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第73話 夏の終わり、シバの背中
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夕方の空は、少しだけ赤くて、どこか寂しい色をしていた。
蝉の声はいつの間にか消え、代わりに「カナカナカナ……」と、ひぐらしの声が静かに響いている。
散歩道の草むらを歩くと、風が頬を撫でた。
もう夏の風じゃなかった。乾いていて、少し冷たい。
それでも、シバは変わらず、鼻をヒクヒクさせながら道端をくんくんしている。
ついこの前まで、照り返しでアスファルトが熱くて、
昼間の散歩なんて無理だった。
今は、夕方になると心地よい風が吹く。
シバの尻尾がゆったり揺れていた。
時折、風に乗って金木犀の匂いがした。
立ち止まったシバが、空を見上げた。
見れば、空にはひつじ雲。
「もう、秋かぁ」
ぽつりとこぼしたその声に、シバが振り返る。
ふと、思い出す——今年の夏、いっぱい遊んだな。
川に行って、海にも行って、旅館にも泊まって……
シバも、ちゃんと覚えているだろうか。
一歩先を歩くシバの背中が、なんだか少しだけ大人びて見えた。
風が吹いて、シバの毛がふわりと揺れる。
まるで、夏に別れを告げるように。
蝉の声はいつの間にか消え、代わりに「カナカナカナ……」と、ひぐらしの声が静かに響いている。
散歩道の草むらを歩くと、風が頬を撫でた。
もう夏の風じゃなかった。乾いていて、少し冷たい。
それでも、シバは変わらず、鼻をヒクヒクさせながら道端をくんくんしている。
ついこの前まで、照り返しでアスファルトが熱くて、
昼間の散歩なんて無理だった。
今は、夕方になると心地よい風が吹く。
シバの尻尾がゆったり揺れていた。
時折、風に乗って金木犀の匂いがした。
立ち止まったシバが、空を見上げた。
見れば、空にはひつじ雲。
「もう、秋かぁ」
ぽつりとこぼしたその声に、シバが振り返る。
ふと、思い出す——今年の夏、いっぱい遊んだな。
川に行って、海にも行って、旅館にも泊まって……
シバも、ちゃんと覚えているだろうか。
一歩先を歩くシバの背中が、なんだか少しだけ大人びて見えた。
風が吹いて、シバの毛がふわりと揺れる。
まるで、夏に別れを告げるように。
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