54 / 123
第一部ヴァルキュリャ編 第一章 ベルゲン
教えてシグルさん!
しおりを挟む
「さぁ、何が知りたい」
不敵な笑みを見せるシグル嬢への質問タイムが始まった!
Yahoo!! やっぱり最初はスリーサイズだよな。
それから、初えっちはいつかと、あ、ヴァルキュリャだと処女か。
じゃあ、初恋の相手は誰かと、初ちゅーはいつどんなシチュかと……
あぁあっっこの質問DT感満載ぢゃねぇかっっ!
俺は口の端をぴくぴくさせながら葛藤する。
「……それじゃあ、初代ヴァルキュリャが子どもを作って、皆さんがヴァルホルに帰るまでのことでご存知のことを教えてください」
「……何故そんな残念そうな顔をする?」
「いや、気にしないでください。俺はキモ男じゃないんで、知りたいことをちゃんと聞いてますから大丈夫です」
「?」
シグルは何かを求めてソグンを一瞥したが、目を伏せたままのソグンに諦めたのか口を開いた。
「最初に聞かされたのは、私のはずだ。……ファストル、エイケン家の初代ヴァルキュリャはそう呼ばれることが多かったが、ファストルと私はヴァルキュリャの中でも親しい方でな。赤子も私が預かった。とんでもないことだと驚くだろうけれど、更に驚くことにオージンからお許しを頂いたとな。神の子ではなく、人の子として生きるという誓いを立て、神の血の力はオージンが封印したと言っていた。赤子を守るために授けられた魔剣とともにエイケン家に預け、魔物ら害なすものに襲われることのないよう見守って欲しい、とファストルから託され、私はそれに従った」
「ファストルさんは、子どもを預けてどこへ行ったんですか?」
「知らぬ。聞いたが、やらねばならぬことがある、すぐ戻るから、としか言わなかった。魔物との最終決戦が近い時でな、そのためだろうと勝手に思っていた。魔物と戦い滅ぼすことが、何よりも優先されるべき私たちの存在意義だったからだ」
「なるほど」
「しかし、ファストルは戦線に戻らなかった。最後に姿を見たのは、その時の私ということになっている」
おおう……。
しんみりした雰囲気になってしまった。
行方不明の友人と最後に会ったのが自分だとなったら、それはモヤモヤが残るんじゃないか?
しかも自分の勝手な思い込みで、相手が何を考えているのか聞かなかったために謎が残ってしまった。
もしかしたら、シグルもその謎が気になっているから、協力してくれるのかもしれない。
俺はまた思考の波にチューブライディングしていく。
結局、人は自分の利害で動くのだ。
これから先も、俺はいろんな奴に協力して貰わなければならない、多分。
そのための一つの真理として、覚えておこう、そう思った。
「父親のこととか、生んだ経緯とかは話してましたか? 生まれるまで誰も気づかなかったってこともないように思うんですけど」
「一切話さなかった。自分の弱さが招いたことで、誰にも迷惑をかけたくないと言っていた。正直に言うと父親は私も気になってな、赤子を預ける時に、当時のエイケン一族に怪しい奴はいないか調べもしたが、それらしい男はいなかった」
「弱さ……?」
「……私たちはずっと魔物と戦っていた。子を成すような暇もなければ、身重になっている暇もなかった。だからファストルから子を産んだと聞かされてもにわかには信じられなかったくらいだ。気がついていた者などいない。私が信じたのは、ファストルがそんな嘘をつく者ではないというそれまでの信頼と……赤子がファストルに良く似ていたからだ」
「神話だと、神や精霊はぽこぽこ瞬間的に生んでますもんねぇ。ヴァルキュリャもそういう産み方なのかもしれないしなぁ」
「ファストルは、最終決戦に備えて、何人かのヴァルキュリャたちと魔山の近くで偵察を行っていた。その期間はお互いに顔を合わせる時間も少なかったから、あるとしたらその期間だろうとは思っている」
「そこって、人間がいそうなところなんですか?」
「普通はいないな」
シグルは表情を変えずに淡々と答える。
表情から何か読み取れないかと見る必要もねぇなぁ、と俺は天井を眺める。
そうだよなぁ。
魔物の本拠地と言われる南の魔山。そんなところの近くに普通は人間はいない。
いるとしたらぶっとんだ戦士か。神か。
父親が魔物の可能性は除いた。
魔物の子をオージンが許すとは思えないし、アセウスに魔物の要素なんて微塵も感じられない!
天使ちゃんだぜ?! 輝く光だぜ?!
アセウスが魔物の眷属だったら俺なんてゴブリンだろ。
え? 最近のゴブリンは主役張れるくらいの人権だから生意気言うなって?
ひでぇっ、俺、ゴブリン以下なのかよ~(涙)
ウホホーッ
ボボンガ コインガ。
「赤子をエイケン家に預けてからほどなくして、オージンが赤子に会いに訪れた。私はオージンに尋ねたよ、ファストルの身に何が起こったのか、赤子の父親は誰なのか」
「!! オージンはなんて?!」
不敵な笑みを見せるシグル嬢への質問タイムが始まった!
