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文化祭 1
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しかし夏休みのど真ん中に文化祭とは一体なんという学校だろうか。
桃子にそれとなく聞いてみたら、
「うちは大学の附属高校だからねー、昔大学のお偉いさんがそう決めたらしくて、今でもずっとそのままなんだって」
との事だった。
まぁ私の高校ではないので文句を言うほどではないのだけど。
私はスマホで今の時間を確認する。
11時57分、約束の時間の3分前だ。
スマホの次は自分の体全体に目をやる。
白いカットソーにネイビーのストライプ柄マキシスカート。
サンダルと小さなバッグはブラウンで統一させた。
「別に、変じゃ、ないよね……?」
「変じゃないよー」
桃子の声だ。
水色のクラスTシャツに、いつもの制服のスカートを履いている。
独り言のはずだった私の言葉に反応してくれたみたいだ。
聞かれていたなんてちょっと恥ずかしい。
「さあ、いこ!」
桃子はそれ以上突っ込むことはなく、早足で校門をくぐった。
受付でパンフレットや校内を歩くためのスリッパを受け取り、昇降口に行く。
入ってすぐの壁一面にはクラスの宣伝ポスターが貼ってあった。
どうやら今いる1階は1年生の教室のようだ。
この階に彼のクラスはない。
私が彼のことを考えている間に、桃子は隣でパンフレットを開いていた。
「私アイス食べたいなー!」
そう言われて、私もアイスを売っているクラスを探すためにパンフレットを開く。
どうやらアイスは1年生と3年生のクラスで売っているようだ。
「シャーベット系かクリーム系、桃子はどっちがいいの?」
「シャーベットがいいな」
シャーベット、ということは3階にある3年生のクラスだ。
そこも、違う。
つい彼のいる場所についてばかり考えてしまう。
せっかくここまで来たのに会えなかったらどうしよう。
急に不安が込み上げてきた。
もしかしたら彼だって私たちのように友達と他の場所に遊びに行っているかもしれないのに。
「もー、琴音! 彼を見つけたらちゃんと言うから今は気にせず楽しも!」
なんてことだ。
私はそんなに態度に出てしまっていたのか。
桃子にそんな気を使わせてしまったことをとても申し訳なく思った。
今言ってくれた桃子の言葉を信じ、それまでは純粋に文化祭を楽しもうと意気込む。
2人で3階へと続く階段を上る。
ほんのすぐ前に気にするなと言われたばかりだが、それでも2階を通り過ぎる瞬間は彼がいないか少しだけ気になってしまった。
しかし絶対会えると信じることにしたおかげで不安感はない。
それに、なんとなく彼に会えるんじゃないかという気すらしてきた。
足を止めることなく2階を通り過ぎ、3階に到着する。
3年生はやはり1年生よりもポスターや周りの装飾のクオリティが高い。
色々眺めていると、私たちの求めているアイスのクラスポスターを見つけた。
『こちらです!』
という可愛い文字と一緒に矢印が描かれている。
貼る場所を考えた上でポスターを作っているなんてすごい。
思わず感心してしまった。
その矢印の通りに廊下を進むと、迷うことなくそのクラスにたどり着くことができた。
教室の入り口で桃子はソーダ味を、私はイチゴ味を買い、チェック柄のテーブルクロスがかけられた2人用の席に座った。
「おいしー!」
そう言って桃子が満面の笑みを浮かべる。
確かに美味しい。
お祭りで食べるかき氷とか、文化祭で食べるアイスとかは、涼しい家の中で食べるものとはまた違う美味しさがあるんだよね。
なんでだろうか。
ふと桃子の方を見ると、彼女にはそんな疑問が全くないらしく、夢中でシャーベットを食べ進めていた。
「このあとはどこ行こっかー」
シャーベットを食べながら桃子がパンフレットを開いた。
「琴音は何か食べたいものとか行きたいところとかある?」
「えっ、わたひ?」
シャーベットを口に含んだ瞬間に話しかけられ、上手く喋れなかった。
桃子にそれとなく聞いてみたら、
「うちは大学の附属高校だからねー、昔大学のお偉いさんがそう決めたらしくて、今でもずっとそのままなんだって」
との事だった。
まぁ私の高校ではないので文句を言うほどではないのだけど。
私はスマホで今の時間を確認する。
11時57分、約束の時間の3分前だ。
スマホの次は自分の体全体に目をやる。
白いカットソーにネイビーのストライプ柄マキシスカート。
サンダルと小さなバッグはブラウンで統一させた。
「別に、変じゃ、ないよね……?」
「変じゃないよー」
桃子の声だ。
水色のクラスTシャツに、いつもの制服のスカートを履いている。
独り言のはずだった私の言葉に反応してくれたみたいだ。
聞かれていたなんてちょっと恥ずかしい。
「さあ、いこ!」
桃子はそれ以上突っ込むことはなく、早足で校門をくぐった。
受付でパンフレットや校内を歩くためのスリッパを受け取り、昇降口に行く。
入ってすぐの壁一面にはクラスの宣伝ポスターが貼ってあった。
どうやら今いる1階は1年生の教室のようだ。
この階に彼のクラスはない。
私が彼のことを考えている間に、桃子は隣でパンフレットを開いていた。
「私アイス食べたいなー!」
そう言われて、私もアイスを売っているクラスを探すためにパンフレットを開く。
どうやらアイスは1年生と3年生のクラスで売っているようだ。
「シャーベット系かクリーム系、桃子はどっちがいいの?」
「シャーベットがいいな」
シャーベット、ということは3階にある3年生のクラスだ。
そこも、違う。
つい彼のいる場所についてばかり考えてしまう。
せっかくここまで来たのに会えなかったらどうしよう。
急に不安が込み上げてきた。
もしかしたら彼だって私たちのように友達と他の場所に遊びに行っているかもしれないのに。
「もー、琴音! 彼を見つけたらちゃんと言うから今は気にせず楽しも!」
なんてことだ。
私はそんなに態度に出てしまっていたのか。
桃子にそんな気を使わせてしまったことをとても申し訳なく思った。
今言ってくれた桃子の言葉を信じ、それまでは純粋に文化祭を楽しもうと意気込む。
2人で3階へと続く階段を上る。
ほんのすぐ前に気にするなと言われたばかりだが、それでも2階を通り過ぎる瞬間は彼がいないか少しだけ気になってしまった。
しかし絶対会えると信じることにしたおかげで不安感はない。
それに、なんとなく彼に会えるんじゃないかという気すらしてきた。
足を止めることなく2階を通り過ぎ、3階に到着する。
3年生はやはり1年生よりもポスターや周りの装飾のクオリティが高い。
色々眺めていると、私たちの求めているアイスのクラスポスターを見つけた。
『こちらです!』
という可愛い文字と一緒に矢印が描かれている。
貼る場所を考えた上でポスターを作っているなんてすごい。
思わず感心してしまった。
その矢印の通りに廊下を進むと、迷うことなくそのクラスにたどり着くことができた。
教室の入り口で桃子はソーダ味を、私はイチゴ味を買い、チェック柄のテーブルクロスがかけられた2人用の席に座った。
「おいしー!」
そう言って桃子が満面の笑みを浮かべる。
確かに美味しい。
お祭りで食べるかき氷とか、文化祭で食べるアイスとかは、涼しい家の中で食べるものとはまた違う美味しさがあるんだよね。
なんでだろうか。
ふと桃子の方を見ると、彼女にはそんな疑問が全くないらしく、夢中でシャーベットを食べ進めていた。
「このあとはどこ行こっかー」
シャーベットを食べながら桃子がパンフレットを開いた。
「琴音は何か食べたいものとか行きたいところとかある?」
「えっ、わたひ?」
シャーベットを口に含んだ瞬間に話しかけられ、上手く喋れなかった。
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