俺と犬

KAORUwithAI

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第63話 夏祭り

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神社の境内は、ちょうちんの灯りで賑やかだった。
屋台の焼きそば、金魚すくい、浴衣姿の人々。
俺、彼女、そしてシバ――3人で、夏祭り。

「シバにも焼きとうもろこしの匂いは拷問だな」
なんて笑いながら歩いていた、ほんの一瞬。

……気づいたとき、
シバの姿がなかった。

人混みの中に、シバは見えない。

「シバっ!!」

「どこ!? シバちゃん!!」

彼女と二手に分かれて、神社の裏道、屋台の隙間、境内の隅まで必死に探し回った。
そして――

「ワンッ!!」

後ろから聞こえた、聞き慣れた声。
振り返ると、浴衣姿の子どもたちの間をかき分けて、
シバが一直線に走ってくる。

しゃがみこんだ俺の腕に飛び込むようにして止まったシバを、
思わずぎゅっと抱きしめて撫でながら、
「ごめん、ごめんな……」と何度も言った。

彼女も隣でしゃがみこんで、安堵の涙をこらえていた。
シバはぺろっと一度だけ、俺の手を舐めたあと、
何事もなかったようにしっぽを振っていた。

……お前、強すぎるだろ。
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