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七将編(剛腕将軍グラドン)
第51話 大斧に抗う勇者
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――ズゥゥゥゥンッ!!
鉱山深奥の祭壇の間に、雷鳴のごとき衝撃音が轟いた。
剛腕将軍グラドンが振り下ろした大斧は、石畳を粉砕し、轟音と衝撃波を広間全体に叩きつけた。
厚い石床は亀裂を走らせ、一瞬にして蜘蛛の巣のように砕け散る。
兵士たちは悲鳴を上げ、咄嗟に身を庇ったが、立っていることすら叶わず壁際へと吹き飛ばされた。
「う、うわあああっ!」
「ひぃいいっ!」
土煙が視界を覆い、砕けた石片が飛び散る。
石柱が不気味に揺れ、天井から砂がぱらぱらと落ちる。
ただの一撃で、広間全体が崩落するかと思わせるほどの威力だった。
――しかし。
その斧は床に届いていなかった。
瓦礫の中央に立つ一人の青年――勇者・悠の片手が、その巨斧の軌道を阻んでいたからだ。
剣でも盾でもなく、ただの掌。
悠は斧の刃を片腕一本で受け止め、のそりと顔を上げる。
「……やっぱ重いな」
あくび交じりの声音は、戦場の緊張感を一瞬で削ぎ落とすほど気怠げだった。
兵士たちの目が見開かれる。
リオネルでさえ息を呑み、剣を握る手が汗ばんでいた。
「ば、馬鹿な……!」
グラドンの口から獣じみた唸り声が漏れる。
「人間風情が、我が剛腕を止めるだと……!?」
剛腕将軍。その二つ名は伊達ではない。
その筋肉はオーガの血を引く肉体の権化であり、岩盤を素手で砕くことなど造作もない。
大斧を振るえば城壁すら一撃で粉砕する。
その力を誇る彼にとって、自らの攻撃が止められるなど、想像すらしたことがなかった。
「ぬおおおおっ!」
グラドンは更に力を込めた。筋肉が隆起し、血管が膨張する。
斧を握る両腕から、尋常ならざる力が伝わってくる。
広間の石畳が悲鳴を上げ、ひび割れが広がっていく。
だが、悠の腕は微動だにしない。
力比べの真っ只中にありながら、その表情はあくまで退屈そうだった。
「……力自慢か。子供かよ」
呆れと倦怠を滲ませた声。
その言葉に、兵士たちは一瞬耳を疑った。
誰もが絶望的な一撃だと思った斧を、彼にとってはただの“面倒事”でしかなかったのだ。
「勇者様っ!」
リオネルが叫ぶ。
声には、信頼と期待と、そして恐怖が入り混じっていた。
グラドンの双眸が血走り、口元に唾が飛ぶ。
「小僧ォォォッ! 我が剛腕の前にひれ伏せぇッ!!」
咆哮が炸裂し、広間が震える。
その声は耳を裂くほど大きく、土煙を振るわせ、兵士たちは思わず耳を押さえた。
だが悠は眉をひそめ、耳を掻きながら呟いた。
「……声でかすぎ、耳痛ぇんだよ」
そして、片腕にほんの少しだけ力を込める。
――ゴッ。
鈍い音と共に、大斧が押し返される。
グラドンの巨体が数歩よろめき、石床を砕きながら後退する。
「な、何だと……!?」
グラドンの声が震える。
信じられないという表情を浮かべ、巨大な肩が揺れている。
悠は面倒そうに肩を回し、ため息をひとつ。
「だから言ったろ。力比べとか時間の無駄なんだって」
広間に一瞬、静寂が訪れた。
兵士たちは言葉を失い、リオネルは剣を握り直しながらただ勇者の背を見つめていた。
剛腕将軍グラドン――。
その圧倒的な力を、悠はあまりにも容易く退けてしまった。
鉱山深奥の祭壇の間に、雷鳴のごとき衝撃音が轟いた。
剛腕将軍グラドンが振り下ろした大斧は、石畳を粉砕し、轟音と衝撃波を広間全体に叩きつけた。
厚い石床は亀裂を走らせ、一瞬にして蜘蛛の巣のように砕け散る。
兵士たちは悲鳴を上げ、咄嗟に身を庇ったが、立っていることすら叶わず壁際へと吹き飛ばされた。
「う、うわあああっ!」
「ひぃいいっ!」
土煙が視界を覆い、砕けた石片が飛び散る。
石柱が不気味に揺れ、天井から砂がぱらぱらと落ちる。
ただの一撃で、広間全体が崩落するかと思わせるほどの威力だった。
――しかし。
その斧は床に届いていなかった。
瓦礫の中央に立つ一人の青年――勇者・悠の片手が、その巨斧の軌道を阻んでいたからだ。
剣でも盾でもなく、ただの掌。
悠は斧の刃を片腕一本で受け止め、のそりと顔を上げる。
「……やっぱ重いな」
あくび交じりの声音は、戦場の緊張感を一瞬で削ぎ落とすほど気怠げだった。
兵士たちの目が見開かれる。
リオネルでさえ息を呑み、剣を握る手が汗ばんでいた。
「ば、馬鹿な……!」
グラドンの口から獣じみた唸り声が漏れる。
「人間風情が、我が剛腕を止めるだと……!?」
剛腕将軍。その二つ名は伊達ではない。
その筋肉はオーガの血を引く肉体の権化であり、岩盤を素手で砕くことなど造作もない。
大斧を振るえば城壁すら一撃で粉砕する。
その力を誇る彼にとって、自らの攻撃が止められるなど、想像すらしたことがなかった。
「ぬおおおおっ!」
グラドンは更に力を込めた。筋肉が隆起し、血管が膨張する。
斧を握る両腕から、尋常ならざる力が伝わってくる。
広間の石畳が悲鳴を上げ、ひび割れが広がっていく。
だが、悠の腕は微動だにしない。
力比べの真っ只中にありながら、その表情はあくまで退屈そうだった。
「……力自慢か。子供かよ」
呆れと倦怠を滲ませた声。
その言葉に、兵士たちは一瞬耳を疑った。
誰もが絶望的な一撃だと思った斧を、彼にとってはただの“面倒事”でしかなかったのだ。
「勇者様っ!」
リオネルが叫ぶ。
声には、信頼と期待と、そして恐怖が入り混じっていた。
グラドンの双眸が血走り、口元に唾が飛ぶ。
「小僧ォォォッ! 我が剛腕の前にひれ伏せぇッ!!」
咆哮が炸裂し、広間が震える。
その声は耳を裂くほど大きく、土煙を振るわせ、兵士たちは思わず耳を押さえた。
だが悠は眉をひそめ、耳を掻きながら呟いた。
「……声でかすぎ、耳痛ぇんだよ」
そして、片腕にほんの少しだけ力を込める。
――ゴッ。
鈍い音と共に、大斧が押し返される。
グラドンの巨体が数歩よろめき、石床を砕きながら後退する。
「な、何だと……!?」
グラドンの声が震える。
信じられないという表情を浮かべ、巨大な肩が揺れている。
悠は面倒そうに肩を回し、ため息をひとつ。
「だから言ったろ。力比べとか時間の無駄なんだって」
広間に一瞬、静寂が訪れた。
兵士たちは言葉を失い、リオネルは剣を握り直しながらただ勇者の背を見つめていた。
剛腕将軍グラドン――。
その圧倒的な力を、悠はあまりにも容易く退けてしまった。
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