Yahoo!! やっぱり最初はスリーサイズだよな。
それから、初えっちはいつかと、あ、ヴァルキュリャだと処女か。
じゃあ、初恋の相手は誰かと、初ちゅーはいつどんなシチュかと……
あぁあっっこの質問DT感満載ぢゃねぇかっっ!
俺は口の端をぴくぴくさせながら葛藤する。
「……それじゃあ、初代ヴァルキュリャが子どもを作って、皆さんがヴァルホルに帰るまでのことでご存知のことを教えてください」
「……何故そんな残念そうな顔をする?」
「いや、気にしないでください。俺はキモ男じゃないんで、知りたいことをちゃんと聞いてますから大丈夫です」
「?」
シグルは何かを求めてソグンを一瞥したが、目を伏せたままのソグンに諦めたのか口を開いた。
「最初に聞かされたのは、私のはずだ。……ファストル、エイケン家の初代ヴァルキュリャはそう呼ばれることが多かったが、ファストルと私はヴァルキュリャの中でも親しい方でな。赤子も私が預かった。とんでもないことだと驚くだろうけれど、更に驚くことにオージンからお許しを頂いたとな。神の子ではなく、人の子として生きるという誓いを立て、神の血の力はオージンが封印したと言っていた。赤子を守るために授けられた魔剣とともにエイケン家に預け、魔物ら害なすものに襲われることのないよう見守って欲しい、とファストルから託され、私はそれに従った」
「ファストルさんは、子どもを預けてどこへ行ったんですか?」
「知らぬ。聞いたが、やらねばならぬことがある、すぐ戻るから、としか言わなかった。魔物との最終決戦が近い時でな、そのためだろうと勝手に思っていた。魔物と戦い滅ぼすことが、何よりも優先されるべき私たちの存在意義だったからだ」
「なるほど」
「しかし、ファストルは戦線に戻らなかった。最後に姿を見たのは、その時の私ということになっている」
おおう……。
しんみりした雰囲気になってしまった。
行方不明の友人と最後に会ったのが自分だとなったら、それはモヤモヤが残るんじゃないか?
しかも自分の勝手な思い込みで、相手が何を考えているのか聞かなかったために謎が残ってしまった。
もしかしたら、シグルもその謎が気になっているから、協力してくれるのかもしれない。
俺はまた思考の波にチューブライディングしていく。
結局、人は自分の利害で動くのだ。
これから先も、俺はいろんな奴に協力して貰わなければならない、多分。
そのための一つの真理として、覚えておこう、そう思った。
「父親のこととか、生んだ経緯とかは話してましたか? 生まれるまで誰も気づかなかったってこともないように思うんですけど」
「一切話さなかった。自分の弱さが招いたことで、誰にも迷惑をかけたくないと言っていた。正直に言うと父親は私も気になってな、赤子を預ける時に、当時のエイケン一族に怪しい奴はいないか調べもしたが、それらしい男はいなかった」
「弱さ……?」
「……私たちはずっと魔物と戦っていた。子を成すような暇もなければ、身重になっている暇もなかった。だからファストルから子を産んだと聞かされてもにわかには信じられなかったくらいだ。気がついていた者などいない。私が信じたのは、ファストルがそんな嘘をつく者ではないというそれまでの信頼と……赤子がファストルに良く似ていたからだ」
「神話だと、神や精霊はぽこぽこ瞬間的に生んでますもんねぇ。ヴァルキュリャもそういう産み方なのかもしれないしなぁ」
「ファストルは、最終決戦に備えて、何人かのヴァルキュリャたちと魔山の近くで偵察を行っていた。その期間はお互いに顔を合わせる時間も少なかったから、あるとしたらその期間だろうとは思っている」
「そこって、人間がいそうなところなんですか?」
「普通はいないな」
シグルは表情を変えずに淡々と答える。
表情から何か読み取れないかと見る必要もねぇなぁ、と俺は天井を眺める。
そうだよなぁ。
魔物の本拠地と言われる南の魔山。そんなところの近くに普通は人間はいない。
いるとしたらぶっとんだ戦士か。神か。
父親が魔物の可能性は除いた。
魔物の子をオージンが許すとは思えないし、アセウスに魔物の要素なんて微塵も感じられない!
天使ちゃんだぜ?! 輝く光だぜ?!
アセウスが魔物の眷属だったら俺なんてゴブリンだろ。
え? 最近のゴブリンは主役張れるくらいの人権だから生意気言うなって?
ひでぇっ、俺、ゴブリン以下なのかよ~(涙)
ウホホーッ
ボボンガ コインガ。
「赤子をエイケン家に預けてからほどなくして、オージンが赤子に会いに訪れた。私はオージンに尋ねたよ、ファストルの身に何が起こったのか、赤子の父親は誰なのか」
「!! オージンはなんて?!」
0
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる