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忍び寄る影編
第50話「人ではないもの」
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深夜。
カラン――鈴の音が響き、いつもの常連騎士が入ってきた。
だがその姿は以前のような力強さを欠いていた。額には包帯が巻かれ、血がにじんで乾いている。鎧の隙間にも擦り傷の痕が見え、彼の歩みは重かった。
「……いらっしゃいませ」
レンが声を掛けると、騎士は小さく頷くだけで返事をせず、黙ったまま店内を回った。
鮭おにぎり、お茶、そしていつものホットスナックのチキン。籠に入れるその手は、いつもより遅く、どこか迷いがあるようだった。
レジに商品を置くと、騎士はようやく口を開いた。
「……一人、捕まえた」
レンとニナの手が同時に止まる。
騎士の声は低く、疲労と恐怖でかすれていた。
「だが……中身は、もう人じゃなかった」
言葉の意味を理解する前に、空気が重く沈んだ。
ニナの顔色がさっと青ざめ、唇を震わせる。
「……人じゃなかった、って……どういうことですか?」
騎士は答えず、視線を逸らしたまま会計を済ませる。
代金を置いた手が、微かに震えていた。
受け取った袋を無言で握りしめ、扉へと向かう。
カラン――鈴がまた短く鳴る。
その背中はこれまで以上に大きく沈み、闇の中へと消えていった。
残された店内で、ニナは両手を胸の前で握りしめ、硬い声で呟く。
「……もし本当に、人じゃない何かに変わってしまったのなら……」
レンは答えられなかった。
ただレジの上に残ったレシートを見つめ、無理に口を動かす。
「ありがとうございました。またお越し下さいませ」
それは客を見送るための言葉であるはずなのに、この夜ばかりは自分に言い聞かせる呪文のように響いた。
カラン――鈴の音が響き、いつもの常連騎士が入ってきた。
だがその姿は以前のような力強さを欠いていた。額には包帯が巻かれ、血がにじんで乾いている。鎧の隙間にも擦り傷の痕が見え、彼の歩みは重かった。
「……いらっしゃいませ」
レンが声を掛けると、騎士は小さく頷くだけで返事をせず、黙ったまま店内を回った。
鮭おにぎり、お茶、そしていつものホットスナックのチキン。籠に入れるその手は、いつもより遅く、どこか迷いがあるようだった。
レジに商品を置くと、騎士はようやく口を開いた。
「……一人、捕まえた」
レンとニナの手が同時に止まる。
騎士の声は低く、疲労と恐怖でかすれていた。
「だが……中身は、もう人じゃなかった」
言葉の意味を理解する前に、空気が重く沈んだ。
ニナの顔色がさっと青ざめ、唇を震わせる。
「……人じゃなかった、って……どういうことですか?」
騎士は答えず、視線を逸らしたまま会計を済ませる。
代金を置いた手が、微かに震えていた。
受け取った袋を無言で握りしめ、扉へと向かう。
カラン――鈴がまた短く鳴る。
その背中はこれまで以上に大きく沈み、闇の中へと消えていった。
残された店内で、ニナは両手を胸の前で握りしめ、硬い声で呟く。
「……もし本当に、人じゃない何かに変わってしまったのなら……」
レンは答えられなかった。
ただレジの上に残ったレシートを見つめ、無理に口を動かす。
「ありがとうございました。またお越し下さいませ」
それは客を見送るための言葉であるはずなのに、この夜ばかりは自分に言い聞かせる呪文のように響いた。
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