いつから異世界転生ものだと思っていた?

上津らあ

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003 真実

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何かを突き抜けた。その後、またもや初めと同じようにパニックに陥っていた。

(白い)

視界に映る色が黒から白へとガラッと変わっていた。明るくなったことに少し安心感を覚える。が、相変わらず白一色でそれ以外なにも見当たらない。そして、さっきまで動けていたはずなのに、もう動くことができない。二度目なので冷静になるのは早かった。ゆっくりと冷静に周りを観察する。そうすると、あることに気がついた。さっきまでは慌てていたことと、暗闇から突然明るくなったことで真っ白だと思ったが、どうやらそうではない。目が慣れてきたようだ。

(監禁から解放された……?)

目線の上に少し黄色いものが見える。そしてそれの下は棒状になっていた。じっくり観察していると、ポトリと何かが上から落ちてきた。それはどうやら中身の無い豆のようだ。

(なんでこんなのが?)

それから数時間が経った。なぜか豆が落ちてきた時から変わったことは1つ。身長が伸びた。きっと数ミリなんてもんじゃ無い。頭いくつ分伸びたことだろう。目線の高さが何倍にもなっている。

(成長期は終わったはずなんだけど……ラッキー?)

そして気付いたことも増えた。どうやら自身の周りを白い棒状のもので囲まれているらしい。

(体が動かせるようになったとして、どうやって逃げようか)

その時だった、外から声が聞こえてきた。

「お母さーん!これ、もう食べれる?」
「そうねぇ、食べちゃいましょうか」
「やったぁ!!」

嬉しそうな幼い声と、女性の声だった。そんな会話を聞いて冷静ではいられるわけはなかった。

(食人族にでも捕まっちゃったの?!えっ?!え?……は?え?……?)

地面が大きく揺れた。どこかに牢屋ごと移動させられているようだ。

(どうやって逃げよう。どうやって……)

頭をフル回転させて考えるが、なかなか良い案が浮かばない。再び牢屋が揺れ視界が回転する。  

「切っておくねー」 
「任せるわー」
(牢屋ごと切るつもりなの?!)

ガサガサと白い棒状のものが落ちていき、視界が開けてくる。



そして、全てを理解した。






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