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「馬肉は初めて食べるけど案外美味いな」
「そうね、美味しいわね」
「ユータ様と一緒なら何でもおいしくいただけます」
反抗的な馬は食料になったほうが俺たちの役に立つというもの。
適当に焼いて塩コショウで食べれば肉は美味い。
まあバーベキューのようなものだ
「料理はできなくてもバーベキューくらいならどうにかなったな」
「ごめんなさい、私が料理ができればユータにご馳走してあげられたのに」
「申し訳ありません、ユータ様」
まあ下手な料理を食べるくらいならシンプルな料理のほうが美味いからな。
塩も胡椒も各種調味料もお取り寄せ魔法があるから問題ない。
普段は完成品を取り寄せているけどバーベキューだってやってみたいじゃないか。
「だがハーレム要員が足りないな」
俺の魅力を理解できない日本の女どもなんてどうでもいい。
まあ俺の地元みたいなクソ田舎だと真面目な人間はもてないからな。
だがこの世界は違う。
日本とは違って少しは俺の価値を理解できる女もいる。
「そうね、ユータにはもっと多くの女性が必要だわ」
「わたしが一番なら何人いても許します」
普段は従順なミツナもこういうときは強気だ。
それが正妻としてのプライドだろう。
まあ夜になったら可愛がってやろう。
「馬車はどうするの?」
「とりあえず構造を変えつつ内装とサスペンションを改良する」
「さすがですユータ様」
元が荷馬車だけあって内装以前の問題だ。
荷台を強化しつつ幌馬車風に改造してクッションも用意した。
お菓子を好きなだけ食べられるよう箱の中に取り寄せ魔法でお菓子各種を満載した。
これで俺を食べようとする頻度が減ればいいけどな。
まあデザートは別腹と言うから無理だろうな。
まあいい。
冷蔵庫は電気がないので許してほしい。
まあ魔法で何でも解決しようと思えばできるけどな。
あまり快適すぎても旅らしさがなくなるだろう?
ここは異世界なんだ。
少しくらい不自由でもいいじゃないか。
「さすがユータね」
「さすがです、ユータ様」
まあな。
だが揺れまくる馬車は許せない。
足回りはサスペンションを搭載して揺れも軽減されるはず。
だが俺がその程度で満足するはずがない。
「まあ魔法で浮かせば揺れも馬も関係なく快適に移動できるけどな」
「さすがユータね」
「さすがです、ユータ様」
だがそんなことをすれば目立ってしまう。
こっそりこの世界の世直しをするという目的の邪魔になってしまう。
こんな田舎だと人と会うことすら無いから何でもありだ。
だが村にでも行くと目立ってしまう。
まあ問題になるようだったら口を封じればいいか。
他人を気にして不便になるのは本末転倒だ。
俺が神なのだから配慮すべきは他人のほうだ。
まあいいけどな。
こんな人気のないところで他人を気にしてもしかたがない。
「さて、そろそろ出発するか」
「もう射精るの?」
「気のせいか言葉を間違えていないか?」
「気のせいよ」
「そうか」
まあリンも欲求不満なのだろう。
だって俺は抱いてやらないからな。
「イってください、ユータ様」
ミツナも悪乗りしているな。
そういうことは夜にしろ。
まあ夜になると俺がミツナに乗っているんだけどな。
「健全な旅のためにも出発するぞ」
「わかったわ」
「さすがユータ様です」
俺は魔法で馬車を浮かせ前進させた。
揺れもなく速度も速い。
クソ馬は食料としては優秀だったな。
まあ馬ごときが俺に意見するなんて許せるはずがない。
「俺がユータだ!」
「さすがユータね」
「さすがです、ユータ様」
「すげぇ、馬車が馬もないのに飛んでいる…」
おっと、目撃されてしまったか。
クソ田舎だから誰もいないと思って油断していた。
さて、馬車を止めて話し合いをしないとな。
それに馬車は馬がいても空は飛ばないぞ?
俺は交渉が難航するような予感を覚えた。
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