俺と犬

KAORUwithAI

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第75話 月より団子

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玄関のチャイムが鳴ってドアを開けると、
彼女が手にススキの束とパックに入った団子を抱えて立っていた。

「今日は十五夜だから」
そう言ってにっこり笑う彼女の横で、シバがすでに団子にロックオンしている。

ベランダに小さな台を出し、ススキを飾って団子を並べる。
空は雲一つなく、澄んだ夜空にまん丸の月がぽっかり浮かんでいた。

シバはススキを興味津々で鼻先でつついてみたり、
団子の匂いを嗅いでペロリと舌を出したり。
「お前のはちゃんとあるって」
彼女がそう言って取り出したのは犬用の芋団子。

それを見た瞬間、シバのしっぽがぶんぶん揺れた。

月を見上げながら団子を頬張る。
風が涼しくて気持ちよく、会話はなくても心が満たされる。
彼女が小声で「いい夜だね」とつぶやいた。

その言葉に返す代わりに、シバの頭をなでる。
穏やかな時間が、月明かりの中でゆっくりと流れていた。
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