愚者の恋

橋本かおす

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葛藤

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 春と別れてから一か月ほど経った。秋も終わりすっかり冬の足跡が聞こえていた。世間はクリスマスシーズンということあり色めき立っていた。私もS子と映画館に行く予定を立てていた。


 映画館に行くメンバーは私を入れて4人。S子、Y美、H男だ。Y美とH男とはよく遊んでいたからそこまで気まずくはならないだろう。S子ともlineを通じてやりとりを何回もしているから、映画館に行ったときも話が弾むといいが。


 映画館にいく当日。辺りはすっかり雪が降り積もっていた。映画館は名古屋駅にある。名古屋駅なら食べる場所もたくさんあるだろうし買い物もできるとのことであった。


 まずは、Y美とH男と合流した。H男はなんともシンプルな恰好であった。Y美は女子らしいフリフリとした恰好で下はミニスカートでとても寒そうだった。早速電車に乗りその二人と名古屋駅へと向かった。


 名古屋駅に着いた私たちはS子との待ち合わせ場所である金時計へ向かった。金時計は待ち合わせスポットとして有名であるが、人が多すぎて待ち合わせスポットとしてはお粗末だ。それでもなんとかS子を見つけた。

 
S子も女子らしいフリフリとした恰好でモコモコしていて暖かそうだった。かくしてこの四人は映画館へと向かった。


 映画は最近流行りのスパイものの映画を見た。正直、話はよくわからなかったが迫力があってかっこいい映画だった。見た後はみんな満足しているのかしていないのかよくわからない顔をしていた。


 映画を見終わった後はサイゼリヤにご飯を食べにいった。サイゼリヤお得意のミラノ風ドリアやピザを食べながら少しの間談笑していた。なんとも楽しい空間だった。


 それから少しウィンドウショッピングをしていた。私とH男は女子の買い物などに興味はなかったので、キラキラ目を輝かせてウィンドウショッピングを楽しんでいる女子たちを横目にあくびをしながら歩いていた。

 
 そんな雰囲気を察したのかY美とS子もウィンドウショッピングを終わりにして今日はお開きにしようかと言っていた。そこで今日はお開きとなった。


 帰り際S子が先に帰ったので、私はY美にS子は私のことを好きなのかと尋ねてみた。Y美はさあどうだろうねと答えるだけだった。


 帰ってからS子に『今日は楽しかった。ありがとう』とlineをした。彼女からも同じように返ってきた。自分も楽しかったしこの気持ちに嘘はない。でもなんか違うなとも思っていた。


 私の頭の片隅にはいつも春の姿があった。
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