愚者の恋

橋本かおす

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別れ

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 彼女と付き合って三か月ほどたったとき事件は起こった。私は女性と付き合っていて調子にのっていた。初めて彼女ができてしかもその相手が私にべたぼれだったからだ。


 私には仲良くしていた友人がいた。その友人を仮にH男としよう。H男には彼女がいた。その彼女をY美とする。Y美はとても可愛くて愛想がとてもいい女性だった。男性からも人気もかなりあったようである。


 Y美は他のクラスだったがクラスではどうやら嫌われていたらしい。嫌われている原因は詳しくは知らなかったが、どうやら女子からの嫉妬らしかった。なので、彼女はいつもH男と帰っていた。


 ある日、H男は今日はY美と一緒に帰れないから私にY美と一緒に帰ってほしいと頼んできた。Y美は一人で帰るのが寂しいようなのだ。頭の片隅には春の姿があったものの、彼女とマンネリ化していた私はY美と帰ることにした。


 やましい思いがあったわけではないものの、彼女がいる男が他の女子と帰ることは周りから見たら浮気しているのと一緒であろう。それは春にとっても同じである。


 不幸なことに、学校の帰り道、春とその友人二人とばったりあってしまった。Y美と二人でいるところをだ。春は私の姿を見たものの何も言えない様子だった。


 その後、春の友達の一人が私に向かって『あんた何考えてんのよ』と言ってきたが私は目を背けることしかできなかった。もう一人の友人は泣いている春を慰めている様子だった。


 家に帰ってからはlineで一応謝った。『今日のことはごめん』と。春は返信はくれたがひどく悲しんでいる様子だった。私も中途半端な気持ちで付き合ったことに罪悪感を感じ彼女とは別れることにした。


 春とは別れたのだが、一応lineでのやり取りは続いていた。恋人ではないのだから友達としての他愛のない話だ。それでも彼女は私に愛情をぶつけ続けてきた。私には少し嬉しかった。


 ある休みの日に私はH男とY美にカラオケに誘われた。どうやらY美の女の子友達も一緒に来るようだった。その女の子は仮にS子としよう。身長は小さくて快活な表情をしていてとても可愛らしい子であった。私たちと違う公立の学校に通っているらしかった。


 なぜかはわからないのだが、私はS子にlineを聞かれた。もちろんすぐに彼女に教えた。彼女がどういう気持ちで私に連絡先を聞いたのだろうかと疑問に思いながらその日のカラオケはフィナーレを迎えた。


 帰る方向が一緒であるからと帰りはYと二人で帰った。Y美はS子に連絡してあげてねと私に言った。自分から連絡するのは性に合わないが、次の休みの日にでも一応連絡しようと思った。
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