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忍び寄る影編
第47話「夜空を駆ける光」
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深夜。
カラン――鈴の音と共に、ひとりの町の女性客が入ってきた。
肩掛け袋を抱えたまま小走りで入り、辺りを一度見回してから、パンや牛乳、日用品を籠に入れていく。だがその仕草はどこか落ち着かず、ちらちらと窓の外に視線を送っていた。
「いらっしゃいませ」
ニナが声を掛けると、女性は軽く頷き、まるで堰を切ったように口を開いた。
「ねぇ、聞いた? 昨夜、門の外で……光の玉が飛んでたんですって」
ニナは驚いて首を傾げる。
「光の玉……魔法、ですかね?」
女性はすぐに首を振った。
「魔法なら詠唱が必要だし、媒介の杖も要るでしょう? あんな速さじゃ飛ばないわ。夜空を切り裂くように、一直線に走ったって」
言葉の端がかすかに震えていた。
「門番たちも見てたそうよ。人の放ったものじゃない。……光なのに、見ているだけで寒気がしたって」
ニナはレジを打ちながら、思わず息を呑む。
「……じゃあ、あれはいったい何なんでしょう」
女性は肩をすくめたが、その仕草には笑いがなく、怯えを隠せない色がにじんでいた。
「誰も近づけなかった。気づいたら消えてたそうよ。……嫌な世の中になったものね」
会計を済ませ、袋を受け取ると、女性は小走りで扉を開けて去っていった。
カラン――鈴の音が遠ざかり、再び静寂が落ちる。
レンは表情を崩さぬまま、レジ台に残ったレシートを指先で押さえた。
だが胸の奥では、「影」と呼ばれる存在だけでなく、今度は正体不明の“光”までが現れたことに、冷たいざわめきが広がっていた。
ニナが小声で囁く。
「……光って、普通なら希望の象徴のはずなのに。どうしてこんなに怖いんでしょうね」
レンは答えず、ただ息を整え、いつもの調子で声を口にした。
「ありがとうございました。またお越し下さいませ」
その声はいつも通り穏やかだったが、店内の空気は確かに冷えたままだった。
カラン――鈴の音と共に、ひとりの町の女性客が入ってきた。
肩掛け袋を抱えたまま小走りで入り、辺りを一度見回してから、パンや牛乳、日用品を籠に入れていく。だがその仕草はどこか落ち着かず、ちらちらと窓の外に視線を送っていた。
「いらっしゃいませ」
ニナが声を掛けると、女性は軽く頷き、まるで堰を切ったように口を開いた。
「ねぇ、聞いた? 昨夜、門の外で……光の玉が飛んでたんですって」
ニナは驚いて首を傾げる。
「光の玉……魔法、ですかね?」
女性はすぐに首を振った。
「魔法なら詠唱が必要だし、媒介の杖も要るでしょう? あんな速さじゃ飛ばないわ。夜空を切り裂くように、一直線に走ったって」
言葉の端がかすかに震えていた。
「門番たちも見てたそうよ。人の放ったものじゃない。……光なのに、見ているだけで寒気がしたって」
ニナはレジを打ちながら、思わず息を呑む。
「……じゃあ、あれはいったい何なんでしょう」
女性は肩をすくめたが、その仕草には笑いがなく、怯えを隠せない色がにじんでいた。
「誰も近づけなかった。気づいたら消えてたそうよ。……嫌な世の中になったものね」
会計を済ませ、袋を受け取ると、女性は小走りで扉を開けて去っていった。
カラン――鈴の音が遠ざかり、再び静寂が落ちる。
レンは表情を崩さぬまま、レジ台に残ったレシートを指先で押さえた。
だが胸の奥では、「影」と呼ばれる存在だけでなく、今度は正体不明の“光”までが現れたことに、冷たいざわめきが広がっていた。
ニナが小声で囁く。
「……光って、普通なら希望の象徴のはずなのに。どうしてこんなに怖いんでしょうね」
レンは答えず、ただ息を整え、いつもの調子で声を口にした。
「ありがとうございました。またお越し下さいませ」
その声はいつも通り穏やかだったが、店内の空気は確かに冷えたままだった。
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