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第4部:政権奪取 - 総理就任
第155話 若手議員からの圧倒的支持
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与党入りを発表してから数日。
坂本健人の周囲は、まるで悪天候の中心に立ったようなざわめきに満ちていた。
議員会館の廊下を歩けば、背中でひそひそ声が聞こえる。
「ほんとに与党入りしたのか……」
「一年生議員なのに、ずいぶん思い切ったな」
「いや、あれは党の人気取りだろ。利用されて終わりだ」
冷たい視線、疑う目、値踏みするような表情。
どれもこれも健人には見慣れたものだが、今は少しだけ色合いが違う。
“恐れ”と“興味”が入り混じっていた。
そしてその裏で、健人に近づこうとしている者たちもいた。
それが、若手議員だった。
その日の午後。
資料を広げて真田と打ち合わせをしていると、突然ドアがコンコンとノックされた。
「坂本議員、今お時間……いいでしょうか」
ドアを開けると、見覚えのある顔が三つ。
与党の二期生・三期生の議員たちだ。健人とほぼ同世代。
「どうしたんですか?」
健人が立ち上がると、彼らは妙に緊張した顔で頭を下げた。
「少し……お話を聞かせていただきたくて」
声の硬さに、どこか覚悟めいた色があった。
健人は真田と視線を交わし、頷いて応接スペースへ招き入れた。
◆
コーヒーを配る真田の横で、議員の一人・浅野が口火を切った。
「……生配信、全部見ました」
健人は一瞬だけ目を瞬かせる。
その配信は四十八時間続き、累計視聴者は七十万人を超えた。
しかし同業者から感想を言われるのは、はじめてだった。
「あなたの話……正直、胸に刺さりました」
浅野は拳を膝の上でぎゅっと握る。
「僕ら若手は、派閥に入らなきゃ質問もできない。
意見を言えば先輩に潰される。
だから何も変えられないまま、毎日が過ぎていくんです」
別の議員が悔しそうに続く。
「本当は、変えたいんです。でも……動けなかった」
「派閥の長に逆らったら、次の選挙は落とされますし……
地元にも“敵を作るな”と怒られて……」
健人は黙ってうなずいた。
その苦しみは、無所属の時から嫌というほど味わってきたものだ。
「俺も……最初は何もできなかった」
健人は静かに言う。
「議場であくびされたり、質問を無視されたり、名刺を捨てられたり……
でも、誰かがやらなきゃ変わらないと思って、ただ必死に叫び続けた」
その言葉に、三人の表情が揺れた。
浅野は椅子から少し前に身を乗り出す。
「坂本議員、僕たちは……あなたと一緒にやりたいんです。
あの配信を見て、初めて“政治家になった意味”を思い出しました」
「“国民の声を拾う政治”を、本当にやっている人を初めて見ました」
「あなたなら……変えられるかもしれないと思ったんです」
その告白は、熱に満ちていた。
だが同時に、恐れや葛藤もにじんでいた。
「言ってしまえば……僕らはずっと、この党に失望してきたんです」
「派閥のために政治やってるのか。国民の方が後なのかって……」
「でも、あなたを見て、久しぶりに希望を感じたんです」
健人は胸が熱くなった。
自分の言葉が、確かに誰かの心を動かしていた。
◆
話し合いは一時間を超え、途中から若手議員が次々に部屋へ入ってきた。
いつの間にか、会館の狭い部屋は人でいっぱいになった。
気づけば十人以上。
「うわ……ちょっとした勉強会ですね」
田島が苦笑しながらコーヒーを追加で配る。
廊下を通った中堅議員が怪訝そうに中を覗く。
「なんだこれは? 若手の派閥でも作る気か?」
その一言が、皮肉にも若手の本音を引き出した。
「派閥じゃありません」
浅野がまっすぐ答える。
「ただ、坂本議員を中心に……改革を進めたいんです」
「ここで言わなかったら、一生後悔すると思いました」
健人は、胸の奥から熱いものがこみ上げてくるのを感じた。
「……ありがとう」
そして、ゆっくりと言葉を置いた。
「僕一人じゃ、国会は動かせない。
でも、みんなと一緒にやれるなら……きっと壁は壊せる」
その言葉に、若手たちは一斉にうなずいた。
空気が震えるような一体感だった。
◆
夕方になり、若手議員たちは決意を胸に部屋を後にした。
去っていく背中を見送った後、健人は深く息をついた。
「……すごいな。こんなに集まるとは思わなかった」
田島が笑った。
「健人、お前……もう完全に中心だぞ」
真田は腕を組んで、静かに言った。
「これが……本当の“流れ”というものです。
あなたが動いたから、若手がついてきた。
改革は、いよいよ“内部”から動き始めます」
健人は窓の外に視線を向けた。
夕暮れの議事堂が、ほんのり赤く染まっている。
――ここから、本当に変わるのかもしれない。
”仲間は求めるものじゃない。
同じ痛みを知る者たちが、
気づけば隣に立っていた。
その瞬間こそ改革の始まりだ“
坂本健人の周囲は、まるで悪天候の中心に立ったようなざわめきに満ちていた。
議員会館の廊下を歩けば、背中でひそひそ声が聞こえる。
「ほんとに与党入りしたのか……」
「一年生議員なのに、ずいぶん思い切ったな」
「いや、あれは党の人気取りだろ。利用されて終わりだ」
冷たい視線、疑う目、値踏みするような表情。
どれもこれも健人には見慣れたものだが、今は少しだけ色合いが違う。
“恐れ”と“興味”が入り混じっていた。
そしてその裏で、健人に近づこうとしている者たちもいた。
それが、若手議員だった。
その日の午後。
資料を広げて真田と打ち合わせをしていると、突然ドアがコンコンとノックされた。
「坂本議員、今お時間……いいでしょうか」
ドアを開けると、見覚えのある顔が三つ。
与党の二期生・三期生の議員たちだ。健人とほぼ同世代。
「どうしたんですか?」
健人が立ち上がると、彼らは妙に緊張した顔で頭を下げた。
「少し……お話を聞かせていただきたくて」
声の硬さに、どこか覚悟めいた色があった。
健人は真田と視線を交わし、頷いて応接スペースへ招き入れた。
◆
コーヒーを配る真田の横で、議員の一人・浅野が口火を切った。
「……生配信、全部見ました」
健人は一瞬だけ目を瞬かせる。
その配信は四十八時間続き、累計視聴者は七十万人を超えた。
しかし同業者から感想を言われるのは、はじめてだった。
「あなたの話……正直、胸に刺さりました」
浅野は拳を膝の上でぎゅっと握る。
「僕ら若手は、派閥に入らなきゃ質問もできない。
意見を言えば先輩に潰される。
だから何も変えられないまま、毎日が過ぎていくんです」
別の議員が悔しそうに続く。
「本当は、変えたいんです。でも……動けなかった」
「派閥の長に逆らったら、次の選挙は落とされますし……
地元にも“敵を作るな”と怒られて……」
健人は黙ってうなずいた。
その苦しみは、無所属の時から嫌というほど味わってきたものだ。
「俺も……最初は何もできなかった」
健人は静かに言う。
「議場であくびされたり、質問を無視されたり、名刺を捨てられたり……
でも、誰かがやらなきゃ変わらないと思って、ただ必死に叫び続けた」
その言葉に、三人の表情が揺れた。
浅野は椅子から少し前に身を乗り出す。
「坂本議員、僕たちは……あなたと一緒にやりたいんです。
あの配信を見て、初めて“政治家になった意味”を思い出しました」
「“国民の声を拾う政治”を、本当にやっている人を初めて見ました」
「あなたなら……変えられるかもしれないと思ったんです」
その告白は、熱に満ちていた。
だが同時に、恐れや葛藤もにじんでいた。
「言ってしまえば……僕らはずっと、この党に失望してきたんです」
「派閥のために政治やってるのか。国民の方が後なのかって……」
「でも、あなたを見て、久しぶりに希望を感じたんです」
健人は胸が熱くなった。
自分の言葉が、確かに誰かの心を動かしていた。
◆
話し合いは一時間を超え、途中から若手議員が次々に部屋へ入ってきた。
いつの間にか、会館の狭い部屋は人でいっぱいになった。
気づけば十人以上。
「うわ……ちょっとした勉強会ですね」
田島が苦笑しながらコーヒーを追加で配る。
廊下を通った中堅議員が怪訝そうに中を覗く。
「なんだこれは? 若手の派閥でも作る気か?」
その一言が、皮肉にも若手の本音を引き出した。
「派閥じゃありません」
浅野がまっすぐ答える。
「ただ、坂本議員を中心に……改革を進めたいんです」
「ここで言わなかったら、一生後悔すると思いました」
健人は、胸の奥から熱いものがこみ上げてくるのを感じた。
「……ありがとう」
そして、ゆっくりと言葉を置いた。
「僕一人じゃ、国会は動かせない。
でも、みんなと一緒にやれるなら……きっと壁は壊せる」
その言葉に、若手たちは一斉にうなずいた。
空気が震えるような一体感だった。
◆
夕方になり、若手議員たちは決意を胸に部屋を後にした。
去っていく背中を見送った後、健人は深く息をついた。
「……すごいな。こんなに集まるとは思わなかった」
田島が笑った。
「健人、お前……もう完全に中心だぞ」
真田は腕を組んで、静かに言った。
「これが……本当の“流れ”というものです。
あなたが動いたから、若手がついてきた。
改革は、いよいよ“内部”から動き始めます」
健人は窓の外に視線を向けた。
夕暮れの議事堂が、ほんのり赤く染まっている。
――ここから、本当に変わるのかもしれない。
”仲間は求めるものじゃない。
同じ痛みを知る者たちが、
気づけば隣に立っていた。
その瞬間こそ改革の始まりだ“
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