23 / 41
第23話 巫女と海水浴とハプニングと
しおりを挟む
「わ~~い! 海だ~! すご~い! 青い~! 綺麗~! 冷たい~!」
馬車に乗り、聖都を出てからしばらく。
オレとシュリ、そしてアリアを乗せた馬車は港町ルーブスへと到着した。
そこは海に面した街であり、船の出港の他に浜辺では観光客などが泳げるように施設を整えているという。いわゆるリゾート地っぽい場所だ。
当然のことながら、海に入るなら店で売っている水着が必要となり、オレ達は観光客用の水着店にて、各々気に入った水着を選び、そのまま海へと駆り出した。
「見てください、ブレイブさん! 貝殻! それにこれ、タコに海藻に、あとよくわかんないネバネバです~!」
「し、シュリ……それ多分海水スライム……ま、まあ無害だからいいと思うけど……」
「はは、シュリは本当に海に来たかったんだな~」
「はい! 私、ずっと山奥の村に住んでましたから、海に来るのも見るのも初めてなんです! 本当にお話に聞く以上にすごい場所で私、感激しています!」
と言ってすごく興奮した様子で砂浜を駆け回っている。
時折、砂や波打に足元を取られて『どべちゃ!』と転んだりしているが、本人はそれはもう大層嬉しそうに笑い転げている。
そんなシュリの様子を見ていると、オレはかつて花澄や湊達と共に海に来た日のことを思い出していた。
『すっげー! これが日本の海なんだー! すっげー! 綺麗ー!』
『お、お兄ちゃん! お、お魚さん! いま、お魚さんが足元で泳いだー!』
『うわ、すげー! 魚って逃げないんだー!』
『二人ともはしゃぎすぎだろう。っていうか海に来たことないのかー?』
『あるわけないじゃん! 初めてだよ!』
『うん! だから、すっごく楽しいよ! 真人さん、一緒に来てくれてありがとう!』
そう言って笑顔のまま海で泳ぐ二人の兄妹と共にオレも夕暮れまで遊び続けたのを思い出した。
シュリを見ていると、そんな花澄達の記憶を思い出す。
顔が似ているだけで別人だとはわかっているんだが、ああして無邪気にはしゃぐ姿がオレの知る花澄とよりダブって見えてしまう。
「と、それはそうと……お前は入らなくていいの? アリア」
「ふえっ!?」
「というか、さっきから気になってたんだが、なんでお前全身にバスタオル巻いてるの?」
「うっ、それは、その……」
そうなのだ。先程、三人で水着を買って、更衣室で着替えたあと、なぜかアリアだけは全身にバスタオルを巻いて現れた。
なるべく突っ込まないようにしようと思っていたのだが、未だにそれを脱ごうとしたのはさすがに不自然に思えてきた。
そんなアリアに追い打ちをかけるべく、波打ち際でバシャバシャと遊んでいたシュリが声をかける。
「アリアちゃんー! そんなところにいないで一緒に遊ぼうよー! 海だよ、海ー! しょっぱいよー! こんなすっごい水たまりなんて、ここでしか遊べないんだから、恥ずかしがらずに入ろうよー!」
「う、ううううっ……」
さすがに幼馴染の頼みとあっては拒絶しづらいものがあるのか、アリアは観念したように顔を俯かせると、そのまま体に巻いていたバスタオルを外す。
すると、その下から現れたのか滅茶苦茶きわどい紐ビキニとも言える過激な水着だった。
「ちょ、お前!? なんだよ、その水着!?」
「あ”っ!?」
思わず条件反射で突っ込んでしまったが、彼女が今すぐにでも噛み付くような勢いでオレを睨んだ。
「か、勘違いしないでよね! 別にアタシの趣味ってわけじゃないわよ! ただ! アタシのサイズにあう水着がこ、これしかなかったのよ! 特に、む、胸とか!!」
「胸……」
見るとシュリの胸は花澄と同様、とても平らだ。そのため、シュリが着ている水着はいわゆるワンピース柄の可愛らしいものであり、幼さが残るものの、それが実に魅力的な水着姿となっている。
一方のアリアは服の上からだとよくわからなかったが、かなりの巨乳であった。
そんな彼女の胸を収めきれる水着がどうやらなかったようであり、かなりギリギリのきわどい水着となり、それがかえって彼女の巨乳を強調するような形となり、周りにいた観光客もそんなアリアの巨乳水着に目を奪われ息を飲んでいる姿が――
「ちょっとアンタ……今、アタシの胸ガン見しなかった……?」
と、気づくと殺意マシマシの表情でアリアがオレの首を絞める勢いで掴みかかってくる。
「い、いえ、見てません……た、多分……いや、ちょっとは見たかもだけど……」
「……はあー、まあいいわ」
少し落ち着いたのかアリアはオレから離れると胸や下半身を両手で隠すようにシュリのもとへ近づく。
