『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』

KAORUwithAI

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日常編

第16話「師、静かなる見守り」

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カラン。

 深夜0時を少し回った頃、ミッドナイトマートの扉が静かに開いた。

 「……!」

 レジに立っていたニナの肩がぴくりと動いた。
 入り口に立っていたのは、赤いローブをまとい、杖を携えた長身の魔法使い——彼女の師匠だった。

 「し、師……! い、いらっしゃいませっ!」

 思わず声が裏返るが、師は何も言わず小さくうなずくだけで、レジ前を通り過ぎる。
 向かったのは、いつもの書籍コーナー。だが手にしたのは、書ではなくティーバッグの棚だった。

 そんな様子を見ながら、レンが静かに声をかける。

 「お久しぶりです」

 「うむ。……貴殿に、少し問いたいことがある」

 レジカウンター越しに、真っ直ぐに目を見つめてくるその視線は、相変わらず鋭い。

 「……ニナは、この場所で“よくやれている”か?」

 レンは一瞬だけ目線をニナに向けたあと、軽く笑った。

 「最近は、品出しもレジも任せられるようになってます。ミスも減ったし、常連さんともよく話してますよ」

 「……そうか。ならば、何も言うまい」

 そう呟いた師は、カゴに紅茶と菓子を一つ入れ、ゆっくりとレジに戻ってくる。

 「お会計、340ストーです。……ナイポもお付けしておきますね」

 「ふむ……では、また来る」

 それだけを言い残して、師は商品を受け取り、静かに店を後にした。

 「ありがとうございました。またお越し下さいませ」

 ニナの声に、師は振り返ることなく片手だけを軽く挙げた。

 霧の中へと消えていく背中を見送りながら、ニナは少しだけ肩をすくめた。

 「……ちゃんと見ててくれるんですね、あの人なりに」

 「うん。口数は少ないけど、気にしてるよ。あれでも、すごく」

 二人の間に流れる、静かな夜の空気。
 ミッドナイトマートの深夜は、今日も少しだけ温かかった。
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