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「閣下ともあろうかたが署名済みの婚姻証明書を送るような失敗をなさるだなんて、思いもよりませんでしたわ。悪用してくださいと言わんばかりです。おかげさまでわたくしは助かりましたけれど。ましてあなたは、あのディアナに求婚なさるようなうわついたかたには見えませんでしたのに」
「ディアナを悪く言うな。それに、私はおまえに会った覚えは無い」
「建国記念日の夜会でお目にかかりました」
そっけなく言って、コルネリアは寝間着のあわせに手をかけた。するりと細い肩から布地を落とすと、薄手の肌着と真っ白な胸元が露わになる。貞淑さの象徴のような花嫁のヴェールを被ったままで服を脱ぐ彼女に、伯爵のほうがぎょっとしたようだった。
「何のつもりだ」
「初夜に新妻を放っておかれては、たとえ人違いとて、閣下は妻に恥をかかせた男だと、悪し様に言われます。寝台に共寝の痕跡がなければ、女中たちは気づくでしょう。市中に噂が立つのは、時間の問題です」
「この期に及んで私の体裁を気にするのか、おまえは」
コルネリアは寝間着を脱ぎさると、肌着の肩紐に手をかけた。意に反して、手が震えた。男のまえに肌をさらすのは初めてだ。震える手の甲に、伯爵の大きな手がかかった。
「心意気は気に入った。だが、かならずやこの婚姻を無効にしてやるからな」
言って、伯爵はコルネリアのからだを寝台のうえに押し倒した。顔を隠すヴェールをも剥ごうとする手に抵抗して、コルネリアはぎゅっとヴェールの裾を掴む。泣きそうだった。あれだけの減らず口を叩きながら、伯爵がディアナをかばい、婚姻を無効にすると口にするたび、胸がきりきりと痛んでいる。
伯爵の手がコルネリアのなだらかな肩をなぞるようにして、肌着の肩紐を滑らせる。徐々に現れる柔肌に次々と口づけ、胸のいただきをねぶる。
──男のひとって、好きでもない女でも、平気で触れられるのね。
知識としては持っていた。だが、いざ目の当たりにすると、落胆が胸のうちに広がっていく。温かいてのひらが鎖骨から下りる。乳房の横を通り、くびれを撫で、腰骨を掴む。肌着はあっさりと取り去られて、コルネリアは伯爵の前に生まれたままの姿をさらしていた。
「……うつくしいな」
耳を打った伯爵のうわずったつぶやきに、とどめとばかりにこころをえぐられて、からだから、ふっと力が抜けた。両手で乳房を下から持ち上げられ、爪で先端をくすぐられる。開いた喉から、くぐもった声が口内に漏れる。もっと啼かせようというのか執拗に胸をいじられて、コルネリアはついにくちびるを開く。
「あ……、ぁ、んっ、んぅ」
素直な声に昂ぶったようすでヴェールをむしられて、今度はあらがえなかった。
「ディアナを悪く言うな。それに、私はおまえに会った覚えは無い」
「建国記念日の夜会でお目にかかりました」
そっけなく言って、コルネリアは寝間着のあわせに手をかけた。するりと細い肩から布地を落とすと、薄手の肌着と真っ白な胸元が露わになる。貞淑さの象徴のような花嫁のヴェールを被ったままで服を脱ぐ彼女に、伯爵のほうがぎょっとしたようだった。
「何のつもりだ」
「初夜に新妻を放っておかれては、たとえ人違いとて、閣下は妻に恥をかかせた男だと、悪し様に言われます。寝台に共寝の痕跡がなければ、女中たちは気づくでしょう。市中に噂が立つのは、時間の問題です」
「この期に及んで私の体裁を気にするのか、おまえは」
コルネリアは寝間着を脱ぎさると、肌着の肩紐に手をかけた。意に反して、手が震えた。男のまえに肌をさらすのは初めてだ。震える手の甲に、伯爵の大きな手がかかった。
「心意気は気に入った。だが、かならずやこの婚姻を無効にしてやるからな」
言って、伯爵はコルネリアのからだを寝台のうえに押し倒した。顔を隠すヴェールをも剥ごうとする手に抵抗して、コルネリアはぎゅっとヴェールの裾を掴む。泣きそうだった。あれだけの減らず口を叩きながら、伯爵がディアナをかばい、婚姻を無効にすると口にするたび、胸がきりきりと痛んでいる。
伯爵の手がコルネリアのなだらかな肩をなぞるようにして、肌着の肩紐を滑らせる。徐々に現れる柔肌に次々と口づけ、胸のいただきをねぶる。
──男のひとって、好きでもない女でも、平気で触れられるのね。
知識としては持っていた。だが、いざ目の当たりにすると、落胆が胸のうちに広がっていく。温かいてのひらが鎖骨から下りる。乳房の横を通り、くびれを撫で、腰骨を掴む。肌着はあっさりと取り去られて、コルネリアは伯爵の前に生まれたままの姿をさらしていた。
「……うつくしいな」
耳を打った伯爵のうわずったつぶやきに、とどめとばかりにこころをえぐられて、からだから、ふっと力が抜けた。両手で乳房を下から持ち上げられ、爪で先端をくすぐられる。開いた喉から、くぐもった声が口内に漏れる。もっと啼かせようというのか執拗に胸をいじられて、コルネリアはついにくちびるを開く。
「あ……、ぁ、んっ、んぅ」
素直な声に昂ぶったようすでヴェールをむしられて、今度はあらがえなかった。
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