10 / 21
第10話
しおりを挟む
それは冬のある日の出来事だ。
「はい、これ忠光の好きなやつ」
そう言って従妹の宮 亜里沙(みや ありさ)ちゃんが俺に博多名物「とおりゃんせ」を渡してくる。このおやつはモルドセレクション金賞なんだよ!!と嬉々として説明する宮ちゃんに俺は笑って受け取る。
そのモルドセレクションなるものが金で買える、お飾りセレクションであることは周知されている昨今、彼女のような無垢な少女もそうはいまい。
それに、そんなことで水を差して、「そっか。金で買える安い賞なんだ………こんなもんに騙されて、子供みたいにはしゃいで買ってきてごめん」なんて謝られたら目も当てられない。
俺はホクホク顔で菓子を一つ取り出し、何も知らないという顔で菓子をほおばった。
まあ、普通に美味しいのだが。
彼女はたまに俺の家に来る。
だいたい三ヶ月に一度くらいのペースだ。なんだかんだ、亜里沙ちゃんとは馬が合うし、彼女もそう思っているからだろう。
俺は菓子を食いながら、茶を啜り、彼女と一緒にこたつに入って世間話を始める。
「そういえば、亜里沙ちゃん最近、高校はどう?なんか部活とか入った?」
「ううん。お姉ちゃんも入ってないし、私も入ってないよ」
「そうなんだ。沙代里はなんか彼氏できたんだってな?」
亜里沙ちゃんには双子の姉がいる。なんというか、SNSが好きで、友達も多く、彼氏も一週間周期で変わっていくギャルである。
亜里沙ちゃんとは正反対の娘である。
「うん。私も出来たよ!お姉ちゃんは知らないと思うけど」
亜里沙ちゃんが満面の笑みをこちらに向ける。
「へぇー………へ!?彼氏!?は!?」
「う、うん。そんなに驚かれると照れるなぁ」
油断していた。こんな小さくて下の毛も生えそろっていないような亜里沙ちゃんに彼氏とな?
俺は最低なことを考えながら、彼女にどんな男なのか?ブスか?ブスなのか?ブスであれ!!部活はなにか?成績は?将来性はあるのか?と聞き込みを開始した。
なんでも、最近流行りのSNSで知り合った男らしい。
姉と同じである。
二、三度会っているらしいが、優しくて、金も持っているらしい。この辺で何かひっかかりを覚える。
高校生とは大体金を持っていない。めっちゃバイトしてる奴とかかな?
週7バイトとか、、、親の扶養外れるレベルで働くやつか?
俺は彼女に教えてもらい、そいつのプロフィールを確認する。
「うんうん。確かに顔はカッコいいな。………えっとなにこれ?」
名前がローマ字表記は良いとしよう。いや、俺は本名をSNSに乗せてる奴は全員馬鹿だと思っているが。まぁよい。
それでいて、/で区切っては大学名、部活名、後は住所まで書いてあるな。個人情報晒しまくりだな。………えっと最後の「挑戦する人間を求めています!!」って何?
後は「投資運用!!」、「副収入!!」、「自由な時間と自由なお金!!」って。
ああ、これ駄目なやつだろ。
「ちなみに亜里沙ちゃん、彼、何歳って?」
「知らない。でも大人の男って感じだったよ!!」
「ほうほう。後は、なんか高い車とか、高い服とか持ってた?サングラスかけてた?あと、アクセサリーいっぱいつけてた?」
「すごい!超能力!?なんで分かるの?」
「うーんと、どうだろ。海外旅行とか誘われた?」
「あ!そうそう!来月行くの!!」
子供のような笑顔でこちらに身を乗り出して、肯定する亜里沙ちゃん。
シャツが垂れ下がり、胸が見えそうになる。
そう、もうちょっと前に!
いや、俺が後ろに下がれば!!
いやいや、違う違うそうじゃない。
というか。おい。役満にもほどがあるだろうが。
俺は静かに携帯を置くと、彼女に居直る。
「えっと………その人の彼女って亜里沙ちゃんだけ?」
「どういう意味?」
亜里沙ちゃんは怪訝そうな顔になって、持っていたお菓子を置いて、言う。
まぁ遠回しに浮気されてんじゃねぇの?って聞いてるんだしな。怒るのも無理はない。
「えっとじゃあ。とりあえず、今度、俺も会っていい?」
「え?………じゃあ今度、一緒に彼の友達とかで開かれるバーベキュー大会もあるし、忠光も来る?」
断れると思ったが、事はスムーズに進行した。しかしながら………
「ああ、えっとわかった」
おいおい。それはもう、役満ってレベルじゃねぇぞ!!
