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1−2−02 これはひどい罠ですね

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 残りのメッセージも一気に開いていった。

『正面にあるのが冒険者ギルドじゃよ』

『文字翻訳を行うかの? はい/いいえ』

 これは、なんという罠だろうか。
 はいを選択して、読み書きの本を開く。

 そこには絵と、日本語で読み方が2つずつ書かれていた。
 自分で書き込んだものと、元々そこにあった、こちらの世界の文字が日本語に変わった文字がそこにあった。

 一番下ってことは多分こっちに来て、すぐにメッセージ来てたんだよな。
 お、俺の努力は一体……。
 会話は出来てたんだから、できるなら最初から文字も読めるようにしておいてくれよ!

 リィン。

 あれ、またメッセージが。
 というかこの音、何回か鳴ってたよな。

 聞こえた時は、誰かが鳴らした音か何かだと思ってたんだが。
 メッセージが来てた音だったのか……。

『あ、やっと見たのか。まあドンマイじゃの。次からはちゃんと見てくれると嬉しいの』

 ぐぬぬぬ……はあ。
 さてと、気を取り直すとして、今日はどうするんだろうか。

 確か、タグで連絡取れるんだったよな。
 タグのボタンを押してカマさんを呼ぶと、すぐに出てくれたようで声が聞こえてくる。

『おはようコハクちゃん。昨日はよく眠れたかしら』

「おかげさまでな。それで今日はどうするんだ?」

『あー、ごめんなさいね。今日は私、用事があるから依頼は無しね」

「そうか、わかった」

 どうやら今日はオフのようだ。

『もし、やることがないのなら、昨日話したように市場でも見に行ってみたらどうかしら? あ、でもまだ文字読めないのよね』

 確かに金も入ったし、色々見てみるのもいいかもしれないな。
 文字に関しては読めるようになったけど、適当にごまかすか。

「昨日カマさん来るまでに勉強して、少しは読めるようになったからな。とりあえず行ってみるよ」

『そう? 市場はギルドのある通りから、北へ言った所にあるわよ。お昼前後にでも行けば、騒がしいだろうから、すぐに分かるはず』

 そうだ。
 金と言えば、どっちが宿代出してくれたんだろうか。

「分かった。そういえば、昨日の宿代はどっちが出してくれたんだ? 次会う時に返そうと思うんだが」

『ゴランがコハクを運んでたから、払ったのは手が空いてた私だけど。返すのは余裕ができた時でいいからね』

 お仲間で合っていたようだ。
 ゴラングッジョブ。
 カマさんも建て替え感謝だな。

「そうか。ちなみに明日はどうする?」

『明日は大丈夫だから、とりあえず集まって、依頼を探す予定だけど。コハクちゃんも大丈夫?』

 予定は特にないから、何も起きなければ行けるな。

「ああ、わかった。じゃあ明日会った時に、残ってたら返すから」

『そうね。でも装備優先でいいから、とりあえず武器ぐらいは買っておきなさいよ?』

「わかったよ。じゃあまた明日ってことで」

『ええ、また明日。明日はお昼前に一度連絡入れるから、それからギルドで集合ね。それじゃあね』

 通話終了と。
 さて、少し休憩したら市場に行ってみるか。



 ギルドから北へ向かうと、人が大勢いると思われる様々な音が聞こえてくるようになる。
 音の方へと向かってみると、多くのエルフが行き交っている場所にたどり着いた。

 おー、これが市場か。
 通りには色々な商店や露店が並んでいて、人と物が溢れているようだ。
 そこには食材や、その場でつまめる料理に、アクセサリーや人形といった飾りを売っている店もある。

 お、あそこに瓶詰めの液体が置いてあるな。
 どうやら薬を売っているらしい。

 どれどれ、薬草に回復薬……お、エリクサーなんてのもある。
 なになに、『死んでさえいなければ大体治る薬です』?
 変な勧誘の煽り文みたいだな……。
 うわ、1本30シルとか高っか!
 回復役も1シルと結構いいお値段だな。

 それから、露店で昼飯を済ませつつ歩いていると、武具店を発見する。

「いらっしゃい」

 中を見て回ると、結構な数の武器と防具が展示されている。

『ミスリルの剣、軽くて切れ味抜群の人気商品25シル』

 うむ、手が出せない値段である。
 ミスリルの篭手30シルに、ミニドラゴンの篭手400シル。

 安いものでも、ちょっといびつなロングソードとチェインメイルのセットで3シル
 店を間違えたか……。

「なんだ兄ちゃん、タメ息なんかついて」

 ふぅと息を吐いていたら、店員に話しかけられた。

「いえ、ちょっと武器を探してたんですが、格差に絶望していただけです」

「あん? もしかして新米冒険者かい?」

「そんな感じです」

「それなら森の市に行ってみるといいかもな」

「森の市?」

「ああ、店を出て右手の方に進んでいけば見つかると思うぞ。緑の植物で出来たアーチが目印で、その先だな。主に使い古しの物が売られている」

 要するにフリマ的なやつか?
 手持ちが心もとないし、何かあればいいんだが。

「もしかしたら、ちょうどいい装備が見つかるかもしれんぞ」

「助かります」

「なーに。稼げるようになったときは、うちの店でよろしく頼むぞ!」

「その時が来たら、お世話になります」
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