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戦闘すると時間がかかるので相手に見つからないよう透明化の魔法を使った。
ついでに消音や隠匿の魔法も使ったので誰も俺を見つけることはできない。
覇者の威圧感すら消し去ってしまえる俺の魔法はさすがだな。
まあ俺の魔法だから当然だけどな。
こうして俺は王都に侵入し、王城にも楽々侵入できた。
「まるでザルだな」
厳重な警備でも俺なら関係ないけどな。
だが楽できるならそれでいい。
無駄な苦労はしたくないからな。
城の中でも偉い人がいる場所なんて決まっている。
予想通り偉そうな男がいた。
俺は王の前で魔法を解除し俺の王としての威厳を見せつける。
「お前が王か」
「そうだ」
「俺の国を攻めた責任を取ってもらうぞ」
「全然知らないな?」
「そうか」
往生際が悪いとは王としての器が小さいな。
小悪党なんだな。
だからといって許すはずがない。
「本当に知らないのか?」
「だから本当だと言っている」
やれやれ、本気でこいつの記憶力が不安になってきたぞ。
こんな無能でも王になれる制度に問題がある。
そうだ、こんな国滅ぼして俺の国にしてやれば国民も救われるだろう。
「罪もない俺の国の国民たちを苦しめた責任を取ってもらう。覚悟はいいか?」
「だから知らないと言っているだろう」
もういいだろう。
こんな奴にまともな対応をしても時間の無駄でしかない。
「ユータジャスティスアタック!」
俺の正義の鉄拳が王に天罰を下す。
王は吹っ飛んでいった。
無様に床を転がり壁にぶつかって止まった。
まあ悪くない手加減だった。
俺はやればできる。
気を抜くと即死させてしまうけど繊細な力加減によって即死させないことに成功した。
楽しんで余計な殺傷をするような殺人鬼ではない。
それは綺麗好きのユータだ。
あんなゴミがいるからこの世界は救われないんだ。
「ゴミは異世界へ」
異世界へのゲートを開いて王をどこかへ送り出した。
どの世界に行っても王としての才覚があれば王としてやっていけるだろう。
無能ならば死んでしまうのも自己責任だ。
「口だけではないことを期待しているぞ」
あんな奴でも一応は王だったからな。
期待できないしもう声も届かないけど少しくらいは無事を祈ってやろう。
俺は慈悲深いからな。
「さて、これで責任の追及は終わったな」
後は補償で金目のものを貰っていくとしよう。
リンを探しつつ収納魔法で片っ端から価値がありそうな物を何でも収納していった。
「若い女は娼館で働いてもらおう」
見かけた女は戦利品だ。
若い女には隷属の魔法をかけて俺の国へ転移魔法で送っておいた。
「男は労働力だ」
労働力になりそうな男には俺に逆らうことがないよう隷属の魔法で命令しておいた。
転移魔法をかけてやるのも面倒だったので歩きで移動するよう命令した。
「他は価値がないから自由にさせよう」
その他は隷属の魔法をかけて俺に逆らわないようにして後は自由にさせる。
まあ俺の国に移住したいというなら受け入れてやろう。
後は好きに選べばいい。
「リンはいないな…」
まあまだ探索が済んだわけではないからどこかに幽閉されているのかもしれない。
「これはハズレだな。まあ娼館送りにしてやろう」
リンに似た姿かと思ったら顔が全然違っていた。
おっぱいの大きさは同じくらいだったんだけどな…。
まあ他の女と同じように娼館送りだ。
俺のためではなくマーシオのためだ。
マーシオの要望に応えてやるのも王の務めだからな。
マーシオはずいぶん恵まれた環境だよな。
王に直接意見できるなんて普通じゃない。
普通の感覚なら恐れ多くてそんなことはできないだろう。
だがマーシオは違う。
バカは恐れることをしらないから恐ろしい。
それがバカの生き様だ。
そんなバカが治安を乱さないよう娼館で性欲を発散されて国の治安を維持させるのも国王としての腕の見せ所だ。
「マーシオが真の支配者なのかもしれないな」
いくら俺だって本物のバカには勝てる気がしない。
「そんなことよりリンはどこにいるんだ?」
「こっちだ」
まさかの反応があった。
声はリンではないし不快感を覚えた。
ならスルーでいいな。
余計なことに首を突っ込んでいるほど俺は暇ではないからな。
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