が、それがかえっていやらしいというか色っぽい感じになっているのに本人は気づかないのだろうか。
そうこう思っていると波打ち際で遊んでいる二人がオレを呼ぶ。
「ブレイブさーん! ブレイブさんも一緒に遊びましょうー!」
「あ、ああ、そうだな。じゃあ、何をしようか?」
「そうですね。それじゃあ、水かけっこ!」
「それならアタシは浜辺で砂を使った何かを作りたいな」
「えー、そんなの砂のあるところからどこでもできるじゃんー。水のかけあいしようよー」
「いいえ、海といえば砂で何かを作るでしょう!」
「なあ、二人共。泳ぐって選択肢はないのか?」
思わずオレがそう呟くと二人が気まずそうに目を逸した。
「えーと、そのー、あのー、実は私達……」
「……泳げないの」
「は?」
思わぬ答えに一瞬間抜けな声を出すオレ。
だが、それにすぐさま顔を赤くしたアリアが反論する。
「な、なに!? 悪い!? アタシもシュリも森の奥の村出身なのよ!? 泳げるわけないでしょう!?」
あー、まあ、確かにそうか。だから、さっきからシュリも浜辺で遊んで、波に揺られたり、打ち上げられたりしていたのか。
まあ、本人はすごく楽しそうだったが。
「それならオレが教えようか?」
「え、ブレイブさん、泳げるんですか!?」
「まあな。実家の近くに海があったし」
と言ってもこれはこの世界に転移する前のことだが。
オレがそう答えるとシュリは「ぜひお願いします!」と答え、アリアも「ま、まあ、少しだけなら」と頷いた。
「それじゃあ、まずは海に顔をつけるところから。それができたら、その場でバタ足やってみようか」
「はーい! ぶくぶくぶくぶく……できましたー! 先生ー!」
「おー! シュリは飲み込みが早いなー!」
「はい! 伊達にさっきから何度も波打ち際で打ち上げられていません!」
「うむ。よくできた。……で、アリアは?」
思いのほか、シュリがスムーズに覚えていくのに対して、アリアの方を見ると彼女はまず海に顔をつけるところからして顔面蒼白であり、足のつかない場所に行こうものなら「む、無理ー無理ー!」と喚き散らしていた。
「だ、だって、お、泳げる訳無いじゃん……。に、人間の体がこんな水の上に浮くわけがないわよ……。あ、アタシの体重が○○キロもあるのにどうやって海に浮かぶのよ……無理、絶対に無理……」
と、ブツブツとなにやら現実逃避している。
「落ち着けよ、アリア。まあ、気持ちは分かる。けど、一歩を進めないとお前はこの先ずっと金づちだぞ? それでいいのか」
「いい。アタシは一緒に波打ち際で遊ぶ……」
と即答。いやいや、少しは頑張れよ。
「分かった分かった。それじゃあ、オレが両手を握っててやるから、お前はその場で浮かんでバタ足しろよ」
「へっ?」
「あー! ずるいー! 私もブレイブさんに手を握られてバタ足したいー!!」
オレがそう提案するとアリアは顔を真っ赤にして硬直し、シュナはぶーぶー言いながらも、すでに一人でバタ足しながら泳げるようになっていた。本当に上達が早いな、この巫女様は。
「ほら、シュリはすでに一人で泳げるようになってるんだし、お前もどうせなら友達と泳いでみたいだろう」
「……わ、わかった……け、けど、絶対に手を離さないでよ……は、離したら殺すから……」
と、なにやら物騒なことを言いオレの手を握る。
その後はすぐにその場で体を浮かばせて、両足でバタバタで器用に泳げるようになった。
「お、いいぞ。やれば出来るじゃないか。というか、お前案外運動神経いいな」
「ぶくぶくぶく……ぷはぁ! よ、余計な、お世話……ぶくぶく……よっ!」
その後は彼女の手を引っ張りながら、近くを泳がせて見たがすぐにコツを掴んだのか、手を握った状態ならスイスイと泳いでくれた。
これなら手を離しても平気そうだなと手を離そうとした瞬間、
「ぶくぶく……ぶはぁ!? ちょ、あ、アンタ!? なに手を離そうとしてるのよ!? 離したらぶっ殺すって言ったでしょう!? ぶっ殺されたいの!?」
「いや、でもお前、もうすでに結構泳げてたし、こういうのは自転車と同じで自然に泳げるようになったら、あとはこっそり手を離してだな……」
「はあー!? わけわかんないこと言ってんじゃないわよ! 離したら殺すって言ったでしょう!! つーか殺す! つーか溺れる……! おぼ、ごぽぽぽぽぽっ!!」
と、先程までスイスイ泳げていたのが嘘のようにオレが手を話した瞬間、アリアの体が沈んでいく。
ちょっ!? どういうこと!? お前、さっきまで普通に泳げていたじゃん! つーか、ここはまだ足がつく浅瀬なのに溺れるなよ!?
