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序説
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「しかしよく集めましたね。300万くらいあるんじゃないですか?」
白衣を着た男はもう一人の男にコーヒーを渡しながら苦笑いをする。白衣には長友と書いてある。
「だいたいそんなものだな。でもまだ数には余裕あるけどな。」
コーヒーを受け取りながら男は眼の前のモノに目を移す。
その男の眼の前には理路整然に並んであるSSD。
「これ、やってることバレたら人権侵害になるんでしょうねぇ。」
「いや、だってゲームを始めるときに規約で説明しているじゃないか。」
「あんな長ったらしい文章なんて誰も読みませんよ。」
「でも承諾してるんだから。この人達」
「まぁそうでしょうけど」
「しかし山城さん、このSSDに記録された脳のコピーをなぜわざわざ記憶部分を消去するんです?」
山城と呼ばれた男はコーヒーを置きながら
「俺達が欲しいのは記憶ではなく、こいつらの行動原理や性格とかだ。記憶部分なんてデータの
無駄だ。データ上でDNAに類似するものを作る、というかそれをベースにしてAIを作るんだ」
「作るんだ、って言っちゃっていますが実際作っちゃてるし。で、どうなんです?実のところ」
「まぁ登録時点での職業とかを参考に初期の疑似記憶を作って放り込んであるから、至って普通に
生活してるよ。」
「そういえば有名な格闘家いましたよね?やっぱ冒険者とかですか?」
「もちろん。今頃魔獣とかと戦ってるんじゃないか?」山城は笑う。
「ところでお前の方はどうなんだ?長友。なんか基本プログラムが自身のAIを作ったみたいじゃないか。
それ問題じゃないのか?」山城は急に真面目な顔になり長友を見る。
「そうなんです!面白いでしょ?この中の世界を作ってるモノが自身のAIですよ?もう神様作った
感じだと思いません?」
「面白いって、…お前。でも1つではなく2つなんだろ?」
「まさにそれなんです!それって相容れないモノの価値観を体現してると思いませんか!?」
興奮気味に長友は目を輝かせながら話す。
「山城さんの方こそなんかヤバいことがあるって聞きましたよ?」長友はニヤニヤしながら山城を見る。
「うーん、ヤバいというか、まぁ少数なんだが記憶消去がうまくできない者たちがいるんだ。気になって
そいつの過去や家系図とか調べたらすべてがすっごく長い、大昔から存在するような家柄だったんだよ。
まぁ疑似DNAのデータ量が多かったんだろうなぁ。新しい所は消せるんだけど、そしたら何故か
大昔の人格形成ができちゃうというか。よくわかんないから放置してるけど。」
「大丈夫なんですか?それ」
「問題ないだろ、今普通に生活してるよ。まぁ普通に王様だな、いや皇王様か」山城は苦笑いをする。
「やっぱ偉い人って偉い人の中からしか生まれないってことですかね、少しショックです。」
「そんなことはないだろ。、まぁこれからどういった生活を送るかは彼ら次第だ。さて、最終ロードを
始めるか。そろそろ隕石落ちちゃうしな。」
「そうですね、隕石落ちて本物は死んじゃうけどこうやってコピーはあるんだよ、って言ってやりたい。」
「そうだ、肉体はなくなっても、まぁ魂は生きてるってことだな」
二人は操作パネルに向かい作業を行う。
「おいおいおいおい、ちょっと待った。接続してるやついるじゃん!馬鹿なのか?隕石落ちるのに
ゲームなんてやってんなよ!」長友は焦りながら山城を見る。
「いや、もう時間がない。続行する。6人か。問題ないだろう。やるぞ」
「いいんですね!?やっちゃいますよ!?」長友は作業を継続する。が、
「ちょっと待った!基本AI!?いや違う!何だこのプログラムってかAI。元は個人IDについてた
不正防止プログラム!?がAI化してる!」
「それってどういうことだ!?基本プログラムのAIに関連してるのか?神の使いってやつか?」
「そんなのわかりませんよ!どうせこのままやっちゃうしかないんだから。」
「…だな。」
「完了です。もう私たちにはどうすることもできません。この船、ってか潜水艦。今後永遠に海を
彷徨うんですね。でも君たちは生きているんだ。頑張って生きろ。うん。」
「さて、とっとと帰るぞ。イタリアに家を買ったんだよ、遊びこいよ。」
「行きます行きます。」
そして日本に隕石が落ちた。
白衣を着た男はもう一人の男にコーヒーを渡しながら苦笑いをする。白衣には長友と書いてある。
「だいたいそんなものだな。でもまだ数には余裕あるけどな。」
コーヒーを受け取りながら男は眼の前のモノに目を移す。
その男の眼の前には理路整然に並んであるSSD。
「これ、やってることバレたら人権侵害になるんでしょうねぇ。」
「いや、だってゲームを始めるときに規約で説明しているじゃないか。」
「あんな長ったらしい文章なんて誰も読みませんよ。」
「でも承諾してるんだから。この人達」
「まぁそうでしょうけど」
「しかし山城さん、このSSDに記録された脳のコピーをなぜわざわざ記憶部分を消去するんです?」
山城と呼ばれた男はコーヒーを置きながら
「俺達が欲しいのは記憶ではなく、こいつらの行動原理や性格とかだ。記憶部分なんてデータの
無駄だ。データ上でDNAに類似するものを作る、というかそれをベースにしてAIを作るんだ」
「作るんだ、って言っちゃっていますが実際作っちゃてるし。で、どうなんです?実のところ」
「まぁ登録時点での職業とかを参考に初期の疑似記憶を作って放り込んであるから、至って普通に
生活してるよ。」
「そういえば有名な格闘家いましたよね?やっぱ冒険者とかですか?」
「もちろん。今頃魔獣とかと戦ってるんじゃないか?」山城は笑う。
「ところでお前の方はどうなんだ?長友。なんか基本プログラムが自身のAIを作ったみたいじゃないか。
それ問題じゃないのか?」山城は急に真面目な顔になり長友を見る。
「そうなんです!面白いでしょ?この中の世界を作ってるモノが自身のAIですよ?もう神様作った
感じだと思いません?」
「面白いって、…お前。でも1つではなく2つなんだろ?」
「まさにそれなんです!それって相容れないモノの価値観を体現してると思いませんか!?」
興奮気味に長友は目を輝かせながら話す。
「山城さんの方こそなんかヤバいことがあるって聞きましたよ?」長友はニヤニヤしながら山城を見る。
「うーん、ヤバいというか、まぁ少数なんだが記憶消去がうまくできない者たちがいるんだ。気になって
そいつの過去や家系図とか調べたらすべてがすっごく長い、大昔から存在するような家柄だったんだよ。
まぁ疑似DNAのデータ量が多かったんだろうなぁ。新しい所は消せるんだけど、そしたら何故か
大昔の人格形成ができちゃうというか。よくわかんないから放置してるけど。」
「大丈夫なんですか?それ」
「問題ないだろ、今普通に生活してるよ。まぁ普通に王様だな、いや皇王様か」山城は苦笑いをする。
「やっぱ偉い人って偉い人の中からしか生まれないってことですかね、少しショックです。」
「そんなことはないだろ。、まぁこれからどういった生活を送るかは彼ら次第だ。さて、最終ロードを
始めるか。そろそろ隕石落ちちゃうしな。」
「そうですね、隕石落ちて本物は死んじゃうけどこうやってコピーはあるんだよ、って言ってやりたい。」
「そうだ、肉体はなくなっても、まぁ魂は生きてるってことだな」
二人は操作パネルに向かい作業を行う。
「おいおいおいおい、ちょっと待った。接続してるやついるじゃん!馬鹿なのか?隕石落ちるのに
ゲームなんてやってんなよ!」長友は焦りながら山城を見る。
「いや、もう時間がない。続行する。6人か。問題ないだろう。やるぞ」
「いいんですね!?やっちゃいますよ!?」長友は作業を継続する。が、
「ちょっと待った!基本AI!?いや違う!何だこのプログラムってかAI。元は個人IDについてた
不正防止プログラム!?がAI化してる!」
「それってどういうことだ!?基本プログラムのAIに関連してるのか?神の使いってやつか?」
「そんなのわかりませんよ!どうせこのままやっちゃうしかないんだから。」
「…だな。」
「完了です。もう私たちにはどうすることもできません。この船、ってか潜水艦。今後永遠に海を
彷徨うんですね。でも君たちは生きているんだ。頑張って生きろ。うん。」
「さて、とっとと帰るぞ。イタリアに家を買ったんだよ、遊びこいよ。」
「行きます行きます。」
そして日本に隕石が落ちた。
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