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第71話 エアコン戦争
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外は真夏の陽射し。
蝉の声が耳の奥にまで刺さるような昼下がり。
部屋の中では、エアコンがかすかに動いている。
設定温度は28度。風量は微風。
それでも「電気代、ちょっとでも節約しよう」なんていう、誰かの理性が働いた結果だ。
けれど——。
「……無理」
彼女がリモコンを手に取って、設定を“強風”に変える。
間髪入れずに
「いや、さすがに強はやりすぎ」
誰かが取り返すように“弱風”へ戻す。
そして。
何も言わず、そのやりとりを見ているシバ。
シバはゆっくりと立ち上がると、部屋の角にある一番風が来るポイントに陣取った。
そして、床にぺたりと伏せる。まるで「ここがベストポジション」と言わんばかりに。
彼女が「ちょっとあたしが暑いからって、風独占しないでよ~」と不満を口にすれば、
「いや、賢く選んでるだけだろ」と返す声。
そして再びリモコンが動く。
強風 → 弱風 → 自動 → 再び強風。
そのたびにシバの耳がピクリと動く。
しばらくして、ふいにリモコンの反応がなくなった。
見れば、ソファの隅にリモコンが転がっている。
そしてその真上、ちょこんとシバが座っていた。
……リモコン、完全にガードされている。
結局そのまま、エアコンの設定は「自動」で固定された。
風向きも、温度も、もう誰の手にも届かない。
しばらくして。
彼女がぽつりとつぶやく。
「……勝ったの、もしかしてシバちゃんじゃない?」
返す声は、どこか敗北を噛みしめたような調子だった。
「完全に……シバの掌の上……いや、足の下だな」
涼しげに目を細めて眠るシバだけが、
静かな勝利の風を独り占めしていた。
蝉の声が耳の奥にまで刺さるような昼下がり。
部屋の中では、エアコンがかすかに動いている。
設定温度は28度。風量は微風。
それでも「電気代、ちょっとでも節約しよう」なんていう、誰かの理性が働いた結果だ。
けれど——。
「……無理」
彼女がリモコンを手に取って、設定を“強風”に変える。
間髪入れずに
「いや、さすがに強はやりすぎ」
誰かが取り返すように“弱風”へ戻す。
そして。
何も言わず、そのやりとりを見ているシバ。
シバはゆっくりと立ち上がると、部屋の角にある一番風が来るポイントに陣取った。
そして、床にぺたりと伏せる。まるで「ここがベストポジション」と言わんばかりに。
彼女が「ちょっとあたしが暑いからって、風独占しないでよ~」と不満を口にすれば、
「いや、賢く選んでるだけだろ」と返す声。
そして再びリモコンが動く。
強風 → 弱風 → 自動 → 再び強風。
そのたびにシバの耳がピクリと動く。
しばらくして、ふいにリモコンの反応がなくなった。
見れば、ソファの隅にリモコンが転がっている。
そしてその真上、ちょこんとシバが座っていた。
……リモコン、完全にガードされている。
結局そのまま、エアコンの設定は「自動」で固定された。
風向きも、温度も、もう誰の手にも届かない。
しばらくして。
彼女がぽつりとつぶやく。
「……勝ったの、もしかしてシバちゃんじゃない?」
返す声は、どこか敗北を噛みしめたような調子だった。
「完全に……シバの掌の上……いや、足の下だな」
涼しげに目を細めて眠るシバだけが、
静かな勝利の風を独り占めしていた。
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