最後にそんな大事な情報を持ってくるんじゃねぇよ。海底撈月か?どんな確率だよ。
頭の中でビンゴと鳴りながら、分かりづらい例えしか出てこない。
それほど、俺は困惑していた。
そして、俺は地雷だと分かっていながら、彼女の彼氏に会いに行くことにした。
「はい、これ忠光の好きなやつ」
そう言って従妹の宮 亜里沙(みや ありさ)ちゃんが俺に博多名物「とおりゃんせ」を渡してくる。このおやつはモルドセレクション金賞なんだよ!!と嬉々として説明する宮ちゃんに俺は笑って受け取る。
そのモルドセレクションなるものが金で買える、お飾りセレクションであることは周知されている昨今、彼女のような無垢な少女もそうはいまい。
それに、そんなことで水を差して、「そっか。金で買える安い賞なんだ………こんなもんに騙されて、子供みたいにはしゃいで買ってきてごめん」なんて謝られたら目も当てられない。
俺はホクホク顔で菓子を一つ取り出し、何も知らないという顔で菓子をほおばった。
まあ、普通に美味しいのだが。
彼女はたまに俺の家に来る。
だいたい三ヶ月に一度くらいのペースだ。なんだかんだ、亜里沙ちゃんとは馬が合うし、彼女もそう思っているからだろう。
俺は菓子を食いながら、茶を啜り、彼女と一緒にこたつに入って世間話を始める。
「そういえば、亜里沙ちゃん最近、高校はどう?なんか部活とか入った?」
「ううん。お姉ちゃんも入ってないし、私も入ってないよ」
「そうなんだ。沙代里はなんか彼氏できたんだってな?」
亜里沙ちゃんには双子の姉がいる。なんというか、SNSが好きで、友達も多く、彼氏も一週間周期で変わっていくギャルである。
亜里沙ちゃんとは正反対の娘である。
「うん。私も出来たよ!お姉ちゃんは知らないと思うけど」
亜里沙ちゃんが満面の笑みをこちらに向ける。
「へぇー………へ!?彼氏!?は!?」
「う、うん。そんなに驚かれると照れるなぁ」
油断していた。こんな小さくて下の毛も生えそろっていないような亜里沙ちゃんに彼氏とな?
俺は最低なことを考えながら、彼女にどんな男なのか?ブスか?ブスなのか?ブスであれ!!部活はなにか?成績は?将来性はあるのか?と聞き込みを開始した。
なんでも、最近流行りのSNSで知り合った男らしい。
姉と同じである。
二、三度会っているらしいが、優しくて、金も持っているらしい。この辺で何かひっかかりを覚える。
高校生とは大体金を持っていない。めっちゃバイトしてる奴とかかな?
週7バイトとか、、、親の扶養外れるレベルで働くやつか?
俺は彼女に教えてもらい、そいつのプロフィールを確認する。
「うんうん。確かに顔はカッコいいな。………えっとなにこれ?」
名前がローマ字表記は良いとしよう。いや、俺は本名をSNSに乗せてる奴は全員馬鹿だと思っているが。まぁよい。
それでいて、/で区切っては大学名、部活名、後は住所まで書いてあるな。個人情報晒しまくりだな。………えっと最後の「挑戦する人間を求めています!!」って何?
後は「投資運用!!」、「副収入!!」、「自由な時間と自由なお金!!」って。
ああ、これ駄目なやつだろ。
「ちなみに亜里沙ちゃん、彼、何歳って?」
「知らない。でも大人の男って感じだったよ!!」
「ほうほう。後は、なんか高い車とか、高い服とか持ってた?サングラスかけてた?あと、アクセサリーいっぱいつけてた?」
「すごい!超能力!?なんで分かるの?」
「うーんと、どうだろ。海外旅行とか誘われた?」
「あ!そうそう!来月行くの!!」
子供のような笑顔でこちらに身を乗り出して、肯定する亜里沙ちゃん。
シャツが垂れ下がり、胸が見えそうになる。
そう、もうちょっと前に!
いや、俺が後ろに下がれば!!
いやいや、違う違うそうじゃない。
というか。おい。役満にもほどがあるだろうが。
俺は静かに携帯を置くと、彼女に居直る。
「えっと………その人の彼女って亜里沙ちゃんだけ?」
「どういう意味?」
亜里沙ちゃんは怪訝そうな顔になって、持っていたお菓子を置いて、言う。
まぁ遠回しに浮気されてんじゃねぇの?って聞いてるんだしな。怒るのも無理はない。
「えっとじゃあ。とりあえず、今度、俺も会っていい?」
「え?………じゃあ今度、一緒に彼の友達とかで開かれるバーベキュー大会もあるし、忠光も来る?」
断れると思ったが、事はスムーズに進行した。しかしながら………
「ああ、えっとわかった」
おいおい。それはもう、役満ってレベルじゃねぇぞ!!
最後にそんな大事な情報を持ってくるんじゃねぇよ。海底撈月か?どんな確率だよ。
頭の中でビンゴと鳴りながら、分かりづらい例えしか出てこない。
それほど、俺は困惑していた。
そして、俺は地雷だと分かっていながら、彼女の彼氏に会いに行くことにした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました
鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。
素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。
とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。
「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」
美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ
さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。
絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。
荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。
優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。
華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
冷遇妃ライフを満喫するはずが、皇帝陛下の溺愛ルートに捕まりました!?
由香
恋愛
冷遇妃として後宮の片隅で静かに暮らすはずだった翠鈴。
皇帝に呼ばれない日々は、むしろ自由で快適——そう思っていたのに。
ある夜、突然現れた皇帝に顎を掴まれ、深く口づけられる。
「誰が、お前を愛していないと言った」
守るための“冷遇”だったと明かされ、逃げ道を塞がれ、甘く囲われ、何度も唇を奪われて——。
これは冷遇妃のはずだった少女が、気づけば皇帝の唯一へと捕獲されてしまう甘く濃密な溺愛物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる