『迷探偵 探田マヨイの事件ファイル』

KAORUwithAI

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第36話そして、今日も探偵は

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「ふむ……ついに事件がすべて解決してしまったのう……」

事務所の窓辺で、探田マヨイが物憂げな顔で紅茶をすすっていた。

隣の椅子ではミナが書類を整理しながら、目を細める。

「事件じゃなくて、犬の捜索でしたけどね。しかも、ほとんどポチが自分で全部導いてくれたっていう」

「む、助手殿よ。そのように言うでない。わしは心で解いたのじゃ」

「じゃあ事件じゃなくて感動ドキュメンタリーでいいですね、それ」

 
ポチのいない事務所は、少しだけ静かになった。

寂しさと、達成感と、ちょっぴりの喪失感が、空気に混ざっていた。

 
「……でもさ」

ミナがぽつりと言う。

「誰かの大切な存在が、また戻ってくる。
そのお手伝いができるのって……悪くないですよね」

 
「うむ!」

マヨイは紅茶のカップを置いて立ち上がる。

「探偵とは、道に迷った誰かの“帰る場所”を照らす光すなわち、光源である!」

「例えが理科の教科書っぽいし、名言風だけど……まあ、ちょっとだけカッコいいかもですね」

 
そのとき、事務所のドアが再びノックされた。

ミナがちらりとマヨイを見る。

「……さて、次の迷宮入りはどんな依頼ですかね?」

「いかなる依頼も、迷探偵が受けて立つ!」

マヨイは胸を張って、ドアに向かって歩き出す。

「“ポストが壊れた”とか、“プリンを誰が食べたか”とかでも?」

「……それはさすがに保留じゃ!!」

 
ふたりの笑い声が、午後の探偵事務所に響いた。

そしてまた、今日も新しい物語が始まる。

 

迷探偵 探田マヨイ。
その推理は、今日も迷って、まわって、でもちゃんと真実へたどり着く。
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