憑依系スキルで、美少女を誑かしてみた!

プーヤン

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第11話

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亜里沙ちゃんの連絡を受けて、俺は休日にそのバーべキュー場に向かった。

別に従妹がどんな馬鹿な人間に捕まろうが正直のところどうでもいいのだが、ここまできな臭い案件も珍しく、いつもは面倒に伸ばさぬ足もそちらに向けてみたくなったのだ。

興味本位と、少しばかりの心配でここまで来た次第だ。

そこは皆がデカいデカいと騒ぐ湖に、人が住めるのは四割程であると言われている滋賀である。湖は外来魚が溢れかえり、寺数だけは我が地を超える。主だった観光名所もありはしない。本当に田舎である。
ただ湖があるせいで移動は面倒くさい。

湖をぐるっと回りこんでやっと着いたバーベキュー場には、それは様々な人間がいた。

そこらへんの主婦だろうと推察できる者から、いかにも怪しげな中年の男、それに快活な笑顔を貼り付けている若者まで。

バーベキューというと、やはり仲のいい年齢の近い人間であったり、職場の人間や学校の人間という近しい人間で行うものだと思っていたので、こうバリエーション豊かというのか、十把一絡げに人を集めたバーべキューとは俺の思うバーベキュー像とは違う。

まぁ、搾取する側と、される側と考えれば、それは納得のいく構図であるのだが。

ふと、着いたバーべーキュー場の中央のテーブルに焼き肉の乗った皿と酒缶を持った青年と、その横に楽しそうに肉をほおばる亜里沙ちゃんを見つける。

マジでハムスターかと思うほど肉をこれでもかと詰め込んだ齧歯類の様な少女が、満面の笑みである。

青年は俺が思った通り、パッとしないそこらへんにいそうな覚えづらい顔立ちに、装飾豊かな帽子に、ブランド物のバッグを持っており、ズボンもこれまた見たことがない色合いで、黒い色なのにゴキブリの背のように歪な光を発しているのがなんとも奇妙に映った。

それは俺が知らぬ高価なズボンなのだろうが、しかし、バーべーキューくらい動きやすい恰好の方がいいのでは?と。ソースとかかかったら大変でしょっと苦言を呈したい。

まぁ肉よりも、他に食いたいものでもあるだろうから、田舎の外灯に似て薄く怪しい光が羽虫ならぬ、金の虫でも呼ぶのに適しているのだろう。

 

 

 

「ああ、来た来た。あれ従兄の忠光くん」

彼女は俺の顔を見ると、ニコッと顔全体で笑ったように見えた。

「なるほど。彼が亜里沙の言ってた従兄くんだね。君もやはり有意義な時間やマネーを求めてここに来たのかい?まさにグレイト。それは良い判断だ。これで君はそこらの学生では考えられなようなものを手に入れられる。彼らとは違う学生。つまりは特別な学生になれるというわけだ。それは経験?金?有意義な時間?いやいや。違う。そのすべてさ!」

すごい剣幕で、漫談でも始めるのかといわんばかりに彼の口は止まらない。

ただ聞いてみると案外普通のことを言っていたり、そことそこの話はつなげるのは流石に無理がありませんか?

いえね。否定するわけではないんですよ?ただ単刀直入に言うならば、お宅らの仕事ってグレーなんですけど?そこにうちの従妹を巻き込むのはどうか?とそう言いたいわけでして。

ええ。ええ。とにかく口よりも手を動かして、その黒く焼き焦げた肉を回収しろよとそう私は言いたいのです。

俺は亜里沙ちゃんの彼氏であろう男が去るのを待って、彼がいなくなると同時に亜里沙ちゃんに小声で話かける。

「えっと………亜里沙ちゃんはどう?楽しい?」

「え?何が?」

「いや、このバーべーキュー楽しい?」

「うーんと肉ウマイ………。でも難しい話がいっぱい聞けて亜里沙は楽しいよ?」

「そうか………。とにかく、その貰った袋は下に置こうか?あと、その書きかけの契約書?その紙を俺に貸して」

「えっと………はい」

亜里沙ちゃんはその紙を俺に渡す。後は印鑑を押すところまでだったのでギリセーフだな。

「よし」

俺は亜里沙ちゃんの制止を掻い潜って、とりあえず、その紙をバーべーキューコンロに投げ入れた。
燃える契約書を見て、亜里沙ちゃんは「ああっ……まあ、いいか」と一瞬、落胆の声を上げるも、箸は止まらず、美味しそうにウィンナーを頬張る。

そして、その袋に入っていた石鹸?所謂、商品等をやつらの荷物の近くに置いた。

その時、俺の荷物が消えていたことに気が付くも、奴らに憑依し、仲間に問うと普通に湖の近くに止めてある、車にあると教えてくれた。

「亜里沙ちゃんは荷物どうしたの?」

「えっと義一さんが持っていてくれるって預かってもらって………どこだろう?」

「そうか……ちょっと待っててね」

多分その荷物も俺のと一緒にあるなと見に行けば普通に置いてあった。俺はまだ荷物は回収しないで、その義一さんなる人物に接近する。

そして、この団体をつぶさに観察し、一番権力を持ってそうな奴に憑依した。

ああ。中年の麦わら帽子をかぶったアロハシャツのいかにも怪しい野郎だ。
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