「おい、アリア! 大丈夫か!? おい!」
「ごぽぽぽぽぽっ! ごぽぉ!」
水中でもがき苦しみながら沈んでいくアリアを見て、これはさすがにいかんとオレは慌てた彼女の体を抱えて抱き上げる。
当然のことながら、足が付く高さなのですぐさま救出はできた。
「ぷはぁ! ぜーはー……ぜーはー……あ、アンタ……こ、殺すって言ったでしょう……! な、なんで手を離して――!」
「いやだから……というか、足がつくのに溺れるなよ」
「う、ううううっさい! 殺す! アンタ、絶対殺してやるー!」
「ちょ、暴れるな……! あっ」
「なによー! ……あっ」
その場でぽかぽかとオレを殴り始めるアリアだったが、その時、彼女の胸に巻かれていた水着がはらりと落ちる。
ただでさえ、きわどい水着だったのに、そりゃこれほど暴れれば取れるわなー。と冷静な部分でそう思いながら、目の前でたわわに実った胸が晒され、それに一瞬硬直するアリア。だが、
「~~~~~~っ! き、きゃああああああああああああ~~~!! こ、こここの変態いいいいいいいいッ!!」
「へぶしっ!」
と、すぐさま顔を真っ赤にすると大絶叫をし、心地よいビンタをオレの頬にかますのだった。
馬車に乗り、聖都を出てからしばらく。
オレとシュリ、そしてアリアを乗せた馬車は港町ルーブスへと到着した。
そこは海に面した街であり、船の出港の他に浜辺では観光客などが泳げるように施設を整えているという。いわゆるリゾート地っぽい場所だ。
当然のことながら、海に入るなら店で売っている水着が必要となり、オレ達は観光客用の水着店にて、各々気に入った水着を選び、そのまま海へと駆り出した。
「見てください、ブレイブさん! 貝殻! それにこれ、タコに海藻に、あとよくわかんないネバネバです~!」
「し、シュリ……それ多分海水スライム……ま、まあ無害だからいいと思うけど……」
「はは、シュリは本当に海に来たかったんだな~」
「はい! 私、ずっと山奥の村に住んでましたから、海に来るのも見るのも初めてなんです! 本当にお話に聞く以上にすごい場所で私、感激しています!」
と言ってすごく興奮した様子で砂浜を駆け回っている。
時折、砂や波打に足元を取られて『どべちゃ!』と転んだりしているが、本人はそれはもう大層嬉しそうに笑い転げている。
そんなシュリの様子を見ていると、オレはかつて花澄や湊達と共に海に来た日のことを思い出していた。
『すっげー! これが日本の海なんだー! すっげー! 綺麗ー!』
『お、お兄ちゃん! お、お魚さん! いま、お魚さんが足元で泳いだー!』
『うわ、すげー! 魚って逃げないんだー!』
『二人ともはしゃぎすぎだろう。っていうか海に来たことないのかー?』
『あるわけないじゃん! 初めてだよ!』
『うん! だから、すっごく楽しいよ! 真人さん、一緒に来てくれてありがとう!』
そう言って笑顔のまま海で泳ぐ二人の兄妹と共にオレも夕暮れまで遊び続けたのを思い出した。
シュリを見ていると、そんな花澄達の記憶を思い出す。
顔が似ているだけで別人だとはわかっているんだが、ああして無邪気にはしゃぐ姿がオレの知る花澄とよりダブって見えてしまう。
「と、それはそうと……お前は入らなくていいの? アリア」
「ふえっ!?」
「というか、さっきから気になってたんだが、なんでお前全身にバスタオル巻いてるの?」
「うっ、それは、その……」
そうなのだ。先程、三人で水着を買って、更衣室で着替えたあと、なぜかアリアだけは全身にバスタオルを巻いて現れた。
なるべく突っ込まないようにしようと思っていたのだが、未だにそれを脱ごうとしたのはさすがに不自然に思えてきた。
そんなアリアに追い打ちをかけるべく、波打ち際でバシャバシャと遊んでいたシュリが声をかける。
「アリアちゃんー! そんなところにいないで一緒に遊ぼうよー! 海だよ、海ー! しょっぱいよー! こんなすっごい水たまりなんて、ここでしか遊べないんだから、恥ずかしがらずに入ろうよー!」
「う、ううううっ……」
さすがに幼馴染の頼みとあっては拒絶しづらいものがあるのか、アリアは観念したように顔を俯かせると、そのまま体に巻いていたバスタオルを外す。
