恋の居場所

桜庭 葉菜

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キャラクター作成 2

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「ほんとに、私だ……」

 色々見てみたが、特に違和感はない。

 どうやったらここまで再現できるのだろうか。

 ものすごい感動とともにここまで自分というものを再現されてしまうと少し怖い気もしてしまった。

「あ! そういえばあきらと約束してるんだった!」

 このゲームがあまりにも凄すぎてすっかり忘れていた。

 あきらもそれなりにキャラメイクに時間をかけるだろうし、私も自分の納得のいくまで作ることにした。

「よし! これでいいかな!」

 くるりと一回転して自分の姿を確認する。

 結局自分の姿から大きく変えることはしなかった。

 体重を軽くしてみたり、くびれを作ったり、ほんの少しだけ理想の自分を作ってみたような感じ。

 髪色くらい奇抜にしてもいいかなと思ったが、なんだかしっくりくる色がなかったのでそのままにした。

 それに、さっきからずっと自分を見続けたせいか、最初に着ていた見知らぬ服もなんとなく気に入った。

 半袖で丈は膝近くまであるターコイズ色の服。

 くびれのところでクロスした黒いベルトは、シンプルながら可愛い。

 膝上の黒スカートは、ベルトの少し下から前が開いた形。

 靴は膝下まである茶色のブーツ。

 この初期装備を一通り眺めて、キャラクター作成を終了することにした。

 手元のウィンドウの1番下にある〈 作成完了 〉という文字に触れる。

『本当に完了してよろしいですか?』

 私は〈 はい 〉の方に触れた。

 すると初期設定の画面が更新された。

『装備を1つ選んでください』

 そう書かれた画面に8種類の武器が表示された。

 剣、レイピア、大剣、短剣、鞭、ブーメラン、銃、弓。 

 全ての武器の説明を読んでみて、私は遠距離武器で回復系のスキルを覚えることも出来る弓に決めた。

 武器を選択すると背中に重みを感じる。

 いつの間にか弓を背負っていた。

 本当に冒険が始まるんだと実感する。

 上からの光が消え、代わりに私の体が光りだす。

 目の前の空間にはもう何も無かった。 
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