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第44話 研究という名の始まり
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教室を出たルークは、そのまま学園の奥へと向かった。
目的地は職員室。
廊下を歩く足取りは落ち着いているが、頭の中ではこれから始まることを整理していた。
(……研究かぁ)
無詠唱魔法研究。
賢者として生きていた頃なら、研究は
日常だった。
だが今は、学園という組織の中で、学生として行う研究だ。
職員室の扉をノックし、中を覗く。
「……すみません」
「アイン先生、いらっしゃいますか?」
中にいた教員が振り返り、奥を指差した。
「今、呼んでくる」
しばらくして、アインが姿を現す。
「どうした、ルーク」
「何かあったか?」
ルークは一歩前に出て、要件を伝えた。
「……セシリアが」
「……無詠唱魔法研究に」
「……参加したいって」
アインは少しだけ眉を上げた。
「ほう……」
「だが、彼女は生徒会長だろう?」
「生徒会の仕事もある。
両立は大変じゃないか?」
もっともな指摘だった。
だが、ルークは迷いなく答える。
「……セシリアは」
「……両立するって、言ってました」
その言葉に、アインはふっと笑う。
「……だろうな」
「正直に言えば、
セシリアの参加は俺も検討していた」
「無詠唱が使える人材は、
この学園でも貴重だ」
ルークは、少し安心したように頷いた。
「……そうでしたか」
「なら、問題はない」
「生徒会長としての立場も、
研究にとってはむしろプラスになるだろう」
アインはそう言い切った。
*
「それで……」
ルークは、もう一つ気になっていたことを口にする。
「……研究のメンバーは」
「……誰ですか?」
アインは、指を折りながら答えた。
「まず、ルーク」
「それから、セシリア」
「ミア」
ここまでは、想定通りだった。
「それと――」
「一年主席、
ネマ・スレイン」
「三年生の、サリア」
その名前を聞いて、
ルークは少しだけ目を見開いた。
「……全員」
「……女性ですか?」
「そうだが?」
アインは首を傾げる。
「何か不都合でも?」
「……いえ」
ルークは、慌てて首を振った。
「……そういう意味じゃないです」
少し考えてから、正直に続ける。
「……男子の、優秀な人は」
「……いないんですか?」
アインは、少し困ったように笑った。
「いないことはない」
「だがな……」
「今回の研究内容を伝えて
何人かには声をかけた」
「……だが、全員断られた」
「……どうして?」
ルークが不思議そうに尋ねる。
「無詠唱魔法だ」
「今の学園というか......世界では、
『再現性がない』『理論が不明確』と
敬遠されている」
「賢者様の伝説扱い、というやつだな」
ルークは、胸の奥が少し重くなるのを感じた。
「……そう......ですか」
声が、ほんの少しだけ沈む。
アインは、それに気づき、言葉を続けた。
「だがな」
「だからこそ、だ」
「今回の研究は、意味がある」
「信じていない者に見せつけるには、
結果を出すしかない」
その言葉に、
ルークは静かに頷いた。
「……はい」
*
「とにかく」
アインは話を締めくくる。
「研究の開始は、明日からだ」
「場所と時間は、後で連絡する」
「ルーク」
「頼むぞ」
その言葉には、
期待と信頼が込められていた。
「……わかりました」
ルークは深く頭を下げ、
職員室を後にする。
*
廊下を歩きながら、
ルークは小さく息を吐いた。
(……はじまる)
研究。
失われた魔法理論を、
再び形にする試み。
仲間は、全員女性。
偶然かもしれない。
だが――
才能と覚悟を持った者たちだ。
教室へ戻ると、
昼下がりの空気が満ちていた。
何気ない学園の日常の中で、
確実に――
大きな歯車が、回り始めている。
それを、
まだ多くの者は知らない。
だが、
明日から始まる研究は、
学園の常識を、
静かに、しかし確実に揺さぶることになる。
目的地は職員室。
廊下を歩く足取りは落ち着いているが、頭の中ではこれから始まることを整理していた。
(……研究かぁ)
無詠唱魔法研究。
賢者として生きていた頃なら、研究は
日常だった。
だが今は、学園という組織の中で、学生として行う研究だ。
職員室の扉をノックし、中を覗く。
「……すみません」
「アイン先生、いらっしゃいますか?」
中にいた教員が振り返り、奥を指差した。
「今、呼んでくる」
しばらくして、アインが姿を現す。
「どうした、ルーク」
「何かあったか?」
ルークは一歩前に出て、要件を伝えた。
「……セシリアが」
「……無詠唱魔法研究に」
「……参加したいって」
アインは少しだけ眉を上げた。
「ほう……」
「だが、彼女は生徒会長だろう?」
「生徒会の仕事もある。
両立は大変じゃないか?」
もっともな指摘だった。
だが、ルークは迷いなく答える。
「……セシリアは」
「……両立するって、言ってました」
その言葉に、アインはふっと笑う。
「……だろうな」
「正直に言えば、
セシリアの参加は俺も検討していた」
「無詠唱が使える人材は、
この学園でも貴重だ」
ルークは、少し安心したように頷いた。
「……そうでしたか」
「なら、問題はない」
「生徒会長としての立場も、
研究にとってはむしろプラスになるだろう」
アインはそう言い切った。
*
「それで……」
ルークは、もう一つ気になっていたことを口にする。
「……研究のメンバーは」
「……誰ですか?」
アインは、指を折りながら答えた。
「まず、ルーク」
「それから、セシリア」
「ミア」
ここまでは、想定通りだった。
「それと――」
「一年主席、
ネマ・スレイン」
「三年生の、サリア」
その名前を聞いて、
ルークは少しだけ目を見開いた。
「……全員」
「……女性ですか?」
「そうだが?」
アインは首を傾げる。
「何か不都合でも?」
「……いえ」
ルークは、慌てて首を振った。
「……そういう意味じゃないです」
少し考えてから、正直に続ける。
「……男子の、優秀な人は」
「……いないんですか?」
アインは、少し困ったように笑った。
「いないことはない」
「だがな……」
「今回の研究内容を伝えて
何人かには声をかけた」
「……だが、全員断られた」
「……どうして?」
ルークが不思議そうに尋ねる。
「無詠唱魔法だ」
「今の学園というか......世界では、
『再現性がない』『理論が不明確』と
敬遠されている」
「賢者様の伝説扱い、というやつだな」
ルークは、胸の奥が少し重くなるのを感じた。
「……そう......ですか」
声が、ほんの少しだけ沈む。
アインは、それに気づき、言葉を続けた。
「だがな」
「だからこそ、だ」
「今回の研究は、意味がある」
「信じていない者に見せつけるには、
結果を出すしかない」
その言葉に、
ルークは静かに頷いた。
「……はい」
*
「とにかく」
アインは話を締めくくる。
「研究の開始は、明日からだ」
「場所と時間は、後で連絡する」
「ルーク」
「頼むぞ」
その言葉には、
期待と信頼が込められていた。
「……わかりました」
ルークは深く頭を下げ、
職員室を後にする。
*
廊下を歩きながら、
ルークは小さく息を吐いた。
(……はじまる)
研究。
失われた魔法理論を、
再び形にする試み。
仲間は、全員女性。
偶然かもしれない。
だが――
才能と覚悟を持った者たちだ。
教室へ戻ると、
昼下がりの空気が満ちていた。
何気ない学園の日常の中で、
確実に――
大きな歯車が、回り始めている。
それを、
まだ多くの者は知らない。
だが、
明日から始まる研究は、
学園の常識を、
静かに、しかし確実に揺さぶることになる。
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