すると、その下から現れたのか滅茶苦茶きわどい紐ビキニとも言える過激な水着だった。
「ちょ、お前!? なんだよ、その水着!?」
「あ”っ!?」
思わず条件反射で突っ込んでしまったが、彼女が今すぐにでも噛み付くような勢いでオレを睨んだ。
「か、勘違いしないでよね! 別にアタシの趣味ってわけじゃないわよ! ただ! アタシのサイズにあう水着がこ、これしかなかったのよ! 特に、む、胸とか!!」
「胸……」
見るとシュリの胸は花澄と同様、とても平らだ。そのため、シュリが着ている水着はいわゆるワンピース柄の可愛らしいものであり、幼さが残るものの、それが実に魅力的な水着姿となっている。
一方のアリアは服の上からだとよくわからなかったが、かなりの巨乳であった。
そんな彼女の胸を収めきれる水着がどうやらなかったようであり、かなりギリギリのきわどい水着となり、それがかえって彼女の巨乳を強調するような形となり、周りにいた観光客もそんなアリアの巨乳水着に目を奪われ息を飲んでいる姿が――
「ちょっとアンタ……今、アタシの胸ガン見しなかった……?」
と、気づくと殺意マシマシの表情でアリアがオレの首を絞める勢いで掴みかかってくる。
「い、いえ、見てません……た、多分……いや、ちょっとは見たかもだけど……」
「……はあー、まあいいわ」
少し落ち着いたのかアリアはオレから離れると胸や下半身を両手で隠すようにシュリのもとへ近づく。
が、それがかえっていやらしいというか色っぽい感じになっているのに本人は気づかないのだろうか。
そうこう思っていると波打ち際で遊んでいる二人がオレを呼ぶ。
「ブレイブさーん! ブレイブさんも一緒に遊びましょうー!」
「あ、ああ、そうだな。じゃあ、何をしようか?」
「そうですね。それじゃあ、水かけっこ!」
「それならアタシは浜辺で砂を使った何かを作りたいな」
「えー、そんなの砂のあるところからどこでもできるじゃんー。水のかけあいしようよー」
「いいえ、海といえば砂で何かを作るでしょう!」
「なあ、二人共。泳ぐって選択肢はないのか?」
思わずオレがそう呟くと二人が気まずそうに目を逸した。
「えーと、そのー、あのー、実は私達……」
「……泳げないの」
「は?」
思わぬ答えに一瞬間抜けな声を出すオレ。
だが、それにすぐさま顔を赤くしたアリアが反論する。
「な、なに!? 悪い!? アタシもシュリも森の奥の村出身なのよ!? 泳げるわけないでしょう!?」
あー、まあ、確かにそうか。だから、さっきからシュリも浜辺で遊んで、波に揺られたり、打ち上げられたりしていたのか。
まあ、本人はすごく楽しそうだったが。
「それならオレが教えようか?」
「え、ブレイブさん、泳げるんですか!?」
「まあな。実家の近くに海があったし」
と言ってもこれはこの世界に転移する前のことだが。
オレがそう答えるとシュリは「ぜひお願いします!」と答え、アリアも「ま、まあ、少しだけなら」と頷いた。
「それじゃあ、まずは海に顔をつけるところから。それができたら、その場でバタ足やってみようか」
「はーい! ぶくぶくぶくぶく……できましたー! 先生ー!」
「おー! シュリは飲み込みが早いなー!」
「はい! 伊達にさっきから何度も波打ち際で打ち上げられていません!」
「うむ。よくできた。……で、アリアは?」
思いのほか、シュリがスムーズに覚えていくのに対して、アリアの方を見ると彼女はまず海に顔をつけるところからして顔面蒼白であり、足のつかない場所に行こうものなら「む、無理ー無理ー!」と喚き散らしていた。
「だ、だって、お、泳げる訳無いじゃん……。に、人間の体がこんな水の上に浮くわけがないわよ……。あ、アタシの体重が○○キロもあるのにどうやって海に浮かぶのよ……無理、絶対に無理……」
と、ブツブツとなにやら現実逃避している。
「落ち着けよ、アリア。まあ、気持ちは分かる。けど、一歩を進めないとお前はこの先ずっと金づちだぞ? それでいいのか」
「いい。アタシは一緒に波打ち際で遊ぶ……」
と即答。いやいや、少しは頑張れよ。
「分かった分かった。それじゃあ、オレが両手を握っててやるから、お前はその場で浮かんでバタ足しろよ」
「へっ?」
「あー! ずるいー! 私もブレイブさんに手を握られてバタ足したいー!!」
オレがそう提案するとアリアは顔を真っ赤にして硬直し、シュナはぶーぶー言いながらも、すでに一人でバタ足しながら泳げるようになっていた。本当に上達が早いな、この巫女様は。
「ほら、シュリはすでに一人で泳げるようになってるんだし、お前もどうせなら友達と泳いでみたいだろう」
「……わ、わかった……け、けど、絶対に手を離さないでよ……は、離したら殺すから……」
と、なにやら物騒なことを言いオレの手を握る。
その後はすぐにその場で体を浮かばせて、両足でバタバタで器用に泳げるようになった。
「お、いいぞ。やれば出来るじゃないか。というか、お前案外運動神経いいな」
「ぶくぶくぶく……ぷはぁ! よ、余計な、お世話……ぶくぶく……よっ!」
その後は彼女の手を引っ張りながら、近くを泳がせて見たがすぐにコツを掴んだのか、手を握った状態ならスイスイと泳いでくれた。
これなら手を離しても平気そうだなと手を離そうとした瞬間、
「ぶくぶく……ぶはぁ!? ちょ、あ、アンタ!? なに手を離そうとしてるのよ!? 離したらぶっ殺すって言ったでしょう!? ぶっ殺されたいの!?」
「いや、でもお前、もうすでに結構泳げてたし、こういうのは自転車と同じで自然に泳げるようになったら、あとはこっそり手を離してだな……」
「はあー!? わけわかんないこと言ってんじゃないわよ! 離したら殺すって言ったでしょう!! つーか殺す! つーか溺れる……! おぼ、ごぽぽぽぽぽっ!!」
と、先程までスイスイ泳げていたのが嘘のようにオレが手を話した瞬間、アリアの体が沈んでいく。
ちょっ!? どういうこと!? お前、さっきまで普通に泳げていたじゃん! つーか、ここはまだ足がつく浅瀬なのに溺れるなよ!?
「おい、アリア! 大丈夫か!? おい!」
「ごぽぽぽぽぽっ! ごぽぉ!」
水中でもがき苦しみながら沈んでいくアリアを見て、これはさすがにいかんとオレは慌てた彼女の体を抱えて抱き上げる。
当然のことながら、足が付く高さなのですぐさま救出はできた。
「ぷはぁ! ぜーはー……ぜーはー……あ、アンタ……こ、殺すって言ったでしょう……! な、なんで手を離して――!」
「いやだから……というか、足がつくのに溺れるなよ」
「う、ううううっさい! 殺す! アンタ、絶対殺してやるー!」
「ちょ、暴れるな……! あっ」
「なによー! ……あっ」
その場でぽかぽかとオレを殴り始めるアリアだったが、その時、彼女の胸に巻かれていた水着がはらりと落ちる。
ただでさえ、きわどい水着だったのに、そりゃこれほど暴れれば取れるわなー。と冷静な部分でそう思いながら、目の前でたわわに実った胸が晒され、それに一瞬硬直するアリア。だが、
「~~~~~~っ! き、きゃああああああああああああ~~~!! こ、こここの変態いいいいいいいいッ!!」
「へぶしっ!」
と、すぐさま顔を真っ赤にすると大絶叫をし、心地よいビンタをオレの頬にかますのだった。
0
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
召喚した勇者がクズでした。魔王を討伐して欲しいのに、勇者が魔王に見えてきた。助けて
自ら
ファンタジー
異世界は、勇者を待ち望んでいた。
だが現れたのは──強すぎて、無自覚で、少しだけズレた現代の若者たち。
最初は祝福と喝采。人々はその力に酔いしれ、国王すら彼らを「救い」と信じた。
けれど、英雄譚は長く続かない。
小さな勘違い、軽いノリ、深く考えない一手が、国の仕組みや信仰、暮らしの均衡を少しずつ壊していく。
それは破壊のつもりなどない。ただの“善意”と“暇つぶし”の延長。
だが世界は、静かに壊れていった。
王は迷い、魔王は冷静に見つめ、民衆は熱狂し、やがて狂信と恐怖が入り混じる。
誰も「この結末」を望んだわけではないのに、歯車は止まらない。
これは、
「英雄」を信じすぎた世界の物語であり、
「無自覚な力」が招く悲喜劇を描く、風刺とブラックコメディの物語。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる