「なんだよ、死んだほうがよかったのか?」
「別にそういう……てか、無能が随分と偉そうな口を聞くなぁ?」
雄大は眉間にシワを寄せて凄む。
こいつこんなに沸点低かったっけ?
茶髪にピアス。勉学ではなくバイトに精を出していたチャラ男系の男だ。
「俺は客だぞ? いいのかそんな口聞いて」
「勘違いすんなよ。俺は好きで働いてんだ、別にいつでも止めてもいい。っていうか女を引っ掛けるのに良さそうでやってるだけなんだよ。ちょっとこっちこいてめぇ」
顎をくいっとして裏口へ促す。
裏口を出るとそこは、人気がなく薄暗い路地裏になっていた。
「んで、何しにきやがったんだ? その調子だと俺がこのバーで働いてんの知ってたな?」
「俺が奈落に追放されてどんな思いをしたか分かるか?」
話しながら奈落のダンジョンで感じた絶望を思い出す。
雄大はたばこに火をつけて、美味しそうにそれを吸う。
「質問に質問を返してんじゃねえよ。答えはな…………知ったことかだ」
そこで吸った煙を一気に吐き出す。
「無能のクズがどうなろうと俺が知るわけねえだろ? それとも何か? ご、ごめん小日向君、俺止められなくて……とかって答えて欲しかったか?」
そっちがそのつもりなら逆に好都合だ。
幸いにもここは人通りも人気もない場所だった。
「まあ、追放されたのは結果、感謝してもいいくらいだけどな。おかげで強くなれたよ」
「はあ? 無能が調子こいてると……うぎゃぁ!」
俺は雄大に力を極力制限してローキックを入れる。
「てめぇ! 後悔させてやるぞぉ!!」
雄大のスキルは軽業師だった。
両手に短剣を持ち、俺に斬りつけてくる。
いずれの攻撃もスローモーションのようだった。
安々と躱し、もう一発ローキックを入れる。
「ぐぁっ! くそぉ、またまぐれ当たりかよ!!」
無能というスキルで色眼鏡で見ている雄大には、これでもまだ実力差が分からないようだった。
「なんかお前らそろそろ戦争に投入されるらしいな? お前はいかなくていいのか、ヴァレンティン王国との国境付近に」
「…………なんで知ってやがる? まだクラスの誰かと繋がってるのか?」
「いや、情報屋から教えてもらった」
「…………まあいい、まぐれ当たりが調子に乗るんじゃねえぞ! 俺たちが前と同じと思うなよ?」
「知ってるよ。大迫と寄道にも聞いたからな」
「はあ!? なんであいつらとお前が…………もしかしてあいつらが戻ってこないのって……」
「俺が始末した」
「ぎゃああああああああああ!!」
もう少し力を入れてローキックを入れると骨が砕けた感触があった。
足が変な方向へ曲がって、雄大は倒れ込む。
「なんで無能のお前がそんなに強く……」
苦痛から目に涙を溜めながら雄大が問いかける。
「だから奈落のダンジョンで強くなれたって言っただろ。その調子だともしかして、お前も黒崎とも繋がってるのか?」
「ああ、黒崎の一派だから俺は王都に残ってる。一派って言っても大迫、寄道はもういねえから俺一人だけどな」
「なんで黒崎だけ残るんだ?」
「戦争には風間と美月が入れば十分勝てるっていう目算らしい。万が一の為に最高戦力の黒崎は手元に残しておくんだってよ」
「そうか、じゃあ黒崎に近々借りを返しにいくって伝えてくれよ」
「…………正気かお前? 俺も変わったが黒崎もこっちに来て随分変わった。お前殺されるぞ?」
「やられねえよ、俺の方が強い。首を洗って待ってろと伝えろ。あいつは俺が殺してやる!」
「…………そのまま伝えるからな。後で後悔すんなよ無能。うぐっ!」
雄大の顔面に拳を入れる。
「まだ立場が分かってないのか、お前」
「無能のまぐれ当たりだろ! 勝った気になってんじゃねぇよぉお!!」
雄大は鼻血を垂らして、泣きながら言う。
「ここではあんまり派手にやりたくないんだけどな……」
その日、王都では大きな地響きが発生し、その付近に大きなクレーターが発見されて騒ぎとなったのは後日のことであった。
88
あなたにおすすめの小説
石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!
寿明結未
ファンタジー
夏祭り中に異世界召喚に巻き込まれた、ただの一般人の桜木ユリ。
皆がそれぞれ素晴らしいスキルを持っている中、桜木の持つスキルは【石を出す程度の力】しかなく、余りにも貧相なそれは皆に笑われて城から金だけ受け取り追い出される。
この国ではもう直ぐ戦争が始まるらしい……。
召喚された3人は戦うスキルを持っていて、桜木だけが【石を出す程度の能力】……。
確かに貧相だけれど――と思っていたが、意外と強いスキルだったようで!?
「こうなったらこの国を抜け出して平和な国で就職よ!」
気合いを入れ直した桜木は、商業ギルド相手に提案し、国を出て違う場所で新生活を送る事になるのだが、辿り着いた国にて、とある家族と出会う事となる――。
★暫く書き溜めが結構あるので、一日三回更新していきます! 応援よろしくお願いします!
★カクヨム・小説家になろう・アルファポリスで連載中です。
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー
すもも太郎
ファンタジー
この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)
主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)
しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。
命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥
※1話1500文字くらいで書いております
ゴミ鑑定だと追放された元研究者、神眼と植物知識で異世界最高の商会を立ち上げます
黒崎隼人
ファンタジー
元植物学の研究者、相川慧(あいかわ けい)が転生して得たのは【素材鑑定】スキル。――しかし、その効果は素材の名前しか分からず「ゴミ鑑定」と蔑まれる日々。所属ギルド「紅蓮の牙」では、ギルドマスターの息子・ダリオに無能と罵られ、ついには濡れ衣を着せられて追放されてしまう。
だが、それは全ての始まりだった! 誰にも理解されなかったゴミスキルは、慧の知識と経験によって【神眼鑑定】へと進化! それは、素材に隠された真の効果や、奇跡の組み合わせ(レシピ)すら見抜く超チートスキルだったのだ!
捨てられていたガラクタ素材から伝説級ポーションを錬金し、瞬く間に大金持ちに! 慕ってくれる仲間と大商会を立ち上げ、追放された男が、今、圧倒的な知識と生産力で成り上がる! 一方、慧を追い出した元ギルドは、偽物の薬草のせいで自滅の道をたどり……?
無能と蔑まれた生産職の、痛快無比なざまぁ&成り上がりファンタジー、ここに開幕!
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる