スキル『睡眠』で眠ること数百年、気づくと最強に~LV999で未来の世界を無双~

雪月花

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第24話 誰かのための複合スキル

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「あははー、それにしても海楽しかったねー」

「どこがよ!」

「いてて……そう怒るなよ。あれは不慮の事故だろう」

「う、うっさいわよ! アンタは黙ってなさい!」

 あれから夜になるまで遊び続けたオレ達。
 気づけばすでに夜となり、さすがに夜は遊泳禁止ということで砂場で着替えたオレ達は夜空を見上げていた。

「でも本当に楽しかったよ。私、すごくいい思い出ができた」

 そう言って楽しそうに笑うシュリ。
 思い出か。オレはその時ふと、夏祭りで花火を見て感動していた花澄の表情がシュリと重なった。
 そうだ。どうせならとオレはあることを思いつく。

「まあ、ちょっと待てよ、シュリ。最後にもう一つ、いい思い出を作れるかもだぜ」

「え?」

「どういう意味よ?」

 困惑するシュリとアリアを横目にオレはあることを試していた。
 ずっと考えていた『複合スキル』。
 なんとなくのイメージはあったものの、いざ自分のためとなるとスキルの合成を躊躇っていた。
 しかし、今ふとシュリの横顔を見て、思いついた。
 自分のためではなく他人のため。もっと言えば、シュリを笑顔にするために『複合スキル』を作ってみた。
 そう思ったオレはすでに取得していた『炎魔法』に加え、『風魔法』、さらに『雷魔法』をレベル10で取得し、これらのスキルを複合させる。
 アリスいわく『複合スキル』で重要なのはイメージ。そのイメージを形にすること。
 オレがイメージするものは炎、雷、風。これらを一つにして、巨大な炎、いや閃光の花を生み出すこと。

「よし、いける」

 オレは自身の中で三つの魔法が一つのスキルとして組みあがったのを感じた。
 そのまま生まれた複合スキルを夜空に向け、放つ。
 するとオレの手のひらから生み出された閃光は夜空に向け、舞い上がり、空中に巨大な閃光の花をきらめかせた。

「なっ!」

「わ~~~~~!!」

 言うまでもない、夜空に浮かんだそれは『花火』であった。

「ふぅ、どうだい? なかなか綺麗だろう?」

 ドヤ顔を浮かべるオレにアリアは呆気に取られた表情でポカーンとしており、その隣ではシュリがものすごく興奮した様子ではしゃいでいた。

「すごい! すごいすごいすご~い! ブレイブさん! もう一回! もう一回見せてください~!」

「ははっ、了解。一回と言わず、シュリが満足するまで見せてあげるよ」

 そのままオレは上空に向け、無数の花火を打ち上げる。
 花火の色や形は様々であり、オレが思い描くとおりの閃光、輝きを見せてくれた。
 次第にその光景にシュリだけでなく、アリアも見惚れ、周囲にいた観客や街の人達すら、息を呑み、オレが打ち上げる花火の数々に目を奪われていった。
 やがて、最後にたくさんの花火を一斉に打ち上げると、それを見ていた人々から歓声と共に大きな拍手が贈られた。
 見るとシュリも満足した様子で今までに見せたことのないように、はにかむような嬉しそうな笑顔を見せた。

「えへへ、すごかったです。ブレイブさん。こんなの一生の思い出ですよ」

「はは、満足してもらえたかい?」

「はい! とっても!」

 そう言って満面の笑顔で頷くシュリを見て、オレも思わず嬉しくなる。
 だが、次にシュリが呟いたセリフを聞き、オレは一瞬思考が停止する。

「またこんな花火を一緒に見たいです。真人さんと一緒に――」

「え?」

 真人?
 それはオレの本名であった。
 だが、それをシュリに話したことは一度もなかった。にも関わらず、今シュリは自然とオレのことをそう呼んだ。
 一方のアリアは花火でその声が聞こえていなかったのか、未だに呆然と夜空を見上げており、シュリも自分が何を言ったのか自覚していないのか夜空を見上げている。
 だが、オレだけはシュリが呟いたその名が深く、心の中に刻まれていた。
 その後、オレは彼女になぜオレのことを真人と読んだのか。そのことを追求することができぬまま、近くの宿に泊まり、翌日にはオレとシュリ、アリアを乗せた馬車は聖都へと戻るのであった。
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